東方雷狼竜   作:NO!

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 この話では、霊夢や紫は出てきません(話をしている間だからです)。その代わり、今回は新たなる竜達と、とある東方のキャラクター達が出てきます。


外伝、雌火竜と博霊の巫女、スキマ妖怪(中編)

 霊夢と少女は、紫から話を聞いている間、博霊神社からかなり西にある雑木林。

 そこには、一匹の倒れている妖怪と、妖怪を見下している一人の青年がいた。

 

「あぐあ……っ」

 

 その妖怪は、身長が三メートルもあり人型。濃い緑の(からだ)に所々、黒い縞模様があり、両手両足が長く、口には二本の長い牙が特徴な妖怪だった。だが、その妖怪の躰には、何かの鈍器で撲られた痕があり、血だらけだった

 

「ぐふっ……!!」

 

 妖怪は口から血を吐きつつ怯えながら、見下すように見据えている青年を見上げた。そして、青年の右手には、大きなクラシック・ギター状に近い武器がある。

 その武器は、ギターであるが全体は黄色い外殻に青い縞模様があり、トップ(表板)は円く、トップの周りには飛び出るように尖っている七本の茶色い爪があり。中央には大きな円形の突起物があるが、突起物の周りには円形型の黄色い外殻が填まるように造られている。

 そして、青年の容貌は悪く方ではないが、青掛かった水色の髪に、黄色い瞳。服装は、上は茶色が掛かった黄色の長袖の服に袖部分には水色の縞模様が画かれているも、下は袖以外同じ色で、靴も同じ色だった。

 そして、青年は妖怪を見ながら「へへっ」と不気味な笑みを浮かべている。が、周りには一人の青年と一匹の妖怪以外、誰もいない。

 

「ゆ、許して、くれ……」

 

 妖怪は力ない声で青年に命乞いをする。だが、妖怪の躰が傷だらけなのは青年が妖怪を攻撃した為、いや、返り討ちに遭った為と言えば良いだろう。

 その証拠に、青年の方は無傷だった。しかし、妖怪の助命とは逆に、青年は笑いながら右手に持っている武器を両手で持ちながら振り翳す。

 

「や、やめ!!」

 

 妖怪は驚きながら叫ぶ。

 

「嫌だね」

 

 青年は拒むと不気味な笑みを浮かべながら振り翳している武器を、死にかけつつある妖怪の頭目掛けて振り下ろす。

 直後、大きな痛々しい音と共に妖怪の頭から血が飛び散り、青年の顔や服に着く。

 しかし、青年は両手に持っている武器を振り上げたり下ろしたりを繰り返す。

 そして、それは妖怪の頭を撲り続ける為、己の欲望を満たす為に繰り返している。

 完膚なきまでに叩きのめす事。それは青年自身が感じている快楽を得る為、死んだ相手や、周りには居ないが、もしも居た者には自分の怖さを教える為の恐怖を植え付ける為でもあった。

 そして、その二つの言葉通り、青年は倒れている妖怪を叩きのめす事で感じ、得ていた。

 青年は妖怪の頭を撲り続けるも、撲るのを止めるように武器を動かしている両腕を止める。武器には血が着いているが、青年は血の着いた武器を肩に掛けるように片手で持ちながら、妖怪を見据える。

 妖怪の頭は割れており、中から生々しい脳が、上から落とした生卵のように割れ散っている。そして、血も流れ出ている。

 

「ハハ……ヒャッハハハハ!!!」

 

 青年は空を仰ぎながら馬鹿笑いする。青年は妖怪が自分を食らおうと挑みながらも返り討ちに遭い、更には殺されると云う惨めな最後に笑いが止まらなかったのだ。

 しかし、妖怪は知らなかったのかもしれない。何故なら彼はジンオウガ、刃、リオレイアに続く四人目の人間となった竜であり。三人がいた世界では食物連鎖の頂点に君臨し、大半の狩人(ハンター)達からは恐れられ、沢山の犠牲者を出す程の存在。

 そして、青年の名は、まだ無い。

 

 しかし、青年は生前の名――竜の名はティガレックス。轟竜(ごうりゅう)、ティガレックス。

 

 刃――ナルガクルガとリオレイアと同じ飛竜の仲間であり、最凶の名に相応しい竜だった。

 だが、何故、青年が幻想郷にいるかは判らない。

 

 話を戻そう。青年は大笑いした後、素早く跳躍すると、空高くまで飛び上がり、空中に止まる。

 

「ヒヒッ♪」

 

 青年は周りを見渡す。大地一面が広野で、僅かながらに生えている森が幾つもある。

 大地一面、森に覆われている森林地帯に。別の方角には、山頂には霧が発生している大きな山に、近くには大きな湖があり、西洋的な赤い館が建っている。

 

「へへッ♪」

 

 青年は不気味な笑みを浮かべる。それは獲物、捕食する為や殺す為の獲物を求めていた。自分が強い、と云う事を知らせる為、人間達に復讐する為でもある。

 

「ヒヒッ、ヒャハハーーーーッ!!」

 

 青年は下品な笑いをしながら、ある方角へと突き進む。その方角は、こことは違い、辺り一面森林地帯と幾つもある山。そして、そこは妖怪の山でもあった。

 

「ヒャハハーーーーッ! 獲物が見つかるかな!?」

 

 青年は自分自身に問い掛ける。獲物を捜す為に。だが、青年は妖怪の山を選んだ訳ではない。只、強い獲物を求める為に……。

 

「ヒャハハーーーーッ!!」

 

 青年は笑いながら妖怪の山目掛けて突き進み続ける。最早、その青年は自ら修羅の道を進むように……。

 

 

 

 同時刻。ここは迷いの竹林。妖怪の山とは正反対に位置する場所にあるが、迷いの竹林と云うだけであって一面が竹林が生えているのと、深い霧が立ち込められていた。

 そして、その竹林には色んな噂があるが、特に一番有名なのが足を踏み入れたら二度と生きて出られる事は出来ないとも言われている。

 無論、それには理由があったーーそれは、竹林の奥深くに建てられている一軒の屋敷の者達を護る為に……。

 

 永遠亭。迷いの竹林の奥深くにある建物で、古い和風建築の屋敷だ。しかし、その建物自体は病院でもある。

 そして、その屋敷にいる医者は永遠亭を仕切る、八意永琳だ。

 

 永遠亭の診察室。その診察室の室内全体は白く、清楚感溢れている。診察室には患者用ベッド、一般男性と同じ大きさをしている人体模型、ネズミ色のデスクにレントゲン写真を確認する為のライトが設けられていた。

 

「…………」

 

 そんな中、デスクと向き合いながら書類の整理をしている永琳がいた。永琳はペンを動かしながら書類を一枚一枚片付けていた。しかし、これも医者の役目であり、片付けている書類は自分が診ている患者達の物でもあるからだ。

 

「これでよし」

 

 永琳はペンを置くと、書類を纏める。

 

「やっと終わった」

 

 永琳は溜め息を吐きながら背筋を伸ばす。疲れた、と。しかし、医者として毎日、患者を診なければならない。それも医者としての使命だが。

 

「それにしても、今日は……」

 

 ふと、永琳は何かを思い口にするも、診察室を出入り出来る扉からノックの音が聴こえた。

 

「師匠様、入るよ?」

 

 扉の向こう側から声が聴こえた。それも、幼い女の子の声だった。

 

「てゐ?」

 

 永琳は、声の主に気付く。直後、扉が開き、一人の常時が診察室へと入ってくる。

 

 その少女は十代前半で、癖っ毛の短い黒髪にモフモフとした柔らかい白いウサミミがあり、紅い瞳をしている。服は、裾には赤い縫い目がある桃色の半袖ワンピースを着用し、首には人参のアクセサリーを付けている。

 

 少女の名は因幡(いなば)てゐ。幼獣であり、竹林にいる妖怪兎達のリーダーでもある。

 

「てゐ、どうしたの?」

 

 永琳はてゐに訊ねる。

 

「うーーん、ちょっと暇だから、鈴仙に悪戯しょうと思ってね?」

 

 てゐは笑う。その笑いには意地悪的な笑みとも言えた。しかし、そんなてゐに永琳は再び溜め息を吐く。

 

「ウドンゲに悪戯するのは良いけど、受付はどうしたのよ?」

「そんなの良いじゃん、それに今は休診時間じゃないの?」

 

 てゐは両手を頭の後ろに組みながら笑うも、永琳は診察室の壁に掛かっている時計を見る。時刻は午後一時だった。

 

「そうだったわねーーそろそろ昼食の準備をしないといけないわね」

「みたいだね?」

 

 てゐは鼻歌をする。

 

「それに姫にもーーところでてゐ?」

「なに?」

「ウドンゲはどうしたの? 何処にいるの?」

 

 永琳はある人物に気付き、その事をてゐに問う。

 

「鈴仙なら……」

 

 てゐは両手を頭の後ろに当てまま、永琳に。

 

「昨日、迷いの竹林で倒れていた青年の病室にいるよ」

 

 

 

 

 

 ここは、永琳とてゐがいる診察室から少し離れた所。そこには沢山の病室があった。

 

 病室のとある一室。その個室は白い壁に茶色い天井と茶色い床となっており、窓の近くには患者用ベッドと、枕元の近くには小さな箪笥が置かれていた。

 そして、ベッドと箪笥とは少し離れた壁には大きな剣が凭れ掛かるように置かれていた。

 

 その剣は大人一人を護れるくらいの長さがあり、何かの紅い生き物の身体の一部で造られている。鱗に近い紅く分厚い刀身に、片端には六本の突起物、もう片端には一本の黒い突起物がある。だが、そんな大剣を扱える者はいるのだろうか? それは、誰にも判らない。

 

「…………」

 

 そんな中、病室に患者用ベットには、一人の青年が横になっていて。

 そのベットの横には、椅子の腰掛けながら心配そうに青年を見つめている少女がいた。

 

 その少女は十代後半で、足元にまで届くくらいの薄紫色の髪にヨロヨレの白いウサミミ(根元にボタンがある)があり、紅い瞳をしている。

 服装は白のブラウスに赤いネクタイを締め、紺色のブレザーを着用しているも、胸元に三日月を模したブローチを付けている。

 下には薄桃色のミニスカートを穿き、白の三折りソックスに茶色のローファーを履いている。

 

 少女の名は鈴仙(れいせん)優曇華院(うどんげいん)イナバ。永琳の弟子であり玉兎。

 

 一方、鈴仙の前には、患者用ベッドで横になりながら眼を閉じている青年。その青年は十代後半か二十歳前くらいだった。

 容貌は悪くはないが、長くも短くもなく黒髪。眼は閉じている為、瞳の色は判らない。

 躰も、布団で覆い隠されている為、判らなかった。

 

「それにしても、この人は一体?」

 

 鈴仙は青年に疑問を抱く。無理もない。この青年は昨日、永遠亭の前に倒れていた。それも、身体中が傷だらけの上、近くには大剣が落ちていたのだ。無論、それを発見したのは鈴仙だった。

 

「師匠様は何も以上は異常は無いといったけど……」

 

 鈴仙は青年を心配する。そうだろう。青年は昨日発見したばかりにも拘わらず、未だに眼を覚まさない。

 

「でも……」

 

 鈴仙は、患者用ベッドで横になっている青年の髪を触る。しかし、青年は眼を閉じたまま微動だにしない。それは眠っているのか、気を失っているのかは判らない。それでも、鈴仙は青年の髪を触り続ける。

 青年の髪は一本一本、傷んでいるとは言い難い程、艶がある。鈴仙は青年の髪を一通り触った後、静かに手を離すと、両手で青年の身体に布団を掛ける。

 

「名前は知らないけど、御休みなさい」

 

 鈴仙は優しく微笑むと、青年が横になっているベッドに背を向けると、部屋を出るように扉の方へと向かう。

 そして、鈴仙は扉の前にまで来ると、扉を開けようとした。

 

「うん……」

 

 直後、青年は僅かに何かを言いながら眼を閉じたまま眉間に皺を寄せる。

 

「えっ!?」

 

 聞き逃さなかった者がいた。鈴仙だ。

 鈴仙は青年が気が付いたのではないのかと思い慌てて青年の元へと駆け寄ると、青年の顔を見据える。そして、青年はゆっくりと眼を開けるも、青年の瞳の色は蒼く、薄汚れているとは思えない程、綺麗な色をしていた。

 

「うっ!?」

 

 直後、鈴仙は青年の瞳にドキッとする。

 

「ここは……?」

 

 一方、青年は白い天井を見据えると、横にいて、青年(じぶん)を心配そうに見つめている鈴仙に気付く。

 

「!?」

 

 数秒も経たない内に、青年は鈴仙に驚き、慌てて身体を起こすように起き上がると、青年の身体を覆い隠すように掛けられていた布団がはねのけられる。

 それは、青年の若々しい肉体が再び曝け出されるように……。

 

「うぐっ!?」

 

 しかし、激しく起き上がったせいか、青年は身体に激痛を感じ、胸を強く押さえる。

 

「動いちゃダメです!」

 

 鈴仙は慌てながら、胸を押さえている青年の肩に手を置くと、青年は。

 

「なっ!?」

 

 青年は自分の身体を見て、違和感を感じた。

 

「な、何だと!?」

 

 青年は叫んだ。しかし、青年は自分の髪や肌を触る。

 

「う、嘘だろ!?」

 

 青年は戦慄した。だが、それもそうだった。青年は元々、人間ではない。青年は元々、竜だったのだ。

 そう。青年の元々、リオレウス。火竜・リオレウスだったのだ。

 

「あ、あの?」

 

 そんな青年に、鈴仙は心配しながら、青年に問い掛ける。しかし、青年は、まだ自分の姿に疑問を感じていた。だが、それは青年にとって、信じたくはない事だった。

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