〈最終章突入〉SEED:Overcomers トールのトリガー/シンの選択 作:reex
5-1
「ステラ! 何も考えずにつっこむんじゃない! 頭を使え、頭を!」
ムウのムラサメがライフルを放ち、孤立したステラのムラサメを撃墜する。
「ステラのばーか、ってうおっ?!」
「アウルは集中力切らすな!! そんなんじゃ死ぬぞ!!」
アウルがよそ見をしながらステラをからかっていると、急制動をかけたムウが突然突っ込んできた。
避ける隙もなく胴体をサーベルで切り裂く。
「くそっ、俺一人かよ! 強ぇぞこのおっさん!!」
「誰がおっさんだ!! ……スティング、お前は隙はないが、怖さもないな。ジリジリと削られていったらどうする?」
悪態を吐くスティングのムラサメに、ムウの機体が正対する。
そんなシミュレーターの様子を外部の観戦モニタで眺めるシンは、思わずため息を吐いた。
「前大戦序盤からのエースって聞いてたけど……。やっぱり強いな、フラガ隊長……」
アークエンジェルのMS部隊長、ムウ・ラ・フラガ。
エンデュミオンの鷹と謳われた、旧地球連合のエースだ。
ブランクがあり、更に治療によって身体の感覚の変わったステラ達の技量を確かめるべく、アークエンジェルが宇宙に上がって早々にシミュレーターでの手合わせとなったのだが。
(ステラ達の腕が鈍っているのと、乗機が慣れないムラサメってのはあるにしても……)
正直今のシンでも、インパルスなら一人で勝てないことはないだろう。
だが、全く同じ機体を操った上で、こうも圧倒的な力を見せつけるとは。
圧倒的な実戦経験と、恐ろしく鋭い状況把握。
(まぁ、考えてみりゃそうだよな……)
以前のミネルバでは、キラがMS部隊をまとめていた。
一方でアークエンジェルでは、ムウが一番隊、ヒルダが二番隊を預かっている。
単純な個人戦闘力とは一致しない。
それでも、キラと同じ戦場で部隊を任されていた人間が、ただの古参で済むはずがない。
「調子はいかがですか? ……あら、大分しごかれている様子ですね」
自分ならどう戦うか、そんなことを考えていたシンの隣に、ラクスが歩み寄ってきた。
画面を見つめて苦笑している。
ステラたちを乗せたラクスの立場からすれば、心配するのも当然だろう。
「よほどのことがない限り、彼らを戦場に出すことはないと思いますが……。パトロール等もされると聞いていますから、交代要員として鍛え直す必要はあるでしょう。よろしくお願いします」
頭を下げるラクスに、シンは苦笑で返した。
「言われなくても、当然です。俺はアイツラの身元引受人ですから。……やっぱり、身体は覚えているもんですね。動きそのものは悪くないです。後は咄嗟の判断とか、そっちですかね」
少し目線を下げてつぶやく。
彼らが、それだけ過酷な人生を過ごしてきた証左でもあるからだ。
今でも、例えばムウの直接指揮下でといった条件であれば、相当な戦力になるだろう。
シンと同じ様に目を伏せていたラクスだったが、再び目線を上げてシンを見つめた。
「シンも、大丈夫ですか? 彼らほどではないですが、ブランクはあるのでは?」
ラクスの問いかけに、にこやかに親指を立てた。
「予備役でも、シミュレーターなんかは使えましたから。実戦のカンとか多少鈍っているかも知れませんが、足を引っ張ることはないです」
むしろ何もできない鬱屈を晴らすために、ゲーム感覚で打ち込んでいた面もある。
そう答えたシンだったが、ラクスが大きめのバッグを抱えているのを見咎めた。
「ラクス様、どこか行くんですか?」
首をかしげるシンに、ラクスは頷く。
「ええ。このまま月へ行ってしまったら、また色々と揉めてしまいますから。……キラの治療は、プラントでおこなったと伺っています。入れ違いになるかも知れませんが、行ってみようと思います」
そして、苦笑しながら言葉を続けた。
「マリューさんたちには、またご迷惑をおかけしてしまいますが……今さらでしょう、と笑われてしまいました。個人的な伝手で船を呼びましたので、ランデブーできたら移乗しようかと」
ラクスの言葉に、シンはふむふむと小さく頷いた。
(まぁ任務中の艦長の権限てかなり強いしな……。月で怒られても、責任までは取らされないか)
そもそも、人手不足だから呼び出したアークエンジェルだ。
あっても査問か、艦長権限への一時的な制限。
それも、ラクスを乗せた時点で半ば避けられない話だ。
いまさらマリューを拘束するほどの余裕はない。
「シン。キラに、何か伝えたいことは有りますか? ご伝言があれば承りますが」
首を傾げるラクスに、シンは少し考え込んだ。
そして指を一本立てて応える。
「一つだけ。何も言わずに居なくなるなんて、水臭いじゃないですか。言ってもらえたら、いくらでも助けましたよ、って」
言ってから、「あれ、これ二つかな……」とつぶやくシンを前に、ラクスは意表を突かれたように、わずかに目を瞬かせた。
そこで、シミュレーターが終了して計4基のコックピットハッチが開いた。
粘っていたスティングも、いつの間にかやられたらしい。
最後に出てきたステラは、少しふらつきながらも、シンの姿を見つけるとぱっと顔を明るくした。
「シン、見てた?」
「ああ。……大丈夫か?」
シンが思わず一歩近づくと、ステラは首を傾げた。
「大丈夫。ちょっと、ぐるぐるしただけ」
「ぐるぐるしたなら休め」
ムウが容赦なく割り込む。
「三人とも、次は二時間後だ。水分取って、医務室で数値見せてこい。特にステラ、お前は心拍が跳ねたら即終了だ。わかったな?」
シミュレーターとはいえ、久しぶりの戦いだ。
何かの拍子で体調を崩す可能性は合った。
「うん!」とステラがこくこく頷き、アウルはふてくされている。
スティングは苦笑しながらステラの背中を押した。
三人が部屋を出ていく。
その背中を見送りながら、シンは小さく息を吐いた。
「……本当に、戦場に出すんですか」
「俺に聞くなよ。最終判断は艦長だ」
ムウはそう言ってから、ちらりとシンを見た。
「けれどアイツラ、腕は悪くない。やる気もある。……だから、止めやしないさ。俺は軍人だからな」
そう言って、思案げに顎に指を当てる。
「あと必要なのは、何が何でも生き残ろう、ってしぶとさだけだ。思っちゃいるんだろうが、やっぱり経歴がな……」
ブルーコスモスの鉄砲玉として育てられた彼らだから、どうしてもそういうところが足りないらしい。
「俺もできるだけフォローはするが、お前も一緒に戦場出ることがあったら、気をつけてやれよ?」
ムウの肘がシンを小突くと、「もちろんです!」とシンは大きく頷いた。
「んで、ラクスの嬢ちゃんはこれから移動か?」
ラクスの姿を認めたムウが問いかけると、ラクスも「ええ」と頷いた。
「
ムウが深くため息を吐く。
「仕方ありませんわ。
ラクスが慰めるような笑みを浮かべるが、ムウは落ち込んだ様子のままだ。
シンが何の話かわからず首を傾げる中、警報が鳴り響いた。
続けてマリューの声が響く。
『本艦は
プトレマイオスは、月の
クレーター内部と、その地下にわたって建設された、広大な基地がプトレマイオス基地。
今のミネルバの母港だ。
「地球から見た月のど真ん中が、今じゃ月面活動の中心っていうのも、なにか意味があるのかしらね?」
パイロット待機室のモニタに映し出された画像をぼんやりと眺めていたルナが、なんとはなしに呟いた。
「月面にマスドライバーを設置でもするなら意味があるが。現状ではたまたまだろう」
ズズ、と音を立ててレイがコーヒーを啜る。
ルナマリアが「んーっ!」と唸り声をしながら伸びをする。
その動きに合わせて制服の胸元が窮屈そうに揺れたが、レイは欠片も興味を示さない。
次の任務に備えて、補給の計画を確認しているらしい。
そう、任務だ。
中立国同盟および構成国、プラントの情報部や、あるいは光学監視、
幾つものポイントを回ったが、どうにも空振りが続く。
そんな中で、一旦補給のために返ってきたのだが。
「いつになったら順番なのよ……とっとと降りて、買い物したいんだけど」
ルナマリアがぼやく。
月にも民間企業が進出し、ショップも増えている。
降りさえすればいくらでも暇は潰せるのだが、入港が立て込んでいるとのことで順番待ちなのだ。
「焦っても仕方がない。公衆回線の通信が届くだけマシだろう。……そういえば、アークエンジェルはいつ来るんだ?」
レイの問いかけに、ルナマリアは半眼で答えた。
「シンからのメッセージ、見てないの? ちょうど今日宇宙に上がったぐらいよ。タイミング的には、直接会えるかもね」
ルナマリアがハッパを掛けただけあって、シンはアークエンジェルに乗り組むことになった、とまでは聞いていた。
そして後から来たメッセージには、出航日と月に向かう、という連絡が。
一応ルナマリアは、スケジュールにシンがやってくる日付を登録していた。
(一応よ、一応)
言い訳じみた思考を繰り返すルナマリアを他所に、レイはメッセージを確認していたようだった。
「……ああ、そういえばそうだったな。つい忘れてしまっていた」
ルナマリアが呆れ声で返す。
「ひどいわねぇ……。まぁ、あのときは……」
言葉を濁す。
なにせあのレイが、瞳を血走らせて怒りの声を上げていたのだ。
社会への混乱を考慮して、峠を超えた後に発信された、デュランダル議長暗殺未遂のニュース。
治療が進んでいるという続報が出てきて、今は多少落ち着いたが、それでも任務中は殺意を漲らせて敵を探していた。
候補地点に宇宙海賊なんて居た日には、相手が可哀想になるぐらいの暴れ様だった。
体調が悪かったはずなのだが、気が張っているせいか、今のところ安定しているように見える。
案外、怒りのあまり本人も不調に気づいていないのかもしれない。
それはそれで、ストレスが心配になるところではあるのだが。
(その辺りは、
TERMINALに管轄を戻された結果、ミネルバの体制は大きく変わった。
プラント系、あるいはTERMINAL系の人員を中核に固め直すことになったからだ。
渋くて落ち着きのあったトダカが船を降り、如何にも頼りないアーサーがなんと艦長。
引き続き管制を務めるメイリンに、うまく調整してもらいたいところだ。
そしてMS一番隊隊長に、アークエンジェル隊から異動してきたディアッカ。
ルナマリアとしては、「こういう機体が得意だからさぁ」と言われてアビスを取り上げられたことに思うところがないではない。
代わりにインパルスに乗っているから、不満とまでは言わないが。
言うだけあって、ディアッカのアビスを操る腕は大したものだ。
更に、同じくアークエンジェルから部隊ごと異動してきたのがヒルダだ。
(こっちはこっちで、なんだか距離が近いのよね……やたらとハグしてくるし)
他のパイロットにしているところは見ないので、女同士の気安さ故なのだろうが。
そんな新体制のこともあって、どうにも肩肘を張ってしまっているのが今のルナマリアだ。
疲れが勝って、再びぼんやりと月面を映すモニタを見やる。
──瞬間、基地外縁の地表が白く弾けた。
低重力に舞い上がった
「……は?!」
ルナマリアが立ち上がるのと、艦内回線にメイリンの声が飛び込んでくるのは同時だった。
『月面に高速飛翔体が落着! プトレマイオス基地、主回線沈黙! 予備回線に切り替わります!』
ブリーフィングもそこそこに、ルナマリア達はMSに搭乗して飛び出した。
最初こそ偶然の事故、という線もあったが、それはすぐに無くなった。
20分ほど後、100km離れたアルザッヘルクレーターにも、ほぼ同様の飛翔体が落着したからだ。
基地のコンピューターが衝突の直前の光学観測記録から試算したところでは、物体はおそらく100tほどの艦艇の残骸。
地球であれば大気圏で燃え尽きるだろうが、ここは月だ。
それが、200km/sを超える速度で月面に衝突した。
単純計算で2PJ、TNT火薬換算で約0.5メガトン。
月の軌道上に漂うルナマリア達からは、1km足らずの、できたばかりのクレーターが見える。
メイリンが、聞き取りやすくも早口で情報を伝えてきた。
『基地司令部より、機密開示が行われました。旧ファウンデーション王国で建造された大型MS、パニッシュメント。この機体は、
『コロニーならともかく、月に対してなら至近弾でも充分効果がある、ってことだな?」
苦々しげにディアッカが唸る。
メイリンが『そのとおりです』と画面の先で頷いていた。
舞い上がったレゴリスが基地の地上設備を覆い隠し、センサー類や対空砲座は大きな被害を受けた。
同様に入港待ち、あるいは月面に露天係留されていた艦艇も、下手くそな
まともな
さらに
そこへ弾着の衝撃による突然の
「ユーラシアの部隊がずっと月でスタンバイしていたのは、ソイツの対策のためってことだったのね。……それで月を狙われたんじゃ世話無いけど」
ヘルメットの上から、ルナマリアは頭を抑える。
思わずため息が漏れた。
地球から宇宙に上がるには、マスドライバーの打ち上げサイクルによる制限から逃れられない。
なりふり構わず、ということを考えるなら、月で目を光らせて、何かあれば駆けつける方が大戦力を運用できる。
結果として即応体制のため、ドックではなく直接月面に駐機されていた艦艇が壊滅しているわけだが。
『レーザーで徐々に加速する都合上、加速中がインターバルになります。一方で、月相手なら小質量で充分なため、残弾に制限はありません。……いつまで続くかわかりませんが、方向は掴めています。MS隊は迎撃体制を整えてください』
『迎撃って言っても、相手は100km/sオーダーなんだろ? 無茶を言うね』
メイリンの説明に、ヒルダが顔をしかめる。
通常の宙間戦闘では、お互いの相対速度を合わせる。
そうでなければ、お互いまともに攻撃を当てられないからだ。
だが、月という固定目標に、一方的に行われる攻撃への対処となると限界がある。
光学監視で遠方から位置を掴むことができても、そうそう当たらないのだ。
『狙いが荒いのも、この際タチが悪い。どうやって撃ち落とせばいいか、見当もつかないぞ』
レイの指摘も妥当というしかなく、着弾点の読みにくい高速弾は、最も迎撃しやすい同軸上で待ち構えることができない。
わずかでも角度が付けば、MS側の射線と弾体の軌道が一致するのは一瞬しかない。
そんなことを可能とするには、基地のセンサー・コンピューターと完全同期させた予測射撃しか無いというのに、今基地のセンサーは死んでいる。
『きれいに撃ち落とそうだなんて、考えるな』
いっそ冷徹なディアッカの言葉がスピーカー越しに響く。
『防護エリアは基地バイタルエリアに集中。色気を出して余所見をするな。全員で同期射撃をして予測進路上に射線の網を張る。手前でビームをかすらせれば、後は勝手に逸れていくさ』
そう言って、ニヤリと笑う。
『お前らはエリートだ。できるだろ?』
アーサーは、ググッと肘置きを握りしめた。
「……次弾、予測は?」
かすれた声で問いかける。
「到来方向修正。+2.3度。速度推定、前弾と同程度です!」
不規則なタイミングでやってくる飛翔体に備え、何十分にもわたって、目を皿のようにして画面を見つめるメイリン。
集中が途切れかけているのが、傍目からもわかる。
だが、彼女に代わるほどの情報処理能力を持つ人間は、このミネルバの艦橋に他に居なかった。
1発目は、無防備の基地周辺に着弾し、レゴリスを巻き上げ基地の目を塞いだ。
2発目は、遠くアルザッヘルに。
3発目は、ミネルバの弾幕が掠り、逸れて
4発目、プトレマイオスの外れに着弾し、基地の回線が予備まで途切れ途切れに。
そして5発目。
「飛翔体に直撃、爆散を確認しました!」
モニタの先、目にも止まらぬ飛翔体が、ブラストインパルスの
内部から膨張し、粉々に砕かれた残骸は、プトレマイオスの遥か遠くへ。
ようやくの朗報に、僅かに気が緩む。
しかしアーサーはキリキリ痛む胃を抱え、すぐに気を取りなおした。
(あー……。なんでこんなことに)
月面の被害は甚大だが、当然ながら全てが砂嵐に巻き込まれる訳では無い。
今のミネルバの管制下には、辛くも被害を逃れた艦艇が何隻も入っていた。
通信が途切れて基地の管制が意味をなさなくなっている中、ほぼ最新型のセンサー類とコンピューターをもつミネルバが中核となるのは、必然とも言えた。
被害を逃れた艦の大半が、的の小さいドレイク級宇宙護衛艦なので、尚更だ。
大型のアガメムノン級やネルソン級は、本来サイズに見合ったダメージコントロールがある。
しかしそれでも、推進器だけはそうはいかない。
運転中ならそこから噴出するガスが実弾を焼き払い、ビームも幾らか減衰させるが、停止状態では最も弱い箇所だ。
結果として、大型艦は粗方足を撃ち抜かれた状態となっている。
一方で、的の小さく数の多いドレイク級は、確率論的に辛うじて残っている。
装甲もセンサーも無傷ではないが、ミネルバの管制下なら浮き砲台にはなる。
副長ではなく、艦長。
本部の指示に従って艦を動かすだけでもなく、味方の指揮を取る。
正直なところ、アーサーにも力不足の自覚はある。
(それでも、やるしか無い。……今は、僕が艦長なんだから!!)
バチンと頬を叩く。
集中しているブリッジクルーは、その音に気づきもしない。
実際に飛んできた後は、メイリンやミネルバの砲手、MS達にまかせるしか無い。
けれど次弾の加速と投入に必要なのだろう、不確かな10分足らずのインターバル。
それを有効活用することは、アーサーにもできるはずだった。
「指揮下D-3へ伝達、現在位置から三百下げて、射線を塞がないように! あと、MSが残っている艦はありますか? 基地との通信復旧を手伝ってもらいます!」
宙域図を見ながら、隙を少なくするように再配置する。
さらにMSの器用さなら、砂に埋まった基地の通信アンテナを掘り出すこともできるはずだった。
ちらりとメイリンに目を配る。
「それと医務室に連絡! メイリンに目薬持ってきてあげて!」
その後も、警報は途切れなかった。
逸らせたものもあれば、砕けたものもある。
そして、間に合わなかったものも。
攻撃が終わったのは、それから2時間ほど後のことだった。
最終的に飛来した質量弾は、大小合わせて20。
基地のバイタルエリアこそ防ぎきったが、至近弾は最初のものと合わせて5発が落着した。
舞い上がったレゴリスが
もとより閉鎖系である宇宙艦艇がすぐにどうこうということはないが、掘り返す労力を思えば頭が痛くなるほかない。
基地内部も、地下通路の崩落や張り巡らされたケーブルの断線が続発したが、幸い、バイタルエリアの人的被害は抑え込まれた。
だが地表設備や係留区画の死傷者は少なくなく、救助要請は途切れることがなかった。
プトレマイオス基地は、即応拠点から物資を必要とする被災地へと姿を変えていた。
ミネルバは警戒を続けながらも、基地の復旧に際して外からの目となって支えていた。
パイロットやメイリンが短い休憩で体を休める中、アーサーは精一杯の意地を張って艦長席に座り続けた。
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