爆裂道中英雄記   作:ぽおくそてえ

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どうもです
ぽおくそてえです

今回も是非ともよろしくお願いします


第十三話 機械魔獣を知るには

「ここか?」

「洞窟?」

「森林の奥にあって人の滅多に通らないエリアだ。隠れて研究するにはもってこいだな」

「変な門があるよ?」

「朽ちかけているわね」

「間違いないな。だが……」

「痕跡が残ってるとは考えづらいが」

「調べよう。皆、警戒しながら進むぞ」

 

怪しげな洞窟がこんな森の奥にあろうとは思いもよらなかった。門が設置され、電球も取り付けられているあたり、利用していた痕跡が見受けられる。警戒しながら中へと進入すると、そこには壊れた機械が多く設置されていた。

 

「これは……」

「破壊された製造プラント?」

「生き物が生成された可能性があるな」

「それなりに作られたのかもしれないわね。左右に3つずつあるわ」

「生物を作って機器を埋め込んだ?」

「あり得るな」

「薬品と思しき液体が少し残ってるぞ」

「これは一体?」

「出来るだけ資料などを持ち帰るぞ。証拠や研究材料は多いに越した事はない」

「罠や虚偽の薬品の可能性は?」

「それも調べなきゃ分からん。例え罠だろうと突っ込まなきゃならん状況だぜ」

 

ここで得られる情報は一つでも多く持ち帰らなくてはならない。機械魔獣は今後危険因子になりかねないからだ。薬品に機械の部品、資料などなど、諸々の物品を持ち帰る。そうこうしていると、外から地鳴りの様な音が聞こえてきた。

 

「なんだ?」

「地響きか?」

「外からだね」

「ただの魔族なら良いんだが」

「この感触、おそらくそれなりにデカいわね」

「こういう時の勘は当たるからな」

「様子を見に行きましょう」

 

外の様子を伺うに、見受けられるのは少し大きい魔獣だ。大きなツノと翼が見えており、地響きを歩くたびに起こしている。

 

「鬼牛族かな?」

「どうなんだろうね。師匠、如何しますか?戦闘準備は出来ていますが」

「ここいらでは見られない生態だと思われる。それに、左肩辺りが光った様な……」

「機械魔獣?」

「脱走した奴かもしれんぞ」

「いや、研究情報を取らせん為に敢えて解放し、付近を警戒させてんのかもな」

「いずれにせよ、面倒ですね」

「あたしらはいつでもOKだよ」

「仕掛けようぜ」

「待て。お前らはこの証拠を持って逃げろ。相手は1匹とは限らん。それこそアレが俺達を惹きつけ、敵の二の矢三の矢に繋げる為の見せ掛けや囮、ブラフかもしれん。ほれ、急ぐんだ」

 

チームの皆を無事に帰す為なら1人で立ち向かうのも手だ。1人で戦う方が注目を集めやすいし連携が取れない代わりに自由気ままな攻撃がしやすいし、余計な神経を使わずに済むというメリットがある。

 

「(さてと、虚勢を張ってみたが1人でやるにはどうにも……ま、なる様になるか)」

「お兄ちゃん」

「アニー。何故残った?」

「確かに戦う力は無いよ?でも、お兄ちゃんの役に立ちたい」

「……」

「ごめん、本当は来ちゃダメなの分かってたけど」

「いや、良いんだ。心配かけちまったな。あいつらは大丈夫だろう」

「お姉ちゃん達なら心配ないと思うけど」

「さあてと、強化(バフ)弱化(デバフ)を頼むぜ」

「任せて」

「あと、なるべくあいつの死角に入ってなさい」

「うん」

「しゃあ、やってやる!」

 

鬼牛族を基にしたと思われる魔族の正面から攻め立てる。少しでもアニーから視線を逸らす為にちょこまかと木々を飛び移って行く。今回のケースでは道具も有効活用する。落ちている物も使えるのは使う。

 

「ウルオォッ!」

「まずは手榴弾4つだ。ほらよ」

「ブオッ!」

「手返しで拾った石で爆弾3つだ」

「ゴオッ!」

「ちっ、こっちは弾きやがった」

「ボフッ」

「(息吹か。ならば!)爆風烈哮・龍吟!」

 

2つの息吹がちょうど中間地点付近でぶつかり合った。しかし普段なら出せない威力が今回の息吹では発生した為に一方的に押し切れた。アニーの強化魔法(バフ)が自分1人に集中しているからか、はたまた緋炎の鎧を纏っているからか判別つかないが、これはラッキーだ。

 

「(力が少し溢れてきやがるな。流石はアニーの魔法とこの鎧だぜ)」

「ゴアッ」

「おっと」

「バアッ!」

「その口、閉ざしてろ!でやっ!」

「ギャン!」

「(やはり左肩に機械が付いてるな。それに鬼牛族にしては口がでかい)」

「ゴルァッ!」

「暴れんなっての」

 

爆破で生み出した空気砲や振動を伝える打撃で以ってダメージを与え、ヒット・アンド・アウェイで攻撃を受けない様に対処していく。背後ならダメージも喰らうまいと乗ってみせる。だが、背後から攻撃していると嫌がって振り落とそうとしてくる。上下に飛び跳ねてフィリーを打ち上げてきた。だが、逆にこれが好都合だ。後方から肩が丸見えとなる。

 

「ほっ!」

「お兄ちゃん!」

「離れてろ、大丈夫だ。砕空破!」

「ゴギャア!?」

「っと、急に立ち上がるから打ち上げられたな。お陰で肩を狙えたぜ」

「ブルル、ブルッ」

 

肩を狙ってみせたが、完璧に壊せなかった。だが、突如として動きが鈍り始めた。何故だろうか。肩の動力源を少し壊しているからと、それだけとは考えづらい。だが良く見てみると肩を何かが射抜いた跡が見受けられる。自分でやったダメージではなさそうだ。森の奥地から何者かが現れる。

 

「ゴ、ゴゴブッ」

「キキッ!キエエィ!」

「ブッ……」

「(止まった?あいつは、一体?機械部分の動力が無くなったのか?)」

「キキッ、お前、誰だ?」

「ん?お前か?こいつを止めたのは。もしそうならありがたい。俺はフィリー・ゲイル、魔導士ギルド『天使の涙』の三傑だ」

「俺、ゴルディア。水猿族。キキッ、よろしくな」

「珍しいね。魔族たるそっちから近づいてくるなんて。魔族嫌いの人間も多いってのに」

「俺、人間嫌いじゃない。お前、変な魔物と戦ってくれた。それにお前、魔族を嫌ってなさそう」

「見てたのか。アニー、こいつは大丈夫だ。出てきてくれ」

「う、うん」

「お、少し珍しい魔力、キキッ」

「聖属性らしい。かなり珍しい属性だとさ」

「それは、まるでエルフの……いや、何でもない。ウッキー」

 

水猿族のゴルディアのおかげで2人は無事にこの局面を切り抜ける事が出来た。更にゴルディアの仲間がフィリーの仲間を助けているという。まさか何者かに狙われているのか。不安が()ぎる。

 

「あいつらを?」

「フィリー!」

「お前ら!」

「何だか助けられちまったよ」

「皆!」

「アニー!無事だったのね!」

「キキッ、これで帰る」

「ありがとなゴルディア」

「これ、持って帰れ。遺体は俺ら、範囲外」

「おう」

 

あっちにも小型だけどウヨウヨと機械の魔物が居たという。水猿族の皆さんに助けてもらえて、感謝してもしきれない。恩義を受けて水猿族のお陰で助かった。そんな彼らには今回の義理を返さねばならない。さて、今回の魔物は元の魔族は鬼牛族の様だ。

 

「翼は後から付けられた、つまり改造されたんだろうな」

「それか機械の混合生物(キメラ)として最初から造られたのかしら?」

「かもしれんな」

「研究所も大忙しですね」

「申し訳ねえが、頼らせてもらう他無い」

「鬼牛族といえば本来、温厚な性格の種族として知られているな」

「鬼といえどもね。いや、並外れた力を持つからこそ己を律する事が出来ているのかもしれんな」

 

今回の研究資料を国立研究所に持ち込んで研究してもらったら、担当の職員や所長から嫌な顔をされた。最近頼りっきりにしているのは悪い気はしていなかったが、今までに無い難しい研究材料が少し面倒くさそうだった。

 

「やれやれ、面倒事が最近増えたね」

「そこを何とか今後も頼むよ、所長」

「そうだ、この前の機械仕掛けの魔物だが」

「うむ」

「動力部にあの常闇の因子を使っていると思われるぞ」

「なんと」

「魔族に伝播する力を、エネルギーとして利用していたとはね」

「どうしたもんかねえ。ま、ここら辺はウチらの専門外。あんたらや国に対応は任せたよ」

 

研究結果をチームやギルドマスター、そこから経由してギルドメンバーに伝える。ワルツは常闇の因子を複数の機械魔獣に使える程手にしている可能性が浮上した。それ即ち、増産したり魔王側の誰かから貰い受けている可能性が高いという事だ。

 

「確かに厄介だね」

「皆に注意喚起を促す必要があるな」

「まずは一報を入れておく。他のギルドから詳しい情報が入り次第、今後の対応を協議するつもりさ」

「頼めるかい?」

「これくらいならね。皆が危険な目に遭いながら捜索してくれているのを、指を咥えて見てなきゃならんのが申し訳ない」

「マスターはギルドの(かしら)、無闇矢鱈に動くもんじゃねえよ。でぇんと構えてな」

「言われずともそのつもりだよ」

 

更に翌日、ギルドに他のギルドから回ってきた情報が共有される。ようやくもたらされたのは、一昨日から奇妙な翼竜種と思われる存在が複数回集合する事が確認された事だ。奇妙という点を不思議に思うと、その理由が判明した。

 

「翼竜にしては小柄な存在だったという。しかも数体同時にだよ。翼竜種は基本的に単独か(つがい)だってさ。編隊飛行は滅多にしないそうだ。しかも黒の翼と紅の翼が混在していたとか」

「親子の線は無いのかしら?」

「無いみたいだね。巣立つと同時に一匹で過ごすそうだ。だから親子で見受けられる事は考えられないとさ。飛竜研究の総本山が言ってんだ、間違いなかろう」

「面倒事が舞い込んできやがったな。機械魔獣の作り手と関係があるんだろうか?」

「ワルツだったね」

「機械に常闇の因子が使われてたらしいからな。どうも嫌な感じだ。立て続けに色々出てきやがって」

「調査は継続だが、しばらく普通の仕事に出向きなさい」

「しかし、その間に……」

「全員が調査に出てりゃ仕事が滞るよ」

「まあそうだな」

「心配ないさ、交代制で行くんでね」

「じゃ、他のチームに頼むか」

「それで良い。いってらっしゃい」

 

マスターに促されて向かう仕事は高難度の討伐依頼だ。風鷲竜バルキリの討伐に行く事に決定した。この状況下で仕事に行く事を気にするメンバーも居た。

 

「仕事に行くのか?」

「マスター曰く『こういう状況だからこそ』だそうだ」

「まあ、依頼をこなすのがあたし達の本分だからね」

「そりゃそうだ」

「リオレン氷山中腹に居るってさ」

「またあそこかい」

「行ってたみたいだな」

「少し前に仕事でね」

「私らが加入する前なのね」

 

再び国境に面する大氷山に向かう事となった。今回も列車で移動する事となったが、この前と同じ軍事列車とはならない。この前と違う駅で乗り換えるそうだ。

 

「そうなんですか?」

「西に移動するんだよ」

「氷山の西側か。確か雪解け水で出来た湖が近くにあるんだったか?」

「その通り」

「あそこはエサと水に困らないからね」

「じゃ、行くぞ」

 

早速出発した一行だが、一般車両ともなると目的地の近くまで行っていない場合が出てくる。今回の氷山の一角へは最も近くの街からでも2時間近く離れている。

 

「やっぱり鉄道じゃ国内全てはカバーできないか」

「魔獣に対応できるだけの余裕が無いと考えられる」

「空白地帯は馬車を使うしかない」

「魔族の領域を侵犯する事なくね」

「馬車呼んでくる。皆はここで待機だ」

「はい」

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