ダーティハリー キヴォトス・ハード   作:さんめん軍曹

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こんにちは、さんめん軍曹です。

話を書いてたら、前回の次回予告から予定変更をせざるを得なくなってしまいました()
ブラックマーケットに踏み込むのは次回になります、大変お待たせして申し訳ございませんorz

今回は、親交を深める(?)話となっております。

それでは本編どうぞ!!


Dirty Abydos 3

その夜。アビドス高校屋上。

2人の刑事は、手すりにもたれかかりながら、今までのことを振り返っていた。

 

「考えてもみりゃ、奇妙なもんだよな」

「何がだ?ジョン」

「元いた世界じゃはみ出しモンも良いとこだった俺たちがよ、この世界に来て生徒達に教鞭を……というより、まともな刑事(デカ)みたいな事やってるなんてな」

「そりゃあ当然だ。だって本物のおまわりさんなんだぜ?俺たちはな。……今んところは疎ましく思われている様子もないから、いつもと勝手は違うがね」

 

マクレーンは、その通りと言わんばかりに紫煙を吐き出す。

すると、暗がりからの足音が2人の耳に入ってきた。

 

「こんばんは、ハ……キャラハン先生」

「アルじゃあないか」

「こんな時間に家にいねえなんて、悪ガキの一歩手前だぜ?」

「ジョ……マクレーン先生も、あまり人のことは言えないんじゃないかしら?」

「ジョンでいい。ハリーもな。何しに来た?」

 

彼はフィルターに口をつけ、煙を吸い込む。

そして二酸化炭素混じりのニコチンをゆっくり吐き出した先に目を向ければ、彼女がハンドバッグから細身のパッケージとスリムジッポーを取り出しているところだった。

 

「おいおい警官の前で吸うのか?」

「お前さん、妙な所で肝っ玉が据わってるなぁ。日頃ドジってるのは、ひょっとして演技じゃないだろうな」

「もうちょっと言葉を選んで欲しいわね。これでも私、乙女なのよ?」

「けっ。アウトロー目指してる女がいう台詞かよ」

 

アルは女性向けの細長いたばこを咥え、火をつける。

そして咽せた。

 

「ほら言わんこっちゃねえ。慣れないことなんかするからだ」

「けほ、けほっ!!……誰だって初めてはあるでしょ。ジョン先生だっていくつの時から吸ってるのよ?」

「……ノーコメントだ」

 

再びの静粛。

2種類の煙が混じっては、風に吹かれて消えていく。

そんな光景が何回か繰り返された時、ビールを口にしていたハリーが質問した。

 

「それで、話は戻るが……お前さんの答えは見つかったのか?」

「……察しがいいのね」

「俺達は腐っても警官だ。人間を観察して、洞察力を養うのも仕事のうちさ」

「で、どうだアル。返事を聞かしてくれよ」

「そうね……」

 

彼女はたばこを咥え、もう一度吸い込む。

今度は咽せずに、小さな赤い火が灯った。

 

「……ごめんなさい」

「……?」

「なんだよいきなり。しおらしくしやがって」

「それが、まだ私には……答えが見つけられそうにないの。修行不足ね」

 

ハリーが、ぐいとビールを煽り呟いた。

 

「……実は今、連邦捜査部は人手不足でな」

「えっ?」

「もちろん、協力的な生徒は何人かいる。だが彼女らはシャーレ以前に、それぞれの学校で学生の本分を全うしなきゃならないんだ。そう簡単に来れるもんじゃあない」

 

彼は体の向きを変え、外の景色を眺めた。

 

「だからこそ、()()()()()()()()が必要なんだ。シャーレにラブを誘おうと思っているんだが、彼女もまたヘルメット団としての顔がある。そこで───」

 

ハリーはマクレーンに目を向け、その後にアルを見つめた。

 

「俺はお前さん達便利屋に目をつけているんだが、どうする?」

「そ、それって……」

「学生の本分は学ぶ事だ。さっきお前さんが言ったように、誰にだって初めてはある。答えがわからないなら、学べばいい」

 

ハリーは歩み寄る。アルとは、頭ひとつ分ほどの差があった。

 

「お前さん達便利屋にその気があれば、だがね」

「素直じゃねえなハリー。そういう時は、"俺達について来ないか?"と聞くもんだぜ」

「じ、ジョン先生はどうなのかしら?」

「あぁ俺か?そうだな……」

 

名指しされたマクレーンは、新しいたばこに火をつける。

 

「学べばいいってのはつまり、伸び代があるってこったな。ハリーにここまで言わせるたァ大したもんだ。……それに、これ以上強くなったお前らを相手にすんのは正直めんどくせえ。今日ケンカして分かった事だ」

 

ここでマクレーンは目を逸らした。

 

「だから連邦捜査部で修行していけ。俺らが、お前の理想とするアウトローってやつなら、学ぶ事もたくさんあんだろ」

 

 

こうして、便利屋68は連邦捜査部の傘下に入った。

……のはいいのだが、当の本人は白目を剥き、笑顔で気絶していた。

 

「表情がコロコロ変わりやがる。面白いな」

「千両役者ってやつか?……ところでもう1人いるようだぞハリー」

 

マクレーンは軽く口笛を吹く。

すると、今度は昇降口から、小さな影がゆっくりと出てきた。

 

「ようホシノ。夜のお勤めか?3年生は忙しいな」

「……いつから?」

「最初からさ。俺がセリカを保健室に連れて行った時、覗いてたろ」

「それに、だ。コイツのアジトに乗り込んだ時も尾行(つけ)てきてたな?」

 

マクレーンが、立ったままのアルを親指で指して笑う。

 

「なぁんだ。バレてたのか〜」

「あまり俺達を見くびらないで欲しいってもんだ。これでもプロだぜ?」

「ねえ先生」

 

ホシノの口調が変わる。

 

「なんで私が、この時間にこんな格好でうろついているのか……聞かないの?」

「ああ。聞かないね」

「どうして?」

「どうして、って……そりゃあ……」

「俺が答えるぜハリー。……なぁホシノ、そんな野暮なこと聞いてどうする。やめさせて欲しいのか?」

「……」

「悪いが、おたくが"最後の生徒会"という情報も俺らは知ってる。"親"は普通、"子供"を守るもんだ。何があってもな」

「……それで?」

「それで子供ってのは成長していく。それこそ、あっという間にな。俺のガキ2人もまた、テロリスト共をぶちのめしてやったよ。一緒にだ」

「へえ……」

あいつら(廃校対策委員会)もそのうち分かってくるだろうさ。そん時ゃ一緒に戦ってやれ」

 

ジッポーの火が、マクレーンの顔を照らす。

ハリーも新しい缶のタブを開け、軽快な音を奏でた。

 

「俺もジョンと同じ意見だ。何の落ち度もない人間が、無法者の手によって悲しい結末を迎えるのは……もう沢山だ」

「……ハリー先生の奥さん、ね」

「なんで君がそれを知ってるのかは置いといてだ。少なくとも今のホシノの行動に、俺は文句をつける気はない」

「……ありがとう、先生達」

「な、なあハリー」

「なんだい」

「アレ、見ろよ」

 

3人がアルのいた場所に目を向ける。

そこには、吐血して倒れている彼女と、その血で書かれたであろう"我が生涯に一片の悔いなし"の文字が残されていた。

 

 

「アルちゃんったら、お肌ツヤツヤだね〜!」

「そ、そうかしら?」

 

明くる日。

ドス黒いオーラを纏ったアヤネから、爆破した教室の掃除及び修繕を命じられた便利屋一同。

まずは備品だったものを取り除きつつも、警備のついでに手伝ってくれていたヘルメット団と言葉を交わしていた。

 

「アルさん、何だか嬉しそうっすね。ひと晩でいったい何があったんです?」

「こらこら、無闇に詮索するんじゃないの」

「すっ、すんませんリーダー」

「ああ、いいのよ別に。ただ、ちょっとね……」

「アルちゃん、何かいい事あったんでしょ〜!」

 

ムツキのひとことに、アルが目を輝かせて語り始めた。

 

「そうなのよ!実は先生達から直々に、連邦捜査部に来ないかって誘われて!!」

「ええっ!?ほんとなの?」

「それどころか、ラブさんもお声がかかると思うわよ!」

「う、うちもなの?!」

 

リーダー同士で通ずる物があるのか、盛り上がり始めた2人。

銃は持っていても、年頃の少女であることには変わりないのだ。

そんな様子を見守っていたカヨコは、人の気配がしたので振り返る。そこには、マクレーンが立っていた。

 

「よう」

「マクレーン先生……。なんの用?」

「ああ、会議の準備が整ったから呼びに来たんだが……あいつら一体何の話をしてるんだ?」

「昨日の夜の事。私達をシャーレに誘ったって、本当なの?」

「ああ本当だ。……後でアルに言っとけ。あんまりお喋りが過ぎると敵に情報を与えちまう事もあるから、ほどほどにしとけってな」

「うん。そのつもり」

 

2人はしばらく様子を見守っていたが、会話が落ち着いたところでラブが気づいた。

 

「あらジョン先生。どうしたの?」

「お前ら。これから作戦会議があるから、今すぐ対策委員会のとこへ行ってやれ。ハリーがお待ちかねだ」

「分かったわ。ヘルメット団!」

 

ラブの掛け声で他の団員が集合する。

 

「2人ほど、うちらについてきて入口で歩哨に立ってくれる?残りは片付けの続きをお願い」

「了解です、リーダー!」

 

ラブを筆頭に、統率の取れているヘルメット団を見たマクレーン。

まるで軍隊だなと思いつつも、ハリーがなぜ彼女に目を掛けるかをなんとなく理解した。

 

「お前ら先に行ってろ。俺はカヨコと話がある」

「……?」

 

 

主だったメンバーは教室へ向かい、廊下の角を曲がっていった。

姿が見えなくなったところで、カヨコが声をかける。

 

「……なに、話って」

「ああ。まぁ、その……なんだ」

 

自身と対峙した時は、戦闘中とは思えない程の悪態をついていた刑事が何故か歯切れが悪くなっており、彼女は訝しく思った。

 

「はっきり言って」

「怒るなって。……ほら、これをやる」

 

そう言ってマクレーンはカヨコに、ひとつの包みを渡した。

 

「別に、怒ってなんかない。……これは?」

「昨日お前さんと戦った時に、服ボロボロにしちまっただろ。だからこいつは、ほんのお詫びってやつだ」

 

彼女は包みをゆっくりと解いていく。

 

「最近のデリバリーってなァ便利なもんだな。あの後すぐに頼んで、さっき届いたんだ」

 

中から出てきたのは、爆発の影響で焼け爛れあちこち破けてしまったパーカーと同じ物だった。

それと一緒に衣類一式と、ついでに革製のホルスターも入っていた。

 

「こ、これ……」

「お気に入りなんだってな。すまない事をした」

「別に……あの時は仕方がなかったから、諦めてた。誰から聞いたの?」

「ムツキだ。あいつからだいぶ揶揄われちまったが、サイズは間違いないはずだ」

「…………そうなんだ」

「安心しな。おたくのスリーサイズは誰にも言わねえよ」

「言ったら今度こそ病院送りにするから」

 

新品のパーカーを持っているカヨコの瞳は、ほんの僅かに嬉しげな色をたたえていた。

 

「ゾッとしねえこと言うなよ。……いつまでも借り物のジャージじゃあ締まらねえだろ。トイレに行って、さっさと着替えてきな」

「そうする。……先生」

 

数歩踏み出した所で、カヨコは声をかける。

 

「なんだ」

「……ありがとう」

 

 

そして、対策委員会の教室。

遅れて入った2人へ、早速ムツキのイジりが降りかかる。

 

「あはっ、やっぱりその格好が似合うねカヨコちゃん!」

「……ん」

「ジョン先生ってほんと不器用なんだから〜」

「おいチビッ子。今度その口叩いたら猫のクソ詰め込んでやる」

 

すぐに察してニヤついていたハリーも、ムツキの援護射撃に入る。

 

「ほぉう。さすが"パパ"だな」

「おだてるんじゃねえ!嬉しくてションベン漏らしちまうだろ」

「きちんとトイレに行ってください!……おほん、それでは皆さん。これから作戦会議を行います」

 

アヤネが仕切り直す。

すると、先程まで穏やかな雰囲気だったメンバーにも多少の緊張感が走った。

 

「ではハリー先生、お願いします」

「ああ。それじゃあこっちを見てくれ」

 

アヤネが部屋を暗くし、ハリーはレーザーポインターで注目して欲しいところを示していった。

 

「ブラックマーケットについて調べた。小規模な場所かと思ったんだが、どうやら街ひとつ分はあるらしい」

「随分と手広くやってるねぇ」

「治安も最悪だが、それをコントロールしている場所がある。それは……」

 

街の中心部にそびえ立つ、黒塗りの高層ビル。

街中を撮影した写真の中でも、そこは一際異彩を放っていた。

 

「おい待てハリー。もしかして」

「気づいたか?そう。ここはカイザーが運営する銀行というわけさ。そして……」

 

ガレージに入ろうとする車が拡大される。

 

「みんな、こいつに見覚えがあるだろう?」

「なっ、この車は……!」

 

セリカが唖然とする。

その車というのは、昨日の朝……どころか、毎月目にしている、カイザーのバンだった。

 

「そういえば、話に聞いた事があるわ。このブラックマーケットの売り上げの何割かは、このカイザーの闇銀行に納めているらしいの。それで店の運営と安全を保証されているとか」

 

ラブが思い出したように伝える。

そして、少なからず現地へ赴いたことのある便利屋。その社長たるアルまでもが呟いた。

 

「マーケット・ガードね……」

「ショバ代集めてついでに警備もするってか?まるで独裁国家かYAKUZAだな」

「そうだな。そこで今回の作戦だが……この銀行に()()()()を行う」

「うひょお!待ってたぜその言葉。家宅捜査でぜってえ倒産させてやる」

「でも、そんなに簡単に潰れる会社なら、ここまで悪どいことはできないよねぇ。それに、情報だってうまく隠してるかも分かんないしね〜」

「ん。それならやっぱり襲うしかないね」

 

シロコがカバンから覆面を取り出す。

対策委員会の分と、なぜかハリーとマクレーンの分まで用意してあった。

 

「シロコ先輩!それはさすがにダメでしょ!」

「いや、今回は似たような事をやる」

「ええっ?!」

 

ハリーの発言に、一同が注目する。

 

「便利屋は適当な理由をつけて騒ぎを起こすんだ。その間に、俺らは連邦捜査部の名の下に銀行へ踏み込む」

「……なら、いいきっかけがある」

 

カヨコがふと呟いた。

 

「アル。朝、カイザーから電話があったよね」

「え?ええ。契約を一方的に破棄されたわ。作戦失敗を理由にね」

「という事は、今の私達にはお金が入らない」

「げっ……そうだった」

 

アルが白目を剥く。

 

「そこで、奴等に融資を頼みに行く。奴等の事だから、多分断られるけどね」

「そこで、騒ぎを起こすわけね」

「そういうこと」

「待って」

 

ラブが不意に声をかける。

 

「それなら、うちらも騒ぎに加えてよ」

「ん?」

 

マクレーンがラブに向く。

そこには、獲物を見つけたような笑みを浮かべている、ヘルメット団のリーダーの顔があった。

 

「うちらは無法者。お金だって欲しい。だから、アイツらから()()()()()

 

それを聞いた刑事2人は顔を見合わせると、同じような笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「今のは()()()()()()事にしておくぜ」

「ハリーの言う通りだ。そして、俺らはZABU-ZABU相手にもう一戦交える。もちろん全力でな」

「そうすれば、先生達の強さは周りも必ず目にするってわけよね」

「ラブ。おたく、なかなかワルい顔してるぜ」

「先生達こそ、本当に警官かな?」

 

3人の邪悪な顔を目の当たりにした一同もまた、この2人が本当に刑事なのか怪しんでいた。

 

「まあ、俺たちが踏み込んだ所で証拠はまず渡してこないだろうな」

「だから、俺たちの得意技の"強制捜査"で差し押さえるわけだ」

「ああ。だが、この先は今までのような訳にはいかない。少なくとも俺とジョンの顔は割れるから、確実に狙われるだろう」

「まあ、そんときゃ()()()()()()して、アホンダラ共には帰ってもらうさ」

「さて、行動に移す前に……」

 

部屋が明るくなる。

 

「現場の下見と、逃走経路の確保といくか」

 

 

全員が席を立つ中で、アルは内心で緊張と気分の高揚を感じていたのだった。

 





いかがでしたか?
絆ストーリーを拙作風にアレンジして、お送りしました!
アルさんには個人的に喫煙してて欲しいと思って、冒頭を執筆させていただきました。
先生達は本当に刑事なのか、だんだん怪しくなってきました(((

それでは次回、お会いしましょう!!
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