東方雷狼竜   作:NO!

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雷狼竜と迅竜、そして第三の竜の名を持つ者

「お前、は……?」

 

 ジンオウガは泣きながら、刃に問い掛けると、刃は頭を抱えるように押さえる。

 

「はぁーーっ」

 

 刃はジンオウガに呆れて溜め息を吐く。そうだろう。刃は別種でありながら仲間でもあるジンオウガが(自分)を知らないとは心外で失礼だ。

 それに刃は、この人間(ジンオウガ)ジンオウガ(雷狼竜)である事に気付いているのに、ジンオウガは何故、(自分)をナルガクルガとは気付かないのだろうか。

 刃はジンオウガに疑惑と疑問を感じながら、腰にある双剣を取りだし、それをジンオウガに見せる。

 

「これは何か判るか?」

 

 刃は自分の同種の身体の一部で作られた双剣をジンオウガに見せながら、ジンオウガに問う。

 

「それは……!」

 

 しかし、ジンオウガはそれを見て驚くと、視線を双剣を持っている刃の方へと移す。そして、刃は頷く。

 

「ああ、これはヒドゥガー。俺の仲間、迅竜(ナルガクルガ)の身体の一部で作られた武器だ」

「ヒドゥガー……ナルガクルガ……あっ!?」

 

 ジンオウガは気付き、刃に問う。刃はヒドゥガーを腰に戻し携えると、刃は軽く頷く。

 

「ああ、俺の名は刃。ナルガクルガ、迅竜ナルガクルガの生まれ変わりだ」

「ナルガ、クルガ……お前、ナルガクルガなのか!?」

 

 ジンオウガは眼を見開きながら驚きを隠せない。そう。ジンオウガは刃がナルガクルガだと言う事を今知った。しかし、ジンオウガにとって、ナルガクルガとは渓流で遭った事があり、別種である事から縄張り争いで闘った事がある。だが、今は何れも違う。それは、ジンオウガが自分の他に人間になった者がいる事に驚きを隠せなかったのだ。

 しかし、刃は眼を細めながら。

 

「言っとくが、俺はお前とは初めて逢うんだぜ?」

「何っ?」

 

 刃の言葉にジンオウガは疑問を抱く。それに対して、刃は両手を腰に当てるも言葉を続ける。

 

「お前が居たのは渓流地帯ーーだが、俺が居たのは水林地帯だ」

「水林地帯?」

 

 刃は頷く。

 

「ああ。俺は水林(そこ)でケルビを補食し、ドスフロギィ率いるフロギィ共と戦い蹴散らし、他の同種との縄張り争いにも勝ち、狩人(ハンター)共を返り討ちにした」

 

 刃はジンオウガに背を向けると、拳を握り締める。

 

「だが、俺は狩人(ハンター)狩猟(ころ)された……」

 

 刃はやるせない思いを吐き出すように舌打ちする。そして、刃もまた、ジンオウガ同様、狩人(ハンター)達に殺された()だった。だが刃もまた、ジンオウガ同様、狩人(ハンター)達の名誉と欲望の犠牲者に過ぎない。刃は家の壁を殴る。怒り、哀しみ、憎しみ、刃はそれを全て吐き出すように。

 

「ナルガ」

 

 そんな刃に、ジンオウガは問いかけると、刃はジンオウガを見る。が、刃は眼を細めながら表情を険しくしていた。

 

「何だ?」

 

 刃は平然と答える。

 

「お前は、俺と同じ、人間を怨む者か?」

 

 ジンオウガは疑問を抱きながら、刃に問う。そうだろう。ジンオウガと刃、お互い狩人(ハンター)達に殺されたと云う共通点があり、境遇も同じ。故に、殺された事で竜の名を汚す事も意味していた。

 ジンオウガとナルガクルガ。二人ーー元、二体の竜は人間となっていながらも、本来の自分達を忘れてはいなかった。話を戻そう。ジンオウガは刃に訊く。刃は溜め息を吐きながら。

 

「ああ。だが、俺は人里(ここ)にいる人間共を怨んでいる」

「えっ?」

 

 ジンオウガは惚ける。それでも、刃は言葉を続ける。

 

「はっきり言う。さっきも言ったが、俺は幽々子様の命令で妖夢と共に人里(ここ)に来た。とは云え、人里(ここ)にいる人間共は狩人(ハンター)共と同種であり、憎しみの対象だと言う事にも変わりはない」

 

 刃は静かに言葉を続けると、ジンオウガに背を向ける。

 

「それよりもジンオウガ」

 

 刃はジンオウガに訪ねる。

 

「何だ?」

 

 ジンオウガは刃に言い返す。そして、刃は身体をジンオウガの方へと向ける。

 

「お前も人間を怨んでいるのか?」

「えっ?」

 

 刃の言葉に、ジンオウガは眼を見開きながら惚けた。しかし、刃は表情を険しくしている。それは、刃がジンオウガの本音を知りたいかのように。

 

「あっ……」

 

 だが、ジンオウガは直ぐに刃の気持ちを理解した。しかし、刃は眼を細めながら、ジンオウガに。

 

「てめえ、何を迷ってんだ?」

 

 刃はジンオウガに問う。しかし、刃はジンオウガの様子に気付いていた。それは刃から見れば何かは判らない。そして、ジンオウガにも判らない事でもある。

 

「い、いや、俺も人間を怨んでいる」

 

 ジンオウガは悲しげに答えた。そして、刃は眼を閉じながら腕を組む。

 

「そうか……お前もか」

 

 刃はジンオウガの気持ちを理解する。しかし、ジンオウガが何で迷っていた事までは判らなかった。だが、刃はジンオウガが自分と同じ、狩人(ハンター)に殺された者である事も気付いたのだ。

 

 ジンオウガの事は幽々子から聞かれたが、ジンオウガは人間に殺された経緯までは解らなかったのだ。

 刃はジンオウガが自分と同じ境遇と解ったが、人間となったのは(自分)とジンオウガだけなのかとも思っていた。

 刃は軽く顔を附せ、ジンオウガは悲しい眼をしながら何も言わなかった。そして二人の周りには重苦しい空気が、二人の周りを支配していた。

 

 

 

 

 一方、ここは人里から数キロ離れた東側。そこには山があり、山の少し上にまで続く傾斜面の石段が造られていた。

 そして、石段の出口ともあろうその先には鳥居があり、鳥居の先には、周りが森で囲まれた高床式倉庫の神社の本殿が建てられていた。

 そして、鳥居の近くには手水舎(ちょうずや)、本殿の左右には高床式倉庫の建物が二つ建てられていた。

 

「ふぅ……」

 

 そして、神社の境内(けいだい)には、一人の(ほうき)を持っている少女がいた。その少女は十代後半で、黒髪ロングヘアーで大きな赤いリボンを着けている。黒い澄んだ瞳。服装は裾が無く、脇や肩が露出している、赤が基準的な巫女服を着ていて、白い靴下に黒い靴を履いている。そして、両腕には下まで垂れ下がる白い裾を着けている。

 

 少女の名は博麗(はくれい) 霊夢(れいむ)。人間で、この神社、博麗神社の巫女であり、幻想郷の数少ない実力者の一人。

 

「もう、そろそろね」

 

 霊夢は呆れながら箒で境内を掃除していた。しかし、それもそろそろ終わる。だが、それも仕方ない。

 境内を掃除すると云う事は神社を綺麗にする為でもある。それに、霊夢の神社での一日は境内を掃除したり、賽銭箱の中身を確認したり、縁側でお茶を(すす)ったりしたり、食事を済ませ、夜になれば就寝する。それで霊夢の一日が終わり。

 

 それに、霊夢はそれを永遠に繰り返されるような毎日を過ごしていた。だが、神社を空ける訳にもいかないのだ。

 

「やっと終わった」

 

 霊夢は箒を立たせるように片手で持つと、溜め息を吐く。しかし、掃除とは云え、霊夢から見れば神社は広く、一人で掃除するのは時間が掛かる物だ。

 霊夢は境内の広さを怨み仕方ないと思いながら、軽く空を仰ぐ。空は青く、雲が一つもない。

 

「平和ね……」

 

 霊夢は不意に呟く。しかし、霊夢から見れば平和に思える。そして、霊夢の本来の仕事がない事が、霊夢にとって一番良い事だった。

 

「まあ、異変がない方が良いけどね」

 

 霊夢は箒を持ったまま、本殿の方へと向かう。

 霊夢が背を向けた直後、霊夢の後ろから強い光が現れた。

 

「!?」

 

 霊夢は驚きながら後ろを見る。しかし、光は霊夢が振り返った直後に消え、そこから一人の少女がいて、一つの武器があり、少女と武器は地面に叩き付けられるように落ちた。

 

「っ!?」

 

 霊夢は驚く。しかし、少女は顔を横に向けながら仰向けに倒れていた。

 その少女は十代後半。しっとりとした長い黒髪。眼を閉じている為、瞳の色は判らない。

 服装は、白い水玉模様の緑色のワンピース、その上に黄緑色のベストを羽織り。下には緑色のスカートを穿き、肌色のニーソックスに肌色のショートブーツを履いていた。そして首元には、紅い輝きを放つ小さな紅玉が付いている首飾りを着けていた。

 しかし、服の至る所には破れ目があり、少女の口元には血が出ていた。

 そして、少女の近くにはライフルが落ちていたが、銃身や銃床が、緑色の生き物の固い鱗や膜で造られている、ライフルを模したボウガンが落ちていた。

 

「ちょっと!?」

 

 霊夢は手に持っている箒を放り捨てると、倒れている少女の下へと駆け寄り、少女を抱き起こし介抱する。

 

「ちょっと、大丈夫!?」

 

 霊夢は少女を呼び掛ける。しかし、少女からは何も反応もない。逆に言えば、死んでいるのかもしれない。霊夢は生唾を呑むと、再び。

 

「大丈夫なの!? しっかりして!?」

 

 霊夢は少女を呼び掛け続ける。何度も、何度も呼び掛け続けた。しかし、それが功奏し、或いは霊夢の呼び掛けに反応したのか、少女は意識を取り戻すかのようにゆっくりと眼を開ける。

 

「う……あっ」

 

 少女は目の前を見る。しかし、身体中が傷だらけで体力が無いせいか、少女は目の前がボヤけて見えるのを感じた。そして、少女の瞳の色は翡翠色だった。

 

「貴女、は?」

 

 少女は霊夢がボヤけて見えるのを感じた。だが、それも初めの内、徐々に目の前が見えるように視界が回復していく。

 

「大丈夫?」

 

 一方、霊夢は少女を介抱しながら問い掛ける。無理もない。後ろから光が現れ、光から現れて、地面に叩き付けられるように倒れていたとは云え、少女が怪我人である事に変わりはない。

 だが、そんな霊夢が心配しているにも拘わらず、少女は完全に視界が回復するも、少女は意識が朦朧(もうろう)としている為、霊夢の問い掛けには頷く程度しか身体を動かせない。

 

「ええ……!?」

 

 少女は眼を見開く。だがそれは朦朧とする意識の中の為、力がない。そして、霊夢は答える。

 

「そんな事よりもしっか……」

「に、人げ!? ……っ!?」

 

 霊夢が何かを言う前に、少女は何かを言うが、少女は自分の身体に激痛が走るのを感じて声を上げる。

 

「喋っちゃダメ!! 今、神社の中に運ぶわ!」

 

 霊夢は慌てるも、少女は眼に涙を溜める。

 

「レウ……ス」

 

 少女は眼に涙を溜めながら誰かの名を呟くと、そのまま意識がなくなるように眼を閉じる。

 

「ちょっと!? ねぇしっかりしなさい!?」

 

 霊夢は少女を呼び掛けながら、少女の身体を揺さぶる。が、少女の眼に溜まっている涙の内、一筋の涙が少女の頬に伝わり、地面の上に滴り落ちた。そして、霊夢の問いかけは、少女には届かなかった。




 皆さんこんにちは、NOです。第三の竜はリオレイアになりましたが。
 リオレウス、ブラギティオス、ティガレックスの三人の内の誰になるかは、まだ未定です。
 本当は三人決まっていますが、一人だけです。(理由は言えませんが)
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