東方雷狼竜 作:NO!
刃はジンオウガの事を椛に任せ、
「ううっ……」
人里のとある場所。そこは何時も通り、沢山の人で賑わいを見せている中。刃が幽々子の為にほったらかしにし、椛が捜している人物、ジンオウガが歩いていた。
が、ジンオウガ胸を強く押さえ掴みながら何度も小さく激しい息を吐いていた。それは数分前、椛と刃が話をしている間、ジンオウガは一人で人里の中を歩いていた。が、徐々に身体に異変が起きていたのだ。その為、ジンオウガは自身の身体に起きている異変を感じ堪えながら歩いていた。
だが、ジンオウガは何かに苦しんでいるとしか思えない。その証拠に、ジンオウガの近くを通り過ぎながら見る者、遠くで気付いた者の殆どがジンオウガに疑惑を感じる者がいれば、心配する者もいる。
だが、誰一人、声を掛ける者はいない。理由は簡単。ジンオウガが、彼が外来人である事だろう。
「ちょっと大丈夫!?」
そんな中、声を掛ける者がいないのを矛盾するかのように、声を掛けきた者がいた。その者は二十代位の女性だが、腰まで届く位、長い青のメッシュが入った銀髪に、紺碧色の瞳。
服装は胸元が大きく開いている上下一体の青い服に、襟は短い白に半円があり、胸元に赤いリボン、両脚を覆い隠すくらい長いスカートには白のレースが付いている。
頭には、六面形と三角雛を板で遮るように挟んだ青い帽子を被っている。
そして、その女性の名は
そして今、慧音はジンオウガに気付き、ジンオウガに近付き、気遣い、声をかける。
「うぐっ!?」
ジンオウガは慧音に気付き驚くが、慧音はジンオウガに対して手を伸ばす。
「触るな!」
が、ジンオウガは慧音の気遣いを拒絶するように、慧音の差し伸べられた手を手で払い除ける。しかし、ジンオウガの手からは僅かに、小さな青い稲妻が飛び散る。
「きゃっ!?」
女性は驚くも、ジンオウガは女性を睨む。
「触るな……あぁっ!」
しかし、ジンオウガは慧音に怒りを吐き出した直後、頭に激痛を感じ、その場に跪く。
「大丈夫か!?」
ジンオウガの様子に、慧音は慌てながら、ジンオウガの肩に手を置く。
「大丈夫か!? 凄く苦しんでいるじゃないか!?」
慧音はジンオウガに問い掛ける。
「何だ何だ!?」
「どうしたんだい!?」
そんなジンオウガに、ジンオウガを追い詰めるかのように、周りの者達はジンオウガを心配し、何があったのかを期待するように、ジンオウガを見る。
「うぅっ……うっ!?」
ジンオウガは激痛を堪えながら、周りの人達は
「うっ!? アァーーーーッ!!!」
しかし、ジンオウガは今度は頭に激痛を感じ、悲鳴を上げながら空を仰ぐ。
「っ!?」
そんな中、ジンオウガがいる場所の近くを走り、ジンオウガの悲鳴に気付き、悲鳴がした方へと走る者がいた。
椛だ。椛はジンオウガを探していた為、人里の中を走っていた。しかし、悲鳴が聞こえた為に、立ち止まると悲鳴がした方を見る。そして、近くにいた者は立ち止まり、店仕事をしていた者達は驚きを隠せないまま、手を止めながら悲鳴がした方も見た。
(今のは……ジンオウガ!?)
椛は悲鳴がした方へと向かう為に走る。
(ジンオウガ、待っててくれ!)
そして、椛は悲鳴の主がジンオウガである事を願っていた。もし、もしも、悲鳴の主がジンオウガなら、見つけたも当然。しかし、逆に違ってたら、また見つける為に人里の中を走らなければならない。一つは良い方に、もう一つは悪い方だが、椛はジンオウガを見つけたいが為に人里の中を走る。ジンオウガを見つける為に。
「あっ!?」
だが、椛が驚く。それは、悲鳴がしたであろう所には人混みが出来ていた。
「ぐっ!」
だが、椛はジンオウガを見つける為に人混みの中へと入るように進む。そして案の定、踞っているジンオウガと、ジンオウガを心配している慧音に気づく。
「慧音さん!? ……ジンオウガ!?」
椛は、慧音と、頭を押さえながら跪くジンオウガの下へ駆け寄ると、ジンオウガの近くに跪く。
「大丈夫か!?」
椛はジンオウガに問い掛ける。しかし、椛よりも先にジンオウガを気遣い、近くにいた慧音は椛に。
「椛!? お前は、この者を知ってるのか!?」
慧音は椛にジンオウガの事を問おうとする。しかし、椛は。
「はい! ですが今は……」
「犬走……」
椛は何かを言い終わる前に、ジンオウガは頭に激痛を走るのを堪えながら、椛に気付く。
「ジンオウガ! 私ですよ!? 大丈夫ですか!?」
椛は心配しながら、ジンオウガに問う。だが、ジンオウガは。
「大丈夫じゃねぇよ……それにーーっ!?」
ジンオウガは、そう椛に言った直後、再び頭に激痛が走るのを感じ、きつく眼を閉じる。
「ウアァッ!!」
ジンオウガは悲鳴を上げる。が、ジンオウガの身体の周りから青い電気が現れる。
「あぁっ!?」
「なっ!?」
椛はジンオウガの身体から現れた稲妻に驚きを隠せない。だが、慧音も驚きを隠せなかったが、ジンオウガから離れる。しかし、稲妻はジンオウガに纏まりついていて、ジンオウガから離れようとはしない。
「お、おい、何かヤバくないか!?」
「ジンオウガ!?」
慧音は椛に指摘し、椛はジンオウガを呼ぶ。しかし、周りにいた者達も驚きを隠せない。
「まずい……皆、離れるんだ!!」
慧音は周りにいる者達に叫ぶ。すると、慧音に言う事を聞き従うように、周りはジンオウガから離れる。
「ジ、ジン!?」
だが、椛はジンオウガから離れようとはしなかった。
「椛!!」
慧音は椛を羽交い締めすると、慧音は椛に。
「そいつから離れるぞ!」
慧音は椛に言う。
「嫌です! 放して!」
椛は拒むも、慧音は椛を羽交い締めしながら、ジンオウガから離れる。そして、椛は暴れて、慧音から離れようとするも、椛はジンオウガに。
「ジンオウガッ!!」
椛は叫びながら、ジンオウガに手を伸ばす。だが、椛の声は儚く終わるように、ジンオウガには届かなかった。そして、ジンオウガは跪きながら眼をきつく閉じている。そして、ジンオウガの周りに飛び散る稲妻は大きくなっていく。
「うぐっ……ッ!?」
ジンオウガは眼を見開く。
「アーーーーッ~~!!」
そして、ジンオウガは空を仰ぎながら叫び声を上げる。直後、ジンオウガの周りに飛び散る青い火花は大きな火花となり、更にはジンオウガの身体から青い光が現れ、光はジンオウガを包み、真上の空を切り裂くように突き進む。
「あぁっ!?」
途中、椛、慧音、人里の者達は光に怯み顔を腕で覆いながら眼を閉じる。しかし、青い光はジンオウガの真上の空を貫通するように突き進んだままだった。
そんな中、ジンオウガの事を椛に任せ、任務を遂行すると云う意味で用事を済ませようとして、妖夢と共に御手洗団子を買いに行ってる途中の刃がいた。
「おい、あれは何だ?」
だが、刃と妖夢の近くにいた男性が、ある方角を指差しながら、近くの男性に訪ねる。が、殆どの者達も気付く。
「うん?」
妖夢も、まだ気付かない者達も、男性が指差した方角を見る。そして、刃も男性が指差した方角を見る。そこには、青い光が一直線に空を突き進むように昇っていた。
「何だよあれ?」
「さあ?」
周りは青い光に疑問を感じ、ざわつく。
「…………」
そんな中、刃だけは違った。刃は青い光を見据え続ける。まるで、何かを悟ったかのように。
「何でしょうか?」
刃の隣にいる妖夢は青い光を見ながら、刃に訊きながら、刃を見る。しかし、刃は居なかった。
「あれっ!?」
妖夢は驚くと。
「刃!?」
妖夢は驚きながら、刃の名を呼ぶ。しかし、刃は何処にも居なかった。
「うん?」
そして、別の場所では、ある少女が青い光に気付く。周りにいた者達も気付くが、その少女は青い光の方へと走って行った。
そして、青い光の近くにいる者達は、青い光に怯んでいた。
「っ……ジンオウガ」
周りは怯む中、慧音に羽交い締めされている椛は、青い光の中にいるジンオウガを心配していた。一方、青い光は徐々に消えていく。そして、完全に消えた。
「うん……あっ!?」
椛は驚く。
「なっ!?」
慧音や周りの者達は青い光が消えた直後、驚きを隠せない。そして、青い光が消えた後にいたのは、身体の周りに青い火花を飛び散らし、眼を鋭くし、歯を強く食い縛りながら佇んでいるジンオウガがいた。
「グルル……」
ジンオウガは歯軋りを立てながら、目の前を見据えていた。
「あれは……ジンオウガ」
椛は驚きを隠せない。しかし、椛はある事を思い出す。それは、あの時、妖怪の山に居た時だった。それはジンオウガと初めて逢い、闘い、にとりと共に、あの状態になったジンオウガを近くで見ていた。
しかし、あの時、あの状態のジンオウガはとても強かった。そして、理性を失っている事にも……。だが、それが今、再び目の前で起きていた。
そして、椛は気付かず知らなかった。それは、ジンオウガの程度の能力だと云う事に。
ジンオウガの程度の能力、それは『あらゆるエネルギーを電気に変え、電気を体内に溜める程度の能力』。
その能力はジンオウガ特有の能力であり、超帯電状態の雷狼竜をも沸騰させる。
そして、その能力は風などの見えない物の自然エネルギー、木や花などの植物に必要な光合成ーーつまり光エネルギーなどのエネルギーを電気に変える事が出来る。
その為、ジンオウガは気付かない内にエネルギーを溜め続るように充電し続けていた。そして、それが一定にまで到達すると、ジンオウガは超帯電状態ーーつまり、覚醒状態となる。
だが、
その為、直ぐ弾幕で攻撃するのは愚か、一定時間、放置した後に弾幕攻撃してもジンオウガには効かない。(幽々子の時は一定時間を過ぎてはいなかった為)
そして、それはジンオウガ自身が普段のジンオウガに戻らない限り、ジンオウガに敵はいないーーつまり、無敵をも意味する。そして、理性を失っているジンオウガを誰も止める事は出来ない。
「ググル……グガァーーーーッ!」
ジンオウガは唸り声を上げながら、身体に溜まっている電気を放電する。放電された電気は辺りに飛び散る。
「うわっ!?」
「キャァーーッ!!」
ジンオウガの放電に、周りにいる人間達はジンオウガに恐怖し逃げ惑う。
「ガァーーーーッ!!」
しかし、ジンオウガは体内に溜まっている電気を放電し続ける。
「ジンオウガ!?」
人々が逃げ惑う中、椛はジンオウガの名を叫びながら、ジンオウガに手を伸ばそうとする。
「ダメだ!!」
しかし、そんな椛を慧音は許す筈もない。慧音は椛を羽交い締めしながら。
「奴に近付いてはいけない!」
慧音は椛に、そう言う。
「ジンオウガーーッ!!」
しかし、椛はジンオウガの名を呼び続ける。
「ガァーーーーッ!!!!」
だが、椛の呼ぶ声は、理性を失っているジンオウガには届かない事を意味するかのように、ジンオウガは空を仰ぎながら咆哮を上げていた。
そして、それは人間を怨むジンオウガの咆哮をも意味し、人里にいる者達を恐怖のドン底へと突き落とすかのように……。