IS ~北欧生まれのカレンデュラ~   作:蛙の卵

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next stage 1 『今日もまた』

九月1日。明日は世間の学生達にとって夏休みが終わりを告げ二学期が始まる日だ。

 

 

織斑一夏。彼もまた一人の学生として、夏休みから二学期への心の入れ換えをしなくてはいけなくなるのだった。

 

 

IS学園において唯一の男子生徒である一夏は、寮の自室で夢の中に。……つまりはまだ寝ていた。

 

と言ってもただ今の時間は朝6時を過ぎたばかり。

 

普通の学生なら彼と同じく就寝している頃であろう。

 

 

チュンチュン……。

 

 

「ん………」

 

窓の外では早く入れろとばかりに朝日が差し、また早く起きろと言わんばかりにスズメが鳴いている。

 

 

(後五分、後……五分だけ…)

 

このまどろみ延長は至福の時である。おそらくこの穏やかな時間を楽しまない人間はいないだろう。

 

 

 

むにゅっ。

 

(……?)

 

 

むにゅむにゅっ。

 

手を伸ばそうとした俺の手を遮ったのは、何かとてつもなく柔らかいなにか。

 

 

(はて、この感触はなんだ?……こんなすべすべしてて、やわからで揉みごたえがある物体、布団の中にあったっけ?)

 

しかし、今は未知の探求よりもまどろみタイム。この心地よさを放棄するなど出来ようか?出来ねえよ。

 

 

(あー、しあわせだ~)

 

なんと言ってもこの未知の物体、揉んでるだけで気持ち良いのだ、なんだか良い匂いもするし…

 

 

もみもみもみもみ………。

 

「んっ…ら、めぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――おい、おいおいおい。今、確かに俺のものでない声が聞こえたぞ?

 

 

 

「ん………ふぅ」

 

 

シュル…ギュッ。

 

――待てい。今度は背後から手が俺に絡み付いてきやがった………何か予感めいたものが俺の脳裏をよぎる。効果音はもちろんピキィーン!だ。

 

 

 

かばっ! と布団をめくる。と、そこには―――

 

「ら、ラウラにっ、千春ぅっ!!?」

 

一糸纏わぬ姿の二人の美女がいましたとさ。

 

 

 

いましたとさ、じゃねええぇぇぇっ!!

 

 

「ん?……なんだ?……もう朝か?」

 

「ば、バカ!隠せ!」

 

むくりと起き上がったラウラに布団を被せる。……千春はどうやって隠そう。

 

 

 

(こ、このままでも……って何考えてんだ俺は!?)

 

俺はシャルロットがいなくなって空いていたベッドから布団を持ってきて、空いていた筈のベッドがぐちゃぐちゃになってたのは何でだろうか、と千春の裸を意識しないよう思考しながら千春の肩から足に掛けてしっかりと被せた。足やらなにやらが布団から出てたら俺の理性が耐えられんからしっかりと。

 

 

「おかしな事を言う。夫婦とは包み隠さぬものだと聞いたぞ?」

 

「それは確かにそうだな……って違うわ!服着ろ、服を!なんで裸なんだよ!千春も!」

 

 

俺の混乱はそっちのけ、ラウラは一度目を擦るとそれだけでいつもと同じくキリッとした顔立ちになる。こいつ、地味にすげぇ。まどろみタイムを放棄しやがった。

 

―――って、今はそんな事をいっている場合ではない。そうこうしているうちに、ラウラ

のほうから口を開いた。

 

 

「ベッドで裸で寝るのは私のライフスタイルだ。御姉様にその事を話したところ、御姉様も裸で寝たのだ」

 

「と、とりあえずグッジョブと言っておこう。で、なんで二人そろって俺のベッドに潜り込んで来てんだ?」

 

「日本ではこういうおこし方が一般的と聞いたぞ。将来結ばれる者同士の定番だと。……しかし御姉様はそっちのベッドで寝ていたはすだが?」

 

 

なるほど、人肌恋しくなったのね。 それはともかく、

 

 

「お前に間違った知識を教えてるのは誰だよ」

 

「しかし、効果はてきめんのようだな……し、しし下の方も起きただろう?」

 

「?」

 

ラウラの視線が俺の目から下腹部まで下がったのを見て、釣られて俺も下を見る。

 

 

 

……………………。

 

 

「うわぁっ!?」

 

 

朝の生理現象が発動してました。

 

 

「ふふ、そうなっていると、男は欲情してるらしいな?」

 

「ぐっ…おぉ!?……これは、ただの…いでっ、いででででっ!」

 

ラウラの腕が延び、俺はベッドに寝かされ、いわゆる腕に間接技を仕掛けられた。

 

 

 

「つえぇっ!」

 

 

「お前はもう少し組技の訓練をすべきだな」

 

くっ、言い様がまるで千冬姉だ。さすが元教え子。目線の冷たさまで似ている。

 

 

「し、しかし、そうだな……。ね、寝技の訓練をしたいというのなら、私が相手になってやらないでもないが………」

 

「ば、バカ!女の子がそんなのと口にすんなって!」

 

「ほう。お前の口から言いたいのだな?よ、よかろう。こいっ」

 

「だーっ!そう言うことじゃねえっつの!」

 

 

俺がジタバタと暴れても、ビクともせず間接技を決めていたラウラが突然腕をほどき、そのほどいた腕を胸や下腹部を隠すような位置にする。

俺が溜め息混じりに起き上がろうとした時、二つの衝撃が走った。

 

 

「一夏、私だ、入るぞ?」

 

一つは俺の部屋のドアにドンドンと荒いノックが、

 

 

もう一つは、――――――――――。

 

 

「ん……―ふぁ…い~ちかっ………うん、…だぁいすきぃ」

 

 

なんか溶けてしまいそうなほど甘い声が耳元から囁かれた俺に衝撃が走る。

 

 

 

 

 

 

 

…………え?あれ…今、いまいまなんて!!!?

 

なんて言った!?

 

脳内一夏A:

起き上がろうとした俺を起こさんと、身体を絡めて来た千春が俺の耳元で愛を囁きました!

 

 

だよなっ!?そーだよな!?聞き間違いじゃねーよな!?

 

脳内一夏B:

やや乙女ちっくな声の高さでしたが、確かに千春の声です!しあわせボイスです!

 

 

甘く蕩ける千春のボイス、確かに聞いたな野郎ども!?

今までよく耐えた、我が精鋭(りせい)達よ!長く険しい忍耐の時は終わった!そして、今ここで千春の想いに答え、『恋人』になる時が来たのだッ!

嗚呼、長かった。この時を、我等は待っていた。あの桜の花びら吹雪く朝、彼女と逢った時からの夢……千春の笑みを見た時から夢見た関係!

そう!『恋人』だあああぁぁっ!!!

 

諸君、私は千春が好きだ。

諸君、私は千春が好きだ。

諸君、私は千春が大好きだ!

私服の千春が好きだ。

制服の千春が好きだ。

水着の千春が好きだ。

ISスーツ姿の千春が好きだ。

ドレス姿の千春が好きだ。

メイド服を着た千春が好きだ。

和服姿の千春が好きだ。

ゴスロリ姿な千春が好きだ。

家庭教師のようなぴちぴちのタイトスカートにYシャツ姿の千春が好きだ。

 

学校で、街中で、ビル街で、公園で、山奥で、砂浜で、海原で、家の中で、湖が見える静かなコテージで、百万ドルの夜景で、

この地上で行われるありとあらゆる千春とのデートが大好きだ。

 

店頭にならべたお菓子の数々が、千春の天使のような微笑みと共に纏めてお買い上げされるのが好きだ。

空中高くジャンプし放り上げられた千春の胸が、重力に引かれ左右非対称に弾んだ時など心がおどる!

大型バイクを操る千春の、スラリと長く伸びた綺麗な足が好きだ(千春は15歳です)。苦手な虫に怯え、悲鳴を上げて椅子からから飛び出してきた千春を、抱き締めようとして押し倒された時など胸がすくような気持ちだった。

新聞紙を丸くし構えた千春の爆乳が、転んだ拍子に虫を潰すのが好きだ。恐慌状態の千春が既に息絶えた虫を何度も何度も新聞紙で叩いてる様など感動すら覚える。

虫がついた服を突然脱ぎ出し裸になる様などはもうたまらない(主に俺が)。泣き叫ぶ千春が俺の降り下ろした手の平とともになでなでされ安心したような声を漏らし、安心してからか泣き出すのも最高だ。

哀れな軟派野郎どもが雑多な声かけで健気にも千春に話しかけてきたのを、千春の一言で男の自信を木っ端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える。

 

意地悪モードの千春に滅茶苦茶にされるのが好きだ。

必死に守るはずだった千春の膝枕が鈴に取られた時などはとてもとても悲しいものだ。

爆乳の質量に押し潰されて呼吸困難にされるのが好きだ。こちょこちょをしたがる千春に追いまわされ犬の様に地べたを這い回るのは快感の極みだ。

 

諸君、私は恋人を、天使の様な恋人を望んでいる。

諸君、私に付き従う大隊戦友諸君、君達は一体何を望んでいる?

更なる千春を望むか?

情け容赦のないベタな様な展開を望むか?

鉄風雷火の限りを尽くし、三千世界の男達を殺す、夫婦の様な恋仲を望むか?

 

 

『千春!千春!千春!』

 

よろしい ならば恋人だ。

 

我々は渾身の力をこめて今まさに千春の胸を揉みしだかんとする握り拳だ。

だがこの親友関係を二年もの間堪え続けてきた我々にただの恋人ではもはや足りない!!

 

ラブラブを!! 一心不乱のイチャイチャを!!

 

君らはわずかに一個大隊 千人に満たぬ視聴者に過ぎない。だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している。

ならば我らは諸君と私で総力100万と1人の軍集団となる。

我々を性欲の鬼とし眠りこけている千春を優しく起こそう。髪の毛を撫でて優しく囁き、眼を開けさせ想いを伝えよう。千春に恋人のキスの味を知らしめてやる。

千春に我々の心の臓の鼓動の音を教えてやる。

天と地のはざまには千春の常識では思いもよらないエッチな事があることを教えてやる。一千人の野郎の変態集団で、世界を萌やし尽くしてやる。

 

 

 

 

 

 

「…………うん、ホットミルク、すきぃ~」

 

くかーと寝ながら呟いた千春の言葉で俺は現実に引き戻された。

 

ど、どうせそんなそったろうと思ったぜこんちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぁぉぉッッッ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

…………あれ?なんか忘れているような……――――。

 

 

 

「今日から新学期だ。夏休みだったからと言って、弛んでいてはいかん。さっそく朝稽古でも…―――――」

 

嗚呼、忘れてた。胴着姿の箒だ。あ、木刀もってら。

 

「あ、……あ、あ…………」

 

箒の視点からは、裸体の美女を二人侍らせ、あまつさえその内一人に抱きつかれてる俺が見えるだろう。

 

しかーし、いくらこんな状況でも、箒も人の子だ。話し合うことで理解を深め誤解を……―――。

 

「ちっ、ちがっ、違うんだ箒!これにらレバg(ry」

 

「無作法な奴だな夫婦の寝室に」

 

 

あ、弁解フラグが叩き折られた。

 

 

「ふ、夫婦ぅッ!?」

 

 

ブワァッ!と箒の周囲に紅いオーラが溢れ出すのを俺は見てとれた。そして死期をさとった。

 

 

「こ、この不埒者がぁぁぁッ!!!!」

 

 

「チョバムッ!!??」

 

箒が振り下ろした木刀は千冬姉と並ぶ神速の域に達していたとだけ記しておこう。では、アデュー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「畜生、朝からヒデェ目にあったぜ」

 

「お、お前が悪いのだ!みすみすベッドに入り込まれるなどと!」

 

 

ところ変わって食堂。あれから起きた千春が興奮気味の箒を落ち着かせてくれたらしく、気絶から目覚めたら箒から謝罪を受けた。(すまなかった、の一言なのだが箒にしては随分と珍しい)

 

その後まだ朝早くで閑散とした食堂についた俺たち四人はたいして並ぶ事もなく、それぞれが好みの朝食にありついていたのだ。

 

「ふっ……篠ノ之、それは不可能だ。千春御姉様ならまだしも、私がスニーキングミッションを行ったのだ。そこに任務失敗の四文字は、無い」

 

顔を赤らめながら俺に反論していた箒に、大盛りのポテトサラダが盛られた皿をドカッ、とテーブルに置き、ポテトサラダにスプーンを突き刺したラウラがクスリと笑う。

 

いや、不敵にニヤリと笑った。ポテトサラダを口に含んで。

 

 

そう、まさにこのラウラは不敵であると。そう、言ってのけたのだ。

 

か、カッコいい!眼帯してるし伝説の傭兵みたいだっ!!

 

「ほう、では臨海学校の時一夏(千冬と同室)の布団に潜り込もうとして千冬さん…、いや織斑先生から熱い包容(コブラツイスト)を頂いていた子兎はどこのどいつなのだろうな?」

 

「あ、ああれはご褒美と言うものらしいぞっ!?」

 

憐れ子兎、やっぱり兎じゃ伝説の傭兵(スネーク)にはなれなかったのか。

 

箒の見事な返しに当時の事を思い出して顔を真っ青にするラウラを見た俺の脳裏には、ダンボール箱に入っている(・・・・・)兎の姿が。

 

ダンボールに拾ってください、って文字も書いておこうか?。

 

 

 

「わぁ、四人とも早いね。まだ七時前だって言うのに」

 

「お?」

 

 

俺が和風日替わり定食のおかず、秋刀魚の塩焼きに箸を伸ばした時、後ろから爽やかさ全快の声が聞こえた。

 

「ようやく起きたか、シャルロット」

 

「おッスシャル。おはー」

 

「御早う、シャルロット」

 

「うん。おはよう皆」

 

天使の微笑みに定評のあるシャルロットさんがトーストにスクランブルエッグと、朝食には食パン派が好みそうなメニューをトレイに乗せて現れる。

 

「よっ。おはようシャル。俺達は6時起きだからな。そりゃ早いって」

 

「おはよう一夏!。6時起きって……すごく早いんだねぇ。何かしてたの?」

 

俺たちが使っている五人用の丸いテーブルにトレイを置いたシャルが、残りの席に座る。

 

「俺が、箒に半殺しにされた」

 

「結末だけ語るな!私が悪く聞こえるだろう!?」

 

「いやぁ、すごかったよ箒。あの剣閃は現役時代の織斑せんせーと並ぶよ!」

 

「うむ。教官の技の冴えは見知っているが……あの一撃だけ見るならば教官のそれと勝るとも劣らない一撃だったぞ」

 

箒の慌てる様子に目配せした千春とラウラが乗る。

 

 

 

 

 

「き、貴様らっ……惑わされるなシャルロット!この二人は一夏と同衾していたのだ!しかも裸でだぞ?!これで怒らず、いつ怒らいでか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「え」

 

 

 

 

 

 

シーーーーン……――――

 

朝七時を前に、ようやく生徒が現れ始めた食堂に、顔を真っ赤にしつつ自分は悪くないと言ってのけた箒の声が響く。

 

 

ちなみに、焦っている箒の声のボリュームは、結構デカかった。

 

 

 

ΩΩΩΩΩΩ

ΩΩΩΩΩΩ<な、なんだって~っ!!??

ΩΩΩΩΩΩ

 

食券片手に食堂の列に並んでいた女子達が、ドドドドドドッ!……と物凄い形相で迫って来た。

 

「どう言うことどう言うこと!?ボーデヴィッヒさんとブリュッセルさんが織斑くんと同衾って!」

 

「え、なんだって?ドッキング?」

 

「あながち間違ってないわ」

 

「同衾………二人以上の男女が同じ寝具を使う事。つまりはそう言うことですね」

 

「しかも裸で!……つまりはそう言うことですね」

 

「つ、つつつまり朝チュン!?朝チュンなの!?」

 

「いやーんな感じ!」

 

「夜の運動ですねわかります!」

 

「初体験が3Pっていきなり激しすぎないっっ!!??」

 

「むしろ逆に考えるんだ。……初体験がハードな方が燃える、と!」

 

「なん……だと!」

 

 

 

「」

 

五人かけ用のテーブルに詰め寄る十を越える女子達。最後のはシャルだ。

 

 

「へー、ほー、ふーん。……一夏、アンタってばアタシの千春にてー出したんだー……」

 

「げ」

 

目の前の女子達の黄色く色めいた声とは反対の、酷く冷たい声が耳元に届く。

 

鈴だ。制服に身を包んだ鈴が、ハイライトを失った目で俺を見ていた。

 

途中参加だろう鈴は、『二人、同衾、裸』と言う単語を聞いて周りの女子達と同じ意見にたどり着いたと見える。

 

つまり、俺と千春、そしてラウラが一夜を共にした………と思ってるわけだ(間違ってはない)。何故俺と千春達がそんな関係になる事に怒りを露にするかは理由がわからんが、年頃の女の子と言うのはそう言うものだろう。箒もキレたし。

 

しかーし、いくらこんな状況でも、鈴も人の子だ。話し合うことで理解を深め誤解を……―――。

 

 

「い、いやっ、違うんだ鈴っ!これにらレバg(ry」

 

「酷い!…やっぱり私の事は遊びだったのね!」

 

……おぉう。千春、何故目薬を手に、涙ぐんでいるんだい?。いや、可愛いんだ。とむても可愛いんだよ?。すごく可愛いんだけれども僕はあえて言いたい。

 

 

何故このタイミングでそんな事をするん!?

 

 

あ、そーですか。この小悪魔のような笑顔は悪戯が大成した時の千春の顔ですねー。鈴の視界に入らないように言ってるし。

ちくせう、そんな小悪魔な君も大好きだぜ!

 

 

「……何々?……ふむ。そう言えば良いのだな?」

 

そして耳に手を当てて頷いたラウラが棒読みで一言。

 

 

 

「一夏が頑張るから腰がたたなくなってしまった………これで良いのか、クラリッサ?。……おい、応答しろクラリッサ!――」

 

 

 

ガチィッ!ブォンッ!!

 

「そっか、やっぱりそっか。あたしの聞き間違えでもなく、誤解でもなく、やっぱりそっか。―――――よし、殺ーす!!」

 

ドゴォンッッ!!

 

振り上げた鈴の拳は既にISアーマーが展開されており、振り下ろした拳は俺が居た座席をこっぱ微塵に叩き砕いた。

 

 

「だあああああぁぁぁっっ!!死ぬっ、死ぬぅっ!!待て鈴!これはマジで死ぬ!!自重しろ馬鹿野郎!!!」

 

座席が破壊される寸前に四つん這いになり逃げていた俺はダースベイダーよろしく、コーホーコーホーと人間が発するべきじゃない呼吸音を聞かせてくれる鈴に半泣きで怒鳴る。マジで死にそうになったんだもの。泣きたくなるさケセラセラ

 

ゴリッ

 

「あら、ずいぶん楽しそうな事をしてらっしゃいますね鈴さん。私も混ぜてくださいな」

 

四つん這いになった俺のこめかみに銃口が押し付けられる。

もちろん、スナイパーライフルの銃口が。

 

「せ、セシリア!?」

 

「ごきげんよう、一夏さん」

 

とても爽やかな挨拶だ。流石お嬢様セシリア。しかしその青筋は頂けんな。笑顔が怖いです。

 

 

ガタッ

 

「一夏」

 

俺死亡まで秒読み開始した時に、ふいにシャルから声が掛けられる。

 

ま、まさかシャル。助けてくれるのか!?

 

やっぱりお前だけが頼りだぜっ。

 

「にこっ」

 

「に、にこっ」

 

振り返った俺には、天使の笑みで連射式のパイルバンカー、『灰色の鱗殻(グレースケイル)』を構えるシャルの姿が。

 

 

「えっちな一夏にはお仕置きだねぇ」

 

 

おおシャルロット、お前もか!

 

天使の笑顔が鎌もった死神に見えるのは俺だけではなかろう。

 

ISの武装を展開した三人の少女。皆等しく狙いは俺と来た。

 

 

勝てるわけがない。

 

 

 

 

「脱兎!」

 

 

「待ちなさい一夏!」

「私から逃れられるとお思いで?」

「ふふ、逃がさないよ一夏!」

 

 

一目散に駆け出す一夏を追う三人。

物騒な追いかけっこを眺める千春が、豪快に笑う。

 

「うははははっ!一夏はえぇっ!」

「ほぅ、…それは本当かクラリッサ?。……ふむ、今一夏を助ければ好感度上昇二倍セール?。よくわからんが助ければよいのだな?」

「な、なにっ…?……ま、まて一夏は私が助けよう」

「ふん、愚か者が。嫁のピンチを救うは夫の勤め。モップ風情は床でも拭いていろ」

「貴様…良くもそれをッ。……今ここで引導を渡してくれるッ!!」

「良かろう。我がゲルマン流忍術の冴え、見せてやる」

 

 

 

 

今日もまた、変わらぬ日常が続くのだった。




修正…と言うよりも大幅に変えてしまいました。 申し訳ありません。

夏休み編もいつか上げたいです。
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