ダーティハリー キヴォトス・ハード   作:さんめん軍曹

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こんにちは、さんめん軍曹です。実に2週間ぶりでございます!

今回はようやくブラックマーケットにやってきたアビドス一行ですが、いろいろな出会いがあり……?

それでは本編どうぞ!!


Dirty Abydos 4

 

ここはブラックマーケット。キヴォトスで随一の闇市場である。

闇市場というものの、実態はそこら辺にある同規模の一般向け市場とほとんど変わらない。

中心部にはご丁寧にもアーケードまで建て付けられている為に、どんな天気だろうが変わらずに賑わっているらしい。

そんな本日の天候は晴れ時々、男2人の鉄拳だった。

 

「なあジョン。これでいくつだ?」

「さあな。あんたと同じで、途中から数えるのを忘れちまった」

 

メンバーが入場するなり、ならず者オートマタに絡まれ拳をお見舞いする。

そこからほんの少し散策したら、スケバン達が金をせびって来たので格闘で分からせてやる。

そしてヘルメット団に遭遇すれば因縁をつけられるものの、ラブの顔を見た瞬間に逃げていく。

アルは身震いして悶える。

 

「みんなで遠足に来ただけだってのに、なんだよこのザマは!ハーレムだってここまで悪かねえぞ!?」

「これ以上ロボット相手に拳を叩き込んだら、文字通り骨を折ることになりそうだ」

「わ、私もそのうちショック死しそう……」

「アル様が死んだら、私も後を……」

「ハルカストップ。先生達の手の骨はメリケンサックか何かなの?」

 

半ば呆れた様子のカヨコが問う。

マクレーンは肩をすくめた。

 

「ゴミ虫に鉄拳教育を喰らわせ続けりゃわかるこった」

「壊れた機械は叩けば直ると聞いたもんでな。それを実践してるだけさ」

「……先生達って、時折訳の分からない行動をするよね。でも確かに、これ以上は流石に面倒だわ。……そうだ!」

 

どうやらラブに名案が浮かんだようだ。

 

「確かこの近くにヘルメット団の拠点があるはず。うちなら顔が効くから、とりあえずそこへ行かない?」

 

 

一同がいた場所から、さほど離れていない距離。

目の前にはカイザー銀行のビルが大きく見えている場所に、ヘルメット団の拠点はあった。

2人は門を背にしながら、カイザーのビルを眺めている。

 

「……そびえ立つクソだな」

「劣等感を抱いてるものほど、自分を大きく見せたがるのさ」

「俺もそう思うぜ。ハリー」

 

2人が話していたその時、背後で金属音がする。

振り向くと、2人のヘルメット団員がこちらへ銃を向けていた。

 

「誰だお前達!」

「そこで何をしてる!」

 

2人の大人が眉間に皺を寄せたところで、ラブが割って入った。

 

「待って!この人達はうちの連れ。害はないよ」

「あっ!」

「ラブじゃん!!」

 

2人はヘルメットのバイザーを上げる。

 

「しばらく見ないと思ったら……一体どこほっつき歩いてたのさ!」

「全くよ。心配したんだから!」

「ごめんねミーナ、レイ。わけは中に入ってからでもいいかな?」

 

 

しばらくして、新たに合流した2人のヘルメット団員は、拠点内の一室でアビドスで起きた一連の話を聞いていた。

 

「へーっ!あのラブが負けるなんて」

「ヘイローが無くてもジャブジャブと渡り合えるなんて……。これは、自己紹介しとかないと失礼よね」

 

1人がヘルメットを脱ぐと、隣にいた片割れもそれに続いた。

先に脱いだ方は腹部のベルトへモーゼルHScを直に挿しており、ヘルメットのどこに収まっていたのか分からぬくらいボリュームたっぷりの黒髪のロングと八重歯がアクセントの、すらっとした美少女だ。

 

「アタシは隅田川レイ。この拠点のリーダーよ。よろしくね」

 

そしてもう1人は、低めの身長に対してかなり大振りなブローニング・オートマティック・ライフル(BAR)を背負い、ピンクのウルフカット姿で少し筋肉質の健康的な少女だった。

 

「ボクは副隊長の荒川ミナコ。みんなからミーナって呼ばれてるよ!」

 

全員が自己紹介を終えたところで、早速マクレーンが手を挙げる。

 

「なあお嬢さん方。ひとつ質問いいか」

「マクレーン先生だったわね。なんでも聞いて」

「助かるぜ。おたくらはKATA-KATAやZABU-ZABUみたいなイニシャルは無いのか?」

「うーん……特にない。ここから殆ど動いた事ないし」

「ボクたちは元々、ブラックマーケットの警備を取り仕切っていたんだ。だけど、あいつらが来たせいで……」

「カイザーに仕事は取られ、こんな端に追いやられ、挙げ句には高額な土地代を請求してきてね。おかげでアタシ達は壊滅寸前よ」

 

レイは溜息をつく。

反対にミナコは、屈託のない笑顔でラブの首に腕を回すと、ぐいと引き寄せた。

 

「でも、ラブがずっと援助してくれてるから、ボクたちは辛うじてここにいる事が出来てるんだ!ジャブジャブだって苦しいはずなのに」

「ちょ、言わないでよミーナ!恥ずかしいじゃん」

 

赤面するラブ。

そんな仲良しな3人を見たマクレーンとハリーはお互いにうなづき合うと、レイに向かって話を切り出した。

 

「レイ。ひとつ提案がある」

「?」

「カイザーのクソッタレ共にひと泡吹かせたくないか?」

「ま、まあ、そりゃあ……ね」

 

マクレーンはニヤリと笑う。

 

「俺らの話に乗ってくれりゃ、またマーケットのドンに返り咲けるぜ」

「俺達はカイザーを兵器の横流しや地上げ行為、その他諸々の罪でしょっ引こうとしている所さ」

「だが奴らは簡単には尻尾を出さねえだろうな。そこで……」

 

指をパチンと鳴らしたマクレーンはそのまま続ける。

 

「奴らを営業不能に追い込んでから、証拠を戴こうってな寸法だ!」

「強盗は君らの専売特許だろう?だからヘルメット団には派手に大立ち回りを演じて欲しいと、まあこういう訳さ」

 

ポカンとするレイ。その隣ではミナコがらんらんと目を輝かせながらうなづいていた。

 

「いいねいいね!みんなで一緒にあいつらをギャフンと言わせられるなんて、最高じゃないか!」

「え、で、でも……連邦捜査部がそんなことしちゃっていいわけ?!」

「気にすんな。ああいう非合法な奴らにゃ正攻法なんか通じねえんだ。踏み込む理由なんざいくらでも作れる」

「それに、連邦捜査部が乗り込むのは君達が暴れた事が理由だ。証拠探しはそのついでさ。……危ない橋を渡って貰わなきゃならん事には少し申し訳なさを感じるがね」

「ま、まあそれは構わないけど……」

「やろうよレイ!ラブとボクら幼馴染3人組で暴れられるんだよ!?こんなチャンス滅多に無いよ!」

「……まあ、それもそうね。良いわ、協力する」

「やったぁ!!!」

「じゃあ、作戦の詳細を話すとしようか」

 

こうして、もはやひとつの勢力となりつつあるアビドス廃校対策委員会は、最終的な調整に入った。

 

 

しばらくして。

マクレーンに頼まれて物資の調達に出たハリーとアル、ホシノは、とある店に向かっていた。

アル曰く便利屋御用達の武器屋で、店主は凄腕の情報屋でもあるとの事だ。

残りのメンバーは引き続き段取りを整えるべく、拠点に残っている。

 

「ハルカちゃん、ものすご〜く活き活きとしてたねぇ」

「そりゃあね。爆破工作に関して、あの子の右に出る者はいないわ」

「ジョンは彼女の強さを知っているからな。適材適所という事だろう」

 

────────

 

『カイザーを営業不能に追い込むにゃあ、まず店をめちゃくちゃにしてやる事が重要だ。俺達が必要としない顧客情報や()()し切れない金など、信用に関わる物を全部含めてな。……そこでハルカ、お前の出番だ』

『わ……私ですか……?』

『ビルの基礎を傷つけず、店舗やオフィス部分を裏まで完全にブッ壊せるような爆弾の配置を考えろ。中の人間が逃げる時間と、外にいる一般市民を巻き込まない事にも気を配るんだ。必要な量がわかったらハリーに教えてやれ。ちと難しい注文だが、出来るだろ?』

『……フフ、わかりましたぁ。エヘヘ……』

 

────────

 

この時のハルカの笑顔は、口角が上がり過ぎて口が裂けているように見え、その表情は便利屋一同も初めて見る物だったという。

そうこうしているうちに目的の場所へ辿り着き、アルを先頭に入店した。

 

「こんにちはマスター」

「おお、アルさん!今回はどんなご用事で?」

「いつものをお願いするわ」

「承知で。……ところでその方は?初めて見るお顔だ」

「紹介するわ。私の師であり、連邦捜査部を率いているハリー・キャラハン先生。そして、アビドス高校3年の小鳥遊ホシノさんよ」

「よろしくお願いしま〜す」

「おお、道理で!噂はかねがね聞いておりますよ。……ここらじゃ大人の、しかも殿方は珍しいからね。ホシノさんもよく来なすった」

 

ハリーと店主は握手を交わす。

 

「よろしく。早速で申し訳ないが、注文をしても?」

「なんなりと。アルさんのお連れなら、サービスさせていただきますよ」

「ありがたい。これをちょいと用意して欲しい」

「どれどれ……」

 

ハリーから渡されたメモを見ると、主に弾薬のリストが書かれていた。

 

「12番スラッグとフレシェットにドラゴンブレス、.44と9mmのKTW、.40S&Wのアーマーピアシングが3ダースずつ、C4とTNT缶がそれぞれ15kgその他諸々……戦争でもおっ始めるつもりですかい?」

「まあ、近いうちに()()()()大規模な戦闘がある事は確かだ」

「……なぁるほど。だが、連邦捜査部の先生が、こんな違法な武器に手を出していいんですかい」

「手段を選んでる時間がないんだ。なにしろ相手が相手なんでね。……あんたなら用意できると、そこにいるアルのお墨付きなんだ」

 

名指しされたアルは軽く赤面する。

ハンチングの影から覗いた目が、3人を交互に見回した。

 

「こいつを揃えるとなると、少々値段が張りますぜ?」

「承知の上さ。早ければ早いほど、額は上乗せするよ。……それともうひとつ」

「なんでしょう?」

()()()()()の情報が欲しい。持ってる物全てだ。それからこのマーケットの地図も頼むよ」

「……こりゃあ上客だ」

 

 

店主から在庫を出すまでの間、店内を見て待つようにと言われていたのでハリーはその通りうろうろしていたが、気がつけばその場に立ち尽くしていた。

それは目立たぬ所に、だがしっかりとオーラを放ち、そこに存在しているからだ。

だからこそ気になって、手に取ったのである。

 

───なぜ、こいつがここに?

 

「旦那ァ。そいつは売れ残りだ。今ならお買い得ですぜ」

 

ハリーの手の中にあったもの。それは、多少の埃は被りつつも木箱の中にきちんと納められた、ステンレスの輝きを放つ.44オートマグだった。

 

「うへ、オートマグじゃん。しかもおじさんが知ってるのよりバレルが長いね」

「ああそうさ。……こいつは以前助けたガンスミスにもらった、世界にひとつだけの逸品だからな」

「へ?てことはこれ、先生の銃なの?」

「ここに来る前のな。それがまたどうして……」

 

彼はオートマグを箱から取り出し、グリップを握る。

すると、やはりと言えばそうか、その銃はハリーの手にしっかりと馴染んだ。

 

「なあ店主。こいつを買う前に、撃たせてもらう事はできるかい」

「もちろん。裏のレンジへご案内しまさァ」

 

そしてレンジに立ったハリーとホシノ。

彼は弾倉へ弾を込め、スライドを引いてチャンバーに1発送り込む。

前方の人型の的へ狙いを定め、発砲した。

続けて2発、3発と撃っていくうちに、ジェニファーを盾に襲いかかってきた悪党どもを思い出していた。

その時もこの銃のおかげで、奴らを返り討ちにして地獄へ叩き落とせたのだ。

 

───間違いない。こいつは俺の銃だ。

 

1本目のマガジンを撃ち切り、次を装填しようとした時、ホシノが声をかけてくる。

 

「ちょっとそれ、おじさんにも撃たせてくれないかな〜。どんなもんか興味が湧いてきてさ〜」

「12ゲージよりじゃじゃ馬だと思うがな」

 

と言いながらも、マガジンと一緒に彼女へ手渡す。

ホシノは小さな片手で狙いを定め、引き金を絞る。

背丈が小さく、身体つきも華奢なホシノが果たしてマトモに撃てるのか?

そんなハリーの思いは杞憂だった。

弾は全て、的の中心に命中したのだから。

 

「いい銃だね〜」

「お褒めにあずかり光栄だ」

「……先生、撃ってる時なんだか怖い顔してたよ?」

「ん?あぁ。ちょっとな」

「……ふ〜ん。先生ってば、あまり自分の事を話さないよねぇ」

「そうか?」

「ジョン先生はなんだかんだで家族とか昔の事を教えてくれるのにさ〜。ハリー先生は奥さんの事とかちっとも言わないじゃん」

 

ホシノはハリーをじっと見る。

そのオッドアイはハリーの目を通じて、彼の心の奥も捉えようとしているようだった。

 

「……言ったってつまらないだけさ。普通に結婚して、普通に生活し……そして死んだ」

「……そうなんだ」

「彼女に何の罪も無かった。夜遅くに運転してたら、飲酒運転の車に突っ込まれて、そのままさ。……キヴォトスじゃあ人が死ぬ話はタブーなんだろ?」

「みんなヘイローがあるからねぇ。……人が死ぬって時は、相当な事が起きた場合だよ

 

ホシノは後半は小声で呟くが、ハリーにはしっかりと聞こえていた。

 

「……お前さんも過去に何かあったクチだな。だが、今は聞かないでおくよ」

「……今よりもっと先生達を信じられるようになったら、その時に話すね」

「ああ。それでいい」

 

 

その頃、店内にいたアルは2人がレンジに行ったことにも気づかずに、あるディスプレイへ釘付けとなっている。

戻ってくるなりそれに気づいた店主が声をかけた。

 

「アルさん。そいつが気になりますかい?」

「そ、そうね……」

 

アルが夢中になっていた銃。それは、彼女の愛銃ワインレッド・アドマイヤーと()()()()()()()()が施されたスタームルガー・スーパーブラックホーク7.5インチだった。

 

「こいつの名前は【シークレット・デザイア】。……あんたの先生、.44マグナム弾をしこたま買いなすったが……これも()()()()は同じ仕様だ。アルさん、あの人に憧れてるね?」

「………」

「……しかしこの銃は特注でしてね。ちょいと手を加えて、レッドホークみたく.454カスールを撃てるようにしてるんでさ」

「……それじゃあ、先生と弾の共用は出来ないわね」

「ところがぎっちょん。今なら元の弾薬に戻せる交換キットをつけますぜ。しかもワンタッチだから、火事場でも余裕で交換できるって寸法で」

 

店主はキットの箱を彼女に見せる。

 

「これなら練習すれば早撃ちだって目じゃない」

「……お幾らかしら?」

「ふふふ……。通常であれば、あんたの手の届かない値段ですよ。……でもね、アルさん」

 

店主は優しい笑みを浮かべながら、アルを見つめる。

 

「あんたの先生。あの人は、アタシの見立てによりゃかなりの大物だ。いつかこのキヴォトスで、でっかい事をやらかすと思うね。そこで……」

「な、なによ」

()()()()()()()()()()()があるんなら、アタシがその心意気を買いますよ。なのでお代としてコイツは持ってって下さい」

「えっ……」

「いいんです。あんたは毎度うちを贔屓にしてくれているお客様だからね。先生への紹介料ってことで、受け取って欲しいんですよ」

 

アルはわたわたと両手を振る。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!それじゃあ私の気が済まないわ」

「……ふむ。それならひとつ頼まれちゃくれませんかね」

「いいわよ」

「カイザーを相手にするなら、奴等に没収された大事な財産があるんですよ。そいつを取り返して下さい」

 

店主は懐から紙切れを取り出すと、ショーケースから取り出したブラックホークと一緒に彼女へ渡した。

 

「これがそのリストです。ご健闘を祈りますよ」

 

 

そして、3人が去っていく背中を見つめながら、店主は呟いた。

 

「……あの銃、貴女以外に渡す気はなかった。ゲヘナでずっと私を守ってくれてたお礼だなんて、言えるわけないよね。アルちゃん覚えてるかな」

 

店主───いや、ハンチングを取った1人の少女は1枚の写真を愛おしそうに見つめる。

そこには彼女と、()()()()()()()()()()()()姿()()()()が、2人で仲睦まじく写っていた。

 

「───ありがとう」

 





いかがでしたか?
ヘルメット団にオリキャラが登場しました!性格や持っている武器などを考える時間がとても楽しかったですw
それから、ハリーの手元に"伝説のオートマグ"が返ってきました。これをホシノが撃つ場面は書きたかった所でもあります。

さて、次回予告をば……


読者の皆さん、楽しんでもらえたかしら?陸八魔アルよ。
先生達にお店を紹介できて、とても光栄だったわ。
次回だけど、アビドス一行はやっとカイザーへ踏み込むの。私達が先頭だから、少し緊張するけど……便利屋の名に恥じぬよう精一杯貧乏企業を演じさせていただくわ!
最後に……このお話が気に入っていただけたなら、お気に入り・ここすき・感想をいただけると軍曹の励みになるから、どうかよろしくお願いするわね。

【Dirty Abydos 5】、チャンネルは決まりよ!
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