ある悪人の前半生   作:土鳩

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多分メリバとか言うヤツ


闇の奥深く

1912年4月、ロンドン 深夜

 

囚人は書いた手紙を封筒にしまい、溜息を吐いた。渡す予定のベテラン看守は今日はいない。彼の親戚に不幸があり、仕事を急遽休んだ。しかし看守にとっては不幸中の幸いだったろう。

監獄の中は騒がしい。他の囚人達の怒鳴り声や爆破音がする。こうなる事は外部協力者からの連絡により予め分かってはいた。

 

足音が独房に近づく。囚人でも看守でも無い。

 

 

「遅くなりました、尾形さん。」

 

「全くだ。おせェぞ、野間。」

 

野間はジャケットのポケットから鍵束を出す。しかしどの鍵か分からなくなったようで苛々しながら、尾形の独房の鍵を探している。そして諦めたようだ。

 

「仕方ない、蹴破ります。」

 

「阿呆か、蹴破れる程度の扉ならこんな苦労はしてねェよ。」

 

鉄格子越しに鍵束を受け取り、一つの鍵を見つけて開錠する。余りにも滑らかな一連の動作に野間は驚いていたが、用がある度に独房を出され、横目で鍵を確認していた尾形には何の事は無い。

 

「行くぞ。」

 

独房の扉を開けて尾形は出た。ふと、房室内に残された手紙に気付いた野間が声をかけるも、尾形は気にせずに歩き出す。

 

「アレは置き手紙だ。世話になった看守殿への礼状だよ、気にするな。」

 

「あぁ、例の男色の看守ですか。変な雰囲気になって間違いが起きないように、ひたすら過去の話をしてたんですよね?」

 

「あぁ。」

 

監獄側の内通者によって得られた情報だ。その内通者も、今夜の騒動で命を落とす手筈になっている。野間には、尾形が置き手紙をするような人間には到底思えなかったのだが、解放された反動かスタスタ歩いて行ってしまうので慌てて後を追うしか無かった。

 

牢獄のあちこちで解放された囚人達が看守相手に暴れており、通路に囚人や看守の死体が転がっているが、2人は気にせずに出口へ向かい歩く。

 

「網走や亜港を思い出すぜ。」

 

「・・・俺は最近、山芋が怖くなる事がありますよ。情け容赦無いと言うか・・」

 

「ハハァッ!!お前知らなかったのか、アイツは怖い女だぜ?」

 

ニンマリと笑う尾形の返答に野間は黙った。

 

建物を出て敷地を走り抜け、外壁に開けられた穴が見えた。外壁の向こう側はテムズ川が流れており、小舟が接岸している。

野間が手を振って合図をすると、小舟の上の岡田が隠していたランタンを翳して合図に応えたので、脱獄囚達2人は縄に捕まりながら降下し、小舟に着地した。

 

「久しぶりだな、岡田。」

 

「はい。尾形さん、何か顔色悪く無いですか?ちゃんと食べてました?」

 

「・・あまり眠れなかったんだよ。」

 

「あぁ、まぁそうですよね。向こう岸で山芋が待ってます、行きましょう。」

 

3人を乗せた小舟は、ゆっくりと岸を離れた。

 

 

1908年の秋に日本からアメリカに渡ったアン達5人。トーマスの船がサンフランシスコに到着後は鶴見と別れて北米大陸を徒歩、騎馬、鉄道にて横断する。

尚、サンフランシスコに到着した鶴見は“ロサンゼルスに行ってみたい”とか言っていたので、別れた後は南に向かったのだろう。怪我さえ無ければ、あの見た目と大袈裟な身振り手振りで、ハリウッドの舞台俳優にでもなれただろうに、非常に惜しい事である。

 

北米大陸横断はひたすら大変だった。

 

旅のインディアン達と意気投合して一緒に銀行強盗をしたは良いものの、彼らに騙されて一文無しになりかけた。『インディアン、嘘吐かない。』は嘘であった。

鉄道を使って移動中に強盗団に襲われて撃退したが、野間が連中の仲間だと思われて賞金首になった。野間の馬鹿力と列車車強盗団の子分の一人の名前から『蒸気機関車のトーマス』等と言う二つ名がつけられてしまった。

泊めて貰った胡散臭いボロ家で、死体愛好家の中年兄妹に襲われてコレクションに加えられそうになった。よく分からないが、この兄妹は死体に欲情するらしい。

 

まぁ本当に色々あった。

 

アメリカに渡った2カ月後に清国の西太后が亡くなる。アメリカ東海岸に到着したガオと合流した5人はニューヨークからイギリスのサウサンプトンに船で渡った。

全員アメリカ国民では無く、アン達5人に至っては亡命者。尾形達4人は苦力と言う清国移民の肉体労働従事者の扮装をさせられ、船に乗せられていた。女2人の荷物を持たされた邪悪な苦力殿は米神に青筋が浮かんでいたが、胡散臭い笑みを浮かべて渋々ながら従っていた。

 

イギリスに到着してロンドンに向かう道中、ガオから組織の幹部を教えられた。ガオ以外の幹部は彼女の裏切りを知らないらしい。先代のモリアーティ教授の頃からいる人間は一握りで、残りは組織の後継者であるモラン氏が裏社会から掻き集めたようだ。

これはモランの人望が無くて抜けてしまった人間もいたそうだが、それ以前にシャーロック・ホームズが多くの構成員を逮捕、処刑に追いやったからである。

 

「そう言えば、ホームズはまだ生きているのか?」

 

アンはロンドンに向かう馬車の中で不安になった。組織を継いだところで、実父同様ホームズに潰されたらたまったモノでは無い。

 

「ホームズならもう探偵業を引退して、サセックスで悠々自適の隠居生活をしていますよ。ご心配なく。」

 

微笑みながらガオは返答したが、一瞬目が泳いだ事に気付く。問い詰めると、実はホームズは過去に一度廃業していたが、組織を潰す為に探偵業を再開した事があるらしい。

 

「きっと今度こそ本当の引退ですよ。もしホームズが探偵業をまた再開しても、彼は50半ばです。以前ほど厄介じゃないですよ。」

 

結論から言うと極めて厄介だった。

 

ガオ以外の組織側の人間を味方に付けるべく密かに暴れ回っていたが、東洋人差別もあり難航。味方は増えず、オマケに口封じで抹殺して回った為に遂にホームズが動き出してしまった。

 

折悪くアンが妊娠・出産し、殆ど動けなくなる。

 

モラン父子を暗殺する時点で、赤子を抱えたまま組織とホームズにつけ狙われ、何故か尾形を追って来たロシア人狙撃手にまで狙われた。

ギリギリの状況で何とかモラン父子を倒すも、組織は自分達の所為でほぼ壊滅しており、尾形はホームズが協力するイギリス警察に逮捕されてしまった。

証拠は無いので、軽い罪状で無理矢理死刑判決となる。

尾形は3カ月をロンドンの独房で過ごし、1912年4月の現在に至る。

 

 

ロンドンの大通り脇に停車されたロールス・ロイス製の車の中で、アンは婚約者達を待っていた。手筈に誤りは無い。何度も計画を慎重に練ったから大丈夫だ・・・彼女は自らに言い聞かせる。

待つ事1時間、車の扉が開いて野間と岡田が戻って来た。

それに尾形も。

 

「おかえり、尾形!」

 

獄中生活ですっかり窶れた婚約者に声を掛ける。尾形は苦笑いしながらアンに“ただいま”と伝えた。

 

「珍しくオメカシしてるじゃねェか。」

 

「アンタに久しぶりに会えるんだ。似合ってるだろ?」

 

アンは薄茶のイヴニングドレスを着ており、膝には稲妻に貰った赤ゲットを掛けていた。アメリカに渡った時点で彼女の赤毛など珍しくも無いので手放しても良い筈だが、アンは誰に何と言われようとボロボロになった赤ゲットを捨てられ無かった。

尾形は車の後部座席に乗り込み、恋人の隣に座る。前に岡田と野間が乗り込み、岡田の運転で車はロンドン郊外にある邸宅に向かう。小さめだが新しい屋敷で、広い庭には小柄で筋肉質な全裸男の銅像がある。庭の手入れをしている岡田が“趣味が悪い”とブツクサ言っていたが、この銅像は月島との約束なので撤去するつもりは無い。

 

車の窓から遠ざかる牢獄を見ながら尾形が話しかけて来た。

 

「玉井さんは先に日本に戻ったんだよな、絵馬も一緒か?」

 

「ああ。父親が投獄されて死刑を待つ身なんて耳に入れたく無かったから、玉井さんに先に連れて行って貰ったよ。」

 

アンは菊田を通し、奥田中将に季節の挨拶の手紙(脅迫状)を送り続けていた。その甲斐あってか半年前遂に、玉井達は脱走兵ではなく不名誉除隊と言う形になる。玉井の妻も離婚せずに夫を待っていてくれた為、尾形の脱獄を待たずに彼は日本に帰国していた。

そして『絵馬』、彼女は一歳になるアンと尾形の娘だ。名付け親は恐らく都丹か土方。かつての妊娠騒動の時、都丹が土方に相談して“日本でもイギリスでも通用しそうな子供の名前”をいくつか書いて貰ったらしく(尾形談)、紙に子供の名前候補が並んでいた。出産前にその事を知ったアンは泣いた。

 

「あ、そうだった。山芋、1ポンドだ。」

 

突然後部座席へ振り返った野間が、アンに紙幣を1枚渡してきた。因みに労働階級の月給が5ポンドくらいの時代である。

 

「阿呆!」

 

慌てて野間を罵るアンを見た尾形は、ジットリとした疑り深い眼差しを婚約者の赤毛の女に向けた。

 

「何だ?」

 

「・・・何でも無いです。」

 

「もしかして俺が元気かどうか、金を賭けていたのか?」

 

「・・・違います、元気そうで良かったです。」

 

アンは邪悪な脱獄囚殿から目を逸らしながら応えるが、運転していた岡田がご親切にも尾形に賭けの内容を教えてしまう。

 

「違いますよ。コイツら、尾形さんの貞操が無事かどうか賭けていたんですよ。ほら、連絡で“男色の看守に尻を狙われているから、早く出してくれ”なんて書くから。」

 

アンは、尾形の青白かった顔色が次第にドス黒くなっているような気がした。取り繕うように言い訳をする。

 

「野間が“もう手遅れだ”って言うからだよ。私は大丈夫だと信じて賭けたぞ!?」

 

「言って無い、ふざけんな!」

 

「お前、この脱獄計画を“尾形百之助処女防衛作戦”とか言って笑ってただろうが!」

 

野間、岡田の反論により押し黙ったアンはこの後30分程、婚約者の男にたっぷり詰められた。

 

 

ロンドン郊外の屋敷に到着したアンは岡田と野間に片付けを任せて、尾形を休ませる為に寝室へ連れて行く。本当は入浴させたいところだが、彼は想像以上に疲れているようなので風呂は明日にした。

 

尾形はランプの灯り1つだけの、薄暗い寝室の中央にあるベッドにグッタリと座りながらも、アンのあまり動かない右手を握りしめる。

 

「尾形、なんか顔色が悪いぞ?大丈夫か?」

 

「最近あまり眠れなくてな、昔の夢をよく見るんだよ。」

 

「・・・え?」

 

「大丈夫だ、屋敷に帰って来たしもう魘される事もねェよ。」

 

夢に魘される・・・弟の夢だろうか、アンは不安になった。樺太から日本に戻ってからと言うもの、尾形は基本彼女と一緒に夜を過ごすようになっていた。その為か尾形は弟の夢を、罪悪感を見なくなっていた筈だった。しかし投獄されてからは当然一人、自分の過去と向き合う時間はたっぷりとある。

 

ーー丁度良かったかも知れない。

 

アンは尾形の隣に腰掛けて、彼に一枚の封筒を差し出す。

 

「船のチケットだ、私達も日本に一回戻ろう。ガオさんも、ホームズが死ぬまでロンドンにいない方が良いかもって言ってたし、絵馬だっていつまでも玉井家に預けっぱなしに出来ない。引き取りに行かなきゃならないよ。」

 

「そうか・・そうだな。」

 

「絵馬を連れて花沢家のお墓参りもしないか?“化けて出ないで下さい”ってお参りしよう。」

 

花沢中将や勇作さんの幽霊がいるのなら、幼い孫娘もしくは姪っ子の顔を見て祟るのを手加減してくれるかも知れない、そんな気もする。尾形の罪悪感が少しでも和らぐなら試したかった。

 

「船はサウサンプトンからニューヨークに行くんだ。日本からロンドンに来た時と同じようにアメリカを横断する予定だ。前回と違って今はお金持ちだから、豪華な旅にしよう!」

 

「ハハァッ、確かに豪華だ。『巨人の船』とは、よくチケットが取れたモンだな?」

 

封筒に入っていたチケットを見た尾形は嬉しそうだ。

船のチケットは偽名を使って取ったのだが、一等船室で2名分ある。野間と岡田は遠慮して、留守番をしてくれる事になった。他の一等船室の上流階級達との付き合いが邪魔臭いのが欠点だが、その時は食事だけでも三等船室のある下の階層に移動してしまえば良い。

 

「ここまでずっと走り続けて来たけどさ、ちょっとだけ休憩しよう。」

 

「そうだな。ついでに豪華客船で結婚しちまおうぜ。」

 

「ああ!悪くないな!」

 

船上で結婚する場合には、神父でなくても船長の立ち合いがあれば行える事になっている。夫暗殺直後に尾形が逮捕された為、2人の結婚は行われないままだ。2人きりで簡素でも良い、早く式を挙げたかった。

尾形は横に座っているアンを引き寄せ、抱きしめながら呟いた。

 

「お前とここまで走って来れて楽しかったぜ?まだまだやりたい事は残っているだろう?」

 

尾形に尋ねられ、アンは一瞬だが迷った。日本にいた時にやりたいと考えていた事は全て済ませた気がする。

組織の乗っ取り(壊滅)、夫の暗殺、豪邸、広い庭と銅像、石油で動く車、庭師の岡田・・・更には子供と、ガオが紹介してくれたメイドまでいる。

 

「うん、今は世界情勢がきな臭いんだよ。バルカン半島が動きそうだし、ドイツも様子がおかしい。近いうちに大きな戦争がありそうだ。」

 

「一部の人間にとって稼ぎ時ってワケか。」

 

「ああ。軍需産業関連の株でも買おうかな?」

 

これからの事は日本に帰国してから考えようと決めた。

その夜、アンは久しぶりに尾形の隣で寝る。彼の様子が気になったが、穏やかな寝顔をしていたのでもう大丈夫だろう。

 

ーー走り続けよう、誰かが・・・勇作さんが、アンタの過去が、私達の息の根を止めるまで。

 

かわいらしいとも思えてしまう百之助坊やの寝顔を見ながら、アンもゆっくりと目を閉じた。

 

 

1913年春、ロンドン郊外にある屋敷。

 

元大日本帝国陸軍一等卒の野間は、アメリカから送られてきた郵便物を受け取った。差出人はアメリカのピンカートン探偵社、かつてあのシャーロック・ホームズと対立した事があるらしい会社だ。

イギリスの警察や探偵には頼れない為、ガオにこの探偵社を勧められて調査を依頼している。

 

 

調査内容は、上司2人の捜索である。

 

 

1912年4月14日深夜、豪華客船『タイタニック号』が大西洋を処女航海中に氷山と衝突、翌15日に完全に沈没する。2200人を超える乗員乗客の内、三分の二が死亡する大惨事となった。

 

上司達・・・尾形と赤毛の女は、尾形脱獄の一週間後にサウサンプトンからこの豪華客船に乗ってアメリカに向かった。野間は岡田と共に埠頭まで2人を車で送り、処女航海となる客船が港を離れて行くのを見届けた。

赤毛の女ははしゃいでいたのが遠目から見えたし、尾形も機嫌が良さそうだった。

 

それが2人を見た最後だ。

 

岡田もガオも、イギリスに来てからの知人達も、2人はもう死んでしまったと言い出した。日本にいる玉井は2人の娘である絵馬を養女に迎える事を考えているらしく、一年以内に2人が見つからなかったら、と期限を設けてきた。しかし野間には諦めがつかない。

 

本当に死んだのなら遺体が見つかっている筈だが、彼らの遺体は上がらなかった。偽名を使っての乗船も仇となった。生存者の1人から、溺死した白人の若い女に寄り添ったまま船から逃げようとしない東洋人男性を見た、と言う話も聞いた。

それでも生きていると信じて、1年かけて調査を頼んでいた。

 

遂に心が折れそうになった一月前、とある事を思い出した。

尾形が看守に宛てた手紙があった事。

 

可能性は低いが、何かしらの意味があると思えた。金塊争奪戦を、アメリカ横断やイギリス組織との抗争を生き延びたあの2人が、事故なんかでアッサリ死んでしまったとはどうしても思えないのだ。

探偵社に頼んで手紙を探して貰い、今朝、漸く屋敷に送られて来た。

 

野間が応接間で尾形が看守に宛てた手紙を広げていると、岡田がティーカップと湯呑みが1つずつ乗ったお盆を持って入って来た。庭の手入れが終わって休憩をするようだ。イギリスに来たばかりの頃は馴染めなかった紅茶の味と習慣だが、何だかんだで無いと落ち着かないようになってしまっている。

 

「何だそれ。」

 

「探偵社からだ。」

 

「あぁ、例の。」

 

赤毛の女は庭師を雇えば良いのに何故か岡田にばかり庭の手入れをさせていた。仕事が多い時期は尾形にも手伝わせようとしていたが、尾形は逃げ回っていたので結局岡田1人で面倒な仕事をこなしていたようだ。

岡田は既に2人を諦めており、残された人間達や財産をどうするかをガオに相談中だが、野間の捜索活動を邪魔したりはしなかったのが有り難い。

 

送られて来た手紙の中に彼らの行方に関するヒントの様な事が書かれているのを、野間は期待していた。

赤毛の女も尾形もまだ20代、普通に生きる人間の寿命から考えても半分にも満たない年だ。諦めきれない。

西洋文化に早々に馴染んだ岡田がティーカップの紅茶を啜りながら、黙って様子を見ている。

手紙をテーブルに置き、苦労しながらも英文を読んだが・・・

 

「行方とは関係無さそうだ。・・・やはり駄目だったか。」

 

冷静になった今思えば、赤毛の女の父親と同じだ。違うのは1人きりじゃなく、尾形と一緒にと言う事だろうか。因果を感じる。

 

走り続けた2人は大西洋の海の底に、光の届かない世界の、闇の奥深くに行ってしまった。

 

「一番幸せな内に終わりとなっちまったな。」

 

岡田がポツリと呟いた。

あの2人にとっては、案外これで良かったのかも知れない、そう考えながらも野間は見落としが無いか、もう一度手紙を読んだ。

 

 

 

 

『親愛なる看守殿

 

 

俺がこの牢獄に入ってから3ヶ月、まぁ色々と世話になったので一応感謝しておきます。

 

煙草が吸いたいと言えばコッソリと一本くれたり、メシが不味いと我儘を言えば、馴染みの店のパンやらフィシュアンドチップスを差し入れてくれたり・・・下心が透けて見えましたが、それなりに愛を感じましたよ?

 

快適とまでは言い難いですが、お陰様で悪くない囚人生活でしたな。ただ、オッサンどもに見守られながら首を吊られるのだけはご勘弁願いたいんで、今日で俺はここを去らせて頂きます。死ぬ時は妻の横で死ぬと決めているんでね。

 

もうあなたにお会いする事は無いでしょうが、運悪くここに戻る事があれば、例の話の続きをして差し上げますよ。確か、暴走列車の後に日本を出た所まで話しましたかな?

日本を出てからは金塊争奪戦の話とは一切関係の無い話となりますが、俺にとっては悪人としての人生に於ける後半生みたいなモンです。後半生はまだ終わっていないし、まだまだ引退する気は無いんですよ。

 

あなたは話の続きを聞きたがっていましたが、関係各位に迷惑を掛けちまうんで、それはまた、別のお話と言う事で。

 

 

             1912.4 尾形百之助』

 




最後まで閲覧いただきありがとうございます。
何となくpixiv以外のサイトも試してみたくなり、転載させて貰いました。
ハーメルンの機能、凄い!アクセス解析が無料で見れるし、大盤振る舞いですね!私はpixivの無料会員(ケチ)なんで、自分の作品のアクセス解析が見れないんですよ・・・いや、もしかしたらpixivがケチなのか?

取り敢えずお試しで、本編は全て上げさせて貰ったんですが・・・

ヒッデェ成績で泣きそう、てか泣いた。

・一話切りが3分の2、タイタニックかよ
・五十話近くあるのにお気に入りが片手の指に収まる
・感想ゼロ
・ここ好きが少ない
・評価が片手の(略)

恐らくほとんどの人の感情を動かせなかったんでしょう。

死ぬほど恥ずかしいからもう上げたくないと思いながらも、完成しているモンをエタらせるのも嫌だし、でも周りと比べて明らかに底辺だし、でも気に入ってくれてる人もいるらしいし・・・ストレスで肋間神経痛を再発させながらも転載しました。
もう承認欲求とかでなく、羞恥心との戦いでした。転載しただけですが。
取り敢えず完結させて義務は果たしたんで、気まぐれに消すかも知れません。

感想と評価等、何か感じたりしたら付けて下さい。マジで。
忖度して、8以上じゃないと可哀想、とかしなくて良いから!
0から10まで数字があるんだから!
その為にハーメルンを選んだんだから!

以上です。
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