翔太郎から逃げ、物陰に隠れたタイミングでビゼルを使って裏風都へ入った。
「ふぅ……」
メモリを抜き取って一息吐くと、壁面に背中を預けながら座り込む。
「演技、過剰過ぎたかな……」
仮面ライダージョーカー戦の時にちょくちょくおかしい演技をしたのは、マネージャーさんもまたドーパントだったからだ。
マネージャーさん自体も特殊な能力に目覚めた、いわゆるハイドープらしく、万灯にどうするか尋ねたが、「君の好きにすればいい」とだけ言われた為、今回の怪人枠を担当してもらう事にした。
「あと、このメモリには悪いけど、私にはもう運命のメモリがあるからなぁ」
手の中にあるウールメモリを握りしめて、「よっこいしょ」と立ち上がる。
さて、そろそろBパートを始めようかね。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「くそっ!」
六月の逃走を許し、見失った翔太郎は悔しげに変身を解く。が、先程の彼女の様子に引っ掛かるものがあった。
「あの錯乱具合、ガイアメモリの副作用……って感じじゃなかったな」
そう呟く所に、懐のスタッグファンから着信音が流れる。翔太郎が電話に出ると、『左か』と、聞き覚えのある男の声が聞こえた。
「どうした、照井。何か用か?悪いが今依頼を受けていてな」
『その依頼人の名は三葉耳朗か?』
「……そうだが、何かあったか?」
これは何かあると、真面目な声色に変わる翔太郎に対し、電話の向こうからの返答は思いもしないものだった。
『三葉耳朗。奴にはメモリの密売組織と関わりがある容疑者でな。今、俺達も捜査しているんだ』
「なっ……!?」
電話越しに聞こえる呼び掛けに反応せず、翔太郎の中で戦闘中に感じた違和感が繋がった。
「もしや彼女は……。悪い照井!ちょっと手を貸してくれないか!」
『……何かあったのか?』
「ああ、悲劇のお姫様を救い出さなくちゃならねぇ」
翔太郎の発言を聞き、少し沈黙すると『分かった。俺は何をすればいい』と返事が来た。それに笑みを深めた翔太郎はこう頼んだ。
「三葉耳朗のこれまでの動向を探ってくれ」
『それは言われなくてもするが……』
「んじゃあ、それが分かり次第俺にも教えてくれ」
『分かった』と了承が返って来たのを聞き届けると、翔太郎は今度は別の携帯に電話をかける。
「悪りぃ、ウォッチャマン調べて欲しいことがあんだけどよ」
『いきなりだね翔ちゃん。で、なに?何を調べたらいいの?』
直ぐに電話に出た情報通のブロガー、ウォッチャマンに翔太郎は笑いながら頼んだ。
「二丸六月について、だ」
何故シープでは無くウールにしたかというと、単純に白いイメージでイニシャルがWのものを……と思った時に出て来た候補の中で、オオカミに明確に負けそうな、非力なイメージがあったのがウールだったのです。他に候補としては『ウィンター』『ホワイト』『ウイング』『ウェブ』がありましたが、しっくり来たのはウールだったんですね。