未来視で幼馴染のことが分かるんだが、絶望しかない() 作:うずつるぎ
オレと青い悪魔の間に、一体どれだけの実力差があるか。
それを今日まで決して明かしてこなかったのには、深~い理由がある。
数値化でもされたらギャン泣きしてしまう次第だからだ。
要するに、幼少期の勇者ごっこでボコされていた日々とそう変わらないのである。
「おい、ルルア!」
「大人しく……しててよ……っ!!」
小っちゃい頃から一度も幼馴染に勝てなかったオレが、今さら勝利を掴めると思うか?
今のルルアってのは、三秒の未来視でギリギリ捉えられるかどうかって相手だ。石を削って像を作り出すような美しい剣舞をハチャメチャ回避し、戦闘不能を避けることに徹する。
「ねぇ! 痛いのは、ちょっとだけだから……!!」
「アホか! 痛いんなら意味ないだろ!!」
そのちょっと痛いのが嫌だからここまで来てんだよオレはッ!!
最低限、オレを傷つけないように捕縛しようと考えていてくれていることだけが救いか。その気になったら一瞬で斬り殺されてしまいそうなものだが、現状、オレは首の皮一枚で闇堕ち幼馴染から逃げ仰せている。
今すぐに死亡してしまわないのは、ルルアの中にあるゴミカス幼馴染への僅かな憐れみ故なのか、それとも、コイツの中に宿る聖力のためか──。
「……」
ルルアの様子がおかしくなったことに心当たりはある。
時間稼ぎに魔力の弾丸を乱射し、床をぶち壊しながら距離を取る。そしてチラリと、妖しい光を放つ王の間の結晶群を見上げる。
この結晶だ。未来のレッシュ達と同じく、ルルアは魔瘴に心を食まれているのだ。
「すべて破壊するのは現実的じゃないか」
魔力量がゴミカスじゃなければ、こーんな悩みを抱く必要もなかったと言うのに。
どうする。
ルルアは既に竜の猛進のごとく、正面から砂煙を破って突っ込んできているぞ。オレは魔力の刃を振るい──今にも身体ごと消し飛びそうな衝撃を、ぐっと堪えた。
「……ルルアッ!! 聖力で自分を纏え!!」
「うる……さいっ!!」
纏うのが苦手と言っていたから、コイツは聖力で自分を保護していないのだろう。
オレは鍔迫り合いに持ち込んで闇に曇った蒼穹の瞳を至近距離から覗くも、返るのは拒絶である。
「お前はいまアレに影響されているだけ──」
「……違うもん! じゃあ、ボクに教えてよッ!!」
強引に鍔迫り合いを吹き飛ばされた。一応オレ、男の子なんだけどね。フツーに華奢な幼馴染に吹き飛ばされたぞ……。
男としてのプライドを打ち砕かれたオレは尻もちをついたまま泣き叫びたいところだが、言っている場合か。振り上げられた直剣を躱すために床を転がる。
レッシュとカスねぇは、シリウスとバカクソ魔法合戦を繰り広げている真っ最中。こちらに駆けつける余裕はないだろう。
なので結局のところ、オレは剣で身体の表面をぶしゃぶしゃ斬られながら、風の牢獄の中を逃げ回る他ないのである。
「なんで……なんで村の地下で……嗤ってたの……?」
やはり、確信的な疑心を与えてしまったのはその時か。
聖力でオレの邪悪な部分を見抜き、絶望未来表の存在まで知って、なお且つあーんな場面を見たのである。
なるほど。
追いすがるルルアは、うっと、目尻を涙に膨らませて蒼穹の瞳を不安に揺らぐ。
「いいかルルア。オレはお前のことをだな、」
「ボク……シアンのこと、信じたいのに……シアンのことわかんない!! なんでッッ!! なんで人を……!!」
あ~~~~……駄目だこりゃ。今のコイツを止められる言葉なんてないだろ。
となると、策はもう
でもなぁ……オレのこと嫌いなルルアにしたら、一生消えない傷を与えることに……。
「ねぇ、なんでなのッッ!!」
「うぉ!!」
空気が極限の冷気を帯びてオレの身体に纏わりつこうとした。反射的に飛び退く。
あぶね。左半身氷漬けにされるところだったぞ。迷ってる場合じゃねぇな。
「……悪く思うなよ」
オレは意を決して、ルルアへ突進する。当然、ルルアは迎え撃つように剣を構える。
「……これでっ!」
大きく引き絞られ、腹部を目掛けて突き出される剣の切っ先。
オレは──右腕に構築した魔力の刃を消失する。両腕を大きく広げる。そして、更に加速度を上げるべく、床を蹴飛ばしてルルアへ急接近し。
ずぶりと、わき腹を深く食い込むクソみたいな感触があった。
「あ……がぁ……ッッ!!」
戦闘服越しに赤く滲む腹部。バカクソ痛い。最悪だ。
けれど──これがオレの作戦。想定通り。
オレは喉奥から血を吐きながらも、広げた腕をルルアの背中へ回す。そのまま押し倒す。
「こ、こんなのッ──」
オレが決死の覚悟でタックルを仕掛けてきたと思っているのだろう。
アホな幼馴染は床に倒れながらも、キッと鋭くオレを睨み上げて押し返そうとし──。
はむりと、少女の柔らかい桜色の唇は、強引に奪われた。
「!?!?!?!?」
蒼穹の瞳が見開き、言葉にならない衝撃を表す。
重なる唇と唇から溢れる吐息。わたがしみたいに甘い感触。
オレの吐いた血が混じるのは申し訳ないが、このまま決めさせてもらうぞ。無理やり舌をぶち込み、幼馴染の舌を激しく絡めとる。
「ッ~~~~!!!!」
暫し、王の間でジタバタと藻掻いいていたルルア。しかし次第にへろんと、身体を脱力する。そして最後にはオレの背中へ手と足を回し、ビクビクと身体を痙攣させるばかりである。
「ふぁ……ん……! ……ぁっ……!!」
もうこんなのぜぇぇぇっっったいに、魔王城で開催してはいけない情事である。
嫌いな男の子にこんなことされて、本当に可哀そうな幼馴染だ。
名残惜しいが、もう、充分だろう。
熱く蕩けそうな幼馴染の唇から、そっと口を離す。空気を求めるように洩れた熱気の濃い吐息。お互い口から飛び出した舌先に、血の混じった唾液が糸を引く。
うっとりと弛緩した蒼穹の瞳。
ルルアはまだ足りないとばかりに、華奢な両手をオレへ伸ばす。
「し……しあんぅ……やらぁ……」
すっかり力も抜け落ちて、真っ赤なお顔をとろっとろにした幼馴染は非常に可愛らしいぜ。
可愛らしいのだが……その、オレの腹には絶賛、剣が突き刺さっていてだな……。
「ル……ルア、聖力、を……」
その声にハッと我を取り戻したルルアは、すぐさま自らに聖力を纏った。そしてズボッ! とオレのわき腹から剣を抜き出し、ついでとばかりに回復魔法。
「ご……ごごごめんっ!!」
早口でまくし立てるや否や、ルルアは赤面を背けてそのまま拳一つで風の牢獄を破壊してしまうパワー系幼馴染である。
もうちょっと丁寧に剣を抜いて欲しいもんだぜ……。
ようやく密室から解放されて、改めて、外の様子を伺う。
見ると、シリウスは既にボロボロとなって、息を切らしたカスねぇとレッシュの足元に転がされている。
「ク……ソ……せっかくの、策が……」
「うそだろ……」
いつの間にか最終決戦が終わってるんだが……。
「おーい! 少年たちがイチャイチャしている間にこっちは終わらせちゃったよー!!」
プライバシーもクソもねぇなこの世界。あわあわ言いながら両手で顔を覆い隠している青い悪魔のことは放っておく。
オレは魔力の刃を構築しながら、シリウスへと迫る。
足元に這いつくばるシリウスは、諦めがついたとばかりに嘆息した。
「……止めは君か。抜かりがないね。万が一も狙えないかな」
「そういうことだ」
あのアホが意気揚々と止めを刺しにでも行ったら、油断してそのまま殺されかねないからな。
まぁ、当の本人はこちらの心配も知らずに、不安そうにオレを見つめているのだが。
「……シアン」
安心しろ。
シリウスはわざわざ寝返りを打って、仰向けに王の間を倒れる。
「さぁ、魔王を殺すと良いさ。それで君のお師匠様は救われる。世界も晴れて大円満だ」
そう言って両手を無防備に広げたシリウスは、どこか晴れ晴れとした笑顔で瞼を伏せて。
それがまるで死にたがりな有様だから、オレは剣の代わりに、彼女へ言葉を突き立てた。
「なぁ、シリウス」
「……なんだい」
面倒くさそうに瞼を開くシリウス。
オレはようやく、長い前髪に隠れた虚空の左眼を、真正面から見つめる。
そして、言葉を告げる。
「お前が居なくなってから、ずっと、疑問だった」
「なんでお前は、こんな回りくどいやり方をするんだろうって」
それは、先代勇者の師匠を半殺しに済ませたこと。
ルルアの暗殺方法を複雑怪奇にしたこと。
そして、わざわざ南の島でルルアの身代わりになったこと。
「言っただろう? 君たちを騙す為だって」
シリウスはオレから目を背け、ぶっきら棒に言う。
回りくどい作戦を打ち立てたのは、オレ達をここまで誘き寄せるため。
まだルルアが勇者候補か分からなかったから。
オレ達から信頼を勝ち取る意味があってこそ。
確かにコイツの言う通り、それらしい理由はあるのだろう。
けれど──シリウスは、カスねぇとレッシュのコンビ二人にやられるぐらいの戦闘力だったのだ。
ならば、そんな回りくどいことをせずに、もっと意地汚くやれることはあったはずなのに。
「お前はそれを、決してしなかった」
代わりに、自分に不利になるだけの回りくどいやり方を選び続けた。
何のために。
それは。
「他でもないオレに……助けの声を叫ぶために」
沈黙だけが返る。しかし、きっとそうだ。
シリウスは未来の見えるオレにだけは伝わるように、『先生』の目を搔い潜って必死に手を伸ばしていたんだ。
そして愚かにも、オレは気が付かなかったのだ。
だから。
「悪かった、シリウス」
頭を下げる。
目の前の未来を解決するのに必死なあまり、お前を見落としてしまったことを。
かつて逃げ出すことを助けてくれたのに、泥沼から引き摺り出してやれなかった己の弱さを。
「ずっと、助けの声を傍で上げてくれていたのに」
「……」
「オレだけが、お前のことを理解してやれたはずなのに」
オレはゆっくりと、顔を持ち上げる。
呆気にとられたように丸まる漆黒の瞳とが合った。
シリウスはサッとオレから目を逸らし、吐き捨てるように呟く。
「……そんなの、今更さ。僕はもう、魔王で。街も大勢の人も壊して……君たちの敵で、」
「それでも、オレとお前は友達だろ」
打算があろうとなんだろうと、オレは、オレの右眼を気にせず接してくれたお前が好きなんだ。
言ってやると、うっと、シリウスは眩しすぎるものでも見たように顔を歪めた。
「オレは光属性じゃないんだが……」
オレとお前はどう考えても闇属性だろ。同じ場所で育った竹馬の友なのだから。
そしてそんなオレでも、なんだかんだで周囲の人は大切にしてくれているんだ。
「だから一緒に帰るぞ」
静寂が、王の間を充実した。
それは長い沈黙だ。
荒野に吹き抜ける風が、魔海の荒れ狂う波音が、魔王城を重く響く。
そんな静寂の果てに、ポツリと、迷い子の声が零れた。
「僕は……受け入れて、もらえるんだろうか」
「少なくとも、ここに居る奴はお前を拒絶したりしないさ」
「……この手を君に伸ばしても、許されるかな」
「ぜんぶ『先生』のせいにすればいいさ」
言ってやると──シリウスは苦々しく、けれどどこか清涼に笑みを落とした。
「そう、か……」
「……まったく、決めるのが遅いんだよ」
「色んな決断を先延ばしにしている君には言われたくないなぁ」
「イッタイ、ナンノコトカナ?」
ニヤリとイイ笑顔をして、後ろのルルアとカスねぇを交互に見るいつもの我が友である。
既に友にさえ見抜かれているオレの優柔不断には冷や汗ダラッダラで困っちまうぜ。
「やれやれ」
締まらない決戦だったが、まぁ、偶にはこんなのも良いだろう。
というかこれまでが汗水を垂らし過ぎだったのだ。
今日の一件だけではぜーんぜん清算されていない所存なので、今後の生活はもっともっと自堕落を期待するぞ。
もはや魔王と勇者の決戦は終わり、完全に平常運転なオレは手を差し出す。シリウスは仕方がなさそうに笑いながら、オレの手を掴むべく腕を伸ばす。
「あぁ……もっとはやく、君の手を掴めばよかった」
「おいおい、人生これからってやつだろ」
オレは目を細めて笑いながら、その手を掴み。
それは、
男性的で、雄大で、まるで女性のモノとは思えない手触り。
決定的な違和感だった。
だからオレは、笑って閉じた目を開き。
「は」
そして気が付く。
オレの掴んだ手は
「が……あ……っ!?!?」
まず、夥しい赤が、シリウスの口から溢れ出た。
次いで、青いナニカは煙のごとく、胸に空いた虚空からなだれ出た。
ソレは成長のために籠っていた殻を破り捨てるように、際限なく噴き出す。
王の間に溢れ出た煙は、やがては見上げるほどの人型を構築し──。
「クックック……実に、良い目覚めだ」
実態を以て現れたのは、筋骨隆々とした青い肉体。雄大な二本の角。
悪魔と呼ぶにふさわしい邪悪な顔をしたコイツは──。
「魔王……メーダ……!!」
声が零れ落ちた瞬間、オレは既に、王の間を駆け出していた。
「クックック……この器は、随分と役に立ってくれたなぁ?」
「シリウスゥゥゥゥッッッ!!!!」
巨大な腕は容赦なく、虚ろに天井を見上げるシリウスの顔を目掛けて振り下ろされる。膨大な衝撃波を吹き荒らし、黒い結晶で出来た床を陥没する。
そこにシリウスの姿は、もうない。
寸でで駆け抜けたオレが、左腕にシリウスを抱きしめているから。
ただし、魔王と握手していたオレの右腕は、見事に引き千切られてしまったが。
「相変わらず脆いな。人間という種族は」
「ぐ……がぁあ……ッ!!」
「し、シアン!」
だったらもっと丁寧に扱って欲しいもんだぜ……!
ポイと投げ捨てられるオレの右腕の扱いには涙を禁じ得ない。
オレはシリウスをそっと床に寝かし付け、魔王の登場に驚愕したカスねぇとレッシュへ告げる。
「誰でも良い! シリウスの回復をッ!!」
「しょ、少年の腕も」
「オレは良い!! それより早く!!!!」
オレは断絶した右腕を回復するより先に、魔王メーダと向かい合った。
なぜなら──ルルアが既に、その表情を烈火に燃やして魔王メーダへ一閃を走っているからだ。
「おまえぇぇぇぇえええええッッ!!!!!」
三秒の未来視にすら、コマ送りでしか捉えられぬ一閃。
魔王メーダは──クソがッ。
「…………な!」
「ふん。当代勇者とはこの程度か」
ルルアの一撃を余裕に防いだだと? 冗談じゃないぞ。
魔王の腕を断つこともできずに剣を弾き返されたルルアは、宙に浮きながら驚愕に目を見開く。
その隙を魔王が見逃すはずもなく──剛腕が、ルルアの身体をくの字に砕く。
「話にならんな」
「ぅ˝……あ˝っ!」
メキリと、骨の砕ける嫌な音。
ルルアは流れ星のごとく魔王城の壁面へ吹き飛んだ。
そのまま壁面と仲良くぶつかり合いっ子したと思ったら、壁から絶交を宣言される。ドンと跳ね返り、床を跳ね転がった。
魔王メーダは、淡々と拳を引き絞る。
「さて、勇者は早めに消しておくとするか」
最悪の未来が近づく。
だからオレが──その未来を引き裂くために、強引に割り入る。
「させるかよッッッッ!!!!」
魔力の刃を振るった。魔力の弾丸を撃ち放った。魔王にはまるで傷一つ付かなかった。
「ふん。所詮は器。痒いわ」
魔王は小バエを払うように拳を振るう。
そんな、気のない一撃すら追い切れずに、オレは大地へ叩き伏せられる。
「がはッッ!!」
気が付くと、固い床とぶつかった感触が、顔面を余韻した。視界が点滅する。鼻頭が赤く熱を帯びて充血する。
うそだろ……!! 三秒の未来視でも間に合わんだと……!?!?
「ふむ。まだ動くか」
魔王の一撃が、想像以上に重たい。上手く立ち上がれず何度も倒れる。クソッ、これだから回復魔法一つ使えない身体は……!
魔王は瀕死の小バエを気まぐれに眺め、しかし思い出したようにオレの右眼を覗く。
「どれ。その右眼は我が有難く使ってやるとするか」
「……来るかッ!」
魔王は悠然と、一歩を踏み出した。対象はオレだ。
しかし行動さえ分かっていれば、オレは未来を見落としはしないぞ!!
オレは戦闘服の鏡も併用した無限未来視により、あらゆる角度から魔王の動きを覗き見る。
しかし、映る未来はなかった。
「…………ッ!?」
「さて──まずは一匹」
どこで何をどう見ても、暗闇ばかりが広がる未来。
魔王の声が心臓を掴む。そうか。三秒では足りないのだ。もっと先を。
「あ……ぐぅぅッッ!!!!」
限界を超えて、激痛を貫痛する右眼。未来の情報が世界を飽和した。何秒経った? 抑え込んだ右眼を解放して顔を上げる。
そして映ったのは、一秒後に胸を貫かれた自分。
「あ」
駄目だこれ死ぬ。躱せない。魔力の棘鎧を、無理む、迫る拳、死───
──アン。
「シアンッッ!!!!」
ふわりと、オレの頬を撫で抜ける白っぽい紫髪。
そして。
骨肉を貫き砕く不吉な音が、聞こえた。
「……ふむ」
未来視に呑まれたオレは右眼を瞬いて、今更、現在を思い知る。
ぶらりと宙を揺らぐ人影。
青色の巨手に握られた、血を吹きながら鼓動する小さな心臓。
魔王はルルアの左胸を貫いたまま、雑巾を雑に絞るように右手へ力を込めて。
「ま、まって」
それは致命的な音だった。
べたりと、粘性のある液体がオレの頬を濡らして鉄錆の匂いを残した。
だらんと、力なく剣を手放す細い腕。
時折ビクリと痙攣する華奢な身体。
魔王は青い巨腕を、乱暴に抜き取る。
心臓にぽっかりと穴を空いた勇者は──ひらりと、花弁のように王の間を倒れて。
「予想とは違う結末ではあったが」
チカチカと、視界が白と黒に点滅する。
それでも映る光景には、魔王が勝ち誇ったように邪悪な笑みを浮かべ、その剛毅の瞳に勇者を見下ろしていて。
「当代勇者──討ち取ったり、と言ったところか?」
そして、約束された未来は
よし(よしじゃない)。
ということで、今回はここまで。
次回の更新は1月18日(日)の午前9時頃です。
よろしくお願いします。