遅くなって申し訳ないです、ぽおくそてえです
今回もどうぞよろしくお願いします
「がっ!くそっ……」
「カトレアお姉ちゃん!」
「わ、私は良いから」
「拳とか、結構な威力みたいだ」
「それでも私の一撃を耐え得るとは」
「互いに攻めてるが、決定打は撃ててねえな」
カトレアが痛い一撃を喰らって体に大きな傷と負荷を感じる。肋骨が2、3本いっただろう。立ち上がるのもやっとなくらいに痛みが全身に駆け巡る。アニーの回復と補助が無ければもっと酷いダメージだったに違いない。そんな状態のカトレアに戦闘を任せると怪我がもしかしたら悪化しかねない。ならば三傑が前線を維持する他ない。
「ヘンリー、ジョージ、行くぞ」
「おう」
「任せな」
「まずは俺からだ。焔蛇・登竜!」
「むっ。竜の牙か」
「
「ちっ、さっきから連携が……」
「氷刀武刃」
「ぐふっ!(何故だ、急に速くなってダメージも!)」
前を向いて戦っている後ろではアニーが少しずつ解放した力で以っていつもより更に一歩進んだ強化魔法と弱化魔法を発動している。皆が心配している中でも平然としているから、前に比べて成長しているのだろう。
「アニー、平気?」
「うん。なんとか」
「お前の
「やっぱり?」
「ああ。格段に動きやすくなってるな」
「この威力の原因、やはりお前か」
「こいつには手出しさせねえぜ」
「ふぅ……私達も攻め立てます。
「無茶すんなよ、カトレア。岩堅流星拳!」
幾ら回復したからってすぐに動ける筈が無い。威力は落ちており、範囲も前より狭くなっている。だから他のメンバーでその穴を埋めようと必死に戦っている。チームは互いを支える為にあるのだから。
「エルレーンの使ってた魔法で斬ってやる、風神刀・鬼丸」
「攻め、速さ、守り。3つとも更に強化するよ」
「ありがとな。しゃあ!行くぞ!」
「私の力も引き出してくれるって訳ね。さあ、喰らいなさい、閻魔槌!」
「おおっ!?」
「行けてるぞ。押せる!」
「ふん、ただの人間どもではないのか。ならば!」
力の解放は何もフィリー達だけの特権では無いのだ。そう、レニーも魔族として解放できない訳ではないのだ。彼女は魔族の中で最も凶暴と言われる悪魔族の1人なのだ。力を解放して尚冷静でいられ、六芒星に威力では劣るとは言え、火と水、土の3つの属性を操れる。それが研究者ワルツの部下として選ばれた理由だ。
「フシュー……」
「あの姿、噂に聞く悪魔族なのか?」
「私の力は更に引き出された」
「皆、アニーを守れ」
「無駄な行動をするものだ。殺す順番が変わる程度の話だ」
「なんつー圧だ」
「すぅ……」
「来るぞ、息吹だ!」
「ばはあっ!」
その3つの属性全てを練り込んだ息吹はナンナとヘンリーの繰り出した氷と金属の壁と衝突せしめた。アニーの力があるとはいえ、限度がある。魔獣達の力を借りての壁では防ぎ切れる保証がない。かなりの威力で、金属と氷の壁があまり意味を成さないかもしれないのだ。
「くそが……」
「なら、更に力を引き出すよ。んん……」
「なんだこの鎧は?」
「白蓮の鎧だって」
「うん。これならいけるかも」
「おお、力が、いつもより」
「どちらにせよ、あまり無茶ができないがな。攻撃に当たらないに越した事はないぞ」
更に力を解放して得られた強化を、使わぬ手はない。ここで前に出たのはフィリーだ。彼が先導する形で少しでも早く敵を倒しにかかる。レニーは何故立ち向かってくるのか。悪魔の力に立ち向かうかと驚きを隠せない。ワルツの配下如きに立ち止まるなんざあり得ないのだ。いついかなる時も前へと進む。フィリーが無理してるのではないかと心配になるナンナだが、彼ならまあ大丈夫だろう。ヘンリー達も彼の後に続く。
「紅龍翔撃!」
「おおう」
「そこに俺らも加わるぜい。風刃・十字切」
「くっ……(先程から速さと威力が上がっているな。聞いた話より断然に!)」
「砂金弾咆・金狐!」
「防いで見せよう、熱砂壁!」
「火と土の双属性か」
暫くこう着状態が続き、一進一退の激しい攻防が続く。7人を相手取っているのに対処できている辺り、やはり魔族の中でも強い。このままではどちらかの魔力が尽きるまで終わらないだろう。少し衝突が続いた後、レニーは上空へと逃れた。傷は受けているのにまだ無事だ。
「ふむ。人間の割に良く動いてみせるな」
「けっ」
「こいつ、頑丈だな」
「……貴様らは何故戦う?」
「テメェの様な輩から民を守る為。そして安寧なる未来の世の中の為」
「理想は大層なものだな?」
「前に
「ふん、くだらない」
そういう彼女はは何故戦うのか?その答えは至ってシンプルだった。レニーはワルツの世を見届けたいから戦っている。人間からしてみれば傍迷惑な奴だ。だからレニーの道はここまでにさせてもらう。一人一人がそれぞれで攻撃してても効かないだろう。ならば取る手は一つ、魔法を合わせるのだ。
「ジョージ、ヘンリー、ナンナ、融合魔法だ。アニーは鎧を纏ったまま属性解放してくれ」
「おう」
「任せて」
「カトレア、マリータは攻め込んでくれるか?」
「出来る範囲でやってみます」
「言っといて何だが、無理だけはするなよ?」
「分かってます」
傷だらけのカトレアを前線に送り出すのは好手ではないのは重々承知だが、こうする他ないのだ。何発かダメージを喰らっており、若干ふらつきながらの戦闘を強いている事を悔やむばかりだ。それでも師匠の役に立ちたい一心でカトレアは必死に戦っている。
「蛇王光牙!」
「その傷でまだ戦うつもりか。それではいずれ師より先に死ぬぞ?」
「はっ、はっ……余計なお世話です」
「カトレア。あいつの言うセリフに乗っかるべきじゃないかもしれないけど、無茶しないの」
「私が役立たずでは師匠の名に傷をつけます。それだけは避けたいのです」
「貴女は一生懸命に戦う弟子。貴女の所為でもなく、一生懸命に頑張る人を貶める様な評判なら不要と吐き捨てて、相手を殴りにかかると思うけど」
「そ、それは……そうかもしれないですが」
「貴女が死んだり一生ものの傷を負う方が嫌だと思うわ。あの人、優しい男だもの」
「くっ……そうですね」
必死に前線を維持してくれたお陰でフィリーの前方には完成した融合魔法の砲台がある。待たせた事、また、無茶をさせてしまって申し訳ないとまずは詫びる。自分のせいで色々と思い詰めてしまったのなら、師匠やリーダーとして失格だ。
「師匠……」
「済まんな。お前には色々と重き荷物を背負わせちまったか?」
「いえ、私は先王に認められた貴族であるフィリー・ゲイルの弟子。これくらいの重責を乗り越えられなければ一人前にはなれませんからね」
「気楽に行こうぜ。俺の名はまだ大したもんじゃねえからさ。しゃ、この砲台から四色の魔弾を打ち込むぜえ〜」
「っ……(私の脳裏には危険信号が。あの大砲が現れたからか?)」
「(追撃を躊躇した?ならば……)カトレアとアニー以外の全員で追撃を頼むで」
「ああ」
頑張って時間を稼いでくれたカトレアを安全に後退させ、彼女とアニー以外のメンバーで追撃を仕掛ける。その隙に砲弾を撃つ算段なのだ。これで倒せるか分からないが、取れる手段は何でもやってみるのだ。
「前後左右、陣形を入れ替えながらやるぞ。奴をなるべくあの砲台の向けやすい位置に動かすぜ」
「あたしからだな。銀槍」
「更に行くぜ。嵐砲拳」
「ほほう、やるではないか」
「そこだ、狙い通り。ほれ!」
「ぶっ!?くそ、かなり痛む」
「やったぜ。ほれ、次々行くぞ」
「連射機能とは……」
「上空に逃げやがったな」
「ならば攻撃の届く低空飛行しか出来ねえ様にすりゃあ良い。はあっ!」
「くっ、厄介な」
「来たぜ、来たぜぇ」
上空に逃さぬ為にジョージの得意とする空間魔法、重力魔法で叩き落とす。彼女は自分を地に落とす程の重力に驚きを隠せない。それを逃す手はない。積極的に砲弾を撃ち込みに行く。相手が動けないのなら狙いやすいのだ。
「はっはあっ!」
「うぐぐ……」
「フィリー。貴方、若干悪役っぽいわよ」
「気にすんな。しゃあ、最後の一発じゃあ!」
「ばはっ……」
「やったかな?」
「待て、まだ近寄らない方が良い。経験則から来る警鐘が聞こえる」
「まさか、まだ生きていると?」
「その可能性が高い」
「く、くくく……私はもう動けまい。始末するなら今のうちだ。どうせ死んだところでワルツ様は気にも留めまい」
「そうさせてもらうぜ。喝!」
心臓に当たる部分目掛けて火のビームを放って絶命に至らせる。これで敵の主戦力を1人倒した。しかし、本人が言っていた通り、ワルツがこの死を気にも留めないのなら、それはそれで敵ながら哀れである。一番支えていたであろう人物すら利用価値でのみ考えているのだろう。彼を良く言えば部下を戦略の一部と割り切れている事だ。悪く言えば大事な側近ですら捨て駒扱いといった所だ。
「可哀想な人ですね。主人に死んでも気にも留められないなんて」
「こいつは上司に恵まれなかったな。それよりカトレア、お前大丈夫か?」
「すみません。ご迷惑をおかけしました」
「気にすんな。俺は悪評よりお前を大事に出来ない事の方が嫌なんだよ。それに、慎重さは必要でも、悪評を気にして臆病になりすぎてちゃ高難度では戦えんからな」
「ありがとうございます。貴方の弟子で良かったです」
「ジョージ、ナンナ、ここの調査をするぞ。他のメンバーは先に帰っててくれ。カトレアは治療をちゃんと受けるんだぜ?」
「了解」
「ご心配おかけします」
軽く調査してみたが、封印のされていたと思われる箇所は壊されており、解除されているとみた方がいい。今後は六芒星も加わって各地の封印に手を出してくるだろう。
「やれやれ、封印が壊されてんな」
「ここもか」
「親父の言ってた通りだった」
「このままじゃ魔王が復活しかねんぜ」
「不味くないか?」
「先手を打てりゃ良いが、そう簡単じゃないだろう?」
「まあな。それに、あと2人の解放者を早めに見つけられなきゃ倒すどころか傷をつけるのも大変かもしれん」
ギルドに戻り、現状報告を実施した。この前リュートに教えてもらった封印箇所、まだ行ってない場所にも行こうと思うと伝えてみたら、そうしたら良いと返答があった。いずれにせよ、だ。カトレアの怪我を考慮すると数日休まなきゃならないだろうと話す。この時点で既に半数近くの封印がやられている。
「ジョージとヘンリーの親御さんが管理する場所、それとナンナの故郷であるヤマタイも封印がやられてる」
「7カ所あるんだったかしら?」
「ああ。だから半数近くが既にやられてるって訳さ」
「不味くないですか?」
「一つは目処がついてるし、他の3箇所も情報を得てる。これだ」
「うーむ、何処に行くべきか」
「アニーの暮らしていたという村に向かうぞ。そこも封印の施された場所らしい」
「私の居た場所に封印が?」
「もしかしたらとは思っていたが、まさかあの洞窟の近くにねぇ」
かつてアニーの救出の際に訪れたアリアテ森林の近くにある村までやってきた。救った人々が村に戻ってきていて、無事に暮らしている。あの時向かった甲斐があったというものだ。だが、今回の目的はそこではなく、封印に関して聞き取り調査を行う為だ。
「着いた」
「おじいちゃん!」
「おお、アニーか。そんなに慌ててどうしたんじゃ?」
「それはね」
「ここからは俺が。単刀直入に尋ねます、この村に魔王の封印が施されてますね?」
「ふむ、やはりその件でしたか」
「3箇所が既に襲われてます。ここももしやと思いまして」
「そうらしいですな。実はここも襲われまして、封印が解除されましてね」
「左様でしたか。手遅れだったか」
「申し訳ない。我々には微々たる戦力しかなく……」
「駆けつけるのが遅れて申し訳ないです。怪我人は?」
「あちらに複数名」
「私、治してくる」
「頼めるかな?」
「うん」
事情を聞いていると、起こっていた現象は他の場所と同様に六芒星と思しき小翼竜の襲撃を受けたとの事だ。やはり封印の場所を把握しているとしか思えない。
「小翼竜ですか」
「ええ。そうとしか形容できない暗黒の翼でした」
「おそらく我々の追っている連中でしょう。封印箇所の目途は立っていると話していましたから」
「他の箇所も危ないですな」
「封印の防衛をするか、六芒星の撃滅を優先するか。悩ましいですね」
「そこはお任せしましょう。我らには戦力は無いですから」
「ふむ。皆の衆、次の選択肢だが……」
フィリーが提案するより前にヘンリーらから逆に提案がなされる。少しでも敵戦力を削るのを優先すべきであろうと。どのみち敵が居る限り、封印は解除される可能性が高いかもしれないからだと。ナンナも同意見であり、こう言ってはなんだけれども封印が全部解かれる前に六芒星を全て倒し切れば再び封をする事も可能だと思うと。確かに一理ある答えだ。封印が間に合えば、多少問題が先送りになるとはいえ、対応策は今からであれば取りやすくなる。そこなアニーが回復を済ませて戻ってきた。ならば次の選択肢は一つだ。
「回復してきたよ」
「おっし、じゃあ調査に赴くぞ」
「私も傷が治ってきましたし、いつでも行けます」
「あまり無理はするなよ?」
「ええ、大丈夫です」
「こう言ってんだし、任せるべきじゃないかしら?」
「そうだな。次狙うならここだろう、行くぞ」
用事を済ませて挨拶を終えた後、一旦首都のグラン・フィレーン駅を経由してやってきたのはナンナの故郷に程近い場所、旧ソンゴ王国現ハクフ地方だ。ここにも魔王の封印があるというのだ。
「首都から列車で2時間半、結構離れたみたいね」
「首都を中心とした1つとそこ以外にも各地に6つの場所に封印を施したみたいでね。ここ、ハクフ地方もその一つだと」
「国軍には伝えたのか?」
「無論だ。残りの3箇所と、今までの4箇所に配置する様に伝えてある」
「だが、あの六芒星に国軍が何処まで戦えるか疑問が残るが……」
「時間稼ぎくらいは出来るだろう」
いくら鍛え上げられた国軍とはいえ相手は魔王直属の配下だ。そう簡単には倒せないだろうし、犠牲が出かねん。だが、万が一の場合は撤退せよと厳命されているという。
「封印箇所はこの街の近くらしいぜ。今日はここで一泊してから行くぞ」
「はい」
「カトレアの怪我も、俺らの魔力も、随分と回復したしな」
「アニーのお陰でよ」
「皆、あまり無茶はしないでよ?」
「無茶せずに相手に勝てるのであれば、それに越した事はないな」
この地方特有の点心などを楽しみ、宿へとやってきた。特にやる事も今日は無いのでこのまま眠りにつく事になった。そんな中でカトレアに異変が訪れていた。噂に聞いていた謎の空間にやってきたのだ。意識ははっきりしているのに目の前には宿の天井では無い不思議な空間が広がっていた。
「ん?ん〜、ここは……一体何処なの?」
『ここはあっしの世界であり、あんたの世界でもある』
「ひぇっ!?」
『ああ、そんなに驚く事かね?』
「そりゃいきなり知らない魔獣に話しかけられたら誰だってそうなりますよ」
『ほほう、それもそうだな。まずは名乗ろうか、カトレア。閃耀竜ベイル、それがあっしの名前だ』
「ベイル、ですか。私の名前を知ってるって事はつまり……」
『フォルテやフォクセーヌらと似た存在と考えてくれて良い』
「これが、噂の……で、でも私は特別な家系ではありませんよ?」
『そういうと思ったよ』
それもそうだ。カトレアの両親は今も健在だし、商人の家系だから魔法が使える以外は特段変わった家系では無いはずなのだ。しかも両親は魔導の心得が無いときたから尚更困惑している。だが、彼女の先祖は立派な七英傑の1人、バーリス・シャリアだ。
「私が七英傑の1人、バーリス・シャリアの末裔?」
『あの男は貴族になるのを断った異質な平民だからな。シャリア家は封印に関わった一族である事以外は至って普通の家系だろうよ』
「は、はあ。まあ、確かに」
『あんたの親御さん達も普通の
「ええ。今も元気に暮らしてますが」
『それは重畳。で、あんたが伝説の力の継承に選ばれたんだ』
「私が!?確か私が知る限りでは親は魔導士ではありませんが」
『そうだね』
そう、バーリスの子供からカトレアに至るまで代々魔導士ではない。つまり彼女は一族からしてみれば突然変異なのだ。そんな現象は今まで殆ど聞いた事がない。
「私が、突然変異……」
『魔導士の子が魔力自体はあっても魔導を扱えない。魔導を扱えない一般人の血が混じる場合、決して珍しくもない話だ』
「そうなんですね?」
『左様。貴族が全員魔導を扱えるのに一般市民に魔導士が極端に少ない事に疑問を感じないかね?』
「言われてみれば……」
魔導が生まれた頃にその原初の存在から魔力を与えられた人の血縁者が現在の貴族の中には多く、それ以外では修行を積んで自ら魔力の在処を見つけて力を得た存在がいる。現在でも貴族以外で一部開眼する人間が居るが、かなりのレアケースである。つまり、今は殆どが血の繋がりで以って力を持ち合わせている為、貴族や魔導士の中には血統主義を是とする者が一定数居るのだ。
「つまり、原初の魔導士達から引き継がれている部分と、何かしらのきっかけで開眼した人は魔導士に。それ以外は普通の人、という事ですか?」
『基本的にはそういう事だね』
「うーん、そんなものなんですね」
『だから人口の殆どは魔導士じゃないのさ。魔法道具なんていう便利な物も今では存在するがね』
「言われてみればそうですね」
『あんたの様な突然変異は全体の中ではレアケースだろうさ』
「話を聞く限りその様ですね」
『うむうむ、飲み込みが早くて助かるね』
この現象を世間では魔導の先祖返りという。魔導士全体の殆どが先祖から脈々と力を受け継いでいる為、先祖返りは隔世遺伝ならまだしも、3世代挟む場合は1割も行くかどうかだ。その中で更に複数世代を挟んでの現象はほぼない。
「今まで師匠達から聞いた事が正しければ、私は力を開眼する様ですが」
『その為に今日出てきたんだ』
「そうですよね」
『光魔法というより雷魔法の強化だ。あっしの力を受け継ぐと杏雷の鎧を纏う事が出来る。覚悟は良いね?』
「はい」
『うむ。目覚めた時には解放可能だろう。今後ともよしなに頼むよ』
これで継承の儀は終了する。これからは彼女自身がこの力と歩む事になる。最後に一言声をかける。
「あ、一つだけ良いですか?」
『何だね?』
「ありがとうございます。これで守れるものが増えそうです」
『は、何を今更。感謝するなら周りの人にね』
「はい」