東方雷狼竜 作:NO!
ジンオウガの放った雷弾が刃に直撃し、更には椛、妹紅を介抱していた慧音を巻き込む形で灰色の煙を発生させ、辺り一面を包み込む。
「ガアァーーーーッ!!」
一方、雷弾を放ったジンオウガは怒りの咆哮を上げる。それは理性を失っているのか、或いは、勝利を確信しての雄叫びなのかは判らない。しかし、咆哮を上げている事に変わりはない。
「!? ……グルル」
直後、ジンオウガは煙の方から気配を感じ、煙を見ながら唸り声を上げる。煙の方には何もないが、数秒も経たない内に煙は徐々に消えていき、そこから一人の人影が見えた。
そして、人影の正体は刃。更に、刃の前には椛。椛と刃の少し離れた処には妹紅を介抱している慧音がいた。
しかし、椛、妹紅、慧音の三人は兎も角、刃は違った。刃はジンオウガに背を向けている。が、刃の服の背中部分には煙が出ており、大きな破れ目も見えていた。だが、それはジンオウガの攻撃を背中から受け止めた為、仕方ない事だろう。
「ジンオウガ……」
刃は静かに呟く。しかし、刃は背中の激痛を感じていたが、逆に言えば
「…………」
そんな中、椛は気を失っていた。
「ん……」
そして、妹紅を介抱していた慧音は妹紅を煙から護る為に、慧音は妹紅を抱き締めながら護っていた。だが、妹紅はまだ身体に激痛を感じるせいか、慧音に介抱される以外、何も出来ないでいる。
三人は何も出来ないでいたが、唯一、刃だけはジンオウガと闘う姿勢を見せている。
「グルル……」
ジンオウガは刃を睨みながら両手を拳に変える。
「殺してやる……」
そして、ジンオウガに闘う姿勢を見せている刃は指をメキメキと動かすと、両手に携えている双剣を取ると、ジンオウガに対して左は順手、右は逆手で持ちながら身構える。だが、刃は両目を紅く光らせていた。
「ガアァ……」
一方、ジンオウガは身を低くしながら、刃を威嚇し続ける。
そして、二人は互いの距離を保ちつつ、相手が先に動くのを待っていた。そして、ジンオウガの後ろから一人の少女が駆け寄って来る。妖夢だった。妖夢は刃を捜そうとしたが、空に上る青い光を異変だと思い、青い光のもとへと向かったのだった。
「刃!?」
妖夢は刃に気付き駆け寄る。
「妖夢?」
「グル?」
刃は妖夢に気付くが、ジンオウガは不意に妖夢の方を見た。
「えっ!?」
妖夢は立ち止まるが、ジンオウガとは少し離れた処で立ち止まっていた。
「む!?」
刃はジンオウガが妖夢を見ている事に気付くと、行動を起こすようにジンオウガの方へと走る。
「ガ!!」
ジンオウガは刃の方を見た。しかし、刃は走りながら両手を横に伸ばすと、ジンオウガのすぐ近くにまで来ると地面を蹴って、跳躍する。しかし、刃はジンオウガの頭上を通り過ぎると、ジンオウガの後ろに立ちながら着地する。
「ガアッ!」
ジンオウガは刃を見ようと振り返る。しかし、刃もジンオウガを見ようと振り返った直後、軽くニ、三回バックステップすると、ジンオウガ目掛けて走り体当たりした。
「ガッ!」
体当たりされたジンオウガは悲鳴を上げるも、身体は後ろへと吹っ飛ばされると、仰向けに倒れる。その隙に、刃は地面を蹴って跳躍すると、双剣を振り翳しながら、ジンオウガ目掛けて落下する。
「グルッ!!」
だが、ジンオウガは体内に蓄えていた電気を放電すると、電気は辺りに飛び散る。が、そこから風も発生した。
「!?」
刃は驚くも、刃は発生した風に怯み、そのまま上空へと投げ飛ばされるように吹き飛ばされ、離れた場所で落下し、仰向けに倒れる。それに、武器を手放してしまい、武器は近くの地面に転げ落ちる。
「刃!!」
妖夢は、吹っ飛ばされた刃を見て驚く。一方、ジンオウガは両手を横に伸ばすと、体内に溜めている電気を両手のひらに放出し、溜めるように集めると、二つの雷弾を作り、雷弾を掴むと、倒れている刃目掛けて勢い良く投げる。
「!?」
刃は雷弾に気付くも、二つの雷弾はすぐ近くにまで迫り、刃と直撃し、爆発した。
「ああっ!?」
妖夢は眼を見開きながら言葉を失う。しかし、煙は上空に立ち上ぼっていた。
「ガアァーーッ!!」
直後、ジンオウガは悲鳴を上げながら横に吹っ飛ばされ、家の壁に激突し、壁に凭れ掛かる形で横向けに倒れる。
「えっ!?」
妖夢はジンオウガの悲鳴に気付き、視線をジンオウガの方へと移すも、直ぐに煙の方へと移す。煙は徐々に消えていくが、そこから一つの人影が見えた。そして、煙が完全に消えつつあった時、人影の正体である人物が見えた。
「あっ!?」
妖夢は驚く。その人物の正体は、身体を横の方へと向けながら右腕を突き出している刃だった。が、服は所々、破れていてボロボロだった。
そして、ジンオウガを殴ったのは刃だった。何故、刃は服がボロボロなのかは、それはジンオウガの放った雷弾を受けた為。そして、右腕を突き出しているのは、刃は自身の能力である『敵に自分の動きを悟られない程度の能力』を使い、更に発生した煙を視界を遮る為に利用するように風の様に消えると、ジンオウガの横で風の様に現れると、横からジンオウガの脇腹を強く殴ったのだ。
「…………」
刃は右腕を突き出したまま両眼を紅く光らせながら険しい表情をしている。
「ガアァ……」
一方、ジンオウガは何にもなかったかの様に起き上がろうとする。それを見た妖夢は驚くも、刃はジンオウガの下へと駆ける。
「ガ!」
ジンオウガは立ち上がり刃を見ようとした直後、刃はジンオウガに体当たりする。ジンオウガは悲鳴を上げないが、後ろが壁の為、僅かながら背中に激痛を感じていた。それに対し、刃は素早くバックステップしてジンオウガから離れると、ジンオウガに対して身構える。
「グルル……」
ジンオウガは壁から離れると唸り声を上げながら、刃を睨む。そして、ジンオウガと刃は隙を見せないように身構えていた。
「ああ……」
一方、二人を見ていた慧音は妹紅を介抱しながら驚きを隠せないでいた。しかし、慧音にとって、二人は未知の者達であり、どのくらい強いのかも判らない。その為、止めようとしても、妹紅と椛の事がある為、妹紅と椛の二人を護りながら、ジンオウガと刃を止める事は出来ない。
「あれは、慧音さーーん!」
「あれは!?」
「ケロ!? ジンオウガと……誰だ!?」
すると椛、慧音、妹紅の三人の後方から駆け寄る者達がいた。早苗、神奈子、諏訪子の三人だった。彼女達は皆、青い光を異変と思い、異変解決の為に青い光に誘導されるように向かったのだ。
早苗は椛、妹紅、慧音の三人に気付くと、神奈子と諏訪子と共に彼女達の元へと駆け寄る。
「椛さん!!」
早苗は椛を介抱する。椛は気を失ったままだった。そして、神奈子と諏訪子は慧音の近くに屈むと、ジンオウガと刃を見据える。
「刃……」
一方、妖夢は刃を心配し、その場を動けないでいた。動けば刃に迷惑を掛けるだろう、と。
「あれは、ジンオウガ、さん?」
そして、早苗は椛を介抱しながら、火花を飛び散らしているジンオウガに驚愕していた。
しかし、あのジンオウガは
あのジンオウガは獣のように唸り声を上げ、獲物を殺したいような眼をしていた。そして、理性を失っている事にも気付いた。神奈子と諏訪子もジンオウガを見て驚きを隠せないが、それ以上に驚いていたのは、刃と言う忍が何者なのかと言う事に。しかし、刃はジンオウガに闘う姿勢を見せている為、神奈子と諏訪子の視線など気にもしなかった。
「ガァァッ!!」
直後、ジンオウガは咆哮を上げながら跳躍すると、刃に襲い掛かるように飛び掛かる。刃は素早く側転して避けると、ジンオウガは刃の横を通り過ぎる。が、ジンオウガは刃が避けてしまった事で、そのまま地面にダイブするように、自らの身体を地面に叩き付ける結果になってしまった。
直後、避けた刃は手放してしまった武器を捜そうと、周りを見る。直後、自分の武器である双剣を見つけると、二つの内、一番近い方の双剣の下へと走ると、直ぐに拾う。
「ガァァッ……」
その間、ジンオウガは身体を起こす。が、頭から血を流していてるも、刃に怒りを覚え、刃の方を向く。直後、何かがジンオウガの方へと突き進み、それはジンオウガの胸に刺さり、ジンオウがの胸から血が出て、服の胸部分を赤く染まっていく。
「ガッ!?」
ジンオウガは胸を見ると、胸には刃の双剣が突き刺さり、離れた場所には双剣を投げた体制をしている刃がいた。
そう。刃は双剣をジンオウガ目掛けて、投げたのだ。
「あっ!?」
そして、それを見た妖夢、早苗、神奈子、諏訪子、慧音の五人は驚きを隠せない。
「う……ん?」
そして、早苗に介抱されていた椛は気が付く。
「椛さん!?」
早苗は椛が気が付いた事に気付き、椛を見る。
「早苗さ……はっ!?」
椛も早苗を見るや否や、何かに気付く。
「ジンオウ……!?」
椛はジンオウガを心配し、起き上がって周りを見ようとした直後、ジンオウガを見つけた……が、椛は眼を見開く。
視線の先には、胸に双剣が突き刺さっているジンオウガがいた。
「あっ!?」
椛は立ち上がろうとした直後、刃は風の様に消え、ジンオウガの目の前に風の様に現れると、ジンオウガの胸に突き刺さっている双剣を抜く。
直後、ジンオウガの胸から大量の血飛沫が飛び散る。血飛沫は目の前にいる刃の顔や服に着く。
「ガァァッ……」
ジンオウガは悲鳴を上げる暇もなく、そのまま膝を着く。
「っ!?」
そして、そんなジンオウガを見た椛は信じられないと思いつつ眼に涙を溜めながら。
「ジンオウガーーッ!!」
椛は涙を流しながら、ジンオウガの名を呼び叫び、早苗から離れると、ジンオウガの下へと走る。しかし、ジンオウガは前に倒れそうになるが、刃はジンオウガに手を貸さない意味で後退りする。そして、ジンオウガは仰向けに倒れると、胸から血を流していた為、ジンオウガの周りは血の海が出来そうになっていた。
「ガ……」
刹那、ジンオウガは自分の死を感じていた。が、ジンオウガは意識が無くなりつつあった。そして、そんなジンオウガに椛は駆け寄り、早苗、神奈子、諏訪子もジンオウガの下へと駆け寄る。
一方、刃は無表情のまま武器に付着している血を振って落とすと、倒れているジンオウガに背を向けると、その場を離れるように歩き始めた。直ぐに妖夢が駆け寄るが、刃は妖夢の事など気にもしなかった。
「ジンオウガ!! ジンオウガ!!」
椛は泣きながら、ジンオウガの名を呼び続ける。しかし、ジンオウガは返事もしなかった。
そうだろう、ジンオウガは……死んだも同然であり、返事など出来ない。そして、椛の無駄な叫び声は人里に響き渡った。何度も、何度も……。
皆さん、こんにちはNO!です。もう少しでUAが9000を超えられそうです。それも、この小説を閲覧してくれている皆様のお陰です。ありがとうございます。