お久しぶりの投稿になってしまいました事、どうかお許しください(土下座)
転職がうまく行かずにバタバタとしておりました(汗)
さて、ここから皆様お待ちかねの銀行強盗が始まります。
ついに無自覚な大悪党(?)が登場します!
それではどうぞ!!
「ちょっとそれ、どういう事よ!?」
ダンと大きな音を立て、沢山の絆創膏が貼られた両手が机にぶつけられる。
カイザー銀行のロビーにはアルを始め便利屋の姿があった。
彼女の大きな声で場内は静まり返る。
その様子を目の当たりにした受付ロボットは不快感を隠さずに応対した。
「ですから、何度もお話ししてるでしょう。貴女達のような零細企業に融資するお金はないと言っているんです」
「どうしてなのよ!?便利屋68は立派な会社だわ。業績だってあるんだから!!」
「どうせ誰でもできる仕事でしょう?大変失礼ですが、貴女達のような仲良しこよしが集まった不安定な集団にご融資した所で、返ってくる保証は無いと思いますが」
──こ、こいつ……!!
アルは瞬間湯沸かし器の如く、頭に血が昇っていく感覚を味わった。
今すぐにでも腰のガンベルトに挿した.454カスールをご馳走してやりたい所だが、それを彼女の理性が
──落ち着け私。これは演技よ。今に見てなさい……ッ!
「そっ、それでもお金は必要なのよ……!」
「それでは、他所をお探し下さい。これ以上食い下がるようでしたら警備を呼びます」
──掛かった!
「上等よ!ここであなたたちの悪行を全て───」
「セキュリティ!コイツらをつまみ出せ!!」
それが合図だった。
先に乗り込んでいる便利屋の耳には、骨伝導イヤホンに偽装したカメラ──もちろんイヤホンマイクとしても機能する───が装着されている。このカメラを通じて銀行内の様子を逐次、主要なメンバー達に中継していたのだ。
オペレーターが叫び、様々な箇所の扉から銃を構えたオートマタが出てくる。
その刹那。
轟音と共に正面玄関が粉砕され、カイザーPMCのロゴが入っているBTR-80型装甲車がバックで突入してきた。
車の扉が開き、中から大量のヘルメット団員が出てくる。
「なっ、なん───」
「ガタガタ抜かすな!ぶち喰らわすぞォ!!」
BARを持った小柄なヘルメットが、男性かと間違えそうになるくらいのドスの効いた声で叫ぶ。
アルの記憶では、彼女は人懐っこい小柄なボクッ娘だったはずだが、その声は一体どこから出しているのだろうか?
「
ミーナが片手で天井へ発砲。すると、発射された30-06弾の勢いは衰える事なくシーリングファンへ直撃、そのまま落下させた。
床へぶつかったファンは激しく損壊し、それをきっかけに場内にいた一般市民が悲鳴を上げながら我先にと出口へ殺到していく。
便利屋もまた避難する市民へと紛れるが、一瞬だけレイに目配せすると、事前に調べておいた死角へと隠れた。
「ムツキ。爆弾は?」
「へっへ〜ん。ここにあるよっ!」
例の学生鞄を下ろしてジッパーを開ける。
その中にはC4爆薬やその他火薬類が所狭しと詰まっていた。
「さあみんな。
アルとカヨコは信管をセットし、受け取ったハルカとムツキが予め決めておいた場所へ仕掛けていく。
一方ヘルメット団はというと、警備のオートマタを始末する為に激しい銃撃戦を展開していた。
弾丸が飛び交う中でも臆ともせずに、カウンター内へ銃を向けながらレイとミーナが受付ロボットと話をしている。
「さて。アタシ達が何しに来たかは分かってるわよね」
「…………」
「さっさと金庫を開けろよ。じゃないとあのセキュリティみたいな目に遭わすぞ?」
「……わかった。今開けるから待ってくれ」
受付ロボットはボタンへと手を伸ばし、そして押下した。
だがそれは金庫を開ける為のものではなく、代わりにけたたましい音と共に館内のあらゆる所からベルが鳴り響いた。
「この野郎!!」
ミーナは機関銃の銃床で受付ロボットを殴りつける。
「民間人に手を出さない!……便利屋。予定が早まったわ!」
『なっ、なんですってーーッ?!』
「白眼を剥いてる暇があったら、今すぐメインの金庫を探すのよ!!」
『……わ、分かったわ。室長、課長、あー……平社員!
「1号!こっちの金庫はどうするのさ!?」
「TNTで爆破よ!」
「了解。うちが行くわ」
黄色い缶を持ったラブが、カウンターをするりと飛び越え奥へ向かう。彼女のバイザーは下りている。
扉を蹴破ると、金属製のドアが見えた。
「確か預金はここに入れてあるはず。これをこうして……」
電子ロックの部分に爆薬をセットする。
そして、非電気式雷管のつまみを力一杯引き抜いて点火させると、彼女は急いで物陰に隠れた。
数秒後、激しい音を立てて爆弾が炸裂し、見事にロック部分が吹っ飛び扉が開いた。
『こっちの金庫は開いたわ!便利屋の方はどう?』
「目的の物は見つけたわ。ただ……」
アルは物陰から入口を覗く。
その瞬間に、弾丸の嵐が襲いかかった。
「流石メインね。簡単に入れてくれそうにない」
『分かった。今行く!』
「助かるわ。だけど、早く来てくれないと持たない!」
『しゃ、社長!?』
「平社員!私に構わず任務を全うしなさい!」
『はっ、はいぃ……』
救援が来るまでの間、アルは耐えなければならない。
彼女は近づいてくるオートマタに向かって、.454カスール弾をお見舞いしていく。
まだ慣れていない銃なので撃つ度に腕がビリビリと痺れるが、脳から分泌されるアドレナリンがそれを無効化する。
ハリーの.44マグナムよりも高い威力を誇る弾丸は、強装弾と言うこともあってか容易くオートマタをぶち抜いていった。
しかし圧倒的な物量を前にして弾はすぐに撃ち切ってしまい、再装填をしなければならなくなった。
──まずい!
ブラックホークはその構造上、1発ずつしか装填できない。
アルは慌てて弾を取り出すが、手からポロリと落ちてしまった。
「しまった!」
落とした弾を拾おうとする。
が、次の瞬間、アルの脇腹に強い衝撃が走った。
「ぐふっ?!」
どうやら5.56mm弾を受けてしまったようだ。
パンチを喰らったような痛みが襲ってくる。
屈んだまま立てずにいると、彼女のこめかみに冷たく固いものが当たる。
それは、オートマタの持つアサルトライフルの銃口だった。
アルが病院行きを覚悟した時だ。
目の前のロボットはバラバラに砕け散る。
背後に振り向けば、硝煙上がるBARを持ったミーナが立っていた。
「危ない所だったね。ちょっと仕返ししてくる!!」
そういうなりヘルメット団の副隊長は敵の前に躍り出ると、その圧倒的な火力で次々と引導を渡していった。
「さあ、敵は片付けた。ちゃっちゃと用事を済ませちゃおう!」
そして2人は穴だらけの扉を潜り抜けると、どこから見ても頑丈そうな金庫の扉の前に立った。
「これが、メインの金庫……」
「表にあるのとは段違いに堅そうだね。……ボクはここで援護してるから、早いとこ吹っ飛ばしちゃって!」
「ありがとう。そうさせて貰うわ」
とは言ったものの、アルはどの爆薬を使うかわからなかった。
ミーナは適当なデスクをバリケードに見繕い蹴り倒すと、二脚を展開して銃を据え付けていた。
「ど、どうすれば……」
『社長。カバンからC4を取り出して、どんぶり大の塊を3つ作ってください!』
「な、なるほど。これね……」
持っていたカバンから粘土状の爆薬を取り出す。
そしてうまいこと千切ると、手の中でこねて団子のように丸めていく。
「どんぶり、ね……。ふふっ、柴関に行きたくなったわ」
『出来ましたか?次はそれを……』
「ロック部と蝶番にセットして、信管を取り付けるのね」
『その通りです。静電気に注意してください』
アルはそれぞれの塊に赤いものと青色のコードを埋め込むと、受信機にセットした。
「ミ……2号!準備ができたわ。隠れて!」
「あいあいさー!」
ミーナが隠れたのを確認したアルは懐からスイッチを取り出す。
「派手にやるわよ。……せーの!!」
彼女はひと息置いてから、レバーを素早く9回叩いた。
轟音と共にビルが激しく揺れ、パラパラと塵が落ちてくる。
『金庫が開いた!目当ての物を捜索するわね』
「社長さんやりましたね!早いとこ──ふんぎゃろ?!」
団員が、ヘルメットから派手に火花を散らしながら倒れる。
全員が入口に注目すると、銃を構えた中年が2人──この数日間でもっとも見知った顔である──が発砲しながら入ってきた。
「連邦捜査部だ!今すぐ全員銃を捨てて膝をつきやがれ!!」
「ちょっと?!警告は撃つ前にするもんでしょ!?」
「うるせえ、ミランダなんか知ったことか!!そんな余裕が欲しけりゃそのヘイローよこせ!!」
レイは叫び、2人の大人に続いて5人の生徒が入ってくる。
それぞれ派手な色をした覆面を被っていた。
「ヘイローって……そんな無茶な」
「おじさんたちは本気で行くよ〜」
「ガチンコ勝負だ。悪く思いなさんな」
「もう……勝手なんだから!!」
レイはボヤきながらも挿していたHScを抜いて、ハリーとマクレーンへ応戦を始めた。
同じ頃、銀行の外にて。
紙袋を被ったファウストこと阿慈谷ヒフミは、どうしてこうなったのかをいま一度考えていた。
鳴り止まぬ銃声。
響く怒号。
爆発四散するオートマタ。
そして、逃げ惑う一般市民。
───いったい私が何をしたのか?
ヘルメット団のひとりから声をかけられるが、くぐもってよく聴こえない。
爆発や銃弾に巻き込まれないよう物陰で小さくなりながら、側に転がってきたオートマタの頭部も気にせず彼女は
遡ること1日前。
ヒフミはいつも通り、ある目的を遂行するためにブラックマーケットへと赴いていた。
その途中でスケバンなどに絡まれ裏通りを駆使して逃げるのも、彼女にとってはさして変わらない日常だ。
だが、いつもと違う出来事がふたつ起きた。
ひとつは、スケバンがしつこく追いかけてくること。
そしてもうひとつは───
「おごっふぁ!?」
背後を気にしながら走っていたので、前から歩いてきたスキンヘッドの
「どっから出てきた!?ちゃんと前見て走れ!!」
「ご、ごめんなさ〜い……」
よたよたと立ち上がる2人に、追ってきていたスケバンが辿り着く。
「てめえ逃げてんじゃねえ!!」
「金よこせっつってんだろが!!」
4人の不良のうち1人がヒフミの肩を掴むと、そのまま引き摺ろうとする。
「ぼ、暴力反対!やめて下さいぃ……」
彼女は振り解こうとするが、その力は強く簡単には逃れられなかった。
しかし、掴まれた手が跳ね除けられる。
「おいお前ら嫌がってんだろが。さっさと離しやがれ」
「あぁ!?誰だオッサン」
「誰でもいいだろ。早いとこ消えろってんだ……今なら許してやる」
「うるせえクソハゲ!!」
スケバンの1人が、持っているミニガンを向けようとする。
が、それより先に1発の銃声が轟いた。
「……?」
男の背後にいる生徒が撃ったようだが、よく見るとその手に握られているはずの銃がどこにもない。
彼女は絆創膏が何枚か貼られた手を痛そうに振りながら、地面に落ちたリボルバーを拾おうとしていた。
「……どこ狙ってんだよマヌケ!」
再度狙おうと銃口を向ける。
が、そこから弾丸が撃ち出されることはなかった。
理由は単純。上から落ちてきた長方形の鉢植えが2人のスケバンに直撃したからだ。
「ハンムラビ!?」
「ムハンマド!!」
残りは2人だ。
「よくもダチを……!構わねえ、畳んじまえ!!」
「お、おい待て……」
1人は突っかかってくるが、もう片方の顔は青ざめていた。
「あん?俺の顔になんか付いてんのか?」
「み、見てみろよ。こいつ、噂の……」
「げっ!ここ数日マーケットで片っ端から同胞を
2人の顔色はみるみる白くなっていった。
「「かッ、狩りオヤジだァーーーーーッッッ!!!!」」
「なんだそのネーミングセンスは!!親父狩りしてる立場のくせしやがって!!!!」
一目散に逃げていったスケバン達に怒鳴る1人の大人。フンと一息つくと、ヒフミに声をかけてきた。
「狩られる前で良かったな。大丈夫か?」
「あっ、ありがとうございますっ!」
ヒフミはぺこりとお辞儀をすると、また何処かへ走ろうとした。だが、マクレーンが呼び止める。
「待て待て。こう言っちゃなんだが、こうして助けてやったんだ。名前くらい教えてくれたっていいだろうよ」
「わ、私は阿慈谷ヒフミといいます。トリニティ学園の生徒です」
しばらくして、道端のベンチに座っている3人は近くの露店で購入した鯛焼きを食べていた。
特にマクレーンはあんこの味が気に入ったようで、追加でいくつか買って、それぞれふた口で頬張っていた。
「この魚のクs……じゃなかった、スイーツはいい味してやがる。ハリーにも買ってってやるか」
「ちょ、言い方がストレート過ぎないかしら?」
「お気に召したようで。よかったです」
「ああ。ドーナツよか、こっちのが案外俺の口に合ってるのかもな。しかし……」
マクレーンは辺りを見回す。
「どこかに自販機はねえかな……コーヒーが欲しくなっちまった」
「それなら……あそこにありますよ!」
ヒフミが指差した方向には、きちんと手入れされているか怪しい自販機が1台佇んでいた。
「おいおい……。本当に大丈夫なんだろうな?あれ……」
「見かけの割には、すっごく品質がいいんですよ!先生はコーヒーはブラックですか?」
「あ?あぁ……時と場合によるが、少なくとも今は苦いのが欲しいな」
「私も同じ事を思っていたわ」
「おいアル。無理して背伸びしなくてもいいんだぞ?」
「んなっ?!なんですって!?」
プンスカと怒るアル。
「あ、あはは……。それなら、ゾージアの"香り高い無糖"がオススメですね」
「おう。じゃあそれにするか」
マクレーンは自分とアルのコーヒー、ヒフミにはカフェオレを買い、それぞれに渡してやった。
そして、缶のタブを開けたマクレーンがひと口すすった。
一瞬間を置いて、彼はヒフミに質問する。
「ヒフミ」
「はい?」
「おたくは……何者なんだ?」
「え?わ、私はトリニティの」
「あー違う違う。そうじゃなくてだな……」
「あなたはどうしてブラックマーケットの事情に詳しいのか。私もさっきから気になっていたわ」
「えっ」
「だってそうでしょう?ここに通い詰めている私ですら知らない、地図にも載っていないような裏道を知ってるし、この鯛焼きや缶コーヒーが美味しい事まで網羅してる。もしかして……」
「何らかの犯罪に手ェ染めてんのか?いち教師としてはいただけねェ話だな」
マクレーンは腕を組む。
「ちっ、違います!これには訳があるんです……」
ヒフミの顔に影が差す。
「訳って何かしら?」
「待てアル」
詳しく聞こうとするアルを、1人の刑事が止める。
「ここじゃなんだ。とりあえず拠点に戻ってから聞くとしようぜ」
そしてヘルメット団の基地に戻り事情を聞いたマクレーンは、椅子からズリ落ちていた。
「おいジョン」
ヒフミとノノミがペロロ様の話で盛り上がっている光景を目にしながら、ハリーが問う。
「彼女、あんなキャラクターの為にマーケットに出入りしてたっていうのか?」
「ああ。どうやらそうらしいな……思ったより筋金入りみたいだ」
「こりゃあ、ひょっとすると……」
「おいハリー?まさかおたく……」
「そのまさかさ」
そういいながらハリーは、ヒフミに声をかける。
「なあお嬢さん……ヒフミと言ったか」
「はい。先生もペロロ様に興味があるんですか!?」
「いや、そうじゃないんだが……ひとつ協力してくれないか?」
その結果、ヒフミは戦場のド真ん中で頭を抱えてうずくまる事になったのである。
「はっ、激しすぎるよぉ……」
「ファウスト!」
「ひゃっ、ひゃい!!」
「用事は終わったわ。今度はあなたが引っ張る番よ!!」
レイに首根っこを掴まれた彼女は、そのまま
そしてヒフミの膝へ乱暴にアタッシュケースが置かれた。
「私が運転するわ。2号は銃座に!」
「よーそろー!!」
レイがエンジンをかける。
後ろからは、スキンヘッドの
「……行くわよ!!」
ギヤを1速に入れ、乱暴にクラッチを繋ぐ。
タイヤが激しくスキールしながら、車が急発進。
そして銀行が派手に吹っ飛ぶ。
ヘルメット団は逃走を開始した。
いかがでしたか?
個人的には、アルちゃんがいい役割してるなと書きながら思いました(笑)
あとは、モブの断末魔(?)も入れたかった言葉を入れてみましたw
さてさて、次回の逃走パートはどんな展開になるやら……
それではまたお会いしましょう!
お気に召していただけたら、ここすき、評価、感想をいただけると励みになります!!
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