「ヒャッハぁ!」
先輩が前に出るとほぼ同時に、目の前の人影が動き出す。
恐らく男、全身にぼろきれの様な布を被っていて、見るからに蛮族だ。
右手には短剣を持っているが、他の装備はボロ布に覆われていて何を持っているか、何を装備しているか全く見えない。
俺は先輩のデカい背中の斜め後ろで警戒しながら盾と剣を構える。
コウも続く様に俺とは反対側の斜め後ろで剣を構えた。
クォブツはその更に後ろで、両手で短剣を持ちながら震えている。
対人、正直ありそうだとは思っていた。だがこんな形で起こるものだとは思っていなかった。
もっとこう、コロッセオ的なのがあるかなと、そういう想像を軽くした程度だった。
だが実際こうして起こったのは、ダンジョン内での突発的な遭遇戦。想像の何倍も恐ろしいものだった。
男は短剣で先輩に斬りかかる。
しかし先輩は大盾を前に構え、その小さな短剣をあっさりと防ぐ。
ただ先輩は大盾を左手に持っているが、右手にはまだ何も持っていない。
先輩は今武器になる物を何も手にしていなかった。まさか今回戦闘するつもりがなかったから持ってきていないのだろうか? それはマズい、武器が無ければどうする事も出来ないだろう。
俺の武器を先輩に渡すべきか?
「ヒヒッ! 馬鹿がぁ!!」
攻撃を受けられた瞬間にボロ布の男は懐から何かを取り出す。
杖だ! 男はそのまま先輩の体に杖を向けた。
バチリ! と、先輩の体に電撃が迸る。電撃を放つ杖、知っている、あれは雷の杖だ。電気ショックのような一撃を先輩は受けてしまった。
「知ってるか初心者ぁ! 如何にタンクだろうと首斬られたら即死なんだよぉ!!」
マズい! 俺は即座に先輩の前に出て男に攻撃を加えようとする。
しかし正面にいるボロ布の男の方が圧倒的に早い。
そのまま体が痺れた先輩にボロ布の男の短剣を持つ右手が首元に迫り……
「運が悪かったな、俺は初心者じゃない」
あっさりと先輩の手に受け止められた。
「悪いな、守護者はパッシブ※1で状態異常耐性がある。それに加えて致命的な状態異常の対策装備を付けてる。特に痺れと眠りはマストなんでな、そんなチンケな杖じゃ頭皮の痒みしか取れねえよ」
先輩はナイフを持つ相手の手首を掴んで離さない。
やがてミシミシと、相手の手首が目で分かる程歪んでいく。
「あ゛ッ……あがッ!!」
ボロ布の男はナイフをあっさりと手放す、しかし先輩は手を離す様子を見せない。
「は? おてて掴まれただけでもうギブアップかよ。よっわ」
先輩は盾を投げ捨て、そのままボロ布の男の後ろに回り腕で首を絞める。
そして……ゴキリ、と、鈍い音が微かに聞こえた。
その音と共に、あれだけ暴れていた男は糸が切れたように全身を脱力させる。
そのまま男は持ち物だけをその場に残し、消え去った。
「たまにいるんだよ、こういう初心者狙ってわざわざ上層のこんな浅いとこに籠る奴。ビビんなよ? どうせ中層行けず挫折した雑魚だから。性格がクズだから一緒に潜るダチもいねぇんだろうな」
先輩は投げ捨てた盾を拾い、地面に残った男のローブを侮蔑に近い目で見る。
「こういう奴はいわゆる初見殺しを持ってる。コイツが持ってたのは雷の杖だな。相手を痺れさせてその隙に首を斬るのがコイツの必勝パターンなんだろ」
雷の杖。初めて見たが、恐ろしいアイテムだ。光の速さで飛んでいくスタンガンみたいな物だろう? 弱い筈が無い。
それを対人で利用されたら強力だろう。
「対策はそれなりにある。一つ、俺みたいに耐性装備を付けておく。二つ、杖を持った瞬間に射線上から避けるか、間に盾等の遮蔽物を入れる。三つ、やられる前に殺る」
先程の戦いの解説と、その対策を、先輩は指で数えるように淡々と言う。
「お前等はこうなんなよ。仮にこれで成功したら、もっと悲惨な目に遭うぞ」
「成功したら悲惨な目……? ギルドから処罰されるとか……?」
「言ったろ、別にこれ犯罪じゃないって。ギルドは関与しない。まぁ、関与出来なくなるけどな」
何か含みのある言い方だな……。
「さーて、漁っていいぞ~。ソイツの持ち物全部お前等のもんだからな」
「ええ!?」
全部俺達の物!?
「そんな訳にいかないですよ。倒したのも先輩一人じゃないですか」
「そんな訳にいかないのは俺の方だよ、ギルドで話は聞いたろ? この探索で得たドロップ品は全部お前達の取り分だって。当然このゴミ殺して落ちたやつもお前達のだよ」
確かにギルドではそう言われている。でもこの場合は流石に別じゃないか?
俺達は何もしていない。モンスターと違う人間のドロップは流石に良い物も多いだろう、それを倒した本人が受け取らないというのは気が引ける。
「別に気にすんな。これで銀貨10枚! とか言われたら俺も流石にえっ? ってなるけど、どうせコイツが持ってたのはゴミだけだよ。全部合わせて銀貨1枚になったら奇跡かってくらいのな。まぁ漁ってみろ」
「そこまで言うなら……」
俺とコウで近付いて、ボロ布をひっくり返す。
そこに落ちていたのは……
「まず布のローブ、雷の杖、解毒草、布の足袋……」
「見事にゴミばかりだな。ちなみに使用済みの杖は買い取り拒否されるぞ」
雷の杖はそれなりの値段するだろうと思っていたが、使ってあると買い取って貰えないらしい。
だが、布の裏にあったのはこれだけではない。流石に人が落とした物なだけある、数がとにかく多い。
「革のベルト、布袋、布の服上下、鉄の短剣と……」
「鉄の短剣は銅銀貨1枚だが、既にボロボロだな。売値は付かん」
そう、余りに劣化していると武器すら買い取って貰えないのだ。
一応ギルドに修理所がある。どんな武器でも新品同様に直してくれる所だ。だが安い武器でそれを頼むと恐らく売値より修理費の方が高くなる……。
残念だがその鉄の短剣は捨てるか、壊れるまで使うくらいしかないだろう……。
「いや! 指輪がありますよ!」
コウが地面に埋もれて見落とされていた指輪を発見する。
お? 指輪と言えばレアドロップの一つじゃないか!
「不幸の指輪……だそうです……」
「ギャハハハ!! レアドロなのによりにもよってそんな能力引いてんのかよアイツ!」
不幸の指輪……初耳だしどんな効果かも知らないが、良くない物なのは分かる……。
「まあ実はほんの少しハズレじゃない」
「ほんの少し?」
先輩が意味ありげに言う。
「街じゃ手に持ってもどんなアイテムか分からないからな。不幸にしたい相手に贈るんだよ。ソイツが気に入って間違って付けてたらどんどん不幸になるって寸法だな。ギルドじゃ買い取ってくれないが、街で変な奴に売れるぞ」
最も買い手を探すのも一苦労だけどな、ハハ。と付け足すように先輩は笑う。
なんて酷い使い道だ……。効果は教えてはくれなかったが、先輩の言っている内容から想像が付いた。
というか、指輪の能力は街の外でも発揮されるのか?
「ハハ、さて、クォブツ。上行けそうか?」
「え、あ、はい!」
そういえばクォブツはさっきから無言だった。
この男に襲われた時も震えていたし、俺以上に対人が衝撃的だったのかもしれない。
モンスターを殺すのと人を殺すのじゃ意味が全く違う。たとえ殺した相手が生き返るとしても。
俺も倒すまでは出来るかもしれない、だが、俺はちゃんと殺す事が出来るだろうか?
頭では分かっている。悪いのは相手だ、仕方ない、こうするしかない、やらなきゃやられる。理由なら幾らでもある。
殺しはどんな場所でも最大の罪だ。それは異世界でも変わらないだろう。死んだ人が生き返るなんてこんな世界でしか有り得ない。
クォブツには俺以上の抵抗があるのかもしれないな。
「まぁお前は色々思うところがあるのかもしれないが、ボスまでもう直ぐだ。今は置いておけ」
「ゴホッ……はい……」
先輩はクォブツの様子に気付いていて、それでわざと大声で笑って見せたり冗談を言ったりしていたのかもしれない。
どれ、これは俺も先輩に乗っかって軽いジョークの一つでも言うべきだな。
「アイツ今頃墓場でパンイチでしょうね! あの時の先輩みたいに!」
「ハハハ、ブチ殺すぞ」
そう言って先輩は先頭を歩いてさっさと進んでしまった。
俺は間違ったのだろうか。
ーーーー
「さて、お前等お待ちかねのボスだぞー」
俺達は遂に10階まで到達し、そしてこの階層のボス部屋へと続く扉を発見した。
5階層同様鉄の扉だ。
「ビビってるかもしれないが、はっきり言って10階は最序盤だ。そこまで強い敵なんて出て来ないぞ。せいぜい15~25階ぐらいの雑魚だな」
ああなんだ、雑魚か。ビビって損したわ。
俺は安心して扉を開ける。
「グルォォォオオオ!!」
「なんか強そうなの出て来ましたけど!?」
5階がちょっとデカいゴブリンだの、毒蛾だのだったのに、実際扉を開けてみれば3mはありそうな錆色の悪魔のような化け物がそこにいた。
「レッサーガーゴイルだな、ガーゴイルの劣化版だ。大きな体と硬い外皮が特徴で、基本的にあの長い腕と拳で攻撃してくる、防具無しでモロに受けたら死ぬだろうな」
「全然雑魚じゃないんですけど」
「まぁ、あれは20階以降のかなり強めの雑魚だな。と言ってもその頃にはもっと良い装備がある前提だから、お前等からすれば25階以上に相当するかもしれん」
えー……? 全然無理なんですが。
というか、20階以降の雑魚強過ぎないか? 10階の雑魚の倍の強さなんてもんじゃない。五倍くらいある。あんなのが三体とか並んだら勝てる気しないんですけど。
「お前達には大ハズレだが、運が良い。今回は俺がいるからな。誰も死なせないからとりあえずやってみろ」
え、やだ、めちゃくちゃ頼もしい。
「外皮が堅いとは言ったが斬れない程じゃないし、しっかり戦えば大丈夫だ。致命的なの貰いそうになったらかばってやるから、真面目に三人で戦ってみろ」
「はい!」
俺とコウ二人で前に出る。
俺はコウより更に前、俺はとりあえずコイツの攻撃を盾で受けてみようと思った。
今回俺は楽に勝つつもりなど無い。俺は後々ここにソロで来ようと思っている。死んでもいい状況など今しかないのだ、ここでボスクラスの攻撃がどんなものか受けてみたい。
体格も力も相手が圧倒的に上、盾込みで受けきれないなら大分厳しくなる。
接近するとレッサーガーゴイルが即座に拳を構える。
そのまま右ストレートの様に拳を打ち出して来た。
「うぉおおおお!」
俺はそれを受け流そうとはせず、そのまま盾の面を構える。
全体重を盾に乗せて、思いっきりその拳を跳ね飛ばさんと盾を体で押し出した。
レッサーガーゴイルの拳が直撃する。
硬い物と堅い物がぶつかる音、鈍い衝撃波の様な音が周囲に響く。
「ほぉ、やるじゃん。お前盾士向いてるよ」
俺は耐えた。受けた箇所から思いっきり押されて、地面には靴の跡で大きな溝が二つ出来てしまっている。
完全に押し負けた。俺は耐えた、耐えただけだった。
盾を持つ手はとても痛み、ビリビリと痺れている。グローブ越しで分からないが、痛みから感じるに軽い出血もあるかもしれない。
くぅ、今の俺じゃこれが限界か。せめて体を押されないくらいには受けたかった。
「ハァ!!」
大きく伸ばされたレッサーガーゴイルの腕、そこをすかさずコウが接近し、腕を剣で斬り付ける。
「グゴァ!!」
切断するには至らず、だが目で見える程の切り傷が出来た。
「硬い、砂袋でも斬っているかのようだ。僕達は三人とも剣、長期戦にするか、重い一撃を叩き込むのがいい」
コウが斬った感触から方針を考える。
硬い敵にはハンマーのような打撃攻撃が必要か? もしくは魔法か。だが生憎俺達には剣しかない。これで突破するしかないのだ。
「俺が隙を作る、一撃を頼む」
俺が方針を決めた。
盾を握る左手はまだ痛むが、一撃くらいなら受けれる。それに今度はまともに受けてやる気は無い。
大丈夫な筈、まだ一合のやり取りしかしていないが、コイツからあまり高い知性は感じられない。一撃は重いが、動きはそれ程速くもない。
これならこの体格差でも隙くらい作れる、筈……だ。
「グォォオオオ!!!」
レッサーガーゴイルが長い両腕を乱暴に振り回す。
攻撃範囲が広いが乱雑で狙いも悪い、俺とコウは即座に身を引いて避けた。
「わっ!?」
あ! マズい!
いつの間にかクォブツがレッサーガーゴイルの背後を取っていた。
隙を伺っていたのだろう、レッサーガーゴイルも気付いていなかったように見える。
しかしその周囲を散らすように出した乱暴な攻撃が不運にもクォブツに迫っていた。
あの一撃を盗賊のクォブツが受けるのだけは絶対にマズい!!
『かばう』
レッサーガーゴイルの拳がクォブツに当たる、その瞬間。
先輩がクォブツと拳の間に瞬時に割り込んだ。
先輩の大盾に拳が当たり鈍い音が立つが、先輩はびくともしない。
「クォブツ、ちゃんと相手の攻撃範囲を見極めて戦え。今の死んでたぞ」
「ゴホッ……す、すみません……」
先輩はあの拳を受けても平然として、クォブツに注意する。
拳を受けられた事でレッサーガーコイルも静止し、先輩とクォブツの方に体を向けた。
それは即ち、俺達から視線を逸らすということ──明らかな隙だった。
「うぉおおお!!」
先輩の力を借りた事は少々ズルいが、俺はこの隙にレッサーガーゴイルの懐に飛び込む。
それに気付いたレッサーガーゴイルが咄嗟に俺に残った右手を振り下ろすが、弱い。
最初の一撃とは程遠い大した力も籠ってない振り下ろしだ。それを俺は盾を斜めにして受け、流す。
そのまま地面に落とされた腕に、俺は抑え込むように剣を突き刺した。
「今だ!」
一つの腕はまだ先輩の前、もう一つの腕は俺が抑え込んだ。
もう相手に攻撃の手段は無い。
そしてこちらには、コウがまだ残っている。
「ハァ!!」
コウは俺が声を掛けるより先に動いていた。
俺が抑え込んだ腕に飛び、そのままそれを踏み台にして奴の顔より高く跳んだ。
そしてそのまま、
首目掛けて、ロングソードを振り下ろした。
「グルァアアアァ!!?」
レッサーガーゴイルは叫び声を上げたまま、その首ごと両断される。
そしてそのまま砂となり、塵が風に飛ばされるかのように消えた。
静寂、達成感より先に警戒が走る。
本当に終わったのか? 本当に倒したのか? 未だ実感が沸かない。
「おー、やるじゃーん。お疲れさーん」
しかしその緊張の糸は先輩の軽い一言によって切れた。
「ふぅ、最高のアシストだった! お陰で完璧な一撃を入れれたよ。ありがとう!」
「ああ、コウもよくあれを一刀両断してくれた。よく仕留めたよ」
お互い健闘を称え合う。
俺はあまりこういうのは慣れてないが、コウの勢いに乗せられて釣られて言ってしまう。というか言わなきゃいけない雰囲気が流れてる。そこまで空気が読めない俺ではない。
クォブツに掛ける言葉はー……特に無いな……すまん。
クォブツはその場にへたり込んでいる、死にかけたのがそうとう効いたか。
「ほら、なんか落ちてるぞ」
先輩が指を差す。
そこはレッサーガーゴイルが砂となって消えた場所、そこにキラりと光る何かが落ちていた。
俺はコウを見て、それを拾うよう促す。
トドメを刺したのはコウだ、ならコウが拾うべきだろう。
コウはそれを拾い上げる。
それは刀身が赤いロングソードだった。
「紅朱の長剣ーーだそうです」
「おー、上層ならなかなかのロングソードだな。鉄の剣より丈夫だから長く使っていける武器だぞ」
それなりの武器らしい。
俺もロングソードは使っているが、今の所は要らないかな。鉄の剣で十分だ。今は死ぬ前提で潜っているから、高い武器を手に入れても倉庫で腐らせるだけになるだろう。
「売ったら銀貨1~2枚って所だな。正確には覚えてねぇや」
悪くない。今日の研修の参加費が各々銅銀貨3枚。銀貨1枚にでもなれば三人で割っても研修費に届く。
道中はあの男のドロップを含めても微妙なのしか手に入らなかった。これで今回の探索をプラスで終える事が出来る。
知識も経験も手に入り、ホクホクだ。
「ナナシ君」
「……え? あ、はい」
コウに名前を呼ばれる。一瞬自分の事だと気付かなかったせいで妙に畏まってしまった。
「この剣僕が貰っていいかい? 二人に銅銀貨5枚づつ支払うよ」
「いいのか?」
銀貨2枚で売れたら俺達の多少の損だが、1枚で売れた場合コウが大損になる。
それに……
「支払いとしてはちと過剰かな、基本的にドロップは人数で割るのが妥当だ。それだとお前の取り分が計算に入ってないな」
それは俺も思った、だからいいのかと聞いたんだ。
「いや構わない。これは記念になるし、僕によく馴染んでる。ロストするまで使いたい」
うわぁ、なんか綺麗な事言ってる。
俺は金さえ貰えれば構わない、それが三等分の値段でも。
記念かー、まぁ10階初ボス討伐は記念になるか。俺の記念品だった初めての宝箱から出た靴は早々にロストしたけども。
「そうか、まぁいいや。じゃあ帰りまーす、帰りは真っ直ぐ寄り道無しでーす。さくさくいくぞー」
先輩が引率でもするように声を掛ける。
こうして俺の10階体験ツアーは終わったのだった。
■敗者
上層で意図的な初心者狙いを繰り返していると、職業が【敗者】に強制変更される。
上層において、対人戦の際致命的な瞬間に自身に強力なデバフが入り、相手に強力なバフが入る。
極端に運が悪くなる。
痛みの補正が逆方向に掛かる。
勝利が濃厚になった瞬間にモンスターや罠による横槍が入る。
本来の職業の補正が嘘になる。(例・戦士・筋力上昇→筋力が上がったような気分になる)
【敗者】は自身で確認する事が出来ない。ギルドカードの記載も前回までの職業が記載される。
致命的瞬間に掛かるデバフや横槍により、本人には偶然、運悪く負けてしまったように感じる。
悪性の職業はギルド職員に見られると看破される。
ギルド職員が確認して暫く経つか、転職のオーブを使用しようとした際にギルドのブラックリストに入り、以降ギルドからの補助の全てを絶たれる。
よって転職のオーブが使えず、職業の変更が出来なくなる。
ブラックリストに入った時点でギルドカードの職業の記載も敗者に変わる。
ギルドの補助無しで、現在最高到達階+35階に到達した際に元の職業に戻る。
神は犯罪こそ許容するが、冒険者の人口が減るような外道行為に対しては極めて厳しい。この世界では皆異常な程初心者に優しいが、それは恐怖から根付いた習慣でもある。人口は正義。無知は罪。
□レッサーガーゴイル
錆色の体を持つ高さ2.5m程の大きなモンスター。ガーゴイルの劣化版。常に屈んだ姿勢を取っており、2.5mはあくまでその状態の高さ。全長はその倍以上にある。
その体は生物というより石に近く、打撃による攻撃が極めて有効。強い衝撃によって体が砕けるように崩壊する。
一方斬撃による攻撃は効きにくく、多少刺されても流血は無く、動きが鈍る事も無い。
動きは鈍重で小回りが利かず、上位種であるガーゴイルと比べて知能も遥かに低い。翼を持つが飛べる事はなく、全くの無駄な部位となっている。
しかしその体格と堅い腕から出される一撃はとても強力で、その一撃の重さだけなら上層でもトップクラスの威力を誇る。受けるのであれば盾士か、筋力補正のある盾持ちの戦士が妥当。決して剣の側面で受けてはならない、威力は殺せないし剣は折れるしなんなら自分に刺さる。
■かばミサ
昔、『かばう』による盾士が味方の元に瞬時に飛んでいく性質を利用し、盗賊等の足の速い職で盾士と敵を挟んで『かばう』を発動させる事で、敵に盾士が物凄い速さで突っ込んで大ダメージを与える『かばうミサイル』と呼ばれる裏技が流行った。(通称かばミサ)
余りにも神の意図から外れる攻撃方法だったため、『かばう』は味方に飛んでいくのではなく、瞬間移動するように移動し、味方と敵の間に割り込んで入るようになった。