真面目でサイコな弟子が往く!   作:白熊堂

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本日もよろしくお願いします。

この作品はカクヨム様からの転載となっております。


第27話

第27話・絶望する少女

 

 

 

 名もなき村の村長宅前の広場、そこで抜き身の剣を手にぶら下げた血塗れのアリシアが神速の動きで盗賊を次々と切り裂く。

 

ヒュン!「あぎゃ!?」バタン

 

 唖然としている赤狼団メンバーは自らの状況を掴めぬまま次々と血塗れのアリシアに屠られた。

 

 吹き出る血煙、血の池に散らばる人体の凄惨な光景に、残り5人となった盗賊達は、そこでやっと目の前の華奢な少女に反応した。

 

「何しとんじゃ、糞ガキぃ~!」

 

「囲め!囲め!」

 

チャキ、ガシャガシャ

 

バタバタバタバタ

 

「うるさい、あなた達が来なければ私達の村は平和だった」

 

ビキビキビキビキ、パリン!パリン!

 

《アリシア!目を覚ませ!アリシア!ぬぅ、俺の封印が完全に解ける。このままでは自らの巨大な力と狂気に飲み込まれるぞアリシア!》

 

 やっと動き始めた赤狼団達の怒号と共に3人が襲い掛かる。

 

 しかし、それはあまりにも遅すぎました。

 

「死ね、みんな、みんな死んでしまえーーーー!」

 

《アリシア!やめろぉぉぉぉーーーーー!!!》

 

ヒュン!「グッ……」プシュッ!プシュッ!

 

 アリシアに掴み掛かった盗賊の喉を突き抜け、そのまま斬ると盗賊は白眼を剥いて即死しています。

 

 盗賊を殺す事によりアリシアの魂に紐付けされた【ブック】に神から渡された【筆】が盗賊の討伐を記録していきました。

 

 盗賊達から抜けた悪いプラナがアリシアに移る事でレベルがまた一段上がり、全ての能力の高まりと共に覇王の封印の力が少しずつ確実に弱まっていきます。

 

「もう遅いよ、みんな死んだ。村も焼けた。あなた達も死ぬの」

 

《それ以上はやめろ!アリシア!俺の声が聞こえんのか!》

 

トス!「グブ」プシュウウーー

 

 さらに即死した盗賊の横にいた別の盗賊の心臓を刺すと更にアリシアは真っ赤な血で染まる。

 

 苦しみつつ苦悶の表情を浮かべ死んでいく盗賊達、それを冷たく眺めるアリシアのプラナが少しずつ闇に囚われていき憎悪のプラナが魔素に変じるのを精神体の覇王は感じました。

 

「消えて、みんな、みんな私の世界から消えろ」

 

ブワアアァ、ビキビキビキビキ、バキンッ!

 

《アリシアの清い心が死んでいく。深い絶望、不味い。これは不味いぞアリシアから大量の濃い魔素が出ている》

 

ズバッ!ボト、ブシュウウウウ!

 

 そしてアリシアの手元の剣が閃くと、間合いに入った盗賊の首が更に一つ飛びます。

 

 アリシアは的確に素早く急所ばかりを狙って血に濡れたショートソードを振るい続けました。

 

 少女の剣が閃きを放つ度、一振毎に確実に斬り捨てられていく赤狼団達、あっという間に苦悶の表情を浮かべた死体の山と朱い血溜まりの池の中に血塗れの少女が佇む信じられない阿鼻叫喚の光景が出来上がります。

 

バタン、ザザザザ、ガサッ「ひぃ!」(お助け~)

 

ダダダダダダ!

 

 一人、最後まで動けずにいた盗賊が恐怖から慌ててアリシアに背を向けて逃げ出しました。

 

 アリシアは逃げる盗賊をあえて追う事はしなかったのですが、逃げ出した盗賊を赤狼団のボスで有るゼノアが背中から真っ二つに叩き斬りました。

 

「おい!ガキ一匹に何やってんだコラ!」

 

ズバッ!(逃げんなボケ!)

 

ブシューーーー! パタン……グシャ……

 

「おいガキぃ~!舐めたまねしやがって!せっかくの器量が勿体ねぇが死ねや!」

 

 赤狼団の盗賊頭ゼノアはジルの死体から剥ぎ取った業物のロングソードを無意味にブンブン振り回すと、それをアリシアに向かって振り下ろしました。

 

 殺ったと慢心するゼノア、自らの勝利を信じて疑わない力強い剣閃はアリシアを捉える事はありません。

 

ブォン! 

 

「それがあなたの本気?遅い、あなたは遅すぎる。もう、全てが遅すぎる。もう、私の楽しい暮らしは戻らない。遅すぎるよ」

 

ブワアアァ!ブワアアァ!フシューー!

 

《いかん!絶望のプラナが凶悪な魔素に変わる》

 

ブォン!シュパ!

 

「何!? 俺の剣が当たらんだと!?こいつ、見た目と中身がまるで違うのか!?只のガキじゃねぇ!」

 

 ゼノアの目が驚愕に染まります。

 

「あなた遅いよ。ほら、早くしないと死んじゃうよ?あなた達が殺した。村のみんなみたいに。あなたは許さない。絶対許さない。許さないからーーーー!」

 

ビキビキビキビキ、バリィーーン!

 

《アリシア!それ以上の力を出せば身体がもたん!やめろ!俺の声を聴け!》

 

プシュッ!「グッ!?速い!なんて速さしてやがる」

 

 小さなアリシアは巨漢のゼノアの剣技を見事な体捌きで避け、返し技で盗賊頭ゼノアの腕と腹に同時に浅い傷を二つ付けました。

 

 血塗れの小さな少女に傷を負わされた羞恥と怒りで冷静さを欠いたゼノアの剣技はますます直線的となり、素早さがずば抜けて高いアリシアの動きはゼノアの直線的ながらも洗練された剣技を模倣して更に洗練されていきます。

 

 徐々に洗練されていく目の前の悪夢、最初の慢心は既に無くなり、焦りだすゼノア。

 

 しかし未だに事態が飲み込めずに怒りと苛立ちで剣を振るいました。

 

ブォン!ブォン!ブォン!「くそ!くそ!くそ!」

 

トス!「遅いよ……」

 

 怒り心頭のゼノアは力任せに左から右にロングソードを凪払うがアリシアは半歩下がってやり過ごし、がら空きの脇腹にショートソードの突きの一撃を入れる。

 

「だから、あなた遅いんですよ。そんな力で盗賊の頭?ふざけないでよ」

 

《アリシアがさらに成長している。不味い》

 

ドス!「な、なんだと!?俺に一撃入れた?こいつは一体なんなんだ!?」(こんなバカな!?)

 

 盗賊頭ゼノアはここで少し冷静になる。

 

 元々ゼノアとてエルト小国の正統剣技を教授する王国師範の流派で直弟子として厳しい修行に耐えて将来を期待されていた凄腕の剣士で有った。

 

 性格に難は有れど剣の腕には自信が有るのは当然だが、その自分の攻撃が目の前の少女には一切当たらない。

 

 自分よりも目の前の少女は強い、その事実にゼノアは絶望しました。

 

 

 

 

 

 

 




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