爆裂道中英雄記   作:ぽおくそてえ

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お待たせしました、ぽおくそてえです

第八話となります。


第八話 真拳闘技への誘い

「(結局、声かけられずに15分か)」

「ふっ!せいやっ!おおらっ!」

「(流石に行くか)お、修行中かい?」

「おう、ナンナかい。俺には魔法にばかり頼らずとも闘える体が必要だからな」

「魔力切れへの対処か?」

「そうだな。それもあるが己の肉体は魔力の器、だからそれを鍛えるんだ。体を鍛える事を通じて心身ともに強者となれば、放てる魔導も(おの)ずと強くなる。心だけを鍛えてりゃ良い訳じゃねえんだ」

「まあ、そらそうか」

 

そう、魔道は心身を鍛えれば魔導士であれば誰でも強化が可能なのだ。だが、これだけが方法ではないし、経験を通して強くなる人も大勢いる。しかし体を鍛えれば取れる択は増えるからフィリーのこの方法は何かと都合が良いのだ。魔法の効きにくい相手を物理的に倒しに行ける点もあるからだ。

 

「よいせっと」

「っ!なんだい、その傷!」

「傷はこの体で誰かを護る為に仕事中に受けたものだ」

「すごい傷だね。背中側にはあまり無いみたいだけど」

「名誉の負傷さ。敵に背をあまり向けず、前進して突っ込んで行ってたから自然とこうなったんだ」

「そうか、あまり無理すんなよ?とりあえず飯を持って来たよ」

「お、ありがてえ。朝飯あんまり食ってなくてなあ。うん、美味い」

 

これがナンナが自分用に持ってきていた2つある弁当の内の一つを分けているとは露知らず、呑気に食べすすめていた。まあ、ナンナからしてみれば自分の作った食事を楽しく美味しく食べている姿を見れて嬉しい限りだが。それからというもの、フィリーは丸太相手にひたすら拳や蹴りを見舞わせる。

 

「でやあ!爆破無し、鳩尾を抉る様に……九連撃!」

「(修行を怠らず日々研鑽を積む、か。うーん、カッコいいねえ。しっかし、あの練習用の木の丸太、結構抉れてるような。殴り続けた結果か?)」

「なあ、見てて面白いか?」

「少なくともあたしはね。そうだ、折角だから修行相手になろうか?」

「良いのか?」

「あたしの為にもなる」

「それもそうだな。じゃ、頼む」

「良いぞ」

 

この時間を少しでも長く過ごしたいという下心があるが、フィリーからしてみればそれなりに手練であるナンナに協力してもらえるのはありがたい話だ。それからしばらくというもの、互いに力を込めて実戦演習をする。敵と戦うより少しばかり手の内が分かっているからか、それなりに高レベルな戦いとなった。

 

「はあ、しんどっ。いつもこんなに修行をしてんの?」

「今日は並だな。これより多い練習量をこなしている時もある」

「すごいね」

「実践練習だけとはいえ、20分ぶっ通し。ここまで全力でついてこれるのも中々だ」

「あんたの魔法は内側に響く部分があるよ。硬化してても効くね」

「お前の硬化も威力があるから避けるしかねえがな。爆破の余波、衝撃波だろうな」

「風の能力でも持ってんのか?」

「いや、無いと思う。じゃ、俺はまだ続ける。仕事か呑み食いでも行ってこいよ」

「そうかい?せっかく飯を食ったんだし、追加で酒とか買って来るよ」

「お、良いね。修行で汗を流した後の酒か」

「楽しみにしてなよ。じゃ、また後でな」

「よし、もう一息。どらあっ!」

「(やっぱりカッコいいなあ)」

 

ナンナはそれからというもの、フィリーの良く飲んでいる種類の酒とツマミ、栄養のあるドリンクなどを買い揃えて先程の場所へと戻ってきた。てっきり休憩でも取っているのだろうと思っていたらまだ続けていたのだ。

 

「おおおっ!」

「あれから20分間やり続けてたと?ほら、あんたの好きな米酒だ」

「お、気が効くね」

「あたしは良いから好きなだけ呑みなよ」

「そういう訳にはいかねえ」

「そう言うと思った。盃を2つ用意して良かったよ」

「注ぐよ」

「ありがとう」

 

少し飲み始めて気になったのは修行に勤しむ理由だ。そこまで自分を追い込むのには理由があるのだろう、単純に力をつけたり仕事の為って理由では無さそうだと感じた。フィリーからしてみれば良く見てるなと思ったが、ナンナも少しの付き合いだけど、何度も仕事に行ってるから気づけたのだ。隠しておく事でもあるまい。そうだ、話しておくかとなった。その前にもう一杯呑んでからだ。

 

「あれは13年前、傭兵団に居た頃の話だ」

「この前のお兄さんの所だな?」

「そうだ。あの時仕事に数人で行ってな」

「そこまでなら今とあまり変わらないな?」

「そうだな。依頼は魔物の討伐、これも今とあまり変わらん」

「……続けてくれ」

「ありがとよ」

 

本来なら簡単に倒せる様な依頼だった。通常ミッションに値するくらいのものだそうだ。だが、依頼中に油断したフィリー達は、魔物の最後の悪あがきを防げず仲間の1人が大怪我。本来なら予見して防げた筈の怪我だ。それからというものだ。決して油断してはいけないと自分を戒める為に、そして仲間に無茶はさせない様に自身を追い込んでる。

 

「戒めか」

「そういう事だ。そいつは幸いにも仕事に戻れてるし、今も元気に暮らしている。だがそれはあくまでも奇跡的に復帰できただけで、次はどうなるか分からん」

「辛かったな」

「その事件があったから今の俺があるんだ。当時は悩んだが、そいつに『同情したり悩んだりするな。俺の分まで働かねえと許さねえ』と言われてハッとしてな。落ち込んでても誰も救えねえ。だから俺は闘うのさ」

「それがあったから、か」

 

己の手の届く範囲では守れる物は守る。その信念を揺るがす事なく仲間と共に前へと進む。それが傭兵団時代からの生き方だ。

 

「よし、今日はここまでだな」

「あれから更に15分か。ストイックだなあ」

「明後日また仕事だ。明日は英気を養う様に皆に伝えておいてくれ」

「了解。じゃあな」

「おう。もう少し呑んで帰るか」

 

陽が高くなり、昼間から呑む事にした。修行してひとっ風呂入った後にスッキリしてから向かった先は常連の店、ダイニング・ギリーである。

 

「ようこそ!お、フィリーじゃねえか」

「また来たぜい」

「1人ならあそこの席が空いてるよ。途中で相席してもらうかもしれんが」

「それくらいなら構わんよ。とりあえず米酒をくれるか?」

「あいよ!」

 

米酒と適当なツマミを頼み、楽しみに待つ事にした。そんな折、庶民的な店にやってきたのは上流階級の人が着ていそうな服をまとった1人の女性と同行している複数の護衛と思われる人物達だ。

 

「あら、ここなのね?この店に良くいらっしゃると聞くけれども」

「その様ですね」

「申し訳ないですが、相席をお願い出来ますか?」

「勿論。ここ、よろしくて?」

「どうぞ。俺の事は気にせずごゆっくり」

「お言葉に甘えて、そうさせてもらいますわ」

「(この嬢ちゃん、服装からして富裕層か貴族かな?身辺警護人も複数人居るみたいだし)」

 

たかが市民食堂にこんな警戒した体制を取るなんて普通はないだろう。誰もが気兼ねなく飲み食いする場所で警備をつけるとなるとそれなりの地位の人間の可能性が高い。

 

「フィリー、たこ焼きだ」

「ついでにもう一杯くれねえかい?」

「あいよ……貴族様だそうだ」

「安心しろ、無礼は働かねえつもりだ。店の為にもな」

「フィリー?貴方、もしやナイトのフィリーさんではないですか?」

「ほう?俺の事をご存じなので?」

「先王マシュー様から軽くお聞きしておりました。私、ロイド陛下とは幼馴染でして、幼い頃にその縁でマシュー様から貴方のお話を耳にしておりましたの。お会いできて光栄です」

「最初に陛下とお会いしてナイトの称号を頂いたのは確か、9年くらい前。となれば、その頃でしょうかね。いやはや、まさか噂になっていたとは」

「ええ、そうですわ。あ、ワインとチーズ頂けないですか?」

「はい、ご用意します」

「貴方はマシュー陛下が期待されていた程の方。その実力を今後も遺憾なく発揮してほしいものです」

「ええ、無論です」

 

物珍しそうに周りを見渡す貴族の女性。おそらく普段はこんな場所には来ないのだろう。国王などと幼い頃から交流のある貴族の人物や立場ともなれば食事などは家や城で済ませるのが大半だろう。何故かこちらをじいっと見つめてくる彼女に痺れを切らし、何か用かと声をかけた。

 

「ところでお聞きしたいのですが、何処かでお会いしましたかね?」

「いいえ、初めてですわ」

「そうですか。ご存じの様ですが、名乗らせていただきます。ギルド『天使の涙』三傑、炸裂弾の異名持ちにしてナイトのフィリー・ゲイルと申します。以後お見知り置きを」

「ご丁寧にありがとうございます。私はセイラ・ブレンダと申しますの」

「お、おお……左様ですか(ブレンダ家、あの大公家か。通りで陛下と繋がりがある訳だ)」

「くれぐれも皆様には内密に。今日は護衛が少ししかおりませんので」

「ええ、百も承知です」

「お待たせしました」

「ありがとうございます。今日は貴方に会いに来ましたの」

態々(わざわざ)ご足労いただき申し訳ありません。ご用でしたらお呼びいただければ……」

「ギルドで大活躍、大忙しの方に足を運んでもらうのは失礼かと思いまして」

「お気遣いありがとうございます。して、その用とは?」

「ああ、それは……」

 

何の用か伝えようとした矢先、近くの席で騒ぎを起こす輩が現れた。酒場では珍しくないのだが、このままではせっかく酒場くんだりまで顔を出してくれたセイラに申し訳が立たない。

 

「おい、俺らにも酒寄越せ!」

「早くしねえか!」

「は、はい。ただいま」

「鈍いんだよ、一々」

「なんだあいつら」

「これが街の現状でしょうか?」

「あれはごく一部の連中に過ぎません」

「お嬢様、ここは我々が」

「いや、貴方達の手を煩わせません。俺1人で追い出す。酒場に迷惑客は要らんのです」

 

護衛の面々が呆然と見送るなか、中央の席に陣取っている連中に威圧的な声をかける。迷惑をかける人はこの店の客として扱うつもりはない。ギリーに許可を得て掃除を開始する。

 

「おい、お前ら」

「あ?」

「さっさと帰れ。他の客に迷惑かかるだろうがよ。騒ぐくらいなら家で呑め」

「何者か知らねえがなあ、テメェに指図されるつもりはねえんだよ」

「力づくで追い出したくねえんだよ、出来ればさ」

「んだと?まるで実力行使でも行けるって感じじゃねえか!野郎、お望み通りやってやる!表出ろや!」

「フィリー……」

「気にするな、こいつらを実力を見せて寄り付かせない方法が取れるから、俺らにとっちゃむしろ好都合だ。あいつは剣士、良い修行相手になってくれると良いが」

 

喧嘩を買って己の今の実力の立ち位置を推し図り、尚且つ店の平穏を保つ。一石二鳥とはまさしくこの事。店の前の広い道で男2人が決闘を果たす。

 

「テメェを倒して美味く酒を呑んでやる」

「こっちの台詞だ、それはよぉ」

「氷刃剣の出番だぜ。へへっ、これで切り刻んでやる」

「ほう。その剣に似た武器なら俺のダチも使ってるな」

「でやあっ!」

「ふっ」

「と、止めた!」

「たった二本の指で……」

「こっちからも行くぜえ、手刀爆砕」

「おうっ!」

 

氷の剣はヘンリーと戦ったり行動を共にしている為に、見飽きた程目にしている。その上剣士もギルドに何名も居るし、そのうち1人はこの手で育て上げたからある程度の知識もある。避けるのも難なく出来る。防御から攻めに転じると、緩めではあるが爆破魔法を少し使う。

 

「そらよ」

「ぐぎゃ!テメェ……だらあっ!」

「おっと」

「でいやあっ!」

「あらよっと」

「折った!?」

「へえ、やりますわね」

「それはもう、そうでしょうとも」

「砕空破」

「ごばっ!?」

「もう1発、せいりゃあ!」

「ばぬっ!」

「この程度か」

「ぼ、ボスー!」

「連れて帰れ」

 

結局ボスがやられると慌てて連中は彼を抱えて逃げ去っていった。実力差を見せつけたら当分はこの店に顔を出すまい。ギリーとの約束も果たして店に戻るとセイラがワクワクした顔をしていた。

 

「貴方、噂通りの……いえ、それ以上の素晴らしい逸材ですわ」

「そうですかい?」

「ええ。そうですわ、私の家で専属契約いたしません事?」

「俺はギルドで仕事して、仲間と飲み食いして楽しく過ごせりゃあ充分ですがね。申し訳ないですけれども」

「あらま、残念ですわね。でもそうですわね、貴方なら任せられそうですわ」

「どういう事ですか?」

「ひと仕事して欲しい。端的に言えば依頼ですわね」

「そういうのはギルドを介してお願い出来ますかい。ルールで直接依頼を受理するのは禁じられてまして」

「天使の涙でしたわね?明後日頃には依頼が行くと思いますの。貴方達、早速あの件を」

「かしこまりました、お嬢様」

「では、またお会いしましょう。炸裂弾のフィリーさん」

「……なんだったんだ、あの人」

「さあな。貴族は変わり者が多い」

 

さあ帰ろうと会計に進んだら、既に先程のセイラが払ってくれていたという。しかもかなりの額を貰ったらしく、竦み上がっている。それから2日、ギルドに顔を出すとマスターが慌てて声をかける。こちらもいきなりの事態に驚いている。

 

「フィリー、あんた何したんだい!」

「どうしたいきなり。大公殿から依頼か?」

「その通りさ。相手は国の実質トップの様な御仁。どんなコネだい?」

「一昨日、娘さんに会った」

「はあっ!?」

「とにかく依頼なんだろ?受けるか考えたい」

「簡単に話すとヴァルディ闘技場での闘技大会に出ろとの事だよ」

「闘技大会だあ?ああ、あれか、年に一度のお祭りか」

「まあそうだね。貴族達の威信をかけた闘いでもあるのさ」

「俺も貴族だが、気にした事ねえな」

「あんたが特殊なんだよ」

 

ブレンダ家はフィリーを選んだ。ここで活躍すれば一気に注目度が上がるだろう。何か起こった時の為にもチームの連中を連れてって良いか尋ねると、構わないとの事だ。こういう祭りでは何が起こってもおかしくない。自分1人では魔力不足になった時に対処しきれない。

 

「ありがたい。ヴァルディ闘技場へ向かうぞ」

「ヴァルディ闘技場?何故急に」

「俺個人への依頼だが、お前らの協力が必要になると思ってな。頼めるか?」

「俺は良いぜ」

「私もです」

「仕方ないな、こりゃ」

「拒否権は無いわね」

「あう……行くしかないのね」

「無理する事はねえぞ」

「ううん、行くよ」

「そうか」

 

闘技場は首都から30分程の距離であっちであのお嬢ちゃん(セイラ)が待っててくれるという。ギリーの店で会ったんだったと話すとあんな大貴族が来るとは思わなかっただろうと言われた。店長があまりの緊張から肝を冷やしてなければ良いのだがとカトレアが心配していたが、迷惑料として金はたんまり貰ったらしく、あの量は凄かったという。で、試合に出るのはフィリーだけかと聞かれて、個人への依頼だから当然ながらフィリー以外のチームメイトはベンチでの見学だ。

 

「ようこそ。本日はどなたからのご紹介でしょうか?」

「依頼を受けて来たんだ。挑戦者の方でね」

「お名前は?」

「フィリー・ゲイル」

「ふむ。確認させてもらいます」

「ああ、この方は私の客ですよ」

「せ、セイラ様!」

「フィリーさん、良く来てくださいました。後ろの方々はご友人でしょうか?」

「同じギルドのチームです。念の為に来てもらいました。勝手に申し訳ないですが」

「構いませんわよ。それくらいの融通は利きますから」

「ありがとうございます」

「あら?貴方は確か……」

「グリートリヒ家の三男です。ヘンリー・グリートリヒです」

「ああ、氷河の帝王さんですか。噂は予々(かねがね)ご父兄から聞いておりますわ」

「ご存じでしたか。大変光栄ですな」

「皆さんはあちらへ。フィリーさんはこちらの方ですわ」

「ここから先は臨戦体制だと心得てくれ」

「おう」

「任せてね、お兄ちゃん」

「健闘を祈るよ」

「勝ってくる」

 

入り口でスタッフに案内してもらい、たどり着いたのは控え室だ。闘技場にはもう一つ同じ様な部屋があると言い、ふた部屋合わせて数十名が待機している。ここに集まっているのは各地の貴族や金持ちから依頼されて大会に参加している者達ばかりだ。

 

「ここが控え室です。反対側にも同じような部屋がもう一つあります」

「ありがたい。それにしても国内各所から強者どもが勢揃いか。圧巻だね」

「おう、お前も挑戦者だよな?」

「無論だ。身長が4メートル近いな、巨人族の血か?」

「応ともよ。あっちにはドワーフなんかも居るぜ」

「ほう?(あの風貌、やはりあんたもか、ユウギリ)

「お前からは強者のオーラが見える。ま、お互い頑張ろうぜ」

「また後で会えりゃ良いな。よいしょっと」

 

外では観客の熱狂する声が轟く。その声は一年に一度のこの祭りを待ち侘びているものだ。貴族と平民、魔導士など様々な立場の人間がこの日を楽しみにしている。

 

『さあさあさあ!お待たせいたしましたあ!』

「開幕したんだね」

「凄い歓声だな」

『血と狂気の宴!闘技大会へようこそお!出場者の入場だあ!』

「お、来たよ!」

「色んな種族や出身地の奴らが出てんのか」

「フィリーだわ。普段服で隠してるからあんなに筋肉がついてたの初めて知ったわ」

「あれは拳法の為に作られた服だって。カラテなる競技の道着だとか」

『出場者は過去最多の64人!トーナメントを生き抜くのはどいつだあ!』

 

今回は64人も参加している関係で6回戦まであるという事になる。魔力の温存を取るか、少し多めに使用したとしても早期決着を目指すか。戦法は様々だ。

 

「お兄ちゃん大丈夫かな?」

「最後まで勝てるか分からんが、良い所までは行くだろ」

「皆で応援してようぜ」

『開幕式が終われば10分後には1回戦だ!準備は良いかなあ!?』

 

開幕式が終わり、控え室に戻ると係員が早速近づいてきた。フィリーが一番手、つまり開幕戦を務めるという事だ。

 

「俺が?」

「ええ。開幕式が終わったので10分後くらいから始めます」

「そうか」

「ささ、こちらへ」

「(さてと、初っ端から飛ばしていくかねえ)」

『皆々様、お待たせいたしました!今大会の実況は毎度お馴染みレイジだぜえー!さあ早速1回戦に行こうかあ!』

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