未来視で幼馴染のことが分かるんだが、絶望しかない() 作:うずつるぎ
闇の霧に覆われた、結晶造りの魔王城。
その大広間に、華奢な少女の影が落ちる。
「……ふむ。予想していた結末とは、違っているが」
身に纏うのは、ただの上質な胸当て。
その手に握るのは師匠の直剣。
ルルアは右腕を喪失しておらず、確かに、未来は変わっているのだ。
だと言うのに。
「クックック……当代勇者、討ち取ったりと言ったところか?」
もはや深手を負うことすらなく立ちはだかる魔王。
仰向けに倒れたまま、二度と動かない勇者。
ルルアが心臓に風穴を空ける結末は──今も、変わらない。
♦♦♦
「……ッ!」
瞼を開くと仄暗い曇天が広がっていた。
雲の奥から僅かに光る星々。藍色の空。まだ早朝か。
オレはぼやけた右眼の痛みを手のひらで抑え込みながら、荒れ狂った吐息を、なんとか整える。
「……なんでだ」
なんで、ルルアの死ぬ未来だけは消えてくれない。
カスねぇの未来然り、レッシュの未来然り、これまで相対してきたクソな未来は、一度解決すれば二度と見ることはなかった。
なのにどうしてこの未来だけは。
やれることは最大限やっている。手も尽くしている。なのに、なぜ。なぜ! なぜッ!!
「随分と、うなされていたな」
ザッと、砂利を踏む音が聞こえた。
「……レッシュか」
見上げた先には、夜の遅番をしていた彼の姿がある。
と言うか、オレは寝ている間もうなされていたのか……精神面がクソ雑魚過ぎないか……?
レッシュは遠く、孤島で暗雲を渦巻く魔王城を眺めた。
魔海に落ちる稲妻の音だけが、西の果てを響いた。
「悪夢でも見たか」
ポツリと、声が零れ落ちた。
「…………ルルアが、魔王に殺される夢を見た」
させない。そんなことは絶対に。このオレの命に賭けても。
絶賛オレのことが嫌いになっただろう幼馴染に聞かせればドン引きされ、「気持ち悪い。もう二度と視界に入るところに存在しないで」と言われかねない激重決意である。
レッシュは短く相槌を返す。
「魔王城を前に弱気になったか?」
「……まさか」
ここは実質オレの故郷みたいなもんだぞ? 魔王城に近づくにつれて身体の調子は頗る良いし、むしろこのまま何かの拍子にオレが魔王にでもならないかだけが心配だ。
もしも未来でルルアを殺しているのがオレだったらどうしようか。
もう腹切りモノだね。
ニヤリと笑い返してやると、レッシュもまたフッと笑みを零した。
「何があったかは知らんが、サッサと仲直りはしておけよ」
「それはもう無理だぞ」
願わくば、オレのためにキャッキャと無邪気に笑ってくれる幼馴染をずっと眺めていたいものだったぜ……。
「放っておいたら、貴族にでも取り込まれるぞ?」
「……」
レッシュは冗談っぽく加える。
以前のオレなら、そんなのぜぇぇぇっっったいに嫌すぎてギャン泣き地団駄フルコースを敢行するところだったのだが。
まぁ……
オレの原罪を知った今のオレは、なんとなく、そう思う。
♦♦♦
薄気味悪い曇天に、弱弱しい陽光が差すようになった頃のこと。
西の果ての絶壁に伸びる四人の人影は、荒れ狂う魔の海峡を挟み、孤島に聳え立つ魔王城を見上げていた。
「さてはて、ここからどうしたもんだろうな」
魔王城と西の果ては、魔海に隔てられている。
愚直に挑むのなら、魔海を泳ぎ、断崖絶壁を登り詰める必要があるわけだ。まぁ、そんな風に汗水を垂らせば、荒れ狂う海のもくずとなって終了することは確定しているのだが。
尤も。
「風魔法で飛んでいくのが無難かな?」
オレ以外の三人は、風魔法で入り口まで宙を浮いて移動が可能だ。
「少し加減しろ! オレは魔力量ゴミカスなんだぞ!!」
「また少年がおかしなこと言い出したよ……」
理不尽すぎる世界に文句を垂れることのなにがおかしいと言うのか。
カスねぇへと振り向いたその時──。
──荒野を揺らがす大地震が、曇天をも響いた。
「「ッ!?!?」」
何事かと思って身構えるオレ達。
すると、遥か彼方の絶壁から、物陰が伸びてくる。
その土色をした何かは魔王城と西の最果てを繋ぐように直進し──ズドンと、大陸最西部の端に震動を轟く。
魔王城の建つ絶海の孤島へと繋がる、直通階段が誕生した瞬間だった。
「入れ、ということだろうな」
「途中で階段が崩れて、奈落へ放り出される気しかしないんだが」
「その時はお姉さんが脇を抱えて宙を浮いてあげるよ」
やれやれ。こーんな大魔法を使えるなんて、同じ依り代だというのに差があり過ぎるぜ。一体オレとシリウスになんの違いがあると言うのか。個体差なのだろうか。
「ルルアくん、お姉さんたちに聖力を貼り直してもらってもいいかな?」
「うん! 任せて!!」
カスねぇの言葉に満面の笑顔で頷くルルア。まずはレッシュ。続いてカスねぇ。ルルアは両手をかざし、二人を聖力で包み込む。
よし、今度はオレの番だな。聖力に浄化されそうになるオレのギャグで雰囲気を和ませるぞ。
「ルルア!」
「……」
先ほどまでの笑顔はどこへ行ったのやら、ルルアはぎこちなくオレから目を逸らした。
「」
……ウワァァアアッ!! 本格的に幼馴染に嫌われてるよぉ~~~~!!!! エーン、エンエンエン!!
この戦いが終わったらのつもりだったが、オレはもう今すぐに魔海へ身体を投げ出してた方がいいのかもしれない。
「シアンは……どうせ要らないじゃん」
なーんて言うルルアのあまりの氷点下っぷりには、カスねぇやレッシュまでもが言葉を失う有様だ。
しかしここは敵の本拠地。今更、クソ雑魚ナメクジなオレのメンタル保全をしている暇などあるはずもない。
オレのギャン泣きだけが響く中、勇者一行は階段を登っていく。
ヒュオリと、海峡に吹く風は強い。吹き飛ばされないよう、オレ以外の三人は気を引き締めて階段を登り詰めていく。
やがて階段を登り切った先には、見上げても全貌が見えないほどに巨大な結晶造りの城が、空間を威圧していた。
「いよいよだね」
「扉を爆裂して侵入するか?」
城の大きな門扉は、オレたちを招き入れるかのごとくゆっくりと開かれる。
「……罠かな」
「オレから入るぞ」
当然、オレが先頭となって魔王城へ踏み入った。
赤いカーペットの敷かれたエントランスは──暗闇に呑まれた、がらんどう。
ただ、遥か天井からぶら下がる結晶造りのシャンデリアだけが、青い光を妖しく闇に灯している。
「周りには仕掛けはないみたいだよ」
「気は抜けんがな」
カスねぇのカス嗅覚に罠は見当たらない。そしてオレの未来視にも危険は見えない。
と思ったが、オレ達が立ち入ったのに合わせて扉が閉ざされる。
そしてオレ達を死地へ導くように、青い光が通路の両端を、ボッ! ボッ! と燃え上がって闇の奥へと続いた。
「……行こう」
オレ達は固く頷き合わせ、光を辿る形で、慎重に通路へ足を滑らせた。
♦♦♦
青い光だけが宿る常闇は、まるで、世界から不自然に切り取られたような静寂を孕んでいた。
重なり響く足音が、どこかへ吸い込まれていく。終わりの見えない闇の世界が、周囲をただ広がる。
前も後ろも分からぬ暗闇を歩いているうちに、目が盲したような感覚に襲われ──。
──巨大な王座が、闇の中に浮かんだ。
瞬間、世界は球状にくり抜かれたように薄暗い光を広げ、ひじ掛けに頬杖を突いた制服姿なシリウスを映し出した。
「随分と、退屈だったよ」
発言が魔王過ぎる。
青い光が視界を薄暗く確保する王の間で、シリウスの声だけがよく響く。
「六日目に突入した時は何を呑気にと思ったけれど、先代勇者を蝕む呪いも思うように進んでいないね。何かしら、手を打たれたのかな?」
応えてやる義理はない。
「だんまりか。じゃあ、質問を変えよう」
「ここに辿り着いたのを見る限り、『絶空』は殺されたのかな?」
オレは一歩前に立ち、確かに頷いた。
「『先生』は、オレが殺した」
「……そうか。それなら良かった」
まるで安堵したとばかりに、シリウスは瞼を伏せて嘆息する。
そして──ニヤリと、その口元を歪める。
「これから始まる決戦が、詰まらないモノに終わらないみたいで良かったよ」
やはり、決戦は避けられないか。
シリウスは緩慢に王座を立ち上がる。魔力の嵐が、王の間を充実する。
シリウスを中心とした強風に引き込まれぬよう、杖を構えるレッシュ。拳を構えるカスねぇ。ローブを脱ぎ捨てたオレ。
けれどルルアだけは握った剣を未だ構えず、未だ左手を伸ばす。
「ね、ねぇ……シリウスちゃん! やめようよ、こんなの!! ボク、シリウスちゃんを倒したくなんてないよ!!」
「勇者が魔王に吐くとは思えない台詞だね」
「シリウスちゃん、南の島でボクのこと助けてくれたじゃん! だから──」
「演技だよ、あんなの」
心底鬱陶しそうに眉を顰めるシリウス。
やめて差し上げろ。オレの幼馴染はコミュ障から立ち直ってまだ純粋な時期なんだぞ。
分かりやすく硬直したルルアへ、シリウスは社会の厳しさを更に叩き込む。
「すべて……『絶空』と共に仕組んだことさ。中々に演技派だろう? 僕も」
まぁ……
なーんて傍観者を気取っていると、漆黒の瞳は流し目にオレを覗く。
「それに……演技が得意なのは、僕だけじゃないと思うけれど」
おい、さっきから精神攻撃はやめろ。今回は青い悪魔じゃなくてオレに効く。
ビクリと肩を震わせたルルアはやはりと言うか、オレをそっと覗いては目を逸らした。
……もう帰っていいかな? 一人荒野でギャン泣きさせてくれ。オレは今から闘う気になれないぞ。
「さて、そろそろ決戦を始めようか」
シリウスはニヤリと、オレ達を見回す。
「もちろん、まずはこれで君たちの絆を裂かせてもらうけどね──」
その言葉を合図に──魔王城全体が、妖しく輝いた。
内部にいるオレ達にもわかるのは、輝いているのが城を構築する結晶そのものだからだ。
それは地下の実験場の産物の一つ。魔瘴にあてられた人の心を惑わせ、狂気に呑み込む闇の結晶。
その光を浴びてしまった勇者一行は、これより、未来に見た悲惨な同士討ちを。
すると思うか?
「なん、で……?」
シリウスは漆黒の瞳を大きく見開き──やがて、動揺に震えた声を王の間に叫んだ。
「なんで……誰も欲に溺れない? 暴れ出さない!? 裏切らない!?!?」
「裏切り? いやぁ、お姉さんが少年たちのこと刺したりするはずないじゃないか」
「当然だ。どうしてその必要がある」
固い意志を以て頷くカスねぇとレッシュ。
これは勇者一行。
ただし、すべてはオレが汗水を垂らしたおかげなのだが。
「……」
そうだ。
積み重ねてきた未来への対策は、きちんと機能している。
だから、ルルアが死ぬ未来だってきっと回避できるんだ。
ニヤリと口元を歪めたところ、シリウスは眉間に皺を寄せて、オレを睨んだ。
「……君の仕業だね?」
「さぁ?」
はぁと、小さく吐き出されたため息の音。
「まぁ、それならそれで構わないさ。僕が手ずから相手してあげるよ──」
圧倒的な魔力の渦が、王の間を吹き荒れた。
♦♦♦
魔王の癖に、世界の魔素から嫌われることなくバカスカ魔法を降り注ぐ当代魔王シリウス。
オレは現在、無限未来視による三秒後の未来を覗き見ながら、嵐の中を駆け抜けていた。
「右手から竜巻来るぞ! レッシュはカスねぇの後ろに!! 床を貫く氷柱に気を付けろ!!」
やれ右を覗けば、大陸を削る巨大な竜巻。やれ左を覗けば、大陸を消し飛ばす大津波。そして正面を覗けば、今にも業火滅却しそうな巨大な火球。
もはやオレレベルでは搔い潜ったところでまともな一撃も与えられないレベルである。
それでもオレは指示を飛ばしながら、王の間の中央に立つシリウスへと最初の一手をぶち込むために拳を引き絞る。
「シリウスッ!!」
爆裂魔法を溜め込むレッシュ。隆起する氷塊を躱すカスねぇ。
オレは二人を尻目に確認しつつ──目前に差し迫ったシリウスへ殴り込み。
オレの拳はぼすんと、シリウスが作る魔法の風壁によって阻まれた。
「その眼に頼っている君の魔力量程度じゃあ、僕には届かないよ」
「……チッ!」
オレはとうとうお荷物になったというのか……。
仕方がないのでシリウスが手から放った雷撃を身を捩って躱しつつ、反対側から攻め込むルルアへ声を飛ばす。
「ルルアは左から攻め込めッ! オレが正面を抑え──次、魔瘴の呪いだ!! 回避に専念しろッ!!」
「……う、うんっ!」
魔瘴が大剣を模して、ルルアの胴体を薙がんとした。魔法と魔瘴の両刀とかズルすぎんか? オレなんて魔力量ゴミカスと未来視の抱き合わせなんだぞ。
危うく受け止めようとしていたルルアは、オレの声を受けて、寸でで飛び退く。
そして右から一閃。風の防壁が破れた。シリウスの横腹に血が走る。流石はオレの幼馴染だぜ。
一撃を喰らわせた犯人はルルアだと言うのに、ヘイトを向けられるのは、なぜだかオレである。
「やっぱりその眼には虫唾が走るね。君から潰すのが正解かな?」
世界はどうしても、このオレに汗水を垂らさせたいらしい。
シリウスは魔物を模した大魔法を構築し、カスねぇとレッシュを牽制。そして風魔法に加速した疾駆で一気のオレへと迫る。
やれやれ、勘弁して欲しいもんだぜ。オレは魔力量ゴミカスだと言うのに。
「けれど君にはとっておきがあるだろう?」
いつもの言い訳はオレの右眼を知っているシリウスに通じるはずもなく、右手から放った風の刃に皮膚を斬り裂かれる始末である。
「ぐ……!」
当たり前のようにオレの魔力の棘鎧を貫通してくるのはやめて欲しいんだが。
幼馴染の大ピンチ。いつもなら迷わず駆けつけてくれるだろうルルアは、なぜだかオレがやられる姿を傍観している。
嫌われ過ぎじゃないだろうか。単純に泣くぞ。
「こんな時に考えごとかい?」
「あっ」
しまった。シリウスの風の刃が、オレの首元を──。
「さ、させない……!」
寸前で、風の刃を斬り裂く一太刀。
「おや、残念」
遅れてやってきたヒーローを見て、シリウスは嫌にその口元を歪めた。
「でも、おかしいなぁ……ルルア嬢ならもっと早く駆けつけられただろうに……
「っ……!!」
「ルルア! 耳を貸すなッ!!」
やっぱコイツイイ性格してんな! 最終決戦なのに精神攻撃のオンパレードじゃねぇか!!
オレのことは幼少期の原罪までなーんでも知っているだろうシリウスにはできれば何も話してほしくないしヒントを与えることすらしてほしくない。なぜなら、オレが取り返し付かないぐらいルルアから嫌われてこの世から自然消滅してしまうから。
「そんなこと……ない……っ!」
目を強く瞑って、白っぽい紫髪を横に揺らすルルア。
けれどシリウスはアッサリと、止めの一言を刺し込んだ。
「でも、それは正しい判断だよ。だって彼は僕の片割れ──
終わった。
もう一生好かれないことが確定した。
信じられないとばかりに蒼穹の瞳を見開いたルルアは、やがてシリウスの方を見て──震えた声を零した。
「……う、うそだ。シアンはボクの、」
「僕の幼馴染だ。それに、君だって薄々気が付いているんだろう? その身に宿る聖力が大きくなるにつれて、彼の中に宿る邪悪に」
「……」
ルルアは桜色の唇を噛み締めたまま、俯いてしまった。
……なるほど。師匠がオレの正体を感じ取っていたのと似たようなものか。
幼馴染の正体を知って、もはや剣を振るうどころではなくなってしまったルルアである。
シリウスはごくごく自然に歩みを寄せ──ルルアの背後から、ぽんと両肩を叩く。
「……もしかすると、ここまでが、僕らの作戦かもしれないよ?」
シリウスはルルアのの耳たぶを優しく噛むように、甘い毒を吹き込んだ。
そしてルルアの華奢な身体へ両手を回し、身体ごと絡みつく。
「良いのかな? このまま邪悪の器を放っておいて。背中から刺してくるかも……」
「……っ」
囁くような吐息に、びくりと、身体を痙攣させるルルア。
勇者の背中から絡まり付く当代魔王と、身を捩って弱弱しく抵抗する当代勇者。
……オレは一体、何を見せられているのだろう。
「百合百合えちえちなのだろうか」
ちなみに、是非とも助けたいのだが例によってオレはシリウスの風の防壁を突破できないので、仕方なく外で立ち尽くしているのである。
断じて、勇者と魔王の百合百合洗脳えちえちごっこを鑑賞したいわけじゃないからな。目をガン開きにして棒立ちしているのには、そういった深~い事情があるんだぞ。
「…………ち、違う…………!」
しかもなんでお前は迷っているんだ。そこは 圧 倒 的 光 ! でオレの味方になってくれるところじゃないのか。
背後からシリウスに抱き着かれたルルアは、溢れる闇から逃れるように目を逸らして呟く。
「し……シアンは、そんなこと、」
「ほらぁ、少しの間、動きを止めるだけさ、僕はこれからレッシュ達を相手にしないといけないし……時間は、たくさんあるよ?」
おい……分かっているだろうな、シリウスの放つ魔瘴に呑まれつつあるアホな幼馴染よ。
「それに、これは彼を僕の手から救い出すためでもあるさ」
「……す、救う?」
騙されるなよ! オレはもうとっくにお前に救われてるんだぞ!!
「そうだよ。魔王となった僕に従うしかない、哀れな僕の幼馴染をね」
「…………」
長い沈黙の末──こくんと、ルルアは頷いた。
あっ! コイツ頷きやがったぞ! なにが勇者だクソッたれが!!
「それじゃあ、僕はレッシュ達のところへ行ってくるよ」
魔物を模した大魔法を捌き終えた二人の元へ、シリウスは飛んでいく。
そして、お誂え向きとばかりに用意された風魔法の牢獄。そこは、黒い霧に憑りつかれたルルアと、オレだけの特別武舞台である。
「うーん……これは詰み」
ルルアは闇に曇った蒼穹の瞳にオレを見据えて、弱弱しく、笑みを落とした。
「…………シアン。ちょっとだけ、我慢してね?」
瞬きした直後、師匠の直剣が、オレの肩を穿っていた。
VS青い悪魔はどこかで敢行しなければならなかったのだ……!
ということで次回の更新は1月17日(土)の午前9時頃です。
よろしくお願いします。