ダーティハリー キヴォトス・ハード   作:さんめん軍曹

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こんばんは、さんめん軍曹です。

2週間ぶりの投稿になってしまい大変お待たせしました(土下座)
いよいよ戦闘に入ります。
今回は何部かの構成に分けて執筆する予定です。
なお、戦闘ですので、それぞれのキャラが気絶したりするシーンがあります。
念のためですが、苦手な方は前半のみでお楽しみください´д` ;

それではどうぞ!!


Dirty Abydos 1

 

「よう便利屋諸君。随分早い再会だな、歓迎するぜ」

「ジョ……マクレーン先生。知ってるでしょうけど、私達はカイザーに雇われた。だから、あなた達アビドスと決着をつけに来たわ」

 

ある日の正午を過ぎた頃。

アビドス高校の校庭にて、2人の教師に引率された生徒と便利屋が対峙していた。

 

「あの時サービスしてあげたのに……恩を仇で返しに来たなんて!」

「待てセリカ。こいつらにゃこいつらなりの理由があって来たんだ」

 

激高するセリカを宥めるハリー。

 

「聞かせてもらおう。なぜ、ここに来たのかをな」

「お友達の傭兵はどうした?腹でも下したか」

「言ってくれるわね……。彼女らにはお引取りいただいたわ」

 

マクレーンは口笛を吹く。

 

「やるじゃないか。よっぽど俺らが弱いと見えるらしい」

「そうじゃない。……ただ、そうしないと先生達に失礼だと思ったから」

「ほぉう?」

「この間先生に言った事。ここであなた達とサシで決着をつけたら、私なりの答えを見つけられそうな気がする。……それだけよ」

 

ベレッタの安全装置が外され、.44マグナムの撃鉄が起こされる。

 

「それなら……体育の授業(P.T.)といこうじゃねえか」

「4人で俺らに立ち向かう、その勇気は褒めてやる。だが手加減はしないぞ」

「上等よ。さあ、私達に()()をしてちょうだい」

 

互いの陣営が地面に向かって足を踏みしめた時。

 

 

「ちょっと待ちなよ。うちらもぜひお手合わせ願いたいわね」

 

全員が声のした方に振り向くと、門の外には不敵の笑みを浮かべたラブが率いるジャブジャブヘルメット団が立っていた。

 

 

時は少し前に遡る。

 

ロボットが借金の取り立てにやって来て、生徒達は今月分の資金を彼らに納めている。

バンにはあの"カイザー"の文字がでかでかと掲示されているのを目の当たりにしたハリーとマクレーンは、この企業への嫌悪感を最大級に感じていた。

 

「まったく。ここでも"カイザー"か」

 

マクレーンはたばこに火をつける。

 

「なあジョン。なんだかキナ臭いと思わないか?」

「ああ。なぜ奴等はここを襲うように仕向けていながら、金を取りに来る?」

「その答えはラブが持ってくるはずだ。アビドスの生徒達はホシノ以外気づいていない。……それまではオフレコだ」

 

ここで、ハリーのスマホの通知音が鳴る。

画面を開いて覗くと、とある人物からのメッセージだった。

彼は内容を確認すると、それを相棒へ見せる。

 

「こいつをどう思う?」

「こりゃあ……」

 

同じくメッセージを確認したマクレーンは、ハリーへニヤリと笑みを浮かべた。

 

「面白ェじゃねえか。準備して待ってるとしようぜ」

 

 

場所は変わり、いつもの教室にて。

カイザーへ返済金を納めたところで全員を集めて会議が開かれた。

 

「あのクソったれカイザーめ。なぁにが"いつもご利用ありがとうございます"だ。いつかひでえ目にあわせてやる」

 

マクレーンはボヤきながらリモコンのスイッチを連打している。

しかし、故障してから長らく放置されていたエアコンは生き返るはずもなく、ただ沈黙を貫いていた。

彼は諦めてリモコンをポケットに突っ込む。

 

「どうやら先生達はカイザーをご存知のようですが……?」

 

マクレーンの愚痴を聞いたアヤネが質問をして、ハリーが答える。

 

「ああ、嫌というほどにな。俺達がここへ来る数日前に、シャーレが襲われたのを知っているか?」

「はい。クロノス・タイムスの一面を飾っていましたから」

「あの新聞はあまり当てにならんが……まあ、あの襲撃に使われた兵器の流出に関与したのが、どうやらカイザーらしい」

「んで、この間のKATA-KATAの基地。あそこにもカイザーの最新鋭の車両が配備されていたのをハリーとホシノが見た。こいつァ臭うと思ってな」

「確かに。奴等にしては豪華すぎるね」

 

シロコはうなづく。

 

「だろ?あそこまでの兵器を揃えるには、まず金が必要だ。おたくらみたいにな」

「この間、シバセキでラブに聞いたんだが……ヘルメット団は中退や停学にされた生徒が集まる不良集団で、普段は自販機の下を漁るほどに資金繰りに苦労しているそうだ」

「という事は、どっかから金が流れているって事になる」

 

マクレーンはホワイトボードへ写真を貼り出し、一連の流れを書き込んでいく。その様子を眺めていたホシノが、なんとなく呟いた。

 

「なぁるほど〜。だからハリー先生は、あのヘルメット団のリーダーに"調査"を依頼したんだねぇ」

「ああ、その通りだ。奴等の事を知りたければ、内部に精通している人物に聞く方がいちばん速い」

 

ハリーは水を飲む。

 

「さすがはおまわりさんですね、先生♫」

「ん、あぁ……それから、あのラーメン屋にいた便利屋と名乗った生徒達だが……」

「あいつらも一枚噛んでる可能性がある」

「なんですって!?」

 

セリカが憤慨する。

無理もないだろう。よれよれだった姿に同情してラーメンをサービスした集団までもが、自分らを襲いに来るのだから。

 

「俺がラブに"カイザー"と言った瞬間、メンバーのうち1人が反応した」

「カヨコと言ったか。彼女が便利屋のブレインらしいが、俺らに悟られるようじゃまだまだ甘いな」

 

マクレーンはそう言って、クリップに留められた4つのファイルを机の上に放った。

 

「これが便利屋のデータだ。あいつらはどうやらゲヘナ学園とやらを()()()()休学しているらしい」

「俺らがプロファイリングした結果だが……遅かれ早かれ、奴らはここへ来るだろうな」

「その時は、きっちりとお灸を据えてやるわ!」

 

開いた片手に拳を打ちつけるセリカ。

他のメンバーも気持ちは同じようだ。

それを確認したマクレーンは机に両手をつく。

 

「まあそういう訳で、もうすぐラブは証拠を持ってここに来る手筈になってる」

 

そこで、ハリーとマクレーンは互いの顔を見た。

 

「「ただし、条件付きでな」」

 

 

そして、アビドスの校門。

対策委員会が会議している中で、あの4人組が門の前に立った。

 

「とうとう、この時が来てしまったわね……」

 

────────

 

昨夜の事である。

アビドス襲撃当日に備え準備していた便利屋の事務所に、何とマクレーンが単身で乗り込んできたのだ。

しかも銃を持たず丸腰で、である。

キヴォトスにおいて銃を持たないと言うのは、ヘイローが無い人間にとっては自殺行為も同然だ。

そんな彼の行為に驚きつつも警戒を続ける便利屋など気にせず、ソファにどっかりと座ったマクレーンは彼女らに語りかけた。

 

 

「いいイスじゃねえか。……ひとつ聞きたいんだが、お前らは何のために銃を取る?金の為か、それともプライドがあるのか?アウトローってやつの」

 

「俺ァ意地ってやつで銃持って走り回ってる。まぁプライドみたいなもんか。……最初はテロに巻き込まれたカミさんを救う為だった」

 

「それからというもの、何かにつけて俺はデカい事件に巻き込まれるようになっちまった。なんにも悪いことなんかしてねえのに」

 

「だが、俺以外にこの役回りをする奴なんかいる訳ねえし、出来るのは俺だけしかいないとも思っちゃいるんだ。本当ならすぐにでも代わりたいが、そうもいかん。だから銃を取り、泥の中でも駆けずり回る」

 

「相棒のハリーだって同じ考えのはずだぜ。あいつは奥さんを事故で亡くして……まぁ気になるなら本人に聞け」

 

「おたくらの雇い主も、お前らがこれから何をするのかもおおかた調べはついてるんだ。だから明日にゃお互いに銃口を向けることになるだろうぜ」

 

「なあお嬢さん方。だから俺は聞きに来たんだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?ってな。……今は具体的に言えなくてもいいさ。明日の任務が終わるまでの宿題だ」

 

「俺ァ待ってるぜ。だから全力でぶつかって来い。意地ってやつを身体で教えてやる……それじゃあな」

 

────────

 

 

「アル、膝が震えてるよ」

「むっ、武者震いよ……!アウトローたるもの、ここから逃げる訳にはいかないんだから……ッ」

 

本当なら彼女はこの戦闘だけは避けたかった。

アビドスの生徒達ならまだしも、()()2()()の強さをこの目で見てしまっているからだ。

正直言って、勝てる確率はほぼゼロである。

それでも。

 

「あの2人は先生。もしこの襲撃が間違っていたとしても、それを正してくれるのが役目のはず」

「くふふっ。アルちゃんたら、まだ会ったばっかりの大人達を信用してるんだ〜?」

「言ってくれるわねムツキ……。ただ、昨日のジョン先生と言い、彼等は純粋な敵とは思えないのよ。だからこそ、拳を交える必要がある。そう考えただけ」

「またまた張り切っちゃって〜。せっかく全財産使って雇った傭兵もドタキャンしちゃったもんね!返金なしで」

「ぐっ」

「まあそれでアルちゃんなりの答えが見つかるんならいいんじゃな〜い?」

 

ムツキが機関銃を構える。

カヨコもホルスターから拳銃を抜き、

ハルカもオドオドとしながらチューブに散弾(12ゲージ)を込めていく。

 

「わっ、私は……アル様とならどこまででもついて行きます……!」

「いつもありがとう、ハルカ。……それじゃあ準備が出来たなら、行くとしましょうか」

 

アルもまた、愛銃"ワインレッド・アドマイヤー"の レバーを引いてホールド(H&Kスラップ)すると、弾倉を外して確認。

もう1度差し込むと、レバーを叩いて戻した。

 

 

そして冒頭の流れになる。

 

 

校庭を風が吹き抜けていく中、3つの勢力は無言で立っていた。

タイミングを図っているのだ。

 

そして風が止み、昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。

 

その音色は、ハリーやマクレーンが元々いた世界と何ひとつ変わらぬ鐘の音である。

それは2人の刑事が懐かしく思う音であり、これから()()として仕事を始める合図でもあった。

 

最後の鐘が打ち終わり、その余韻が響いていく。

 

それすらも無くなった時、マクレーンは躊躇なく引き金を引いた。

それを合図に全員が一斉に動き出した。

 

「さあはみ出しもんのテメエら!人生の補習授業だ!!」

「危ない先生!」

 

早くもマクレーンに弾が飛んでくるが、ホシノがすぐさまライオットシールドを展開して彼を守る。

ハリーはラブの相手をしつつ、ヘルメット団を片っ端から片付けていた。

 

「ぎゃんっ?!」

「先生……やったわね!!」

 

ラブが手榴弾を投げる。

シロコがハリーを押し倒して庇い、身を挺して彼を爆炎から遠ざけようとした。

そこへ鉄パイプを持ったマクレーンが走ってきた。

 

「トップバッター、ジョン・マクレーン!」

 

すかさずパイプをバットの代わりにして手榴弾を打ち返す。それは、ヘルメット団のド真ん中に向かって飛んでいった。

 

「おおっとぉ!満塁SAYONARAホームランだァ!!」

「「「うわあああああっ!!?」」」

「ハリー!残りのZABU-ZABUも片付けろ!!」

「もちろんだ」

 

その刹那、マクレーンの側を.40S&W弾が通過した。

 

「うおっ?!あぶねえ!!」

「マクレーン先生の相手は私達だよ!」

 

カヨコが叫ぶ。

マクレーンはガラスをぶち破って教室へ飛び込んだ。

 

「ひいぃおっかねえ女だ全く!9mmかと思ったら40口径かよ!?サプレッサー付けてても音でわかっちまうぜ!」

「あっはは〜っ!ジョン先生ったら、どこ見てるのかな〜?」

 

ムツキの声と共に、もう一方のガラスが派手に割れる。

そこに振り向けば、通常より何まわりも大きな学生鞄が落ちていた。

 

「やァばい……!!」

 

危機を察知した彼が走り出してすぐに、そのカバンが炸裂する。

 

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ーーーーーッッッッ!!!!!」

 

プラスチック炸薬の爆風をもろに浴びたマクレーンは、清掃ロッカーに激しくぶつかった。

 

「クッソォ!なんなんだよあのカバン!!地球を丸ごと吹っ飛ばすつもりか?!」

 

今度はこちらから、仕返しと言わんばかりにベレッタを連射する。

 

「こちとらガキ2匹育て上げたんだ!中年舐めんな生娘共がァーーーーッ!!!」

 

ドカドカと9mmを撃ち込んでやりつつ、廊下へと向かう。

引き戸を思い切り開けると、目の前にはハルカが立っていた。

 

「アル様の為です。死んでください!!」

「うおわっ!?」

 

飛んできた散弾を辛うじて避け、床に落ちていた自在ほうきを手に取る。

そのままハルカの脛めがけてフルスイングした。

 

「いッ……!?」

 

フィジカル面で強いキヴォトス人でも、この打撃は流石に効いたようだ。

彼女はそのままの勢いで床に転ぶと、脚を押さえて悶絶した。

 

「悪いな。少しばかり寝ててくれや!」

 

これは命を張った戦いだ。

彼はそう自分に言い聞かせながら、ハルカの頭にベレッタをお見舞いした。

すぐに次へと切り替えるべくマクレーンが廊下へ躍り出ていくと、ハルカは薄れゆく意識の中でポケットの中のスイッチをなんとか押下する。

そしてそのまま気絶した。

 

 

「うおおおおおお!!!!いくらなんでも派手すぎるって!!!」

 

1人の刑事は廊下を全力疾走している。

その後ろでは、通り過ぎた教室が次々と吹っ飛んでいっているのだ。

 

「教師が廊下を走るなんて前代未聞だろ?!どういう教育受けてんだアイツら!!校舎が全壊したらどうすんだよ!?」

 

幸いにして、教室が爆破されても校舎そのものが倒壊することはないようだ。

どうやらキヴォトスの建物は全体的に、爆弾程度では崩れないよう頑丈な作りになっているらしい。

 

ようやく昇降口が見えた───と思ったら、玄関からカヨコが入り、こちらへ銃口を向けていた。

 

「ちくしょおおおおおお!!!」

 

そのままスライディングして彼女の横を通過すると、マクレーンは全力で階段へ走った。

 

「くっそ、なんかねえか……?」

 

踊り場を通過して駆け上がった先に、2階の廊下が見える。

そして彼から比較的目につきやすい場所に、手洗い場があった。

 

「アレだ!!」

 

彼はすぐさまホース付きの蛇口に飛びつくと、今来た方へ向けながら蛇口を捻った。

出口を指で潰しているので、狭くなった穴から水が勢いよく吹き出し、すぐ後を追ってきていた追撃者へ直撃する。

 

「きゃあっ!?」

「へへっ!どうだ?火遊びの次は水責めだ!!」

 

いきなり降りかかって来た冷水に驚いたカヨコは、階段を踏み外して落ちていく。

そしてとどめを刺してやろうとマクレーンが向かおうとしたその時、例のカバンが投げ込まれる。

 

「ひえっ!?」

 

咄嗟に伏せるが、うんともすんとも言わない。

どうやら爆弾は不発のようだった。

 

「驚かすんじゃねえ!……っと、なんだ?」

 

ポケットに違和感を覚えたマクレーンは取り出してみると、手の中にはリモコンが鎮座していた。

 

 

「くっ……。あの先生、ただじゃおかないから…!」

 

拳銃を握り直したカヨコが再び階段を上がる。

すると、先程の流しにマクレーンの姿は無い。

その代わりにムツキのカバンがど真ん中に置いてあり、少し開けられたジッパーからはリモコンが顔を覗かせていた。

 

「どこに行ったの……?」

「いるさ。ここにな!!」

 

背後から飛んできた声に振り向くと、銃を構えたスキンヘッドの教師が立っていた。

彼が何を狙っているかすぐに理解したカヨコだが、判断が一瞬遅かった。

 

「あばよ優秀なブレイン。いい夢をな!」

 

そのままベレッタでリモコンを撃ち抜く。

弾丸が電池の入っている部分を粉砕し、そこから流れた電流が中の配線を通じて電気信管へ送られる。

そして仲間が作った爆弾によって、彼女は爆発に巻き込まれていった。

 

気絶した彼女の身体へ、マクレーンは着ていたジャケットを被せてやる。

そうしないと色々と見えてしまうからで、それは彼なりの配慮であった。

 

「さて。外はどうなってるかね」

 

マクレーンは廊下の窓から校庭を眺めた。




いかがでしたか?
戦闘シーンはなるべくソフトに持っていきつつも、力を入れて執筆させていただきました。

〜次回予告〜

刑事ジョン・マクレーンが便利屋の半数を一掃していた傍ら、ハリー率いるアビドス組も襲撃に対抗すべく奮戦していた!
彼らはヘルメット団と便利屋を相手に、どう戦い抜くのか。

次回、Dirty Abydos 2

「考えてることはわかってるよ。チャンネルは決まったぜ」
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