冥界へと通ずる黄泉平良坂において、うさぎ達セーラーチームは、黒き鎧『パピヨン』の
だが、セーラーチームの攻撃は全て躱されて、美春が反撃の態勢に入ったその時、新たな戦士たちが姿を現す。
「――天空の星 天王星を守護に持つ飛翔の戦士 セーラーウラヌス」
「……深海の星 海王星を守護に持つ抱擁の戦士 セーラーネプチューン」
「時空の星 冥王星を守護に持つ変革の戦士 セーラープルート」
外部太陽系三戦士 新たな危険に誘われて、ここに参上――これ以上、好き勝手にさせない。
新たにセーラーウラヌスとセーラーネプチューンそしてセーラープルートの三戦士が戦いに加わり、美春に対して攻撃を加えるが、彼女は全ての攻撃に余裕をもって対処していた。
「――『ヴィーナス・ラブ・ミー・チェーン』!」
光り輝くハート形の鎖が、セーラーヴィーナスの意志によって変測定な軌道を描きながら美春に迫るが、まるでハート形の鎖の軌道が分かっていたかのように最小限の動きで、首を傾げるだけで避ける。
「――『ディープ・サブマージ』!」
美春の死角から、セーラーネプチューンが巨大な水球を放つが、彼女に到達する前に巨大な水球はまるで何かに打ち据えられたかのように無散した。
他のセーラー戦士達も美春に向けて技を繰り出すが、彼女はまるで事前に来るのが分かっているかのように、その悉くを最小限の動きで避けるか、彼女を捉える前に何かに阻まれて霧散した。
「……これだけの攻撃しているのに、ぜんぜん捉えられないなんて……」
「……たとえ、強大なパワーを持っているにしても、これだけの連続攻撃が当たらないなんて、何かカラクリがあるようね」
ゼイゼイと荒い息をしながら攻撃が一切通じなかった事に歯噛みするセーラーヴィーナス。麗しい瞳を細めたセーラーネプチューンは、何かカラクリがあるのではと観察しているが一向に判明しなかった……だがこれだけの波状攻撃を身体能力だけで躱しているとは考えにくい……それこそ事前に攻撃の来る場所が分かっているなど、反則のような能力でも持っているんだろうか。
「……まさか、攻撃が来る所が分かるとでも言うのかしら?」
「……ヘビの人から聞いていないの?」
ネプチューンの問い掛けに、美春は不思議そうに小首を傾げる。
「私たち
その身に秘めた
「……セブン・センシズ……第七感?」
「――そうよ」
人が持つ感覚――視覚、聴覚などの五感と、霊感や超能力と言われる第六感を超えるモノ……それが
たとえ、
そして美春は、強化された五感によってセーラー戦士達の攻撃を感知して、常人を超える能力を得た身体能力を持って避け続けたのだ。
「……それで攻撃がさけられたのね」
「……これくらいの事は、あのヘビの人も出来るでしょうに」
薄く笑う美春……それは己の優位を確信しているからこその余裕の表れであった……思っていた以上の難敵に成長している美春……市によれば、美春はパピヨンの
――だからこそ、一刻も早く美春をパピヨンの
己が優位を確信しているからこそ、余裕の笑みを浮かべていた美春が一歩踏み出す。
「――力の差を見せてあげる」
美春の周囲から黒い蝶が湧き出し、セーラー戦士達の周りを舞う。
「……これは?」
「……黒い蝶……光る蝶ではなく?」
「そう、光る蝶――『フェアリースロンギング』は、相手を光の中に消し去る技。対して、この黒い蝶は直接的に相手を屠る技――黒い蝶の羽ばたきに消え去りなさい――『
右手を高く掲げた美春の宣言通りに、周囲を埋め尽くす黒い蝶の大群がセーラーチームに向けて殺到し――襲い来る黒い蝶の群れに向けてセーラー戦士はそれぞれが必殺技を使用して迎撃する……だが、黒い蝶の数が尋常ではなく、遂には黒い蝶の群れに覆われてセーラー戦士達の姿が見えなくなる。
「これでお終い――ブレイク!」
セーラー戦士達を覆った黒い蝶がその身を炸裂させて爆発力に変える。一匹一匹は小さな爆発だが、周囲を覆いつくす黒い蝶の大群のすべてがその身を炸裂させて爆発すれば、強力な爆弾が爆発した事と等しい。
無数の黒い蝶――死蝶が炸裂して起きた爆発と、その後に立ち込める煙を見ていた美春は視線を左右に向ける……セーラー服という冗談のような恰好をした彼女たちは、それぞれが襲い掛かる死蝶の群れを迎撃していたようだが、大量の死蝶の群れ――物量の前には追い付かず、死蝶の群れの爆発に巻き込まれたと思っていたが、どうやったかは分からないが彼女たちは爆発から逃れたようだ。
黒い蝶の群れに包囲された時、セーラームーンは傍にいるセーラーマーキュリーに声をかけた。
「――マーキュリー」
「ええ、分かっているわ、セーラームーン」
セーラーマーキュリーが頷くと、大気中の水分を凝縮して水の流れを生み出す。
《水鏡蜃気楼》
「――『マーキュリー・アクア・プリズム・ミラージュ』」
本来の技は、集めた水流から幾つもの水の流れを生み出して敵へと放ち、相手を水球に閉じ込めて拘束する技『マーキュリー・アクア・ミラージュ』だが――これはその技にアレンジを加えて、自らを水球で覆って周囲の風景に溶け込みながら、水像で作り出した身代わりに敵からの攻撃を逸らせる技。
死蝶の群れが自爆する事による爆煙と、爆発による高温で水像が蒸発した余波で立ち込める濃霧を目くらましに、セーラー戦士たちは素早く移動して、美春を包囲する形へとシフトする。
もともとこのアレンジ技は、聖闘士の力を操る土浦 市とまかりなりにも協力体制を構築した後、出雲地方で見え隠れする敵勢力の動きを捉えて乗り込む算段を付けている合間に、お互いが出来る事を伝えあって、連携について模索している時に発案されたものであった。
『……君たちの技って、攻撃に特化したものばかりなんだな……そこら辺、女の子として どうなんだ?』
セーラー戦士たちの得意技を聞いた市の物言いに、むかついた うさぎたちによって愚か者は制裁されたが、市の指摘には一理あり攻撃一辺倒ではなく防御や支援の技を編み出せないかと思案したセーラーマーキュリーこと水野 亜美は、自身の能力――水を操る能力による攻撃技を組み替えて、幾つかの技を生み出す事にした……その一つが、今回のアレンジ技だった。
黒い蝶の群れが起こした爆煙と水像が高熱に晒されて発生した濃霧により、美春の視界を遮っている間にセーラー戦士たちは、それぞれ事前に決めた場所へ――美春を包囲する位置に着く。
「――みんな!」
セーラームーンの呼びかけに応える様に、セーラー戦士たちは次々と技を繰り出した。
「――『マーキュリー・アクア・ミラージュ』!」
「――『バーニング・マンダラー』!」
「――『ジュピター・ココナッツ・サイクロン』!」
「――『ヴィーナス・ラブ・ミー・チェーン』!」
マーキュリーの水の球が、マーズの炎の塊が、ジュピターの雷の槍が、ヴィーナスの光の鞭が美春に向けて撃ち出され、それに呼応するようにセーラームーンとちびムーンもそれぞれ構えたロットやステックから浄化の光を放出する。
「――『ムーン・スパイラル・ハート・アタック』!」
「――『ピンク・シュガー・ハート・アタック』!」
美晴を取り囲むように位置取りをしたセーラー戦士たちは、それぞれが技を同時に繰り出す――出雲地方に向かう道中で、うさぎ達は常人を遥かに超える身体能力と反射神経を持つらしい美春との戦い方を何度も話し合った。
無限学園の跡地で遭遇した あの益荒男――天猛星ワイバーンのラダマンティスの圧倒的な力を見せ付けられ、同じ
巨大ダイモーンの前に立ち、余裕の姿を見せながら何らかの手段で巨大ダイモーンを拘束していた美春は、胸元から紅く輝く十字架を取り出してパピヨンの
あの巨大ダイモーンを歯牙にもかけない力を見せた美春相手に戦うにはどうしたら良いのか? 無限学園での戦いの後、氷川神社で色々な事を知っていそうな土浦 市を
『ねぇ、市さん。
氷川神社に隣接する母屋にあるレイの自室で、
『……いや、うさぎちゃん。その手をワキワキさせるのは止めようよ』
いくら10代の少女とはいえ、あまり宜しくない姿を見せるうさぎに突っ込みを入れた市は こほんと咳を一つすると、うさぎを始め周囲に居る あらくれ少女達に
『俺たち
――その拳は天を裂き、その蹴りは大地を割るほどの力を得る。
『けど彼女は、白い蝶々をたくさん呼んで巨大ダイモーンを消し去ったわ』
市の話を聞いた美奈子が疑問の声を上げる。
『
『……
市の話を聞いたまことが熱にうなされたかのように問い掛けてくる。そんなまことや他の少女達に向けて、市は
『
……確かに、以前の天川美春はクラスでも目立たない、引っ込み思案と言ってもいい性格をしていたように思える……だが、街中で巨大ダイモーンと相対していた時の彼女からは余裕のようなモノを感じた。
『……そして一番厄介なのが、
市は
まず
――そして
『――こ、光速って……どれだけ早いの?』
うさぎのボケに腰砕けになる一同、なんとか立ち直った市は
『音速以上の拳に反応して避ける。あの美春って娘はその域に達している……アイツと戦うつもりなら、そのあたりの事も考えなくては、な』
その答えが、この包囲しての同時攻撃である。
どうも、お久しぶりです。しがない小説書きのSOULです。
相変わらず激務で、SOULのライフは限りなくゼロですが、ぽちぽちと書き上がったので、投稿します。
では次回 第18話 彼女たちが望むものは 9月3日0時更新予定です。
ではでは~。