異世界憑依生活記〜治癒士と厄ネタを添えて〜   作:章介

8 / 70
第八話 この際色々調べてもらいました

 

 

 

 

 

 

「───すまんな、水を刺すような物言いしちまってよ」

「いえ、別に構いませんって。嘘吐かれるよりはずっと・・・・・・はい。すみませんが詳しく説明してもらって良いですかね?」

 

 

 意気揚々とギルド施設に向かい、責任者との面談で伸び代がないとバッサリいかれた。全くもって意味が分からないが、取り敢えず説明を聞こう。まずはそれからだ。

 

 

「ああ、分かった。しかし、別に疑っちゃいなかったが本当に我流なんだなお前さん。【反転魔法(ネガ・スペル)】について何も知らんとは」

「ネガ・・・・・・っていうと、もしかして俺の【回復阻害魔法(アンチ・キュア)】のことですか?」

「ソイツが回復させない魔法ってんならその通りだ。そういった自分の得意魔法を否定する魔法は一纏めに【反転魔法(ネガ・スペル)】って呼ばれてんだ」

 

 

 ネガ・スペルか。回復魔法の派生系だと勝手に考えていたが、どうやら話は少しややこしいらしい。そう言えばエッジ団長もヤバいモノを見る感じだったな。ドタバタし過ぎて忘れられてたけど。

 

 因みに、俺に説明してくれてるのはギルド副支部長のラングレーさんだ。スキンヘッドが似合う厳ついオジサンだが、俺への対応はとても丁寧なので不思議と安心する。

 

 

「その【反転魔法(ネガ・スペル)】というのが、俺にこれ以上見込みがない証になるんですか?特に不都合を感じた覚えはないし、新しい魔法も作れましたけど」

「よくそんなもんポンポン作れるなぁ。だがソイツはいわば、既に習得した魔法の派生技だろ?お前さんは【反転魔法(ネガ・スペル)】を習得して以降、次の階梯(レベル)の魔法を習得出来たか?」

「・・・・・・そう言えば、階梯(レベル)がより上の魔法は覚えられてませんね」

 

 

 要するに俺の光属性魔法が仮に3階梯(レベル)だとすれば、反転魔法を覚えた時点で4階梯(レベル)の魔法は習得出来ないってことか。しかし何でそんなことになってるんだ?

 

 

「───【反転魔法(ネガ・スペル)】ってのは、簡単に言や『挫折』の具現だ。魔法に対して極めて強い疑念や無力感、或いは不信が火種になって開花しちまうんだ。そして一度芽吹けば最後、もうどうやってもその分野が伸びることはねぇ」

「そう言い切れるってことは、前例が何一つ存在しないんですね。なるほど───クイン、お前が言い淀んでたのはコレの所為か」

「・・・・・・ごめんなさい、私の口からは言い出せなくて」

「バカ、謝るなよ。こんな重大事案、ちゃんとした立場の人から言われなきゃ納得出来ないだろ?俺を思って口を閉じてくれたんだから文句ねぇよ」

 

 

 例え事実だとしても、いつ誰から知らされるかってのはかなり大事だからな。まだまだ出会ったばかりの俺達じゃそこまでの関係値は築けてないし、妥当な判断だろう。

 

 別に悪意があって黙ってた訳じゃない。それどころか俺を気遣ってくれてたんだ。感謝こそすれ、謝らせるなんてお門違いだ。

 

 

「そうだな、コイツは凄ぇデリケートな話題なんだから二の足踏んで当然だ。だけどよ、試しに見せて貰った魔法はどれも問題ない性能だった。アレなら食うに困らんだろ」

「ありがとうございます副支部長。でもあんまり気にしちゃいませんよ。おっしゃる通り魔法の性能に不満はありませんし、寧ろ無駄な努力をせずに済んで感謝したいくらいです」

 

 

 これは強がりじゃなく本心で言ってる。光属性魔法に心血を注いだのはあくまでカーツ少年だ。彼はこの事実に地団駄を踏む資格があるが、その努力にタダ乗りしてる俺にそんな資格はない。

 

 それよりも、カーツ少年が今までやってこなかった分野こそ俺の努力が試されるってもんだ。此処で一つモノにして初めて恩返しになるってもんさ。

 

 

「───カッカッカッ!!どうやら要らん心配しちまったらしいな。そんだけの気概がありゃ何も問題はあるめぇ!冒険者ギルドにようこそカーツ、お前さんを歓迎するぜ!」

「此方こそ、よろしくお願いします副支部長」

「ああ、だがその敬語は勘弁してくれ。此処にゃそんなお上品さは合わねぇもんでな!俺はともかく、窓口や同僚に舐められんぞ?」

 

 

 副支部長の言葉に逡巡する。日本生まれの元サラリーマンとしては、目上に敬語を使わないのは落ち着かない。これから世話になるなら尚更だ。

 

 とはいえ、郷に従うのも礼儀ってモンだろうな。親切で言ってくれてんだし、此処は素直に聞いておこう。

 

 

「───じゃあお言葉に甘えさせてもらうよ。甘えついでに、何か俺にオススメの技能ってあったりしないか?是非教えてほしい」

「おん?そりゃ俺もこの立場は長ぇし、昔はそれなりに鳴らしちゃいたがなぁ。でも後衛のことはあんまし分かんねぇぞ」

「それでも、俺よりはずっと詳しいだろ?今のうちから伸ばす方向性ってやつを決めときたいんだ」

 

 

 下手の考え休むに似たり。俺がアレコレ一人で考えるより、その道のベテランに聞くのが一番だろ。ぶっちゃけこの人の手に余るのなら専門家を紹介してくれるのも良い。人材斡旋は専門分野だろうし。

 

 正直こればっかりはクインに頼ることも出来ない。ガチガチに確立された英才教育を受けてきただろうし。自由な発想なんて、聞いたって逆に困らせるだけだと思う。

 

 

「うーむ、そうさなぁ・・・・・・取り敢えずもういっぺん【開展鏡】を使うか。今度は紙に書くが構わんか?」

「もちろん、よろしく頼む」

 

 

 冒険者登録で使った魔導具を再び向けられた。見た目は手鏡を二回りほどデカくした感じだな。因みに【開展鏡】の由来は、この道具に写すことで才能を自覚し、自信を持つことで能力が花開くからだとか。

 

 プライバシーの概念は薄い世界だが、有用な技術や先天的な素養───【天恵(ギフト)】を知られて誘拐や暗殺、なんてケースもままあるそうだ。だから【開展鏡】に写ったことは原則記録しないって受付の人に教わった。

 

 

「どれどれ・・・・・・ふーむ、なるほどな」

「・・・・・・どうですか?」

「ちょっと待て、すぐ書き写してやるわい」

 

 

 使い方としては鏡というより写真に近いな。鏡面を俺に向けると淡く光り、鏡の向きが変わってもずっと写りこんだままだ。後ろから覗き込んでみても、自分以外何も見えやしなかった。

 

 それでも副支部長には俺に見えない何かが見えてるらしい。さっきからうんうん唸りながら、目を瞑るのかってくらい細めながら色々書き込んでいく。

 

 

「───出来たぞ。今まで何度も見てきたが、お前さんはかなり見辛い方だったわい」

「え、それってまさか・・・・・・俺の眠れる才能が乏しいってことなのか!?」

「早合点するんじゃない、考えるより先にさっさと見てしまえ」

 

 

 ずい、と差し出された紙を反射的に受け取ってしまう。『まさか俺の所為でカーツ少年の才能に傷がッ!?』なんて内心ヒヤヒヤしながら文字を追う。なになに・・・・・・?

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

名前:カーツ

階梯:18

能力:

筋力 ⭐︎

体力 ⭐︎⭐︎⭐︎

魔力 ⭐︎⭐︎

操魔 ⭐︎⭐︎⭐︎

敏捷 ⭐︎

呪詛 

(⭐︎0:無才 ⭐︎:凡才 ⭐︎⭐︎:秀才 ⭐︎⭐︎⭐︎:天才)

技術:

・光属性魔法

・反転魔法(光)

恩恵:

・魔力消費軽減

潜在:

・転生 C

・自己再生 B

・⬛︎魔法 ?

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 ほうほう、流石カーツ少年!色んなことが書かれてる───ってあれれ〜〜〜?写っちゃいけない文字が書いてませんかーーー!??

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。