ACE COMBAT 〜紺碧の空を駆ける炎の一角獣〜 作:非常勤務艦隊本部
2010年11月25日 サンド島空軍基地 09:28
ここサンド島空軍基地では、機体の一斉点検が行われていて、格納庫と駐機場が騒がしくなっていた。
その傍らでは、非番で暇を持て余していたパイロットたちが、機体の観覧と洒落込んでいた。
エリーゼ「それにしても、こんなお古な機体までも出回ってるなんて。」
一条玲花「艦上攻撃機……A-4スカイホーク…………実際に動いている所を見れるなんてね。」
A-4シリーズは、オーシア連邦軍が1956年から運用していた【艦上攻撃機】で、”ある目的”のため開発された【A-3スカイウォーリアー】の反省を活かして、小型で取り回しの効く機体として開発された機体だ。
だが、ここで音羽はある疑問に気づく。
桜野音羽「でのさ…………なんで、スカイホークのランディングギアは長いんだろうね?」
一条玲花「え?」
桜野音羽「だって、艦上攻撃機なら…………こんなにも脚を長くしなくてもいいのに。」
エリーゼ「何か…………そうしないといけない理由とかあったんじゃない?」
その疑問に対して、アイーシャは答える。
アイーシャ「スカイホークは元々、【核兵器】を運用できるように設計された。」
一条玲花「核兵器…………。」
スカイホークが開発される契機となったのは、運用される前の1947年に、オーシア連邦とユークトバニア連邦共和国との間で【冷戦】が勃発。
双方どちらも核兵器を保有しており、稼働状態であったため、一触即発の状態が続いていた。
だが、大型ミサイルなどのロケット開発が未成熟だった時代で、核兵器を運用するには大型の陸上機が必要であった。
核兵器の運用を前提で開発・運用されていた【A-3スカイウォーリアー】であったが、大型が故に艦上での運用が厳しかった。
そこでオーシア軍は、【小型軽量で、取り回しの効く攻撃機】を考案。レッドミル・エアクラフト社がA-4スカイホークを開発。
主翼の折り畳み機構などを廃止して主翼全体の強度を高めた他、艦上運用を前提としてデルタ翼を採用した事で、非常にコンパクトで格納庫を圧迫せずに多数運用を実現した。
そして、この機体も例に漏れず、核兵器の運用を前提として開発されたのだ。
機体重量を削減するため【爆弾倉】を廃止して、機外装備は全て、翼下と胴体下部のパイロンで運用するため、着陸脚の長さを延長して接触を避ける工夫をされた。
園宮可憐「ですが……ロケット技術の進歩で核兵器の運用には使われず、主に対地攻撃任務に従事したのですね。」
エリーゼ「おまけにネジを6本外すだけでエンジンの取り替えが容易なんて…………至れり尽くせりね。」
そして、次は整備中の戦闘機【クフィルC2】のところへいく。
桜野音羽「でも、このクフィルも意外と古いんでしょ?」
園宮可憐「そうですね。ユージア大陸は元々、さまざまな機体を輸入して運用していましたけど、ユークトバニアのユージア外交政策の転換で、作られたとしか…………」
ユージア大陸の空軍戦力は、F-14やタイフーン戦闘機などの諸外国の戦闘機を輸入していたが、ノースポイントやユージア東部はユークトバニア製の戦闘機に頼っていたが、1960年のユークトバニアの政権がユージア外交政策の転換によって、以降の戦闘機の更新が全面的に停止したのだ。
これを受けたユージア東部諸国は、この苦境を打開すべく独自の戦闘機開発計画を発動した。
アネア大陸で当時、優秀な性能を示していた戦闘爆撃機【ミラージュ5】を原型として、最初の機体【ネシェル】を開発するが、エンジン出力に問題が発覚した。
これを解決するため、エンジンをF-4Eのエンジンに換装して、エアインテークの横にカナード翼を取り付けた事で原型機である【サルボ】が完成。
そこから、1973年6月に試作0号機【ラーム】がロールアウトして、同年10月に試作1号機【バラク】がロールアウト。
そして、ノースポイントの高度な航空機技術によって最適化がなされたことで、1975年4月に【IAIクフィル】として完成して、ユージア大陸全体に行き渡ることになり、2010年時点でも近代化改修を受けながらも現役機である。
桜野音羽「私も一度だけ乗ったことあるけど、かなり機敏に動くんだよね。」
園宮可憐「カナード翼の取り付け位置とデルタ翼が相乗効果を生んで、高機動な機動が可能になっている証拠ですね。」
一条玲花「それに安価で手に入るから、アスラン共和国などの中小国家にとっては重宝されているのね。」
さまざまな戦闘機を見て、その頃の設計思想を読み取って、いかにその機体が優秀なのか、それを考えるのも彼らパイロットの仕事でもある。
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オーシア連邦 オーレッド湾上空 12:40
蒼天の大空を轟音と共に、オーシア・スカイズ・エアポート社が運航するMB-14型の国内線47便が、復旧したばかりのエイカーソン・ヒル空港へと向かっていた。
OSA47便 コックピット内
機長「ATC、こちらOSA47便。エイカーソン・ヒルに向かい飛行中。現在、オーレッド湾の西48km、高度24,000フィートから22,000フィート下へ。」
ATC《こちらATCアピート航空交通管制センター、了解。》
順調に飛行中であったが、右側端のエンジンの1基から火の粉が吹き出して、直後に黒煙が噴き出した。
同時に、コックピットのエンジン火災アラートが鳴り響く。
副機長「1番エンジンに火災警報!」
機長「1番エンジン、停止!」
機長の迅速な判断で、1番エンジンのスロットルを0に戻して火災消火を試みる。
1番エンジンの出力計が0を示すが…………
副機長「……1番エンジン、自動消火装置が作動しません!!」
機長「装置の不調か?!」
緊急事態が発生したが、同時に3番エンジンに異常を示す警告灯が点いた。
副機長「3番エンジン出力低下…………発火します!!」
遂に4基のエンジンの内、2つのエンジンが発火して機体の推力が低下してしまった。
機内が大きく揺れて、頑丈にロックしていたはずのドアのロックが外れて空いてしまい、乗客数名が機外へと吸い出されてしまう。
エンジンの推力が低下した47便は高度を維持できなくなって、高度を大きく落としてしまう。
機長「ATC!ATC!こちら、OSA47便!緊急事態発生!!緊急事態発生!!」
首都オーレッド アピート国際空港 12:42
同 管制塔
航空管制官3「OSA47便から、エマージェンシーコールだ!」
航空管制官1「OSA47便!アピートに戻れるか!!」
OSA47便《エンジン発火!出力低下!!アアンコントローラブル!!アンコントローラブル!!》
OSA47便のエマージェンシーコールも虚しく、レーダー画面からOSAの機体の反応を消した。
この時は、直ぐに参謀本部にも伝わる。
12:45 参謀本部
参謀総長「なに?!墜落事故だと!!」
ラウラ・ボーデヴィッヒ「はい!!3分前にOSA47便がエマージェンシーコールを発したあと、オーレッド湾にて反応を消失したとのことです!!」
参謀総長「直ぐに全ての民間機の運航を停止!!救助部隊の出動を急げ!!」
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15:20 サンド島空軍基地 食堂
機体の整備が終わって、暇を持て余したハヤトは、基地内をウロウロしていたが、食堂の中が騒がしくなっていた。
ハヤト「なんだ?この騒ぎは?」
そこへ、ウォードッグ隊が急いでやってくる。
グリム「あ、隊長!」
ハヤト「なんだ…………何かあったのか?」
チョッパー「オーレッドで旅客機が墜落事故起こして騒ぎになってるって!」
ハヤト「なんだと?!」
急いで食堂にいくと、テレビでは事故を起こしたオーシア・スカイズ・エアポート社の緊急記者会見が行われていた。
テレビ記者5《今回の事故の原因は、パイロットミスですか?》
テレビ記者7《エンジンが発火したとのですが、その原因は?》
オーシア・スカイズ・エアポート社長《まだ、事故の調査が済んでいませんが………離陸前のチェックでは、エンジンに不調は確認されませんでした。》
新聞記事2《一部の記事では、エンジンの自動消火装置が作動しなかったとの情報がありますが?》
オーシア・スカイズ・エアポート社長《ブラックボックスとフライトレコーダーの回収と解析がこれからなので、詳しいことは申し上げれません。》
オーシア・スカイズ・エアポート技術担当官《ですが、今後の調査によりますが現在確認できる限りでは…………3番エンジンが発火を確認して当該機の副機長がエンジンの動力を切ったにも関わらず、自動消火装置が作動しなかったとのことです。》
新聞記事2《では、その自動消火装置が何らかの理由で破損していたのですか?》
オーシア・スカイズ・エアポート技術担当官《現在分かっている状況からして、そうとしか考えられません。》
フリー記者4《今回事故を起こした機体には、重大な欠陥があったとの情報が上がっていますが、それについて何か!》
オーシア・スカイズ・エアポート社長《現在、ノースオーシア・グランダー社に問い合わせをしていますが……「回答を控えさせていただく」と一点張りで…………》
フリー記者3《正確な回答が挙がっていないのか?!》
新聞記事5《正確な情報はないんですか?!》
オーシア・スカイズ・エアポート社長《現在、わが社が所有するMB-14型の緊急点検を行なっていますが…………【エンジンの耐熱強度と各部品の耐久が基準値を下回っている】との報告が多数上がっております。》
フリー記者1《では…………今回の事故の遠因は、ノースオーシア社の過失という事ですか?!》
フリー記者7《それを知ってて運航してたんじゃないのか?!》
記者会見はその苛烈さを強めていくが、現時点で分かっている事は、ノースオーシア社は性能試験の基準値ギリギリの機体を販売していたことぐらいだ。
ミッキー「……大変なことになったな!」
ジュネット「前から怪しいと言われてきたけど、まさか起きるとは…………。」
一条玲花「おまけにノースオーシア社の機体だなんて……。」
ハヤト「ノースオーシア社は軍用機専門の会社だ。多分、民間機の開発なんて一からだったと思うがな……。」
多分、ノースオーシア社の連中は、それを分かっていたうえで販売していたのではないか…………そうした考えが、脳裏によぎった。
マッコイ「…………おっ!お前さん方、ここにいたのか。」
そこに、ナガセの予備機の整備を済ませたマッコイが、何やら紙切れを持ってやってきた。
園宮可憐「どうしたんですか?何か用事でも?」
マッコイ「なぁに。今月の払いを渡そうと思ってな。」
ミッキー「あらぁ~…………。」
傭兵部隊恒例の魔の請求書がやってきた。
ハヤトたち元88部隊はあまりいい印象はない。
マッコイ「ほれ。ハヤトは2万ゾルじゃ。」
ハヤト「おいおい…………勘弁してくれ……。」
マッコイ「これでも既存の部品でやりくりして、安くしてるから妥当じゃよ。」
エリーゼ「お金…………取るのね?」
マッコイ「これでも一応、商売なんでな………お前さん方は、武器とガス代でそれぞれ6千ゾルじゃ。」
エリーゼ「えぇ?!」
一条玲花「私たちからも徴収するんですか?!」
マッコイ「ここの武器と燃料は、全部わしが調達してるからな。」
園宮可憐「確かに、ミサイル関係は費用がかかりますしね…………」
そして、音羽にも請求書が渡される。
マッコイ「お前さんは、6万ゾルじゃ。」
桜野音羽「えぇー!!6万ゾル?!」
音羽だけ、請求書の金額がお高くなっていた。
理由は………………
マッコイ「タイガーシャークは安いが、バラして空輸したからな。その費用じゃ。」
桜野音羽「そんなぁ~…………今月の給料、半分ほど消えそうなんだけど…………。」
ハヤト「これが傭兵部隊だ。諦めるんだな。」
桜野音羽「そんなぁ~!」
音羽の悲痛な叫びが、サンド島の空に響いた……
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15:50 カーウィン島 とある入江
第3艦隊所属 情報収集艦アンドロメダ
同 通信室
アンドロメダ乗員5「………………っ?これは…………」
イーグリン海峡で、歴史的大敗を喫したオーシア海軍第3艦隊は、残存した増援艦隊を伴って、カーウィン島のとある入江で、警戒待機をしていた。
アンドロメダ乗員5「この通信文は…………【ベルカ語】?でも…………なんでオーシアがベルカ語なんて…………」
このベルカ語の通信文が、今時戦争の鍵を握る内容であると判明するとは、誰も知らなかった。
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オーシア 首都オーレッド
総司令部 地下作戦室 19:00
オーシア軍司令長官「やはり……サンド島の【ピーター・N・ビーグル】は、旧ベルカの【ウォルフガング・ブフナー】だったか。」
オーシア諜報員「諜報活動の結果、そう判断するしかありません。おそらく、こちらの動きも既に読んでいるものかと…………」
オーシア空軍長官「やはり………………サンド島の連中には、消えてもらうしかありませんな。我々の保身の為にも。」
???「既に我が隊の出動準備は整っております!ご命令とあらば!」
ノースオーシア社派遣社員「A-satの掌握と、例の兵器の再稼働も目処がつく。作戦は、早いほうがいい。」
オーシア軍司令長官「…………わかった。【サンド島部隊の暗殺計画】を、実行段階に移す。」
運命の歯車は、音を立てて遂に動き出す!
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MISSION15 COMPLETE
次回、第16話。
嵌められる者たち、死神の最後の戦い…………