ACE COMBAT 〜紺碧の空を駆ける炎の一角獣〜 作:非常勤務艦隊本部
サンド島基地 17:00
サキ司令の指示でサンド島からの撤収準備が進むなかピーターとジュネットは、格納庫の一角に放置されている整備中の戦闘機を眺めていた。
ピーター「見たまえこの残骸を……………相変わらずこんなもの作りをしてるんだね、彼らは。」
ジュネット「彼ら?」
ピーター「これは一見、その戦闘機のものに見えるがそのものではない。強度と性能を落とすことなく、部品数と工程をかなり減らす工夫が凝らされている。効率的で安上がりだ…………これなら、2機作る予算で3機はいけるね。」
ジュネット「誰なんです?彼らって。」
ピーター「『ノースオーシア・グランダーI.G.』さ。その昔は、【南ベルカ国営兵器産業廠】といった。」
ジュネット「しかし、その場所は今ではオーシアの信託統治領……かつてのベルカを支えた技術はオーシアの為に使われている。…………その製品をなぜ敵が?」
ジュネットの疑問に答えるかのように、ピーターはある噂を口にする。
ピーター「興味深いね。ベルカと言えば…………知ってるかね?15年前の戦争終結後、オーシア空軍を強化する名目で迎え入れたベルカ空軍のエースたちがいる。」
ジュネット「え?……まさか…………」
ピーター「旧敵国ベルカ人だけのアグレッサー飛行隊さ……いや、あくまで噂だよ。古狐の私でさえ知らない秘密さ。…………大統領府でさえ、把握していないんじゃないかな?」
ジュネットが何かに感づき、ピーターはあくまで噂だと言うが、サキ司令とオーシアの参謀本部の人間は、その噂が本当のことであることを掴んでいた。
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オーシア連邦 シェルトン上空 17:30
ノヴェンバー市の平和式典の警護任務とほぼ同じ頃、ここシェルトンでは、哨戒任務のためサンド島から発進してきたハヤトとミッキー、キムの部隊が、敵の接近に目を光らせてきた。
ハヤト「向こうはそろそろ、副大統領の演説が始まる頃か?」
ミッキー《そうだな。…………にしても、なんだって俺たちが、イーグリン海峡の南側を哨戒しなきゃなんねえんだ?》
キム《ここの部隊が、何らかの理由で来れないからでしょうか?》
確かに気になる。
今回は不測の事態に備えて、俺やミッキー、キムの他に、A-4を2機、F/A-18とF-5Eを1機ずつ、IAIクフィルC2を3機の計8機を連れてきてはいるが、サキは一体何を考えているんだ?
しかし、そんな事を考えていると、イーグリン海峡のセレス海側から多数のユークトバニア軍機が迫ってきた。
キム《隊長!敵機です!》
ミッキー《なにい?!》
ハヤト「キム!方位は!」
キム《10時の方向、イーグリン海峡のセレス海側です!!》
10時の方向を見ると、Su-27Kが大勢ここへ迫っていた。
ミッキー《フランカー!しかも、艦載機じゃねえか!》
キム《空母の反応はなかったのに!》
ハヤト「多分、空中給油かなんかで無理くり飛ばしたんだろ!とにかくやるぞ!ATTACK!!」
ハヤトたちはすぐに編隊を解いて迎撃に向かう。
会敵して空中戦に持ち込むが、明らかに操縦の練度が段違いである事に気づく。
ハヤト「なんだ?!こいつら、本当にユークトバニアの連中か?!」
キム《まるで…………ベテランを相手にしてる感じがする…………!!》
今まで戦ってきたユークトバニア軍とは全く違う事に戸惑いを隠せないでいたが、敵のフランカーDとすれ違った時、ハヤトは目撃した。
尾翼のマークが、ユークトバニア国籍のものではなく…………【ベルカ国籍のマーク】であったのを。
ハヤト「なっ…………ベルカだと?!あいつら全員、ベルカだってのか?!」
キム《ベルカの機体?!》
ミッキー《ちっ!!やっぱりか!!》
その隙に、味方のスカイホークが1機落とされてしまう。
それを見た彼らは、奴らが本物の【ベルカ軍】である事を見抜く。
ハヤト「ミッキー!お前、気づいていたのか?!」
ミッキー《あぁ!!ナガセを救出する時に、フランカーE1の編隊と出くわした時に…………薄々な!》
ハヤト「じゃあ…………ベルカがこの戦争を操っていたのか?!」
ミッキー《ベルカ…………いや正確に言えば、ベルカの過激派集団【灰色の男たち】の仕業だ!!》
キム《灰色の男たち?!なんですか、それは?!》
ミッキー《ベルカ内部の過激派集団でな………言わば【旧ベルカの強国主義者たちの集まり】だ!…………あの時出くわしたフランカーE1の編隊も、そいつらの【実働部隊】の一つだろうさ!!》
ハヤト「じゃあ結局は…………【ベルカ戦争の屈辱を晴らす】ためかよ………!!」
詳らかにされるこの戦争の大まかな真実と、裏で操っているであろう第3勢力の存在の示唆。
そして………………この戦争が、【15年前の戦争】の続きである事も、否応なくミッキーから明かされる。
ミッキー《正確に言えば、【オーシアとユークトバニアを戦わせて、共倒れに持ち込む】のが、奴らの目的かもな!!》
ハヤト「ベルカ戦争に従軍してたお前のことだ!8492部隊の正体もわかってるんだろ?」
ミッキー《あぁ!!………………っと、そんな事を話してたら本命のお出ましだ!》
今度は、あの時と同じカラーリングのフランカーE1の小隊が飛来してきた。
まるでこちらの動きを察知していたかのように。
ハヤト「あの時と同じカラーリングのフランカーE1だ!!」
ミッキー《来たぞ!…………伝統のベルカ空軍のエース部隊だ!》
ハヤト「なにっ?!」
ミヒャエル・ハイメロート《隊長機より全機へ。サンド島の88部隊に空中戦を仕掛ける。心して掛かれ。》
フランカーE1の編隊は攻撃態勢に移るや、編隊を解いて乱戦に持ち込んでくる!
彼らも負けじと空中戦に持ち込むが、敵からの初撃で味方のクフィルとホーネット、スカイホークを1機落とされてしまう。
キム《味方が3機落とされた!!》
ハヤト「こいつら…………マジもんの元ベルカ空軍ってわけか!!」
ミッキー《気をつけろ、お前ら!こいつらのリーダーは、あのベルカ空軍叩き上げのエースパイロットの【ケラーマン教室】の卒業生だからな!》
ハヤト「ケラーマン教室?!あの、旧ベルカ空軍きっての叩き上げパイロットの教え子なのかよ!!」
ミッキー《あくまで噂だ!本当かどうかは分からねえがな!》
ここに来てとんでもない悪運を引いてしまったと心の中で皮肉って、噂のベルカ空軍エース部隊を叩き落とそうと奮闘するも、実力云々の話の前に、機体性能において歴然の差でそれは不可能の話であった。
更に、敵の方が技量が上で、常に敵を落とす時は無駄撃ちをしないため、苦戦を強いられる羽目になるが…………
ミヒャエル・ハイメロート《アシュレイの隊は取り逃したか…………これ以上の戦闘は無用だ。撤退して作戦を立て直すぞ。》
敵側の作戦が失敗したのか、ユークトバニア…………いや、第3勢力の部隊が撤退を始めた。
キム《敵が後退していきます!》
ハヤト「作戦が失敗したら退いていく…………正に戦闘のプロだな。」
ミッキー《ハヤト!こっちも部隊を集結させよう!》
ハヤト「よし!全機、集結だ!」
そう言って部隊を集結させる。
残ったのは俺とキムとミッキー、そしてクフィル2機の計5機だけであった。
ハヤト「ベルカ相手に3機落とされたか……サンド島に戻ってサキに報告だ!」
ミッキー《いや、このまま北に進路をとって逃げるぞ。》
ハヤト「北に?」
ミッキー《実はな、サキから「任務が終わったら、カーウィン島に向かえ」って言われてんだ。》
キム《と言うことは、サンド島は放棄するんですか?》
ミッキー《かもな。連中に…………しかもハミルトンも奴らの仲間だとしたら、サンド島は安全じゃなくなったしな。》
ハヤト「だろうな。とにかく、カーウィン島に向かうぞ!あいつらが心配だ。」
戦闘を終えたハヤトたちは、カーウィン島に向けて編隊を北へ向かわせる。
そしてこの戦争も第3勢力の陰謀によって、全く別の戦争にすり替わろうとしていた。
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MISSION17 COMPLETE
次回、第18話。
迫り来る刺客!
サンド島航空隊の運命は如何に……!