「魔獣、ここのはただの大猪だった様ですね」
「ふむ。折角来たんだ、修行して帰ろう」
「うん」
「まだ他にも魔物などが居るかもしれん。気を抜くなよ」
やってきたのはヘンリーの実家の領地だ。ここで暴れる連中なら実家お抱えの魔導士達が対応するだろうが、少しでも協力して欲しいとギルドに依頼があったという。だが、フィリー達の戦ったのはただの暴れ猪だった。対すべき相手がこれだけとは思わないので、後二、三日はここに滞在する事になった。その一環で修行に行き着く。
「ふんぬっ!」
「ちぇあ!」
「つおっ!」
「はっ、せい!」
「はい、はいっ!」
「せりゃあっ!」
「近くのお店のお茶を持ってきたよ〜」
「よし、一回休憩」
「ああ、疲れた」
少し休憩を取り、皆の実力の強化を図る。ここでチーム強化策で合宿に行き着くとは、と驚きの声が挙がる。基礎鍛錬、それこそ力や技の真髄への近道だとフィリーは思っている。マスターの依頼もあるから尚更鍛えるべきだろう。
「体を鍛えるのにはマスターの頼み以外にも何か理由が?」
「そうだな。前にナンナには話したが、己の肉体は魔力の器とも言われている。心は属性を与える想像力。体を鍛える事を通じて心身ともに強者となれば、魔導も
「それに、前の傭兵団で仕事してた時に仲間が大怪我してから尚更って感じなんだろ?」
「ああ。守る者が増えた今、尚更力を発揮できる様に己を磨かねば」
身体強化はとりあえずここまでにする。成長した器に注ぐ魔力の質を上げていく。体を鍛えた後は魔法の強化だ。魔力消費量を燃費良くし、更に威力や強度を高める様に練習する為である。
「具体的にどうすんのさ」
「一定量ずつ魔力を掌から発する」
「それで?」
「同時に全身から魔力を吸収する練習をして、瞑想しながら練り込むんだ」
「吸収と放出を同時に行なって魔力の器の拡大に、質の向上を図る感じかね」
「そうさ」
魔力は威力が上がれば上がるほど魔力や体力の消費量が増えやすいのは自明の理だ。そこで少しでも消費量を減らし、魔力を増やして発動回数を増やすのが狙いだ。
「息を吸って」
「す〜っ」
「吐いて」
「はぁ〜」
「大地と空を一体に感じ取るんだ。魔力はあらゆる場所に精霊として存在するらしい」
「精霊?」
「精霊信仰って奴だ」
「あ、この前授業で出た……」
「詳しく知らないね。教えてくれやしないかい?」
「了解した」
この国の魔法は空気中で無属性の魔力を運ぶ精霊が内なる属性力に反応して体内、体外で効果を発揮する。凡ゆる場所に存在しており、その精霊が特に豊富に出現する場所では魔法が高火力で発動できるそうだ。属性解放は精霊との結び付きを強制的に引き上げ、一気に
「これが精霊信仰と呼ばれるものだ」
「あたし、学校に行ってないからそういうのは詳しくねえんだよな」
「俺も兄貴や姐さんに教わったから知ってるんだ。後はギルドの先輩からあれこれ勉強を教えてもらったりしてな」
「人との縁には恵まれてんな、フィリーは」
「確かにな」
仲間、家族、友。気づけば周りには大事な存在が多くいる。恵まれているのだなと感じる瞬間だ。さて、修行は2時間ほど行い、ここで一旦終了する。宿に戻って一休みする事になった。
「今日の所はこんな感じで良いだろ」
「ああ、疲れた」
「明日は実戦形式を取り入れてから更に基礎訓練を実施するぞ」
「実戦ねえ」
「私はあまり得意じゃないけどね」
「良く言うぜ」
「全くだ。俺達より内包する属性が多いだろ」
「どれも貴方達より威力では劣るわ」
「器用だから威力を上げれば誰よりも強いだろうに」
「うーし、宿で呑むか」
「バーがあったな」
「明日からは基礎固めを兼ねた実戦だから、魔力回復の為にあたしらは先に部屋に帰るよ」
「そうかい。じゃ、朝9時に宿の前で集合な」
「ええ、また朝にね」
宿に入ってまず行ったのが併設されているバーだ。女性陣は部屋に戻り、男性陣はとりあえずここで呑む事にした。休息も修行をする上では重要だ。
「いやはや、仲間が多いって良いもんだな」
「ありがたい事にカトレアと2人だった頃に比べて格段に増えたからな」
「良くやってたよ、お前らは」
「へっ……不思議だ。何故か集まるべくして集まった感じがしてるんだよな」
「これも敵が動くのを察知したかの様な、そんな感じだな」
「それに、チームの半分が己の魔道を覚醒させたってのもね」
「そろそろ他の3人も何かしら覚醒しそうだがなあ」
今日のところは六芒星も現れなかったのだ。何名かやられているからそろそろ敵方も来てもおかしくないし、ここを狙っているとの情報があったのだが。
「狙いはどこにあるんだ?」
「混乱を産む、ってな事より魔王復活が先だろうな。おそらくは」
「魔王を復活させりゃ取れる策が増えるってか?」
「そうするだろうて。国をかつて混沌に陥れた程の強大な力だ、どうにでも出来るだろうから」
魔王が再び表舞台に上がれば国はおろか、他国さえ危ないだろう。そうとなれば人類存亡の危機になりかねない。強大な力を持ち合わせた相手となれば、現状では勝ち目はないかもしれない。
「はあ、呑んだなあ」
「また明日から修行に勤しむかね」
「朝早いんだろ?」
「ああ、さっき言った通りの時間に集合だ」
「了解」
「じゃ、また明日な」
翌日の朝、一行は近くの修行場所まで出向いて昨日の続きをする。攻撃が逸れても安全を確保しやすい様に周りに人のあまりいない場所を選んだつもりだ。
「よーし、修行始めるぜえ」
「いや、待てフィリー」
「ん?どうしたんだい?」
「……なるほど、邪なる風を感じたんだな?」
「ほほう、俺様の出す熱の生み出す微風を感じ取るとは」
「カトレア、アニー、数は少ねえが周りの人々を避難させるんだ。今すぐ」
「はい」
「すぐ戻るね」
少しでも周りの被害を抑える為、2人に散歩などで来ている市民の避難誘導を頼み、残りの5人で相手取る。だが、敵はそれをあえて見届けており、まるで市民には手を出さないとばかりに降りてきた。
「グルル」
「あいつ、六芒星の連中か?」
「だろうな」
「しかも機械魔獣らしき物を一体従えてんだよな」
「何度見ても奇妙な魔物だ」
「油断するべからずなのよ」
「ほう、強者揃いの雰囲気だな」
「こっちは全力で行かせてもらうからよ」
「あいつら、やはりワルツとやらと組んでるのか?」
「恐らくな」
体が温まる前にやってきた連中を追い返すか倒さねばなるまい。修行の成果を見せるにはもってこいの相手ではある。奴の従えている魔獣はおそらくワルツの製作した機械魔獣だろう。
「魔獣よ、後ろの女2人相手しろ」
「ガウ」
「お前は、俺ら3人とやり合おうってか?」
「そういう事だ。この前貴様らの力を見させてもらった。勝てるか否かに関わらず、次の奴らに少しでも情報を繋げる。それが俺様の最低限の役割」
「三傑の力、見せたるわ」
「あまり突っ込むなよ。奴の力を見極める必要がある。それに、奴は嘘をついているとは思えんからな、全ての手数は見せられん。ナンナ、マリータ、援護で来るだろうカトレア達と組む様にな」
「あいよ」
戦力を分散させるのは果たして得策なのか分からないが、2つの相手をまとめて同時に相手するのも正解とは限らない。目の前の敵に集中して倒すまでだ。
「ヤクス、名乗らせてもらうか。火の星ヤクスが俺様の名」
「ほう、これは恐悦至極だ。俺らも名乗らせていただこう。炸裂弾のフィリー」
「
「氷河の帝王ヘンリーだ」
「さあ、名乗りを挙げて戦場は用意されたんだ。互いの立場の為、ここで死合おうか」
「市民には手を出さんのか?」
「そんな下衆な行為は、俺様の好む所に非ざれば」
「ほう、魔王配下なのに意外だったな」
「貴様ら敵対者以外の戦う力のない者まで傷つけるのは魔王配下とはいえ、戦士のあるべき姿に非ず」
「そうか。気高き星の将よ、いざ尋常に勝負せよ!」
3対1の状況下、まず先手を打ったのは火の星ヤクスだ。力の把握の為か、様子見を兼ねて火の息吹を放ってくる。
「
「蛇型の火の息吹か」
「ならば水で消す。水大蛇!」
「更に蒸気含めて丸ごと吹き飛ばす。大嵐拳」
「そこへ火の鱗粉を乗せる。火塵砲撃!」
「ぬっ!なんて連携力だ」
やはりというべきか、仕事柄様々なメンバーと組んできて、ギルド三傑と称されるだけあって連携は上手い方だ。少し上空へと飛んだヤクスは複数の対象を攻撃する魔法に切り替えた。
「火炎彗星!」
「避けろ!水で消えるとは思えねえ!」
「危ねっ」
「凄まじい炎だな。お前もここまで出来るのか?」
「流石に一朝一夕では厳しいな。だが、市民を巻き込まねえだけ対処しやすいしマシだ」
「ほう、避け切ったか。ならば次は!」
「くっ」
「地面から火柱を……」
「しかも複数とは」
ヤクスの荒ぶる炎を前に少し後手に回ってしまっている。だが、これでやられる程、三傑は柔ではない。少しでも情報を探りながら戦っているのだ。
「どうした、攻めてこないのか?」
「言わせておけば……爆風烈哮・炎龍!」
「おっと、爆風と炎蛇の息吹とは」
「それに乗って、氷刀武刃!」
「くっ、やりおる」
「俺を忘れるなよ?竜巻拳!」
「上か。させぬ、炎壁!」
「うおっと」
「ほう、人間の割に良く飛ぶ。空中で反転して後退するとは器用な真似を」
「風魔導の基礎だからな、浮遊魔法は」
「
先に倒したエルレーンなどの得た情報が仲間内に出回っているのだろう、見切られている攻撃も結構ある。だが、あちらはフィリーらの真の力を引き出して、その上で勝ち上がってやろうと考えているのだ。
「けっ、良く言うぜ」
「ところで、ここはどんな街か知っているかね?」
「ん?確か観光地だろ?」
「そして……まさか、狙いって」
「そう、グリートリヒ家の治める土地の封印だ」
「そこを狙うって事なら……」
「気づいてたのか、封印の施されてる場所に」
「書物にも詳しく記されてねえのによく気づいたな」
「場所自体はこの十数年で見つけてた。封印の周りの結界がより薄れるのを待ってたら時間が予想よりかかったがな。で、この数日で手を出した」
「くそ、もしかしたら親父や兄貴達が!」
「気が
「奴を消し去る。親父達の事はそれから。そうだろ?」
「分かってんじゃねえの」
確かに家族の無事を確かめたい気持ちは分かる。だが、ここで慌てふためく姿を見せては敵の思う壺だ。倒してから向かっても間に合うとは思えないが、敵に背中を見せるのはこの状況ではよろしくない。それならばやるしかないと気を引き締めて立ち向かっていく。
「俺が行く。水大蛇・八岐!」
「おっと、危ない」
「風刃・十字切!」
「ぬっ……(少し切れたか)」
「下がったな。爆炎脚!」
「相殺する。獄炎拳!」
「ちっ、結構な威力だな」
「そちらこそ」
「(あちらは大丈夫だろうか。気になるが、注意を払ってらんねえ)」
ヤクスと激闘を繰り広げている三傑の一方で機械魔獣と戦っているナンナとマリータはといえば、傷を作りながらもなんとか立ち向かっているのだ。まだカトレアとアニーの援護は来ておらず、しばらくは耐久戦になるだろうと踏んでいる。
「やれやれ、魔物の相手とはねえ。思ったより頑丈だぜ?」
「そうね。そういえば私達、2人だけって初めてね」
「それもそうだな」
「今度は貴女が先陣切ってくれるかしら?」
「良いぜ。これでも戦闘は慣れてんでね。さっきから2人並行して戦ってるし」
「援護は任せて。私も闇以外にも多少扱える属性があるから」
「闇は光と聖属性以外は内包してるんだろ?」
「ええ」
「じゃ、援護頼むぜ」
「任せて」
三傑によるこちらへの手助けは見込めない。なら、自分達で出来る事をやる他ない。しかも援護に来るであろう2人を含めてこちらで能力解放に成功しているのはナンナのみ。
「鉄鋼砲弾!」
「闇飛刃!毒弓・
「グオゥ!」
「今度は避けたか」
「魔法が使えないのかしら?」
「どうだろうな?さっきまでは空気砲で対処してただろ?」
「それもそうね」
「ま、そこら辺を調べがてらやっていこう。更に行くか。鋼鉄剣!」
「闇の大鎌!」
「ブルアッ!」
「ナンナの剣なら少しは通るみたいね」
「そうみたいだな」
やはり皮膚が硬い。中の機械や一部の鉄の皮膚の影響で攻撃が通りづらいと見た。そこに援護がやってきた。カトレアとアニーが来てくれたお陰でこれからやりやすくなっていくだろう。
「ナンナさん、マリータさん!」
「戻ったよ」
「良い所に来たね」
「結構厄介よ、あの魔獣」
「そうなの?」
「空気砲は連発するし、結構機敏だし」
「その上多少硬い。ナンナの金属でやっと斬れるわ」
「ならばアニーの援護が重要ですね」
「この子にばかり負担をかけるのもどうかと思うけどね」
「良いんだよ?」
「それがなあ、大人としての沽券や面子に関わる気がするんだよ」
「まあ、そう言われたらそんな気がしますが」「ま、そんな事は今どうだって良い。やるぞ」
先頭で戦端を切り開くのはやはり鎧を纏えるナンナだ。金土の鎧を身につけながら放つ魔道は先程より威力とスピード、範囲が格段に良くなっている。
「三双鉄槍!」
「雷帝拳!」
「闇矛!」
「ボボゥ」
「空気の盾か」
「立て続けに上から攻めます。雷星!」
「うおっ!?」
「雷の落星!?」
上空に現れた魔法陣から十数メートルはあろうかというサイズの雷の星を複数個落としてきた。鎧を纏っていないのにここまでの大きさの、威力ある魔法を放てる様になっているとは、驚きを隠せない。
「うひゃ〜、凄まじい威力だね」
「これで止まるならかつての英傑達も苦労してないでしょうけどね」
「でしょうね」
「さあて、どうなったかな?」
「グググ……」
「やべえ、傷はあっても比較的無事の様だな」
「みたいですね」
「はあ、厄介ねえ」
「ここはあたしが先陣を切る。マリータはアニーを守りつつ援護を。カトレアはこれからあたしに続け」
「任せて」
「了解です」
「
ナンナ達は一生懸命勝鬨を挙げる為に必死に戦っている。その頃フィリー達もなんとか勝利の星を掴もうと、六芒星の一角を相手にもがいている。だが、通常形態では勝てる可能性がそこまで高くないのは分かってきた。
「ヘンリー、ジョージ、あいつらの力を解放するぞ。隠し通しても倒せねえだろうぜ」
「やむを得んな」
「よし、行こうか」
「む?」
「緋炎!」
「翠風!」
「蒼水!」
「ほう。これが例の……」
「テメェらを倒す為の、平和の為の力だ」
「来い、強者どもよ」
鎧の解放の手は即ち、苦戦しているという事の裏返しだ。だが、勝たねばどうなるか分かったものじゃない。どんな相手であろうと、勝つ為なら殺しだってする可能性がある。
「ちぇいやぁ!」
「(ふむ、戦い慣れてる。拳に迷いがない)」
「行けぇ!」
「横っ腹にぶち込んでやる」
「見えてる。円焼!」
「くっ」
「危ねっ」
「伊達に魔王の配下は務めてないな」
「当たり前だ。だが、これでも俺様は六芒星では下から2番目くらいの強さしかないと思っている」
「そうか?お前はこの前の2人よりかは威力と範囲では上だと思うがね」
「褒め言葉として受け取っておく」
三傑は七英傑の力を解放し、徐々に追い込んでいく。更に魔力を解放してもっと追い込んでいくつもりだ。先手を取ったのはフィリーだ。
「さあて、3人の英雄の末裔の力……とくと味わえ。俺から行こう。灼熱放拳・焔」
「援護するぜ。旋風舞刃」
「広範囲の炎に風の刃か。畜生が」
「飛ぶか」
「なら上から失礼するぜ、氷のハンマーだ」
「うおっ!」
「よっしゃ、押し込んだぜ」
「更に威力を上げっぞ」
「おう」
連携の取り方を熟知している3人ならではの合わせ技だ。普通の魔導士ではこう簡単にはいかないだろう。上手く風と炎の合わさったこの攻撃により、ダメージをより確実に与えていく。
「くっ、なかなかの威力だな」
「やはり火の耐性はあるな。火傷した程度とは」
「風の傷が結構あるんじゃねえか?」
「そちらへは耐性が無いからな」
「気づいちゃいたが、良いのか?弱点となりそうな事言ってよ」
「事実を述べたまでだ。それ以上でもそれ以下でもない」
「だろうな」
この激突を、生きる実感を喜ぶかの様に戦いに挑むヤクス。それを上回って倒そうとするフィリーら三傑。すぐにでもこの敵を倒そうと全力で事にあたる。
「さあ、続けようか。煉獄蛍火!」
「触れたその瞬間爆破するだろうぜ」
「まずは俺の水で……隼水弾!」
「隙間を縫うぜ。風刃手裏剣!」
「ぬっ?ダメージは少ないが、数が厄介だな。それに蒸気が……げほっ」
「おおおっ!」
「しまった、そこか!」
「チェストー!」
「ば、ばはっ!」
上空からの攻撃に為す術なく地に落とされる。これをガードせずに喰らうとは夢にも思わず、驚いた。今までの戦いぶりを見るに、そう簡単にやられはしないだろうと思っていたからだ。だが、その理由がすぐに判明したのだ。
「がはっ、ごほっ!」
「お前、体が……」
「バレたか。そうさ、俺様は体が弱くてな。しかし、まさかこのタイミングで病が悪化するとは……」
「すぐ楽にしてやる。その前に。魔王の娘に付き従っているのは本当か?」
「左様」
「ワルツとも連携を?」
「うむ」
「そいつは今どこに?」
「そこまでは知らんよ。ぜは〜っ」
「そうか。楽になれ……せいっ!」
「自分の命は、自分の手で終いにする。貴様らにやられるくらいなら、な。はあっ!」
「まさか……2人とも離れろ!」
これ以上情報を漏らすつもりはない。その様な決意と共に自爆。体の一片たりとも残さず散っていった。仲間を想っての行動だろうが、おそらく彼以外の者は死んだ事すら気にも留めないだろう。
「自爆か」
「さらばだ、誇り高き星よ」
「仲間の情報をほぼ渡さず、か」
「聞き出しそびれたな」
「仕方ない。あっちの援護に行くぞ」
「その必要は無いさね」
「お、倒したのか?」
「なんとかね」
「結構傷が出来たよ」
相手は常に我々を上回ってくる可能性があると考えた方が良い。だから常に鍛え、備え、出来る事はやっておいた方が良い。さもなくば敵に負ける可能性は充分考えられる。残る星は3つ。水、闇に雷の使い手と見るべきだろう。
「相手は残り半数の3人だな」
「情報が正しければそうですね」
「この魔獣も研究に回すぞ。ワルツがどれほど余裕があるのか知らんがね」
「修行どころじゃなくなったな。一回帰ろうか」
「面倒事が増えるとはね」