東方雷狼竜   作:NO!

5 / 20
雷狼竜への診察

 ここは昼間の、とある家の八畳の和室。そこは(たたみ)が敷かれ、畳独特の匂いが部屋の中に漂っている。

 西側と北側には、流れている滝がある岩場が描かれているのが特徴的な襖紙が張られている襖があるのと。

 東側には、部屋内の古い空気を新しい空気に変える役目、つまり換気する為にある障子があり。

 南には、真っ白な白い壁、茶色い天井は、丸い白い蛍光灯が設けられているのが特徴的な和室。

 そして、その部屋には何も物は置いていないが、中央には、清楚あるふっくらとした白い敷き布団と白い掛け布団が一つずつに、眠気を誘うかのような白い枕が一つある。

 そして、枕に頭を預けながら、敷き布団と掛け布団の間で横になりながら眼を閉じている人物がいた。

 その人物はジンオウガ。幽々子相手に手も足も出せないまま、自分(ジンオウガ)が放った稲妻の弾により自滅した人物。

 

「…………」

 

 ジンオウガは布団の中で眠っている。しかし、その寝顔には、理性を失った頃のジンオウガを思い出させる顔ではなく、寝る事で安らぎを感じようとしている顔だった。

 逆に言えば、誰にも邪魔が入らない事を祈り、完全に気が付くと云う形で起きるまで、待ち続けた方がいい。そして、それを眺めようとする者がいないのが残念。そして、頭には、二本の鬼の角を模した髪飾りを付けてはいないが。

 

「う……」

 

 ジンオウガが気が付いたのか、ジンオウガは目をきつく閉じる。

 

「……あ」

 

 そして、ゆっくりと眼を開ける。目の前はボヤけて見えるが、それは当たり前の事。

 

「あっ!?」

 

 ジンオウガは何かに気付き、布団をはね除けながら起き上がる。だが、ジンオウガの身体の上半身には服はなく、あるのはジンオウガの腹に巻かれている白い包帯だけ。

 しかし、ジンオウガは身体に激痛を感じて、胸を押さえる。

 

「っ……!」

 

 ジンオウガは歯を食い縛りながら眼を閉じるも、右眼だけ開けると立ち上がった。

 下半身にはジンオウガが穿いていたズボンではなく、ジンオウガには似つかわしくない、青い水玉模様がある白いズボンをジンオウガは穿いていた。

 

「くそっ、何処だよ、ここ!?」

 

 ジンオウガは部屋の中にいる事と、自分は何故ここにいるのかが解らないでいた。

 しかし、部屋の西側の襖が開く。ジンオウガは襖を見る。そこには、ジンオウガを心配する反面、ジンオウガを険しそうに見据えている椛がいた。

 椛は通路にいたが、襖の向かい側、つまり椛の後ろには襖があり。通路は人一人分が通れるくらいの茶色い通路だった。

 

「貴様、ここは何処だ!?」

 

 ジンオウガは椛を見るや否や、椛に詰め寄る。椛は何も言わないが、ジンオウガは椛の前にまで来ると、右手だけで椛の胸ぐらを掴む。

 椛は下唇を噛む。

 

「こ、ここは……」

「何だ!?」

 

 ジンオウガは椛に叫ぶも、ジンオウガは自分(ジンオウガ)の顔を椛の顔へと近付けていた。

 ジンオウガの顔と椛の顔は微かに触れる距離にまであるも、椛はジンオウガの顔が近い事にたじろぐ。

 

「おま……あぁっ!」

 

 ジンオウガは身体中に激痛が走るのを感じて、椛の胸ぐらを放すと、ジンオウガは両手で自分の胸を押さえながら両膝を付く。

 

「ジン、オウガ!」

 

 椛は慌てながら膝を付くと、膝を付いたジンオウガの肩に手を置く。

 ジンオウガは汗を流し始めるも、汗はジンオウガの額を頬を伝うと、畳の上に落ちる。一滴だけではない。

 

「お前……」

「喋るな、傷に障る」

 

 椛はジンオウガに肩を貸しながら、ジンオウガと共に立ち上がると、ジンオウガを敷き布団の所まで連れていき、ジンオウガを敷き布団の上に座らせる。

 

「横になれ」

 

 椛は呟きながら、ジンオウガを寝かそうとする。ジンオウガは渋々言う事を聞くと、頭を枕の上に起きながら横になる。

 椛は敷き布団から離れ、敷き布団の隣の畳の上に座ると、ジンオウガの身体の上に掛け布団を掛けてやった。

 

「う……」

 ジンオウガは、まだ激痛に堪えられず、布団の中で暴れそうになる。

 

「大丈夫か?」

 

 椛は声をかける。ジンオウガは右眼だけを開けながら、椛を見た。

 

「大丈夫だよ……っ」

 

 ジンオウガは椛に背を向けるように、横向けになる。

 

「ジンオウガ、お前は何も覚えていないのか?」

「はっ?」

 

 ジンオウガは惚けながら、椛を見た。椛はどこか寂しそうで険しい表情をしていた。

 しかし、それには椛が何かを知っているのと、何かに怯えているようにも思える。

 それを、ジンオウガは知らなかった。ジンオウガは椛を見据える。椛は溜め息を吐く。

 

「大丈夫じゃないみたいだね?」

「な、何だよ?」

 

 ジンオウガはビクッと震える。それに椛は何も言わないまま、立ち上がると、開いている襖の下へと歩く。

 

「お、おい待てよ!?」

 

 ジンオウガは椛を呼び止める。だが、椛は部屋を出る前にジンオウガを見た。

 

「何だ?」

 

 椛はジンオウガに問う。ジンオウガは身体中に走る激痛を堪えながら起き上がる。

 

「あっ!?」

 

 椛は慌てながら、ジンオウガの下へと駆け寄り、ジンオウガの隣に屈む。

 ジンオウガは激痛を堪えながら、椛を見て、そして訊く。

 

「ここは、何処だ?」

「えっ?」

 

 ジンオウガは再びその事を訊く。そうだろう。ジンオウガにとって、自分はいつ、森の中から、この部屋にいたのかも、いつ気を失っていたのかも判らない。

 それに、椛は自分(ジンオウガ)を見て何も感じていない事にも、ジンオウガは理解出来ないでいた。

 ならば、それを知っているのは椛、彼女だけ。にとりは何処にいるのかは判らないが。

 ジンオウガは、その事を椛に訊くも、椛は再び溜め息を吐く。

 

「お前、判らないのか? 自分は何をしたのも、ここにいる事にも?」

「はっ?」

 

 ジンオウガは惚ける。自分がした事? それは何なのか。ジンオウガは表情を強張らせながら首を左右に振る。

 

「本当に、何も知らないのか?」

 

 椛は三度(みたび)訊く。ジンオウガは首を左右に振り続ける。

 

「そうかーー解った。ジンオウガ」

「何だよ……」

 

 ジンオウガは汗を流しながら、椛を見る。椛は表情を険しくしながら、ジンオウガの額に手を置く。

 

「なっ……!?」

 

 ジンオウガは驚く。それに対し、椛はジンオウガの額に手を置いたままだった。

 しかし、ジンオウガの額に汗が流れており、それが椛の手のひらを湿らせるように濡らしている。

 それでも、椛は関係なしにジンオウガの額に手を置き続ける。

 

「何を……あっ!」

 

 ジンオウガは再び身体中に激痛を感じ、眼をきつく閉じる。

 

「動くな。それに待ってろ、もう少ししたら八意(やごころ)先生が、お前を診に来てくれる」

「や、八意?」

 

 ジンオウガは激痛の中、椛の口から“八意”と聞いて疑問を抱く。

 すると、通路の方から「ごめんくださいーーっ」と言う声が聞こえた。そして、それは女性の声だった。

 ジンオウガは、その声が耳に響くと、視線を通路の方へと向ける。

 椛も通路を見ると、立ち上がり通路の方へと向かうと、ジンオウガを見た。

 

「八意先生を連れて来るから、お前は寝てろ」

 

 椛はそう言うと、通路の右側へと向かった。襖は空きっぱなしたが。

 

「あ、ん?」

 

 ジンオウガは呆れる。しかし、通路からは足音が遠くなるのと、直ぐに大きくなっていく。

 そして、椛は戻って来た。ある一人の女性を連れて。

 その女性は大人で、長い銀髪を三つ編みにしながら前髪を真ん中分けにし、黒い瞳が特徴的。

 服は、紺に近い青と赤のツートンカラーで、右が赤で左が青にも拘わらず、スカートは左右逆の配色に、フリルの付いた半袖が特徴的な服だ。

 頭には、中央には赤い十字架がある、青いツートーンのナース帽を被っている。

 そして、手には黒い革の鞄を持っていた。

 

 女性の名は八意(やごころ) 永琳(えいりん)。月人であり医者。

 永琳は疑問を抱くような眼でジンオウガを見据える。

 ジンオウガは眉間に皺を寄せながら、永琳を見据える。

 

「貴方がジンオウガ(患者)なの?」

 

 永琳は不意に呟く。その言葉には、生まれて初めて珍しい物を見た者が言う言葉だった。

 しかし、ジンオウガは永琳から眼を逸らす。

 

「ジンオウガ」

 

 ジンオウガの様子に、椛は静かに怒る。それでも、ジンオウガは微動だにもしない。

 

「ハ~ッ」

 

 椛は呆れて言葉も言えないかのように溜め息を吐くと、永琳に。

 

「八意先生、ジンオウガを診てくれませんか? お願いします」

 

 椛は永琳に頭を下げてお願いする。永琳は「判ったわ」と言いながら、椛と共にジンオウガが横になっている布団に歩み寄る。

 

「な……!?」

 

 ジンオウガは眼を点にするも、永琳と椛はジンオウガの布団の近くに正座する。

 永琳は身体の向きをジンオウガの布団の方へと向きながら、椛は永琳と向き合うように正座している。

 そして、正座している椛と永琳の間には、横になっているジンオウガがいる布団がある。

 つまり、ジンオウガは二人の真ん中で横になっている事を意味していた。

 

「さて、と」

 

 椛はジンオウガの身体を覆っている掛け布団を両手で捲ると、ジンオウガを介抱しながら抱き起こす。

 ジンオウガは激痛を感じながら、椛を睨む。

 

「何をする、きだ!?」

 

 ジンオウガは微かに叫びながら、椛に問う。

「大丈夫だ、只の診察だ」

 

 だが、椛は普通に答える。それを聞いたジンオウガは「しん、さつ?」と疑問を投げ掛けるも、椛はジンオウガを起こすと、永琳を見た。

 永琳は隣に置いていた鞄の中を漁っていた。そして、何かを取り出した。 永琳は隣に置いていた鞄の中を漁っていた。そして、何かを取り出した。

 それは、医者にとって必要不可欠な聴診器だった。永琳は聴診器に付いているイヤホンのような物を左右の耳に当てながら、チェストピースを掴むと、それをジンオウガの右胸に当てた。

 

「あうっ!?」

 

 ジンオウガは震えながら言う。冷たい、一瞬だけ、当てられた所だけ冷たさを感じたからだ。

 それはほんの一瞬だが、それは全身にも伝わるように広がっていた。しかし、それも一瞬の内だけ。

 

「…………」

 

 永琳は表情を険しくしながら、聴診器のイヤホンから流れるジンオウガの心臓の動きを聴いていた。

 直後、心の中で「これは!?」と叫びながら眼を点とする。

 

「先生?」

「?」

 

 椛は疑問を抱き、ジンオウガはしかめっ面をしながら、永琳を見た。

 永琳は少し困惑していたが、ジンオウガの右胸に当てていたチェストピースをジンオウガの右胸から放し、ジンオウガの右胸とは別に、ジンオウガの左胸に当てた。

 ジンオウガは身震いするも、永琳はチェストピースをジンオウガの左胸から放すと、顔色を悪くしながら聴診器を外す。

 ジンオウガと椛は永琳の様子に疑問を抱くも、永琳は口を震わせながら、ジンオウガに。

 

「ジンオウガ……さっき貴方の心臓の音を聞いたんたけど」

 

 永琳は、まだ口を震わせながら何かを語る。そして、少し沈黙すると、再び口を開く。

 

「貴方の心臓は、今まで調べた患者達とは違うのよ」

「違う?」

 

 椛は答える。一方、ジンオウガは永琳を睨むも、永琳は言葉を続ける。

 

ジンオウガ(貴方)の心臓は人や妖怪から聞こえる鼓動とは違い、火花のような電気の音が聞こえるのよ」

 




誤字があるかもしれません。それとナルガクルガの擬人化の件ですが、特徴や武器は決まりましたが、どこから出すかは、まだ未定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。