ACE COMBAT 〜紺碧の空を駆ける炎の一角獣〜   作:非常勤務艦隊本部

16 / 20
MISSION14 凍土からの救難信号〜極寒の空、来る敵エース〜

 

 

 

11月18日 ユークトバニア本土

 

 

ベイルアウト地点から東6.5kmの地点 04:00

 

 

 

 

機体を失って、雪原の地に降り立った私。

 

隊長たちが天候の回復を待つため、一度サンド島へ帰っていくのを確認した私は、近くにあった廃墟で吹雪をしのいで、弱まったところでサバイバルキットの方位磁針を頼りに、東へと歩みを始めた。

 

 

いくら歩いても一面銀世界、周りには森林………

 

まるでこの世の果てだと、私は思った。

 

 

 

しばらく歩くと、オーシア軍のとは違う練習機が墜落していた。

 

 

私はその残骸に近寄り、何処の部隊のものかを調べた。

 

すると、機体の側面にシリアルナンバーが書かれていた。番号は塗装が掠れて読めなかったが、先頭の英字の大文字は【NP】と書かれていた。

 

 

NP…………ノースポイントの練習機だった。

 

 

なぜノースポイントの練習機が、遠く離れたここユークトバニアにあるのだろう…………そう思っていると。

 

 

 

???「…………あなたは、オーシア軍の者か?」

 

 

 

後ろから凛々しい女性の声が聞こえた。

 

後ろを振り向くと、刀を持った1人の女性がいた。髪を一つに束ねて、白いリボンで留めた女性が。

 

 

 

同じ遭難の身で、安全な場所へと向かっていた彼女と一緒に、東へと歩みを進める。

 

 

彼女の名は「篠ノ之箒」。

 

ISAF空軍のパイロット候補生。

 

 

どうやら、訓練飛行中にユークトバニアのSu-35から攻撃を突然受けて、ノースポイントへと退避するはずが、航法ミスでユークトバニア本土奥深くへと進出。

 

練習機はそのまま燃料切れであの場所へ墜落して、彼女はその前に脱出して、昨日までユークトバニアの捕虜となっていた。

 

 

その後、オーシアの海兵隊が収容所を急襲してきた混乱に乗じて脱出。安全な場所を求めて東へと歩みを進めていたようだった。

 

 

一度休憩をとって、その間に一度オーシア軍が彼女を保護する事を伝えると、彼女は少し考えてからそれを了承した。

 

彼女が持っていた携帯糧食も、私のサバイバルキットの食糧も尽き始めている。

 

 

味方部隊が発見してくれる事を祈って、私は救難信号を発信する機械の電源を入れた。

 

 

ユークトバニアの空に、朝日が昇る……

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

2010年11月18日

 

サンド島基地 ブリーフィングルーム 05:30

 

 

 

 

サキ「現地の天候が予報よりも早く回復した。これより救助作戦の概要を説明する。」

 

 

 

昨日の一件から一夜明けた今日。

 

現地の天候が回復した事で、救助作戦の算段がついて、早速実行することが決まった。

 

 

 

サキ「衛星経由ではあるが、ナガセ大尉の救難信号を捉えることに成功した。現在ナガセ大尉は、ユークトバニアの追跡部隊から逃走していることが判明した。」

 

 

 

救難信号を捉えたのはいいが、敵に追われる事態になったようだ。

 

時間的に、携帯糧食も底をつき始めている頃だろうから、早いとこ助けなければならない。

 

 

 

サキ「救難信号は極めて微弱であるため、発信地点まで接近しなくては場所を正確に確認することは困難だ。」

 

 

ラウンデル「そこで、キムのハリアーに救難信号センサーを取り付けた。ナガセ大尉の居場所の捜索は彼にやってもらう予定だ。」

 

 

 

ミッキー「なるほど……つまり、残りは制空維持って訳か。」

 

 

 

サキ「そうだ。なおシー・ゴブリン隊は別の任務で不在のため、シャノン空軍基地所属の救難隊【レスキューダイバー隊】が現場に向かっている。彼らの護衛と、敵航空機群の撃破が今回の任務だ。」

 

 

 

ラウンデル「これ以上、ウォードッグ隊から損失を出すわけにはいかん!必ずナガセ大尉を連れて帰るんだ!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ユークトバニア本土

 

救難信号発信地点付近 06:00

 

 

 

今回は救助部隊の護衛と作戦完了までの制空維持のため、ウォードッグ・スカイガールズ隊とミッキーを連れて、吹雪の後のユークトバニアへとやってきた俺たち。

 

 

 

チョッパー《ナガセと俺らをつなぐのはキムのハリアーだ。早いとこ探し出すぞ。》

 

 

グリム《待っていて下さい!ナガセ大尉!》

 

 

ミッキー《キム!今回はお前が頼りだ!頼むぞ!》

 

 

キム《了解!》

 

 

 

そして、救難隊である【レスキューダイバー隊】からの無線が入る。

 

 

 

レスキューダイバー隊隊長:ヴェローニカ・ペルンソン少尉《こちら、第101航空救難隊レスキューダイバー隊隊長のヴェローニカ・ペルンソン少尉です!》

 

 

ハヤト「こちらサンド島基地のウォードッグ隊だ。」

 

 

ヴェローニカ《こちらは現在、救難信号の発信地点から南60キロの地点にいます!現場空域到着まで、制空維持をお願いします!》

 

 

ハヤト「了解した。各機、敵を発見次第攻撃に移れ。ナガセの位置が分かるまで、制空権を維持するんだ!」

 

 

 

ナガセの現場位置の発見はキムに任せて、ウォードッグ・スカイガールズ両隊は襲い来るSu-27の迎撃に専念する。

 

 

 

キム《目標地点に到達!今からホバリングに移って捜索を開始します!》

 

 

 

キムのハリアーが目標地点に到達して、ナガセの捜索に移る。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

篠ノ之箒「なんだ?急に空が騒がしくなってきたぞ?」

 

 

 

突然、私達の上が騒がしくなってきた。

 

空を見上げると、白と青のF-5Eの姿があった。

 

 

隊長たちが助けに来てくれた。

 

そう確信したが…………

 

 

 

ユーク軍兵9「確かこのあたりか?」

 

 

ユーク軍兵3「そのはずだ。周囲をくまなく探せ!」

 

 

 

ふと後ろを振り向くと、ユークの歩兵部隊が近づいて来ていた。

 

 

 

篠ノ之箒「ユーク軍兵!…………こっちの救難信号を辿ってきたのか!」

 

 

ナガセ「今は隠れましょう。大丈夫。隊長たちなら、必ず見つけてくれる。」

 

 

 

私達は近くの雪山に身を隠してやり過ごす事にした。

 

 

隊長たちが、見つけてくれるのを信じて。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

Su-27の部隊を片付けること10分。

 

敵の航空部隊を粗方片付けるも、ナガセの位置を掴めずにいた。

 

 

 

チョッパー《ナガセの奴、拳銃を一丁しか携帯してねえんだ……。》

 

 

グリム《早く見つけないと!敵の追跡部隊に見つかって…………!》

 

 

一条玲花《キム!まだ見つからないの?!》

 

 

 

キム《反応は確かにキャッチしていますが……敵に追われているのか、信号が移動しているんです!》

 

 

 

ミッキー《くっそう!信号が移動してるんじゃ…………直ぐには無理か!》

 

 

 

すると、またしても敵の新手がこの空域に迫っていた!

 

 

 

園宮可憐《10時の方向から、新たに接近する敵航空機群を探知!機種は…………【Su-27M】!》

 

 

 

エリーゼ《フランカーE1?!ユーク軍の中でもF-15とF-16に匹敵する多用途機よ!》

 

 

ハヤト「状況からして、敵のエース部隊だ!各機、油断すんなよ!!」

 

 

 

 

そしてしばらくして、10時の方向からグレーと白を基調とした4機の【Su-27M】が飛来してきて、編隊を解いて襲いかかってきた!

 

 

 

 

桜野音羽《展開が早い!!彼奴等…………今までのユーク軍と大違い!!》

 

 

アイーシャ《気を抜いたらやられる。2機で1機の敵を相手したほうがいい。》

 

 

 

ハヤト「全機!!こいつらは相当の手練れだ!!2機で1機の敵を相手をするんだ!!」

 

 

 

 

そして、謎のエース部隊との空中戦が幕を開けた。

 

2機で1機の敵を追い詰めるも、直ぐに別の敵に後ろを取られてのイタチごっこの様相を呈していた。

 

 

 

チョッパー《なんだ?!こいつら、今までのユークの比じゃねえぞ?!》

 

 

グリム《後ろを取っても、すぐ別の敵に後ろを取られる……まるでイタチごっこだ……!》

 

 

一条玲花《ユーク軍にこれほどのエース部隊がいたなんて、聞いてないわよ?!》

 

 

園宮可憐《更に電波妨害!上空に電子戦機がいます!!レーダー探知能力が低下!!》

 

 

ハヤト「くっそ!!なんだこいつらは!!まるでウルフパックを相手にしてるみたいだ!!」

 

 

ミッキー(こいつらの正体…………まさか……!)

 

 

 

予想以上の練度の差に、大苦戦を強いられるサンド島部隊。

 

ミッキーだけが、この敵の正体に気づきつつあった中…………

 

 

 

キム《……来ました!!ナガセ大尉の位置を正確に把握!!目標座標をデータリンク!》

 

 

ヴェローニカ《データリンクが来ました!!直ちに現場に向かいます!!》

 

 

 

キムがナガセの位置を正確に把握したことで、状況はこちらに有利となった。

 

だが…………

 

 

 

園宮可憐《…………これは?!》

 

 

 

どういう訳か、敵はさらなる攻撃を中止して撤退していったのだ。

 

まるでこちらの動きを正確に把握していたかのように。

 

 

 

一条玲花《敵が退いていく……?》

 

 

エリーゼ《あいつら……一体何を…。》

 

 

 

彼らが疑問に思っている間に、レスキューダイバー隊が現場空域に到着して、ナガセの救助に移っていた。

 

 

 

 

ヴェローニカ《降下地点、確認!!》

 

 

エミーリア・ランク曹長《高度1,500フィート(457m)、姿勢安定!!》

 

 

上嶋里美軍曹《要救助者2名を確認!》

 

 

ヴェローニカ《降下!》

 

 

 

キム《レスキューダイバー隊が降下を開始しました!作戦成功です。》

 

 

グリム《一時はどうなるかと思いました。》

 

 

チョッパー《汗拭くタオル、こっちにも寄越せ。ふぅ。》

 

 

 

何はともあれ、なんとかナガセの救出作戦は無事成功を収めた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

救助部隊が発見したときーー

 

彼女は、彼女を捕まえるために現れた敵兵を、逆に捕虜にとっていた。

 

 

彼女の後ろには、彼女が助けたISAF軍の訓練生が…………

 

彼女が救い出し、情報を共有して、行動を共にしていた。

 

 

私は、彼女に対するイメージを、改めなくてはならない。

 

なんというタフネス……バイタリティー。

 

 

 

彼女は、自分が捕らえた敵兵から、ちょっとした情報まで手に入れていた。

 

どうやらユーク人たちでも、【自分達の為政者とこの戦争に、疑問を抱き始めている】らしい。

 

そして、ユークが誇る航空巡洋潜水艦を2隻まで沈めた彼女らの編隊が、ユーク軍の間で今や【ラーズグリーズの悪魔】と呼ばれていることを。

 

 

そのことを語る彼女は、明らかにそれを誇りに思う口ぶりだった。

 

彼女が誇っていたのは、彼らを仕込んだバートレット大尉の事だったのかも知れない。

 

あるいは、今の隊長のことだったのか…………

 

 

だが………………

 

 

彼らの存在を誇る目は、少なくとも軍の総司令部にはいなかった。

 

 

バートレットの行方不明とピーター・N・ビーグルの正体が…………

 

【サンド島部隊の抹殺計画】を実行に移させる決定打となった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

MISSION14 COMPLETE

 

 

 





次回、第15話。

訪れたひと時の平和。
だがそれは、新たな試練の予兆でもあった……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。