SEED:Overcomers トールのトリガー/シンの選択   作:reex

57 / 59
可哀想なの嫌い……。
筆者と同じタイプの人は、滲んでいるところは読み飛ばしてください。


3-3

パニッシュメント(巨大MS)の指先にあるビーム砲を足下の人々に向けながらも、フレイはタイミングを計っていた

 

「……遅いわね」

イライラが募る。

 

折角こんな力を手に入れたというのに、役割は()()()()

指示されたとおりの文章をワケも分からず読ませられて、後はヒーローの到着待つばかりだ。

フレイは動機も手段もある適役、と言われたが、何の事やら。

 

なぜだか、ワシントンという言葉を放ってから胸元が痛む。

いらだちに、目の前のアリのような人々を踏み潰そうか、という衝動が湧き上がった。

 

(……こんなにいるんだもの。ちょっとぐらい……)

暗い笑みを浮かべて獲物を探す。

年配の男性は、なんだか嫌だ。

 

光波防御帯の縁あたりの若い男女が目に入る。

黒髪とピンクの二人は、身を寄せ合いながらこちらを睨め付けている。

微かに胃がムカムカした。

 

「アレにしよっか」

踏み潰すには少し遠い。

腰部に搭載された兵器で、痛めつけてしまおう。

 

折角なので殺さない程度に出力を調整しようとして、ようやく現れたヒーロー(ベイビーフェイス)にため息を吐く。

光波防御帯を取り囲む敵機が、慌てたように現れた機体にカメラを向けた。

通信で制止しているのかも知れないが、彼らが気にするはずもない。

 

『我々が来たからには、もう大丈夫だ! MSのパイロット、君も被害者なのかもしれない。しかし、復讐は何も生まない! 憎しみを連鎖は、我々が断ち切る!!』

 

金のラインで彩られた白い機体(ブラックナイトスコード・カルラ)のスピーカーから放たれる大仰な前口上に眉を顰めて、集音マイクの音量を絞る。

 

足元に向けていた指のビーム砲をそちらに向け、五指のビームと手の甲のツォーンMk2を放つ。

カルラは真正面からそれを受け止め、そのまま弾いた。

 

『無駄だ! たかがビームなど、フェムテク装甲には通用しない!!』

 

続いて腹部の陽電子砲をカルラに向けて放つ。

それはくるりと優美に回避された、

『人々を傷つけるものは、我々が許さない!』

 

カルラは斬艦刀を構えて光波防御帯に突っ込んでくるが、刀身が緑の傘にいくらかめり込むものの、そこまで。

『クソッ! 俺の力だけではダメか!』

溶け落ちた斬艦刀を投げ捨てたカルラに、お義理のように十指を揃えてビームを放つが、装甲に弾かれる。

 

そこに4機のブラックナイト・ルドラが続けて戦場に入ってくる。

COMPASSのMSは、未だ状況が見えない様子で足を止めている。

ブラックナイトスコードの行動を不用意と見て立ちはだかるものもいたが、黒い機体たちはスルスルと躱して攻撃を続行している。

『諦めないでください、オルフェ! 貴方なら出来ます! ほら、これを!!』

『リュー! ……ありがとう。さぁ、ここからが本番だ!』

 

 

その内の一機の持ち出した槍が、カルラに手渡される。

パニッシュメントのモノフェーズ光波防御帯を破壊するために設えられた装備、フィールドランサーだ。

コの字の用に二股に分かれた穂先の間に光波防御帯を展開、20mを超える刀身を持つ長巻*1の様な大型のブレードとすることで、傘の外側から発生器を破壊することができる。

 

(……お芝居がヘタね)

舞台など見た記憶はないが、なんとなくそんな感想を抱く。

それがいけなかったのだろうか。

 

『……我々はこの様な暴虐には負けない! ()()()()()の悲劇は、繰り返させない!』

勇壮な言葉の裏に、僅かに嗜虐的な響き。

 

「あ……ア……あああああああ?!」

槍を構えて突撃してくるカルラの姿も、もう目に入らない。

 

()()()()()()()が、フレイの行動を縛った。

身に覚えの無い記憶がフラッシュバックする。

 

************************************

 

その日は、友人と買い物の予定だった。

ワシントンメトロのウィートン駅──地下40mにある、70mに及ぶ長いエスカレーターで有名な場所。

CE71年の8月8日、駅に降りた直後に起きた振動と、突然の停電。

地震かと思って身を潜めながらも、いつまで経っても光の戻らない状況に、意を決してエスカレーターの上を歩き始めた。

 

そして、見てしまった。

地上の惨状を。

ぶちまけられたトマトのような肉片。

大人も子供も、服と骨だけが形を保っていた。

思わず吐いてしまったが、それでも助けを求める誰かがいるのではと考えてしまった。

ヘリオポリスの事を思い返しながら、周囲を彷徨って探して回った。

残留するガンマ線が、自分の女の子の部分に何をしたか気づきもしないで。

血を僅かに吐き出したタイミングでようやく恐怖を覚え、グズグズに融けた地面を抜け出し、たどり着いたのは、郊外にあったラボ。

父が所属していたブルーコスモスのものだった。

そこで、父が死んだことを、故郷のワシントンが無くなったことを、自分がもう子供ができないことを知らされて、下衆な医者に純潔を汚されて、体をそこら中いじくり回されて、笑顔で殺し合いをすることを強制されて、涙を浮かべながら仲間の躰を解体して料理させられて───

************************************

 

両目をギュッと絞る。

「パパッ?! パパ!! 助けて……助けて!!」

 

フレイの脳裏で、もはや()()()()すら認識出来ない、恰幅の良い中年男性の姿が映る。

──しかしその姿を、金髪の美青年が上書きしてかき消した。

震えながら自分の両肩を抱きしめる。

 

やがて大きな振動が起こり、フレイの体は浮遊感に包まれた。

 


 

フィールドランサーが吸い込まれるように光波防御帯を貫き、内部の発生器を粉砕する。

緑色の傘に間隙ができた瞬間、カルラを躍らせて内側に入り込んだ。

パニッシュメントが、まるで恐怖に打ち震えるかのように大きく身じろぎする。

 

「今更、怯えたか! だが、もはや遅い!」

オルフェは口端を吊り上げ、嗜虐を秘めた嘲笑と共に叫ぶ。

ブロックワードを耳にしたパニッシュメントは、もはや戦闘の意欲など無いだろう。

例の玩具(フレイ)は戦闘も可能では有るが、基本的に女の体を利用した工作員用途に調整された生体CPUだから尚更だ。

だからこそジブリールが試供品として提供したのだろうが。

当然オルフェ達にとっては無用の長物だったが、使い走り(クルーゼ)が欲したことと、イングリットが庇ったことでペットとして飼うことになった。

 

(……多少は役になったな)

クルーゼの提案に乗ったことは業腹だったが、アコード達との縁が薄く、反対にブルーコスモスとの深い関わり(政府高官だった父親が構成員)を考えれば、ブルーコスモスの仕業に見せかける贄としては有用だった。

劣悪種にしては人目を引く容姿も、事をセンセーショナルに騒ぎたてるには丁度良い。

 

そんな事を考えながらも、フィールドランサーの長い長い刀身がパニッシュメントの首を刈り取る。

パニッシュメントのコックピットは、恐らく歴史上初めて頭部にある。

コントロールを失った光波防御帯がかき消え、それに気付いた人質が我先にと逃げ惑う。

 

その中の幾人が悲鳴を上げる。

ポロリと取れたパニッシュメントの頭部が、逃げ遅れた人質の上に転げ落ちていく。

「申し訳ない、皆様!」

叫びと共に、カルラの脚がその首を豪快に蹴り飛ばした。

放物線を描いたコックピットは、勢いのままに遙か沖合の海中へと没していく。

 

これも危機感をあおる演出であり、証拠隠滅でもあった。

そもそもパニッシュメントは、このような茶番劇のために建造したものでは無い。

いざというときのサブプランという点でも、機体の被害を最小限にして回収したかった。

コックピットは胴体にあると考えていた、と言えば、申し訳は立つ。

 

オルフェに続いて飛び込んできた兄弟(アコード)達のルドラが、両手のビーム砲や腹部の陽電子砲を破壊していく。

後は海中に隠れたクルーゼが頭部を破壊して消息不明にしておけば、"未知の脅威"が世に放たれた、ということになる。

 

「……これで、無力化は完了でしょう」

開放された人質と、彼らを迎える中継用のカメラに向かって、高らかに歌い上げる。

背後でズシリと音を立て、パニッシュメントが崩れ落ちた。

それを4機のルドラが油断無く監視している──様に取り繕う。

残念ながら、シュラは面がCOMPASSに割れていることから留守番だ。

 

カルラをコパイロットのイングリットに任せたオルフェは、マントをたなびかせながら降り立った。

震える要人たち、そして中継カメラを見据え、胸に手を当てて優雅に一礼する。

「我々はファウンデーション王国の防衛部隊、ブラックナイトスコード。遅ればせながら式典を一目見ようと立ち寄ったのですが……」

 

くるりと周囲を見回す。

「まさかこの様な事態となっていようとは。かの高名なCOMPASSが警備に当たると聞いて、特段心配はしていなかったのですが。……仕方が有りませんので、皆様の安全は、これより我々が保証いたします」

微笑みを浮かべて、手を差し向けた。

 

その様子を眺めていた解放された要人たちは、細やかな戸惑いを浮かべる。

しかし中継のテレビが回っているのを見つけた一人が、躊躇いがちに拍手した。

 

パチパチパチ、という音が響く。

それが雨音のように広がり、いつしか万雷の拍手となってオルフェを迎えた。

 

オルフェは悠然とそれを受け止めたが、読み取った周囲の人心に眉を引きつらせる。

(タイミングが良すぎる……)(都合よくあのバリアを破ける武装があったと?)

(ヒーローショー気取りか。愚かな民衆は騙されるかも知らんが)

 

この場にいるのは、海千山千の政治家や実業家だ。

土台、あの程度の小芝居で騙せるはずがない。

それでも表面上は、感激したように表情をほころばせて拍手している。

中継カメラの向こうの民衆が、現れたヒーローへの祝福を求めていると分かっているからだ。

怪しいと弾劾することは、この場の空気感が許さない。

 

(ふん、劣悪種共が!)

オルフェも内心で罵声を吐くが、それを表に出すような事はしない。

 

視界の中で、見知った顔を見つける。

久方ぶりのギルバートだ。

心中に浮かんでいるのは、驚愕と困惑。

 

自分に話を通さずに行動にでるとは、思っていなかったのだろう。

オルフェも、実際ギルバートの知恵を借りたい所であった。

知能については自分たちが上回っているに違いないが、ギルバートの人心掌握の手際はオルフェも認めるところだからだ。

 

(ギルバートの演出であれば、こんな子供だまし……!)

 

忸怩たるものがある。

クルーゼの演出は些か戯画的に過ぎて、オルフェのプライドを傷つけていた。

 

(母上も母上だ! あの様な者の言葉を聞き入れるなど……!)

表面上、クルーゼは滅私の態度を崩さない。

読心で浚ってみても、治療に対する感謝と使命感が読み取れるだけだ。

 

だが、アウラや他のアコード達が自分達の走狗として受け入れる中、オルフェは不気味なものを感じていた。

アウラに排除を幾度と無く進言したのだが、クルーゼの手放しな賞賛が快い様で、理由を聞かれてしまう。

そうなると言葉に詰まり、アウラにも「オルフェにもそういう所はあるのじゃな。案ずるな、妾にとって一番大事なのはおぬし達じゃ」と慈愛の表情を浮かべられてしまう。

もはや何を言っても、照れ隠しとしか受け止めてもらえない。

 

内心でため息を付きながらも、人混みをかき分けてようやく求めた人物を見つけ出した。

どこぞの男と身を寄せ合い、警戒の目線を向ける彼女に、微笑みかけながら優雅に礼をする。

「お助けできて、本当に良かった。私はファウンデーション王国のオルフェ・ラム・タオと申します。──貴方に、ずっとお会いしたかったのですよ、姫」

背を上げて、ふわり差し出された手を、そしてその指に嵌まる指輪を、ラクスは戸惑うように眺めた。

しかし息を一つ着くと、慈母の様な笑みを浮かべる。

「私は、ラクス・クライン=ヤマト。COMPASSの副理事を勤めております。……こちらこそ、助けていただいて有難うございます。お会いできて光栄ですわ」

 

ラクスの白い手が、オルフェの差し出した手を握る。

刹那、宇宙が花開いた。

世界にまるで二人きりのような高揚感。

オルフェは、ついに訪れたこの邂逅に身を捩るほどの歓喜を覚え、ラクスの精神をゆっくりと抱き締めようとする。

これが運命。

そうしてようやくラクスは役目を取り戻し、共に世界を導くのだ。

 

──しかし次の瞬間、それが途切れる。

打擲されて赤くなった手を、無意識にさすった。

 

「……オルフェ閣下。人の心に、土足で入るものでは無いですわ」

ラクスは、先程までの表情を忘れた様にオルフェを冷たく睥睨する。

ゴミ虫を見る目だ。

 

「あ……」

知らず、体が一歩後退した。

 

 


 

『──通信にて犯行声明を出した女は、画像照合によりジェネシス照射当時の大西洋連邦事務次官、ジョージ・アルスターの娘フレイ・アルスターであると特定され──』

『彼女のような、言ってしまえば箱入り娘がテロに身を投じた。それはつまりプラントの──』

『でも親がブルーコスモスだったんでしょ。それなら彼女だって──』

『──プラント側のその様な態度こそが、ブルーコスモスの伸長に寄与しているといつになったら──』

『感情論は置きましょう。いま問題なのは、厳重な警備を敷いていたCOMPASSが見逃した、このことです。つまりそれを為しえるだけの勢力が野放しに──』

『COMPASSが不甲斐ないだけでは? 投入される資金に見合っただけの──』

『どちらにせよ、実行犯の行方は未だ不明で、テロはまだ終わっていないと──』

 

『──事態の収拾に尽力したファウンデーション王国は、エヴィデンスの防衛に力を貸すと声明を出し、今後のエヴィデンス国家設計にあたって継続しての交渉を──』

 

はぁ、とため息をついてカガリはテレビを消した。

このところの地球上の話題はあの式典でのテロと、それを納めたファウンデーション王国の話に持ちきりになっていた。

 

テロを英雄視し、プラントとの融和に改めて反発の意を唱えるエイプリルフールクライシスやジェネシス照射の被害者遺族。

フレイの身の上から、ブルーコスモスの関与とその残党の脅威を唱えるコーディネイター。

エヴィデンスの構想は理屈の上では正しいが、時期尚早だった訳知り顔で言い募る研究者。

 

一方で、テロを防げずまごついていたCOMPASSに対しても、批判が殺到。

弁護の声もあったが、それは取りも直さずテロの脅威をアピールする事でもあった。

再度のテロに対する防衛戦力として、COMPASSに成り代わって事態を収めたブラックナイトスコードが注目されるのは理屈の上では当然だった。

 

そしてファウンデーション王国の女王アウラは、直後に行われた戴冠式の後にカメラの前に現れて『彼らであればエヴィデンスの防衛もかなう。家族同然の親衛隊であるが、小さな我が国では無く、世界全体のためにこそブラックナイトスコードの力を発揮するべきじゃろう』と述べた。

 

まだ幼く見える女王の威厳と、世界全体を考える志に民衆は熱狂し、再度のテロに対する恐怖を軸に、エヴィデンスの国家運営と防衛に、アウラ女王とブラックナイトスコードの力を借りるべき、という論説があふれていた。

 

「すまない……。俺の、俺のミスだ」

ソファに座るアスランがうなだれる。

カガリは苦笑しながら歩み寄って、その肩を叩いた。

「相手のほうが一枚上手だっただけだ。政治的には難しいが、人的被害は殆どなかった。……また名誉挽回してくれればいいさ」

 

「だが、アコードのことを任せろと言ったのは俺だ」

思い詰めた表情で拳を握るアスランに、カガリは呆れのため息を吐いて拳を見舞った。

「がッ?!」

後頭部からの衝撃に、思わずアスランもうめき声を上げる。

 

「そういうのは面倒くさいからやめろ、と何度言ったらわかるんだ?」

殴ったばかりのアスランの頭を撫でる。

(まったく、考えすぎなんだコイツは)

 

なぜカガリを慰めることはできるのに、自分はすぐ自責で自縄自縛になってしまうのか。

潜入工作員など、仕事の七割は空振りなのだ。

 

「……アコード達の動きを見逃がすわけには行きません」

カチャリ、という音を立てて、ローテーブルの対面に座るラクスがカップを置いた。

 

「幸い、彼らの動きからして、デュランダル議長が既にアコードの情報を漏らしたことは気付かれていないようです」

式典の後、デュランダルのもとにはアコードたちへ協力するようアウラからメッセージが来たという。

いい加減重い腰を上げろ、と。

思わぬ事態に思考が驚愕に染められたことで、逆にアコード達の読心でも、既にデュランダル議長とCOMPASSの間で、アコードやアウラに対する情報共有が行われていることは隠し通せたようだった。

 

そうであるならば、素知らぬ顔でビデオ会談などを利用して接触を最小限とし、特殊能力に対して事前に対抗措置を取ることはできる。

エヴィデンスを乗っ取ろうという動きを見せるアコード達に対して、世論のコントロールは難しいが、政治的な掣肘は十分可能。

根気強く対応を練れば、そうそう遅れは取らないはずだった。

 

「……ですが、だからこそ解せません。では、アスランへ放たれた追手は何者なのか? アコードのの情報が漏れていると知っているなら彼らの行動は不用意に過ぎますし、隠し通せていると思っているなら王国を急いで離脱しただけのアスランを、アレだけの兵器を運用してまで封殺しようというのは明らかに過剰反応です」

片目を絞りながら、ラクスが首を傾げる。

 

デュランダル議長がアコードの味方であると捉えていたなら、あるいは別のルートでアコード達の能力や思想が漏れていると知っているならば、より水面下で動くはずで、ああも大胆に表舞台には出てこないだろう。

だが一方で、そうであるならばファウンデーション王国を調査していただけのアスランに対して、100m超の大型MAを用いてまで追手をかける理屈がつかない。

アウラの戴冠式延期と式典でのテロを結びつけられるのは、彼らの能力や思想を知っているからこそで、それを知らないと思っているのであれば、わざわざアスランの足止めをする意味もない。

 

「……あのMAを操っていたのが、アコード達の関係者だということはまず間違いない。一方で、こちらがアコードを警戒している事を、身内に隠していた。……なにか、別の思惑を持っている者がいるのか?」

アスランが顎に手を当てて思考を深める。

アコード達がロード・ジブリール他のブルーコスモスを利用していたのは間違いない。

一方で、そのアコード達を更に操ろうというものが居るのか。

(しかし、思考を読み取れるアコードたちをどうやって騙す?)

 

そんなアスランの思考を、カガリの明るい声が吹き飛ばす。

「なるほどな……。ほら! これだってアスランの成果だぞ? アスランが襲われなきゃ、そんな者が居ることすら分らなかったんだしな!!」

再びバシバシ肩を叩かれるアスランだったが、「ああ……そうだな」と苦笑する。

アスランはいつも、カガリの明るさには救われてばかりだ。

 

そんなカガリとアスランの姿に苦笑して、ラクスは再びカップに口をつける。

(キラ……)

あのテロの直後から、キラはエクリプスの予備機を借りてテロ実行犯の捜索にずっとあたっている。

 

どこに居るのか。

そもそも生きているのか。

役割を終えた実行犯をアコード達が残しておくかはわからないが、エヴィデンス付近の海中で見つかった残骸に、人の遺体は紛れていなかった。

 

鬼気迫る表情で捜索を続けるキラを、ラクスは押し留めることが出来なかった。

「フレイ・アルスター……」

小さく言葉が漏れる。

 

ヘリオポリスのカレッジのマドンナ。

住んでいたワシントンで、父親とともにジェネシスに焼き払われたはずの犠牲者。

そして、キラの憧れていた少女。

ミリアリアから半ば無理矢理に聞き出したその情報に、ラクスは暗い情念と、それに対する激しい自己嫌悪を覚えていた。

 

キラの愛を疑っているわけではない。

彼女の、おそらくは悲惨な身の上にも胸が痛む。

改めて問われた父の所業(エイプリルフールクライシス)の責任に、後ろめたさもある。

それでも。

 

 

*1
大太刀の柄を持ちやすいよう延長した武器。




フィールドランサーのデザインはアレのと同じ。
上下の刃の間はもっと広くて、そこからエピオンのビームソードぐらいデカい刀身が伸びてる。

オリ機体:パニッシュメントガンダム
・頭頂高50m。イメージはサイコガンダムMk2(よりデカいが)。コックピットは頭部。
・基本的にはデストロイのMA形態を省き、拡大して設計。
・核エンジン2機を左右の胸に設置。予備のバッテリーも備える。
・胴体中央に2連装陽電子砲を装備。
・ミラージュコロイドステルスが展開可能。
・背部に放射状に設置された10機のユニットを展開することで、半径100mに渡ってモノフェーズ光波防御帯を展開可能。
・両手首にツォーンMk2を装備。指にはデストロイと同様の5連装スプリットビームガンを備える。
・脚部には小型化したレビテーターをそれぞれ装備。ブラックナイトスコードのようなビームマントは出ない様調整されている。
・腰部には大型XXXXXXがある。

3章はまだ続きますが、次の更新は気長にお待ちいただきたく。
よろしければ感想、評価もお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。