ACE COMBAT 〜紺碧の空を駆ける炎の一角獣〜 作:非常勤務艦隊本部
奇襲に遭い、危機的状況に立たされる第3艦隊。
無事に脱出なるか?!
私にあてがわれた部屋……または牢獄。
搭乗員宿舎 9月27日 12:05
ハミルトン大尉。
私を閉じ込めた基地司令官の副官にしては、話の出来る男だ。
カメラも彼が取り返してくれた。
伯父が軍人じゃなかったら私のような職業につきたかったといって。
ハミルトン大尉「たった今、あなたを閉じ込めてた理由がなくなったよ。」
閉じ込めてた理由がなくなった?
どういうことなのかを問うと……
ハミルトン大尉「ユークトバニアが宣戦布告した。宣戦同時攻撃だ。セント・ヒューレット軍港が攻撃を受けている!」
そう答えて、足早に私の部屋を出た。
ハミルトン大尉の様子を見るに、宣戦布告は本当の様だ。
私は窓のバインダーをめくり外を覗くと、彼らが飛んでいくのが見えた。
そこには、隊長の機体はなかった。
その代わりに、オーシア軍から退役しつつあるA-4MスカイホークⅡと、ユージア大陸で傭兵部隊で活躍したIAIクフィル、それと…………様々な迷彩を施したファントムやホーネットまでもが飛んでいった。もちろん、あの炎の一角獣のクルセイダーも。
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9月27日 14:33 セント・ヒューレット軍港郊外上空
サンド島沖での空中戦の直後にユークトバニアが宣戦布告を行った報告を聞いた俺達は、途中で加勢に来てくれたグレッグとキャンベルらを引き連れて、一路救援要請があったセント・ヒューレット軍港へと向かっていた。
サンダーヘッド《緊急事態につき、この時間で戦況を説明する。》
そう言うと、無線越しで戦況の説明が行われる。
作戦参謀《ユークトバニア航空部隊による奇襲攻撃を受けていると、セント・ヒューレット軍港から入電があった。》
宣戦布告と同時に始まった奇襲攻撃は、よくある手口だ。
やる側は楽だが、やられる側にとっては生きた心地がしない。
作戦参謀《現在、港全体は極度の混乱状態にある。港にはオーシア第3艦隊の艦船が停泊中であり、敵の攻撃にさらされている。》
グレッグ《おいおい!まさか、混乱状態で港に突っ込めなんて言うんじゃねえよな?》
作戦参謀《セント・ヒューレット軍港に急行し、艦船の湾外への脱出を支援せよ。なお、第3艦隊の中核を成す空母ケストレルだけは必ず守り抜け。》
キャンベル《全く毎度毎度、無茶な作戦をいいやがるぜ!》
キャンベルがそう愚痴を言う。
正直に言っておこう。
そんな状況で味方の脱出を強行させるなと。
いくら人材不足でも、訓練もそこそこで実戦経験も少ない新兵にやらせる任務ではない。
グレッグ《これじゃあ、新兵に「火の中に突っ込んで死んでこい」って言ってるようなもんだ!》
グレッグが俺の心境を代弁してくれた。
だが、言われた以上はやるしかない。
サンダーヘッド《サンダーヘッドからウォードッグ。エッジ、編隊の指揮をとれ。》
サンダーヘッドがそう指示を出すが……
ナガセ《いいえ。00セクション、前に立って。私は後ろにつく。》
なんとこの俺が先頭に立つよう事になった。
一応、傭兵部隊の時代に編隊の指揮はやったことはあるが、いざ推薦されると緊張はする。
グレッグ《面白え!指揮を頼むぜ!》
キャンベル《久しぶりにお手並み拝見と行こうじゃないの!》
グレッグとキャンベルが俺に指揮を任せるような発言をした。
………………賛成多数で俺は逃げ道をなくした。
???《うろうろしてるな、ここは戦場だ!そこら中にいる敵に喰われるぞ!》
俺達を叱責しながら、海軍機のF-14トムキャットが颯爽と俺達を追い越していきセント・ヒューレット軍港へと飛んでいった。
チョッパー《ひえーーーぃ!俺はどん尻でいいよ!》
ついでに3番機のチョッパーも、さっきの叱責にビビったのかそのまま3番機を続行する発言をした。
仕方ない、腹をくくってやる!
空母ケストレル航空隊分隊長:スノー大尉《こちらソーズマン、スノー大尉だ。次の敵編隊を迎撃する!位置を知らせよ!》
無線5《こちら、対空艦エクスキャリバー。前方を塞ぐ艦、離れてくれ!SPYレーダーを照射できない!》
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俺達がセント・ヒューレット軍港にたどり着いた頃には、敵の航空部隊が港湾施設や艦艇群に集っていた。
サンダーヘッド《交戦を許可する。》
ハヤト「00セクション了解した。」
俺は一呼吸いれて、精神を整える。
ハヤト『00セクション…………いや……ウォードッグ隊、全機突入!ATTACK!!』
そう言って、俺は操縦桿を下げて戦闘空域へと突入する。
ナガセ《エッジ、交戦。》
チョッパー《チョッパー、交戦。》
グレッグ《さぁて、報酬稼ぎの時間だ!》
キャンベル《今日もきっちり稼がせてもらうぜ!》
俺の後にナガセ、チョッパー、グレッグ、キャンベルが続き、他のファントムとホーネットも俺等のあとに続く。
機載レーダーを見ると湾内に6機、湾口方向から8機ものA-4Eスカイホークが確認できた。
俺達傭兵部隊にとっては絶好の的だ。
ターゲットスコープにスカイホークを捉えて、つかさず機関砲で1機撃墜した。
そのまま左旋回しながらをしながら、すれ違いざまにスカイホークをもう2機撃ち落とした。
ハヤト「…………っふ。早々とざっと6000ドルは頂きよ。獲物は多いほうがいい。」
そう言って、俺はクルセイダーを次の敵編隊に突っ込ませて、ナガセ機がその後を追う。
常に援護位置にいながら。
無線8《こちらは港長!港口から近い艦から港外へ逃れよ!》
無線4《船体が傷ついても構わん!出港しろ!》
無線も混乱しているが、ようやく艦隊の脱出が始まった。
キャンベル《なにノロノロしてんだ正規軍の連中は!脱出するならとっととしやがれってんだ!》
無線8《無茶を言うな!こっちも奇襲を受けてあちこちで混乱してんだ!》
傭兵4《とにかく空母を優先的に出させるんだ!このままじゃ港の中でボコボコにされるぞ!》
無線8《言われなくてもそうするつもりだ!そっちこそヘマするなよ!》
グレッグ《こっちは傭兵なんでな。これが終わったら報酬を用意しとけよ!》
ハヤト《駄弁ってる暇があったら、敵を撃墜するんだ!》
部下に注意して、敵編隊の迎撃に集中させる。
ナガセ《00セクション、こちらエッジ。空母ケストレルを確認できますか?》
ハヤト《こちら00セクション。こっちでも確認できる!まだ健在だ。動いてるようだが、まだ速度が出ていない。》
ナガセ《何とか私たちで死守しないと……》
ハヤト《功に焦るなナガセ少尉。基本をしっかりやれば訓練通りにやれるはずだ。まずは生き残ることが大切だ!分かったな?》
ナガセ《……わかりました。》
空中戦を続けること数十分後、ようやく空母ケストレルが動き出して湾外への退避を開始して、その後に情報収集艦を含めた味方艦4隻が続く。
こっちもケストレル護衛のため、更に迫ってくる敵機を落とそうとするが、ダダダダダダダっと射撃音が5秒した直後、トリガーを押してもなにも言わなくなった。
ふと機関砲の残弾メーターに目をやると、残弾が0を示していた。
どうやら余計に無駄撃ちをしたみたいだ。
直後に敵機が反転してこちらに機首を向けるも、既のところでナガセ機がカバーに入って撃墜した。
ナガセ《こちらエッジ。00セクション、どうしました?》
ハヤト「こちら00セクション。……無駄撃ちしたお陰で20ミリを使い切っちまった。」
ナガセ《弾切れ?!……ミサイルの残弾は!》
ハヤト「スパローとサイドワインダーはあるが、下手に撃って外したら丸腰になっちまう。」
クルセイダー最大の特徴であった20ミリ機関砲を使い切った以上、ミサイルまでも撃ち尽くしたら何もできなくなる。
補給を受けるにしても、この状況じゃ軍港周りの飛行場も被害を受けてるから望み薄。
無線8《他の艦艇はどうなっているんだ!!》
無線6《北側のベースで駆逐艦ニコラスとスペンスがやられました!》
無線5《東側で給油艦オリバー・バザールが被弾して炎上中だ!脱出した水兵を早く引き揚げるんだ!!》
無線7《南側でも被害が出ています!辛うじて出港出来たのは空母ケストレルと駆逐艦フィンチ・コーモラント、情報収集艦アンドロメダと対空艦エクスキャリバーの計5隻のみです………。》
無線8《そうか。…………エセックスと攻龍が遠征中だったのが不幸中の幸いだったな……。》
無線からも港内の詳しい被害状況が聞こえてきて、少なからずの艦艇が出航出来ずにやられたものの、そのほかの主力艦艇は遠征中で無事だったのを確認する。
そうこうしている間に、空母ケストレルが港外へ脱出した知らせが入り、俺達もケストレルの後を追う。
すると、後ろがやけに明るくなった。
下を見ると、被弾した給油艦の周りが火の海と化していた。
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ヤバイもんを見ちまった。
あの敵機が墜落して炎で海を埋める前……
あそこに浮いていたのは、人間の顔だったんじゃないか?
あんなにたくさんの…………
やめてくれ。
もう、こんなのはたくさんだ。
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セント・ヒューレット軍港から離脱した俺達は、残弾のチェックをしていた。
そこへ、チョッパーからの通信が入った。
チョッパー《……ブービー、あれを見たか?》
それを聞いたハヤトは、おそらくあの光景を見たのだろうと推測して、わざととぼける。
ハヤト「何のことだ?」
チョッパー《そうか……なら、いいんだ。》
言葉が途切れ途切れになっている。
相当こたえたんだろう。
ハヤト「…………チョッパー。無理にとは言わん。だが、軍人になった以上その罪悪感だけは忘れるな。」
チョッパー《…………あぁ。》
グレッグ《何とか港からは脱出できたな。》
キャンベル《サンダーヘッドさんよ!敵は追撃してきてるか?出来ればこれでお開きにして欲しいところだがな。》
サンダーヘッド《残念だがそうもいかん!艦隊の進行方向に敵艦隊と敵機を多数捕捉!第3艦隊の進行を塞ぐように、3方向から接近している!》
ユークトバニアの艦隊が3方向から接近している。どうやら敵は、空母を何が何でも沈めたいようだ。
空母ケストレル艦長:ニコラス・A・アンダーセン大佐《こちらは空母ケストレル艦長。無事に脱出に成功した各艦、おめでとう。》
そこへ、空母ケストレルからの通信が入る。
アンダーセン《これより小官が指揮を執り、臨時戦隊を編成する。前方に敵の封鎖線がある。これを突破して、安全な海域へ脱出しよう。上空の味方機、援護を頼む。》
ハヤト「ウォードッグ、了解。各機!聞いてのとおりだ!敵艦隊にありったけのミサイルをご馳走してやれ!ATTACK!!」
ここからはミサイルを最後まで残していた俺達ウォードッグ隊の出番だ。
対艦攻撃なんて、自由エルジア軍の空母艦隊の殲滅作戦以来だ。
ナガセとチョッパーを艦隊の直掩に残して、残った元88航空隊で敵封鎖線を叩き潰すことにした。
敵艦隊はミサイル巡洋艦とミサイル駆逐艦で構成させた小規模艦隊。
空母を沈めるには明らかな火力不足だが、対空戦ならかなりの脅威を誇る。
だが、俺たち元傭兵部隊にとっては赤子をひねるようなもの。対処なんて簡単だ。
バカ正直に突っ込めばいい。ただそれだけだ。
俺は攻撃隊各機を散開させると、正面の敵艦隊に向かった。
海面スレスレを高速で駆け抜けるジェット戦闘機。制御を誤れば海面とぶつかり爆発四散だ。
敵がこっちに気づいたが後の祭りだ。
20ミリの対空機関砲の雨が降り注ぐが、焦って高度を上げなければ当たることはない。
距離を十分に詰めて、手始めに敵の巡洋艦にスパローを2発を発射した。
この距離で撃って避けられるのはほぼ不可能だ。
スパローは見事に前甲板のミサイルランチャーに命中して一撃で轟沈した。
間髪入れずに敵艦隊の直上からサイドワインダーを1発ずつ駆逐艦に発射する。
これも比較的装甲が薄い箇所を狙ったため、被弾による浸水で撃破。
他の連中も同じようにやって、30分もしないうちに敵の封鎖線を文字通り殲滅して、空母ケストレル以下臨時戦隊の離脱を成功させた。
チョッパー《1、2、3……………何度数えても俺たちゃ9機とも無事だぞ!見てろよ隊長の奴。海から上がってきたら、自慢してやるからな!》
………………だが、ウォードッグ隊隊長。
バートレット大尉がサンド島に戻ることは二度となかった。
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MISSION03 COMPLETE
次回、第4話。
彼らの長い夜が来る……