風都暮らしの転生者   作:瓶詰め蜂蜜

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序章 転生者、吃驚仰天のリンカーネーション
転生者、急転直下のプロローグ


「なんでこれがあるの……?」

 

 中学校から帰宅した私が目にしたのは机の上に並ぶ5本のメモリ。あれほど関わるのを避けていた存在に呆然とするも、何故か体は勝手に動き、真ん中にあった白いWのメモリを手にしていた。

 手の中にあるメモリは何故かは分からないが、はっきりと自分の物だと本能が告げてくるのを感じ、漸く理解した。

 

「これが私の運命のメモリなのかぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私、二丸(にまる)六月(むつき)には前世の記憶が存在する。とは言ってもエピソード記憶の九割九分が欠落しており、残りの一分は好きだったとある作品に纏わる記憶のみである。

 その作品の名前は仮面ライダーW。風の都風都を舞台にした特撮ドラマである。

 ……そして、風都は現在私が暮らしている町でもあるのだ。

 

 仮面ライダーWの世界に転生した事に気付いた当初は、好きな作品の世界だと興奮していて、原作のキャラ、特におやっさん*1や翔太郎に会ってみたいなんて考えていた。

 けれど、私が小学生の頃にドーパントによる破壊活動のせいで母さんが目の前で死亡。母子家庭だった私は残った遺産や遠く離れた祖父母の支援を受けて中学生に上ると同時に一人暮らしを始めることとなったのだ。

 この一件で、ドーパントを倒しに来たおやっさん事仮面ライダースカルを生で見ることは出来たが、どこか非現実的に見ていたドーパントに対する恐ろしさを肌で感じ、今私のいる場所は作品の世界などではなく紛れも無い現実であるなどと突きつけられたのだった。

 それからは、ミーハー感覚が抜けてなかった頃から一転して、私は仮面ライダーW本編に関わろうなんて考えは全く無くなった。反対に、どうやって危険から逃れられるかと考え行動する様になっていき、今では一人暮らしの大変さを感じながらも平和に暮らしていた。

 

 ……なのに、メモリが家にあった。それも5本も。以前なら「やったあ特典だあ!」なんて無邪気に喜んだだろうが、今の私は「厄介事には関わりたくないです!」のスタンスなのである。

 

「取り敢えず、生体コネクタ出てくるか確認するか」

『ウルフ!』

 

 姿見の前で素っ裸になると、メモリのスイッチを押してガイアウィスパー(ここで、私の運命のメモリがウルフであることが判明)を流して身体の隅々まで確認する。幸いと言っていいのか、私の身体に生体コネクタは見つけられなかった。しかし、これで安心とはならない。何故ならまだあと4本メモリはあるのだ。

 急いで他の4本も確認するも、やはり生体コネクタは見つからず、胸を撫で下ろしたのだった。

*1
鳴海荘吉の愛称




プロローグ的な物なので、この後一気に飛びます。
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