ダンジョンは浅い付き合いで   作:未来遡行

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B-3-2 人ってマジで襲って来るから

 

 

 

 ー☆ー

 

 

「いいか? 対人において何よりも大事なのは先手を取る事だ。これはダンジョンに限った話じゃない。人間相手なら先に相手に一刀入れるだけで致命傷になる」

 

 私達はガルバドさんの話を聞きながら、15階のボスへと向かっていた。

 ガルバドさんの探索は大雑把で、先輩と比べるとかなり適当だ。とりあえず目に付いた扉を開け、サッと見て目ぼしい物が無かったら次に進む。魔法陣を見つけたらさっさと入る。時間効率がかなり良い探索だ。

 適当と言うよりも、ただこの辺りのドロップ自体に興味がないのかもしれない。

 

「別に心臓や首を狙う必要はない。人間の体にナイフの刃が半分程度でも入れば、そいつはもう終わりだ。腕でも、膝でも、腹でも。切り傷はソイツの体の動きを大きく阻害する。判断力もな。一度刺されてからまともに動けた奴を俺は見たことがない」

 

 ただ索敵に関しては次元が違う。私達には無音にすら聞こえる状況ですら「敵右2」とだけ言って私達を前に出す。

 そこから数歩歩いて、そこでようやく私達にも敵の気配を感じて、右の通路を覗くと本当にそこに二匹の敵がいる。

 

「人間が見えた時、真っ先に見るべき事は二つ。相手がこちらに気付いているか、そして相手との距離だ」

 

 ガルバドさんは指を二本立てる。

 長い、爪も長い。

 

「もしこの二つ、相手がこちらに気付いておらず、しかも距離が近い。そうなったら余程状況が悪くない限り、即座に相手を殲滅しろ」

「殲滅ですか……」

「もしそうなったらでいい、そもそもこんな状況には滅多にならない。相手に気付いてからどこかで待ち伏せでもしない限りはな。逆にそうでもないのにそんな状況になったら優しさとして一瞬で殺してやれ。ダンジョン舐め過ぎだ、いい教訓になるだろうよ」

 

 相手を殺す事をガルバドさんは優しさと言った。

 私はどちらかと言えば人と戦うのは避けたい。だけど確かに人を前にして隙を晒すような奴は死んでも仕方ないとも思う。

 

「そしてお前達に大事なのはここからだな。相手もこちらに気付いていて、距離が開いている場合どうするか」

 

 要は人と向かい合ってしまった時。私なら戦いを避けようとするが、ただどうやって戦わずにやり過ごすかが分からない。

 

「俺はそれでも殺しに行くが、お前達は戦いを避けようとするだろう」

 

 あ、はい。

 

「まず、相手の人数、構成、そして手を見ろ」

「手?」

 

 私は聞き返す。人数と構成は分かるが、手はなんだろう。

 

「人数差があれば基本的に不利だ、相手の方が多かったらその時点で逃げてもいい。構成は重要だ、特に魔法使いの有無は最重要、杖持ちがいるかどうかは確認しろ。そして手だな、手を鞄に入れていたり、魔法使いの杖ではない短い杖や、書を持っていたら距離があっても危険だ」

 

 魔法の杖と書。どちらも魔法使いでなくても魔法を使えるアイテム。

 この二つは魔法使いの魔法とは違い、詠唱や溜めを必要とせず、使用条件を満たせば即座に発動される。

 魔法は威力自体も強力だが、それに付随する効果の方が何倍も厄介。

 毒、痺れ、凍結、炎上、一瞬でチーム全体の機能を停止させる魔法が数多くある。

 

「だから和解を提案されても、相手の一人が手を懐や鞄に入れていたら攻撃してくる前提で動け、というかもうこちらから攻撃しろ」

 

 ……難しい。対人はモンスター相手とは訳が違う。なんだか私もやり過ごすより戦った方が楽なんじゃないかと思えてきた……。

 後で先輩にも聞いてみよう。あの人は戦いになったら逃げろって言ってたし、戦いを避ける方法ならガルバドさんより詳しいかもしれない。

 

「はい!」

 

 ずっと黙って話を聞いていたシーニアが手を上げる。

 

「なんだ」

「私の戦い方の評価が欲しいです!」

 

 シーニアはとにかく強さを求めている。

 戦いたいんじゃない、強くなりたい、そういう子。ガルバドさんと似ているようで全く違う。

 

「現時点で特に言う事は無い。モンスターと戦い、経験を詰め。そして実際に人間が来ても難しく考えるな。お前には素質がある、だから一つだけ意識して戦え」

「一つだけ?」

 

 ガルバドさんが今度は指を一本だけ立てる。

 やはり長い、爪も長い。切りたい。

 

「殺意。お前に致命的に欠けている要素はそれだけだ。後は経験でどうとでもなるだろう」

「殺意……」

「交渉だの駆け引きだのはそっちの女がやってくれるだろう。お前はその交渉なんか聞かなくていい、動いたら殺す、それだけ考えろ」

 

 そっちの女。私ガルバドさんに名乗ってなかったっけ?

 

「利己的な動き、大いに結構。だが殺意の乗っていない攻撃など恐れるに値しない」

 

 ガルバドさんは短刀を一つ抜き、私達に見せる。

 

「相手を殺そうと思って攻撃すれば無意識でも刃に殺意は乗る。俺が言っているのはそうじゃない、全ての行動に意識的に殺意を乗せろ。たとえ和解したくても、だ」

「意識的に……」

「動けば殺す、逆らえば殺す、妙な動きを見せたら殺す、隙を見せたら殺す。意識的に乗せた殺意は相手も気付く。その意識だけで相手は動きを大きく制限される」

 

 なるほど、要は圧の話だ。交渉時に商人が一人でいるのと、横に強面の用心棒が一人いるのとでは怖さが全く違う。

 先輩とガルバドさんが戦う時もしきりに手を出せば殺すとガルバドさんは言っていた。そして実際に妙な動きを見せたら殺すと、目でけん制されているように感じた。

 あの圧を交渉時に出されたら、怖くてなんでも従ってしまうかもしれない。

 

「そして意識的にも乗せた殺意は刃を鋭くさせる。と言っても体験談だがな」

 

 そう言ってガルバドさんは短刀をしまう。

 

「それになにより、交渉においても相手にナメられたらその時点で成立などしない。ほれ、奥からモンスターが一匹向かってきている。意識的に殺意を乗せて攻撃してみろ」

 

 ガルバドさんが通路の奥に視線を向ける。するとそこから一匹のコボルトが現れた。

 小さいガルバドさんって言ったら怒るのかなこの人。

 

 シーニアが目の前のモンスターに向かって行く。

 

「殺す!」

 

 そしてコボルトを斬り裂いた。

 

「ああ、お前はそれ口に出すな。馬鹿に見える」

「!?」

 

 

 

 ー☆ー

 

 

 

「先輩、10階ボスのドロップっておいしいですか?」

 

 続く9階、俺達はまったりと階層を進み、10階ボスの目前まで迫っていた。

 5階からここまで俺はルピナの育成に力を入れていた。弱そうな相手ならタイマンで、少し厄介な相手は俺が一撃を入れてからトドメを刺すよう指示をした。

 ここまでしてやる義理はないが、研修を担当した手前あまり悪い癖を付けて欲しくない。特に盗賊は戦闘以外での活躍がメインなため、戦闘を疎かにし易い。

 

 そうして戦闘から手を抜いて先に進んだ結果、中衛すら出来なくなった盗賊を何人か知っている。

 そうなった盗賊はどこに立つか? 後衛の後ろに立つのだ。

 前衛の動きに着いて行けない中衛は前衛にとって邪魔でしかなく、後衛にとっても射線の妨害にしかならない。

 戦力外通告を受けた者が立つのが後衛の後ろ。その姿はあまりにも惨めで情けない。

 俺が教えた相手がそうなるのは流石に避けたかった。

 

「うん? まあそこそこだな。だが基本的に宝箱よりもいい物が出るぞ」

 

 そうなって欲しくないとは思いつつ、しかし口には出さない。

 ルピナは恐らくだが、そもそも本気でダンジョンに潜っていない。遊びや小遣い稼ぎ感覚でここにいるんだと思う。

 そんな相手に上から説教かましてもダンジョンへの忌避感が増すだけだ。なら何も知らない今のうちに、常識として前衛補助を身に付かせた方が良い。

 

「いいもの……」

「ああすまん、言い過ぎた。そこそこな物が出るぞ」

「ええ……」

 

 ルピナの表情がキラキラし始めたので慌てて訂正する。

 10階ドロップなんてピンキリだ、その上ポーション並に高いのなんて滅多に出ない。

 変に期待させない方が良いだろう。

 

 ……ん?

 

「ルピナ、下がれ」

 

 前を歩いて警戒をしているのはルピナだが、俺も当然索敵や警戒をしていた。

 ルピナは恐らくまだ気づいていないが、俺の視界に見過ごしてはいけないものが映った。

 

「はい?」

 

 ルピナは訝しげに周囲を警戒しながら俺の後ろに下がる。

 何故下がれと言われたかに気付いていない。自分で何を見落としたか確かめているのだろう。

 

「……あ」

 

 ルピナも気付いたようだ。

 

「足跡……っすね」

 

 そう、俺達の前には小部屋へと繋がる扉がある。その扉の前に足跡があるのだ。

 それもモンスターではない、靴による足跡。

 人間の痕跡だ。

 

「ここから先はお前の手に余る。階層を上がる魔法陣の場所は覚えているな? もし戦闘になったら戦わなくていい、真っ直ぐにそこに向かえ」

 

 二回連続で他チームと階層が交わるなんて珍しい。まあ9階だし仕方ないか?

 しかも足跡の見るに三人はいる。人数不利はそれだけで面倒だ。しかもこちらはルピナを戦力に数える気はない。

 

「……先輩は?」

「状況による、一旦さっきの曲がり角まで下がろう」

 

 それは状況によっては戦闘も視野だという事。

 最低でも人数不利、相手の職も不明と正直今日は引いて帰っても良い状況だが、この階層で中層冒険者がいる事は滅多に無い。ガルバドのような奴はそんなにいない。

 俺なら仮に戦闘になっても、上層冒険者四人程度なら一人でいける。優秀な剣と盾もあるし。

 それにこの程度の事態で逃げるようになってほしくない。この先冒険者とかち合う事は幾らでもあるだろう。撤退を視野に入れてもいいが、撤退前提では駄目なのだ。逃げる勇気より切り抜ける勇気を学んでほしい。

 

「部屋の中の音とか、聞いてみなくていいんですか?」

 

 音による部屋内部の調査、悪くない判断だが……。

 

「もし中にまだ人がいたら、そしてそのチームに盗賊がいたらたぶんルピナより先に気付かれる。お前を前にして後手に回るのは避けたい。数分眺めて、誰も出て来なかったら別の道を探索しよう」

 

 生憎こっちの盗賊はド初心者だ。盗賊の索敵力勝負で絶対に負ける。

 ルピナが近付いた瞬間に扉から三人出てきてそのままルピナがミンチにされる可能性がある。

 いい経験になるが、それは流石にかわいそう。

 

 俺達はゆっくりと音を立てずに後退し、いざという時の退路を確保しながら、その扉を眺める。

 

 ………………じっくりと待つ事、3分。

 扉がゆっくりと開き、中から誰かが出て来た。

 一人、二人、少し遅れて三人目。……四人目はいない。

 小部屋で収穫でもあったか、笑顔で談笑している。盗賊らしき風貌の男はいるが、こちらに気付いた様子はない。

 恐らく男戦士一人、男盗賊一人、女杖持ちが一人、僧侶か魔法使いだな。

 

 …………いけそうだな。

 

「これ、持っててくれ」

「え?」

 

 俺はルピナがあちらから見えないよう下がらせて、丸めて縛られた一枚の書をルピナに渡す。

 ルピナは困惑しつつも、それを受け取った。

 そして俺は剣を抜き、盾を握りしめる。

 

「動くな!」

 

 俺は曲がり角から飛び出し、三人に向けて大声で叫ぶ。

 三人は驚いて身を竦ませ、即座に武器を構える。

 

「こちらに戦闘の意思はない、全員そのままだ」

 

 全員の手は見えている。初心者か? 装備もそこまで高価な物は見えない。

 

「姿を見せていないだけでこちらにはまだ仲間が控えている、人数は言わん。重ねて言うが、戦闘の意思は無い。が、怪しい動きをした瞬間こちらは戦闘に入る、これ以上の警告はしない」

 

 戦闘を避ける前提の対人交渉はまず、こちらを優位に見せる事。上から要求し、お前達などこちらがその気になればいつでも殺れるぞ? と、言葉に刃物を見せるのが大事だ。

 

「まず、私達がここまでの探索の結果、こちら側に青の魔法陣は無かった。そちら側に青の魔法陣はあったか?」

「……ありました」

 

 先頭にいる戦士風の男が答えた。

 

「であるなら、真っ直ぐそちらに向かえ、こちら側は探索済みだ。これ以上のこの階層での探索はお互い無意味だろう」

 

 ここで俺はルピナにだけ聞こえるようにボソりと語り掛ける。

 

「そこから手だけ出して、さっきの書をあいつらにも見えるように振れ」

「??」

 

 ルピナは困惑しつつも声には出さず、言われた通りさっき受け取った書だけを曲がり角から出し、あちら側に見えるように振る。

 突如横から変な物が見えた三人は警戒を強める。

 

「見えるか? これは探知強化の書だ。今から10分後にこれを使う。言っている意味が分かるか?」

 

 大嘘だ、これはただの鑑定書だ。そんな汎用性の低い局所的な書など持ってきていない。

 だが当然相手からは何の書か分からない。わざわざ開いて見せてやる義理もない。

 

「10分後、この探知に入った者は全員殺す」

「!?」

「つまり10分以内に先の階層に進むか、帰れと言っている」

 

 本来先に進む魔法陣も帰る魔法陣もその階層には一つだけだが、こうして他の冒険者とかち合った場合は例外となる。

 今俺達は全員同じ場所にいるが、あの三人と俺達は別の道を進んでこの階層に来ている。俺達とは別の入り口があちら側にもう一つ存在する筈だ。

 ただ、先に進む魔法陣は一つしかない。

 

「異論は認めない。従うか、戦うか、返答を」

 

 俺はルピナに、もういいよ、と鑑定書を下げさせる。

 そして姿勢を低くして、構えた。

 これ以上の文言は聞く気はない。YES以外は斬る。

 俺は既にスキルの準備を終えている。ガルバドにはバレているので使わなかったが、恐らくこいつらには初見のスキルだ。極めて効果的だろうな。

 多少の距離はあるが、魔法使いの詠唱が間に合う程ではない。1秒も掛からず距離を詰めれるだろう。

 あの戦士の装備では俺の白麟の剣は防げない。剣で受ける事すら出来ないだろう。即座に処理出来る。

 盗賊が多少面倒だな、だが即座に戦士と杖持ちを切り捨てれば脅威度は一気に下がる。

 

「分かった! 直ぐ先に進む!」

 

 戦士が答えた。

 

「そうか、ならば行け!」

 

 俺はその場を動かず、ゆっくりと離れていくあいつ等を見送る。

 そして奴等が姿を消し、それでも俺は数秒待った。

 

「……もういいぞー」

「ひえぇ……怖かった……」

 

 ルピナは今更震えている。

 

「一応ここへの迂回路とかもあるだろうから、警戒は一層強めに、この層は探索無しで一気に抜けるぞ」

「了ー解です。めっちゃ口調変わりますね、別人かと思いました」

「違うのー、他冒険者と会ったらああやって威圧が必要なのー」

 

 出来るだけ柔らかーく話す。

 俺だってあんな高圧的な話し方はしたくない。

 

「へー」

「言っとくけど本当に大事な? あっちの方が弱そうだぞ? って思われたら人ってマジで襲って来るから」

「そんな、襲ってくるのなんて実際あの犬の人くらいじゃないんですかー?」

 

 犬の人。ガルバドな。どっちかって言うと狼だしアイツ。

 

「んー、仮にさっきみたいな状況、こっちだけ気付いてて、相手が気付いてない。こういう状況になったらたぶん8割くらいの奴は攻撃してたと思うぞ?」

「ええ?」

「人間相手に先手を取れるのは、それだけで勝てるくらい大きいんだよ。実際俺も何度も襲われた事ある」

 

 俺はソロで潜る事が多かった。

 戦士系である俺では、どれだけ全力で索敵しても盗賊の索敵には勝てない。

 必然的にダンジョンで攻撃してくる奴には殆ど先手を取られていた。

 向かい合ってよーいドンで戦いが始まる事なんてほぼ皆無だった。勝てそうなら攻撃するし、負けそう、もしくは戦いたくないならそもそも人の気配に気付いた時点で逃げるのだ。

 

 

 とりあえずその場で周囲を警戒しながら宣言通り10分待つ。と言っても時間の確認が出来ないので大雑把にだ。体感8分経った段階で動き出す。

 それから俺達はルピナを先頭に、先程の三人を追うように進む。

 途中幾つかの小部屋を発見するが、中に魔法陣が無い事だけ確認して、中には入らず進む。

 

「……前歩くの怖いんですけど」

「そんな怯えなくてもな、最悪死んでも別に俺がいるし」

「……あれ? 囮にされてません?」

「……………」

 

 勘のいいガキは嫌いじゃないよ。不都合だけど。

 

「やっぱり囮にされてる!?」

「うるさい、俺が殺されたら全部終わりなんだ。囮くらいむしろ買って出ろ」 

 

 なんか下がろうとするルピナを押し留めて、無理やり前に押し出す。

 そもそもコイツ死んだ事あんのかな? でも死んでないとリュミレさんの初心者認定通らないか。

 ただシーニアは死んだこと無さそうなんだよなあ……。行動に警戒や恐怖が無いっていうか……。

 

 それから奥へ進み、4つ目の小部屋で魔法陣を発見する。一応誰か隠れていないか、物陰も家具も念入りにチェックする。

 

「10階入った瞬間にあいつらに襲われたりしないんですか?」

「他の冒険者と階層が交わるのは、その階層のみだ。引き返したり進んだりすれば、あいつらとは別の場所に着くように出来ている」

 

 なので戦いたくないならその階層からとにかく離れればいい。

 

「ただ帰り道。俺達が10階からこの9階に帰る時はあいつらがまたいる可能性がある。この階層だけは交わっているからな」

「え? 出待ちされたらどうするんですか?」

「……まあ、それをされたらかなりキツイが……。魔法陣で移動した直後って実は数秒間だけ攻撃を受け付けない状態になるから、それで凌ぐしかない」

 

 魔法陣の仕様として、階層を移動する際に目が眩むような光に包まれる。当然、その移動先にモンスターがいる事もある。なんなら数十体のモンスターに囲まれている事すらある。

 そのための救済か、目を開けた瞬間死亡なんて事が無いようにか。移動直後は攻撃を受けても全く痛くないし、怯みもしない。

 ……本当に数秒だけだが。

 

 俺達は魔法陣の上に立ち、10階へと向かった。

 

 

 




 
□階層の交わり
 6階以降の階層で、階層を降りる度に0.5%の確率で他冒険者との階層の交わり判定が入る。
 15階以下であれば基本的に同じ階層にいる者同士が交わるが、16階以降だと±5階、中層だと最大±10階まで交わる階層に誤差が出る事がある。
 これは単純に人口の差で、16階以降になるとそもそも同じ階層を探索している冒険者が極端に減少するためである。
 そのため、法則性を無視した地形が突如現れた場合注意が必要となる。(例・森エリアの階層の筈が山エリアだった)
 下層は探索する冒険者が極少数なため、亡霊が現れる。この亡霊とは名前だけで、霊体ではなく実体である。
 これは過去に下層まで到達し、そして現在引退し、ダンジョンに訪れなくなった者が亡霊として出現する。数はこちらのチーム人数と同数の亡霊が現れる。
 冒険者同様、強力な魔法、多様なアイテム、無効化を含む強力な装備を持つ。
 これは交渉不可で、確実に襲って来る。全員を倒せれば神器を一つ高確率でドロップする。

□特殊階層
 16階以降になると冒険者との遭遇回数は格段に減る。その代わりではないが16階以降は階層イベントが解放される。
 レア宝箱部屋・レア敵部屋・隠し部屋・モンスター部屋・夜・等々、冒険者にとってプラスになる階層もあれば、マイナスにしかならない階層も存在する。
 16階以降はそんな危険な階層を引いた時、その時のための備えも必要となる。


「あ、先輩! 可愛いウサギがいますよ!」
「殺せ!! 絶対だ!!!」
「ええええええええ!?」

 
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