転生者と万灯雪侍
いきなりだが、ミュージアム*1が壊滅した。つまり、仮面ライダーW本編の主なストーリーが終わったのである。
これまで裏風都にもかもめビリヤードにも立ち寄ろうとしなかったが、風都タワーがぶっ壊れた時*2は仕事で丁度近場にいた為に一瞬チベットスナギツネのような顔になってしまった。
勿論、最終局面の戦いでは応援させて貰った。風都探偵の敵組織に所属しているけど元々は仮面ライダーのファンなので。
その後は、照井竜の手配書を見つけてVシネが進んでいるのを確認したし、ここで初めてビゼルを使う事にした。
「おや、誰かと思ったら君か」
「……どうも」
ビゼルを使って入ったら何故だかバッタリ万灯に鉢合わせてしまった。ここは塔じゃないのに、何故?
「何故今になって来たのかな?」
「いえ、私も学生で一人暮らししている身なので、なかなか来るタイミングが無くて」
ニコニコと張り付けたような笑みを浮かべる万灯にそう言い訳をする。まあ、実際忙しかったのは事実だし、怪しまれないだろう。
「……確かに、これは忙しそうだ」
「あっ」
そう言って万灯が取り出したものを見て思わず声を上げる。
それは一見普通の雑誌だが、私にとっては少し違う。何故なら
「『今人気急上昇中の高校生モデルMUTSUKI』……か。うん、なかなかよく撮れているじゃないか」
「……本人目の前にしていいますか普通?」
「褒めているんだよ?」
相変わらずの笑みの万灯を見て、少しばかりイラっと来たが我慢する。
そう、私は高校へ進学する少し前にスカウトを受け、高校生になると同時にモデル業を始めたのだ。
何やら「神秘的!」だの「綺麗!」だのと人気が急激に上がっているそうで、バイト生活の頃より忙しくなってしまった。……まあ貯金も一気に増えたので文句はないのだが。
「それで、一体ここで何してたんですか?」
「ああ、ちょっとした人探しの帰りさ」
万灯に尋ねれば、端的に答えられる。それだけでは普通は分からないが、原作知識を持っている私は「ああ、ときめを探してるんだな」と理解出来た。
「そうだ、これも何かの巡り合わせだ。君にこの街を案内しよう」
「……良いんですか?貴方も忙しいんじゃ?」
良い事を思いついたと言わんばかりの万灯に聞けば、「君は長い付き合いになりそうだからね」と笑みを深めて言われた。
私としてはノーサンキューだが、死にたくないので長い付き合いに否応にもなってしまうのだろう。
溢れそうになった溜め息を先を行く万灯に気付かれない様にグッと噛み締めながら、その後を追って塔へ向かうのだった。