Fate/You Died.   作:助兵衛

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第16話 獣狩りの夜

「【獣狩りの夜】」

 

 世界が──軋んだ。

 

 バーサーカーが静かに歩み出る。その足取りは乱れず、恐れも焦りもない。ただ一人の狩人として、獲物を屠るためだけに前へ進む。

 

 彼女の周囲で、空気が黒く染まり始めた。

 

 ──ザザァァァァ……

 

 音とも風ともつかぬざわめきが、世界の縁から流れ込んでくる。まるで別の世界が、この現実へ侵入しようとしているかのように。

 

「……空間が……歪んでいく……?」

 

 誠が息を呑んだ。

 

 狂い火が巻き上げる災禍の廊下。だがその中心で、確かな“別の理”が侵入を始めていた。

 

 ──詠唱はすでに済んでいる。

 

 あとはただ、宣言するだけ。

 

 バーサーカーが鋸鉈を肩へ担ぎ、静かに告げた。

 

「獣狩りの夜がきた」

 

 瞬間──世界が“裏返る”感覚が走った。

 

 視界が闇に飲まれ、崩れ落ちる廊下も狂い火も、すべてが影の奥へ沈んでいく。

 

 代わりに満ちていくのは──“夜”。

 

 獣の遠吠えが木霊し、よどんだ霧が地を這う。

 

 ──空に月が浮かぶ。

 

 それは月であって、月ではない。光を放ちながらなお穢れ、血に染まったような赤。

 

 血のように紅い月が、この閉ざされた世界の天に昇る。

 

 その光の下で、校舎は姿を変えていった。

 

 石畳の路地が伸び、ねじれた街灯が屹立する。獣の死臭が漂い、異形の影が微かに蠢く。

 

 ここはもう──学園ではない。

 

 狩人の街、悪夢の領域。

 

「これ……固有結界……」

 

 理央が呟いた。

 

 その黒い瞳は、恐怖でも驚愕でもなく、ただこの現象を“理解”した者の光を宿していた。

 

「固有結界……って?」

 

 状況を飲み込めない誠に、理央が呆然と答える。

 

「術者の心象風景を現実世界に投影する禁呪。魔法に最も近い、とされる魔術の到達点よ」

 

 世界が塗り替えられたのだ。

 

 バーサーカーは振り返らない。ただ前にいる──燃える災厄の塊、キャスターだけを見据えて歩み続ける。

 

 石畳の路地に、鋼の靴底が静かに音を刻んだ。

 

 バーサーカー──狩人はただ前へ進む。その視線の先には、黄色の狂焔をまとったキャスターがいる。

 

 この世界において、外来の異物である狂い火は、場の空気そのものをきしませながら揺らめいている。しかし今──それを囲う世界の理は、確かに変質していた。

 

 ここは《獣狩りの夜》──狩人が“獣”を屠るための世界。

 

 理央が言った「こじつけ」は、確かに無茶だった。しかし結果として、この世界はキャスターを──“獣”として認識した。

 

 ──それはわかった。だが。

 

 バーサーカーは小さく息を吐いた。

 

「……まさか、これで通ってしまうとは」

 

 呆れとも溜息ともつかぬ声。しかしそこに焦りや苛立ちはなかった。あるのは、ただ「やれやれ」と肩を竦めたくなるような──静かな困惑。

 

「私の知る“獣”とは、獣の病に侵された末路。血に狂い、理を捨て、己を獣へと堕とした者たち……その名残と痕跡を狩るのが──狩人」

 

 キャスターを見据えたまま、バーサーカーは淡々と続けた。

 

「人でも獣でもない、終末の火に魅入られた異形の存在……それを“獣”と定義するなど、本来は甚だ筋違いです」

 

 鋸鉈を握る手には力がこもっていたが、それは興奮でも怒りでもない。

 

 ──冷静な狩人の判断。

 

「ですが──今の私は、サーヴァント」

 

 小さく肩を竦める。

 

「この器は、人理に適応するため“解釈の余地”を持っている。ならば……この世界が“あれは獣だ”と定義したのなら」

 

 足が止まる。

 

 バーサーカーは正面に立った。キャスターとの距離、わずか十数メートル。

 

 夜霧と狂い火の熱が渦を巻き、石畳が悲鳴を上げる。

 

 鋸鉈が──低く、唸った。

 

「──獣狩りを遂行しましょう。対象は〈災厄の獣(ビースト)〉。あなたです」

 

 狂い火がぎらりと揺れる。

 

 キャスターにはもう顔がない。だが、その災厄は確かに嗤った。

 

 この世界における、たった一つのルール。

 

 ──獣は狩られる。

 

 それが、この夜の掟。

 

 最初の一歩は、風も置き去りにする踏み込み。

 

 バーサーカーの姿が掻き消えた。

 

 次の瞬間にはすでに、キャスターの眼前へ──否、《喉元へ》肉迫していた。

 

 ギィンッ!! 

 

 鋸鉈が狂い火の中心を裂く。

 

 黄色の炎が弾け、空間が削れ、世界が揺れる。

 

「ほう──来るか、狩人ッ!!」

 

 キャスターの袖から奔った炎の奔流が、獣の顎のようにバーサーカーを噛み砕こうとうねった。

 

 紅など比にならない。焼くのではなく──存在を押し潰す力。

 

 だが、狩人は止まらない。

 

「■■■■ァァァァァ──!!!」

 

 裂帛の咆哮。

 

 バーサーカーの動きは、もはや戦闘技術という次元に収まっていなかった。本能と殺意だけで構築された、獣の間合い。

 

 しゃがみこみ、跳び、転がり、飛びかかる──

 

 炎を避けるのではない。焼かれながら、喰らいながら──殺しに行く立ち回り。

 

「バーサーカー! いくら何でも無茶苦茶だ!」

 

 誠の声は震えていた。

 

 バーサーカーの右腕は炎に食われ、肘から先が溶けかけている。それでも彼女は止まらない。焼け落ちた腕のまま鋸鉈を振り抜く。

 

 ──ズバアッ! 

 

 狂い火の中、キャスターの胸を裂く。血が噴き出す。

 

 ──否、それは血ではなかった。

 

 炎と呪いの混合物。災厄の権能が液状化したもの。純粋な──「穢れ」。

 

 それを浴びれば──本来は霊基が腐る。霊魂が壊死する。

 

 しかし。

 

「…………っ」

 

 バーサーカーの口元が、笑った。

 

 火傷じみた皮膚がボロボロと剥ける。しかしその下から──新しい皮膚が再生していく。

 

 肩に喰い込んだ炎の傷が塞がっていく。

 

 それどころか──彼女の目が、さらに輝きを増していく。

 

 血を啜る獣のように。狩りを楽しむ狂人のように。

 

「──なるほど。あなたの血は、獣の様だ。匂い立つ、堪らぬ血で誘うではありませんか」

 

 キャスターがわずかに息を呑んだ。

 

 バーサーカーの瞳は、紅く、深く、底なしに濁っていく。

 

「狂って……狂化が進行して……」

 

 理央が低く呟く。

 

「いや──違うと、思う」

 

 誠は震える声で否定した。

 

「あれは──狩りに、血に酔っているんだ」

 

 ギチギチギチ……

 

 鋸鉈のリベットが軋む音とともに、バーサーカーは再び飛びかかった。

 

 炎が彼女を焼く。

 

 獣の血が傷を癒す。

 

 狩人は止まらない。

 

 狂い火に身を焼かれながらも迫り続けるバーサーカーに、キャスタ──―狂火の王は、はじめて明確な警戒の色を見せた。

 

「──チッ」

 

 短い音とともに、キャスターは大きく後方へ跳んだ。その動きは逃走ですらなかった。間合いを開き、出力を引き上げるための準備動作。

 

 黄色の炎が──揺れた。

 

 いいや、それは揺れたのではない。

 

 膨れ上がった。

 

 世界を侵す脈動が辺りに満ちる。周囲の石畳が軋み、空気が軋み、理そのものが悲鳴を上げる。

 

「貴方もまた素晴らしい、血に酔った狩人よ! ならば僕もお見せしよう。すでにご存知だろうが、これが僕の宝具」

 

 狂火が──爆ぜた。

 

 ──ゴウウウウウウウッッッ!!!! 

 

 夜空を覆う天蓋のごとく、狂い火が燃え上がる。

 

 今までのそれは、ただ燃えていたに過ぎない。だが今は違う。炎が、世界を捕食し始めている。

 

 石畳が燃え、崩れ──そこに穴が穿たれる。

 

 地面が消えたのではない。世界が焼かれ、失われている。

 

 紅い月が揺らぎ、空に走る黒いひびが裂け目のように広がっていく。

 

 ──ゴゴゴゴゴゴ……

 

 バーサーカーの固有結界そのものが、黄色い炎に侵され始めていた。

 

「【狂い火・燼滅世界】」

 

 理央が息を飲む。

 

「この炎……固有結界の境界を焼いて……世界そのものに穴を開け始めている……!」

 

 獣狩りの夜が──消える。

 

 バーサーカーの宝具は強い。だが、所詮は一時的に展開された内側の世界──固有結界という枠の上に成立する魔術に過ぎない。

 

 だが今、その“世界”ですら──燃えている。

 

「面白い、面白いぞ狩人──!」

 

 キャスターの声は、もはや人間の声ではない。燃える塊そのものが轟いている。

 

「君の世界ごと焼き尽くそう! 世界は燃える! 理は崩れる! 救いは沈み、すべては一つに回帰する──!」

 

 狂い火は天を覆い、バーサーカーの展開した**固有結界《獣狩りの夜》**すらも焼き破ろうとしていた。

 

 空の血の月が揺らぎ、世界は崩壊の音を立てる。

 辺り一面を覆う石畳は崩落し、黒い深淵が口を開けていく。

 

 キャスターは黄金の炎の中に立ち、両腕を広げて嗤った。

 

「焼け落ちろ、狩人──君の幻想も、誇りも、この夜もだ! 狂い火とは世界の終焉だ! 誰にも止められはしない!」

 

 ──ギィン。

 

 その声を断ち切るように、鋼の軋む音が鳴った。

 

 バーサーカーはまだ立っていた。

 全身が焼け爛れ、片腕は消失し、脚も黒焦げに変色している。

 

 だが──その瞳は、まだ獲物から逸れていない。

 

 逃さない。

 絶対に逃がさない。

 

 狩人の眼だ。

 

「良く吠える……獣の自覚がおありの様ですね」

 

 その瞬間──狩人が地を蹴った。

 

 爆発のような踏み込み。肉体が裂ける音が聞こえるほど無理やりな加速。

 

 狂い火が襲う。押し寄せる炎は壁ではない。世界そのものの崩壊波──触れれば存在ごと削れて消える。

 

 普通なら、絶対に踏み込めない領域。

 

 だが、彼女は躊躇なく踏み込んだ。

 

 焼かれて構わない。削れて構わない。骸になろうと、止まらなければ、それでいい。

 

 鋸鉈が振り下ろされる。

 

 キャスターは咆哮し──炎で迎撃する。

 

 四肢が焼け飛ぶ。

 肋骨が露出し、炭のように砕け散る。

 

 それでもバーサーカーは──前に進む。

 

「ッッああああああああああああああああああッ!!!!」

 

 鋸鉈が振り下ろされ──狂い火を裂く。何度でも。

 

 焼かれながら、霧散しながら──食らいついて離さない。

 

「馬鹿な──ありえない──何故そこまで──!」

 

 狂い火の咆哮が揺らぐ。

 

 バーサーカーの全身はもう原形を留めていない。

 

 それでも彼女は笑っていた。

 

 血に酔い、狩りに酔い──殺すこと以外を捨て去った──純粋な狩人の笑み。

 

「──いいえ。やはりあなたは、獣だ」

 

 バーサーカーの声は低く、暗く、熱を持っていた。

 

 ──そしてそれは、合図だった。

 

 バーサーカーは自分の状態を確認する。

 四肢は破壊され、肉体は焼かれ、それでもなお再生し、狂気と血に染まっていく。

 

 もう十分だ。

 この領域に踏み込んだ時点で、後戻りなどできない。

 

 ──だから。

 

 バーサーカーは鋸鉈を構え直す。

 

 その声は静かに、しかしこの夜に明確な変化を告げる。

 

「宝具【獣狩りの夜】──第二段階」

 

 世界が裂けていた。

 狂い火の炎が《獣狩りの夜》を食らい尽くし、空に走るひび割れから、現実そのものが崩壊していく。

 

 バーサーカーは、それでも前を向いていた。

 焼けただれた肌、溶けた肉、崩れ落ちそうな骨。

 それでもなお、獣の眼をしていた。

 

 その時──だった。

 

 ──オギャアァァァ……オギャアァァァァ……。

 

 どこからともなく、赤子の泣き声が響いた。

 

 男でも女でもない、形を持たぬ声。

 それはまるで、世界そのものが啼いているようだった。

 

 狂い火が、わずかに──揺らいだ。

 

 バーサーカーはその声を聞いた瞬間、顔を顰めた。

 眉をひそめ、吐き捨てるように呟く。

 

「……嗚呼……忌まわしい」

 

 その声音には、怒りでも恐怖でもない。

 ただ、深い嫌悪と──記憶の痛みがあった。

 

 紅い月の下で、バーサーカーの周囲の霧がざわめく。

 その泣き声に呼応するように、夜の空気が粘つき、腐敗していく。

 

 理央が思わず息を呑む。

 

「……なに、今の……? 赤ん坊の声……?」

 

「聞いてはなりません!」

 

 セイバーが即座に遮る。その声には明確な警告の色があった。

 

「──あれは、“夢の底”から響くものでしょう」

 

 オギャアァァァァ……。

 

 再び、泣き声。

 バーサーカーの表情が歪む。牙のような歯が軋みを上げる。

 

 その瞬間、キャスターの狂い火が跳ねた。

 

 まるで、何かに気づいたように。

 

「……今のは……何だ?」

 

 狂い火の王は、わずかに後ずさった。

 あの炎の化身が、“本能的な恐怖”に駆られたように。

 

 ──違う。

 それは恐怖というより、生存本能の発火だった。

 

 キャスターは、すべての炎を引き戻した。

 

 燃え広がっていた狂い火が、一瞬で収束する。

 空を覆っていた光がひとつにまとまり、まるで“太陽”のように凝縮していく。

 

「──これは、危険だ……! この夜の下には、何がいる!」

 

 狂火の王の声が震える。

 それは怒りでも嘲りでもなく、本能の危機感。

 生者も死者も、狂気すらも焼き尽くす彼が、初めて見せた「退きの色」。

 

 キャスターは炎を一点に集中させ──

 バーサーカーの固有結界へ突き立てた。

 

 ──ゴオオオオオオッ!! 

 

 天地を裂く衝撃。

 世界の布が引き裂かれ、空間に“穴”が穿たれる。

 

 紅い月が一瞬、歪んだ。

 夜の理が破られ、外の現実が覗く。

 

 キャスターはその“穴”へ身を投げる。

 逃亡──それは、燃え尽きる前に残された、最後の理性の行動。

 

「この夜は……危険だ。狩人よ、貴方も中々厄介な物を宿しているようですね」

 

 狂火の王は炎の奔流とともに闇へ消えた。

 世界を貫いた光の筋だけが残り──

 その余波で、固有結界は大きく軋んだ。

 

「はあ!? 逃げるつもりか!」

 

 ──オギャアァァァァ……。

 

 泣き声は、まだ響いていた。

 

 バーサーカーはその音に、忌々しげに目を細める。

 鋸鉈を地に突き立て、唇を噛み、呟いた。

 

「……このまま維持する意味はありませんね」

 

 バーサーカーは赤子の泣き声に眉をひそめながら、鋸鉈を肩に担ぎ直した。その行動には、焦りも動揺も一切ない。だがその声音には、確かに苛立ちが混じっている。

 

「──閉じます」

 

 その一言と共に、世界が静かに“折り畳まれた”。

 

 血のように赤かった月は暗い影に飲まれ、霧に満ちた悪夢の街路は瓦礫の中へ沈んでいく。崩れた建物、歪んだ街灯、血臭を孕んだ夜風──それら全てが、砂のように崩れ、崖の上から落ちていくかのように現実の狭間へと消えていく。

 

 やがて視界を満たしたのは──崩壊した学園の廊下だった。

 

 割れたコンクリート、焦げ跡、瓦礫だらけの通路。そこに満ちていた灼熱の炎は完全に消えており、キャスターの気配は──どこにもなかった。

 

「……消えた。逃げたのね、キャスター」

 

 理央が低く呟く。

 

「逃亡と言うより撤退でしょう。腹の底では、早急に仕切り直すべきと判断したのでしょうね」

 

 バーサーカーは淡々と答え、血のついた手で髪を払う。

 

 その瞬間──残っていた“狩人の夜”の気配までも霧散した。

 

 完全に、宝具は解除された。

 

 ──その時だ。

 

「……っ──あ……?」

 

 誠が短く息を吸い込み、ふらついた。

 

 胸の奥をつかまれたように、何かが抜け落ちていく。熱でも痛みでもない。だが、確かに──致命的な喪失。

 

「ま……て……何だ、これ……」

 

 膝が崩れた。

 

 誠は力を失い、床に倒れ込む。視界が暗く染まっていくのに、何が起きたのか理解できない。ただ──自分の中心にあった何かが、ごっそりと失われた実感だけがある。

 

「灰原君!」

 

 理央が駆け寄り、膝をついて誠の肩を支えた。すぐに紗月も駆け寄ってきて、慌てて誠の体を抱き起こす。

 

 誠の体から力が抜け落ち、彼は理央の腕の中でゆっくりと崩れ落ちた。

 閉じられた瞼の下で、微かに息があるのを確かめて、理央は深く息を吐いた。

 

「……無理もない。固有結界の展開に、キャスターの宝具との干渉……魔力消費は桁違いだったはず。生きているだけで奇跡よ」

 

 バーサーカーは、そんな三人を静かに見つめていた。

 鋸鉈を静かに地面へ下ろし、深く息を吐く。

 

「……申し訳ありません、マスター。貴方の負担を、読み切れませんでした」

 

 その声は、夜の余韻の中で淡く響いた。

 廊下の天井から、崩れたコンクリートがぱらりと落ちる。

 戦いの終わりを告げる、冷たい音だった。

 




狩りの夜(ナイト・オブ・ビーストハント)

ランク:A+ 種別:対獣宝具/対界宝具(第二段階)
レンジ:自身~最大2km(結界内)
最大捕捉:結界内の「獣」全て

かつて彼女が歩んだ永遠の夜、血に狂い獣に堕ちた者たちを狩るためだけに存在した「狩人の悪夢」を現界へと再現する固有結界。

この宝具は通常の固有結界と異なり、世界法則を『狩りの理』へと書き換える性質を持つ。内部では世界構造が歪められ、生者も死者も獣と成り果てる呪いを浴び、そしてただ一つの法則――“獣は狩られる”――が絶対の真理として成立する。

結界内においてバーサーカーは多数の補正を得る。

全行動に対する身体能力補正(筋力・敏捷上昇)

血への渇望による超再生(獣の血を浴びることで肉体再生)

精神攻撃に対する耐性上昇(狂気馴化)

対「獣」特攻補正(霊格差を無視)

「獣」の定義は異常に広く捉えられ、理性の喪失・呪い・進行性変質・世界汚染など、人理の外側に逸脱した存在はすべて“獣”として判定されうる。ゆえに本宝具は、ビーストクラスを含む『人類悪』への対抗手段として成立し得る特異な性質を持つ。

■第二段階:???

種別:対界宝具(内部解放) ランク:EX





《狂い火・燼滅世界(フレイム・オブ・フレンジ)》
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:∞ 最大捕捉:全世界
■解説

かつて「狭間の地」を焼き尽くし、秩序も理も因果も意味もすべてを無に還そうとした災厄――狂い火(フレンジー)。

キャスターが身に宿すのは火の一形態でも、魔術のカテゴリーでもない。
それは世界そのものを侵す“概念の炎”であり、万物の境界と認識を焼き壊し、すべての存在を溶かして「ひとつ」へと統合する終末の火である。

聖杯戦争を根底から崩壊させる宝具であるが、あまりにも消費魔力が多くどれほど卓越した魔力量を持つマスターであっても単体では短時間しか発動は出来ない。
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