異世界憑依生活記〜治癒士と厄ネタを添えて〜   作:章介

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第九話 方針が決まりました

 

 

 

 

「 」

「お、おい落ち着け!?今はもう【転生】スキルがあったからってどうこうなる時代じゃねぇよ!」

「・・・・・・うん?」

「そ、そうですよ!昔は大変だったと聞いていますが、今では山奥の田舎でもない限り偏見なんて残ってません」

 

 

 いやー、"転生"のニ文字が見えた時は心臓がキュッとなったわ。てっきり俺がカーツ少年に憑依した事実を言い当てられたもんだと・・・・・・でも二人の反応を見てる限りだと、どうやら意味が違うらしい。

 

 詳しく聞いてみたところ、この【恩恵(ギフト)】はつまるところ『人間から逸脱出来る素質』らしい。良く言えば"ひとの限界を超える"ことが出来る素質とのことだが・・・・・・。

 

 

「───100年以上前の話だと伝わっています。この大陸にとてつもなく強大なアンデットが出現し未曾有の被害が出たそうです。その魔物は多くの犠牲の果てに討伐されたとのことですが、その後ある噂が立ったそうです」

「"そのアンデットは【転生】持ちの成れの果て"だそうだ。今の時代じゃ【恩恵】とソイツの強さの因果関係は不明だってんで迷信扱いされてるがな」

 

 

 ああなるほど、俺が田舎出身だって言ったのを覚えてくれてたのか。それで妙な刷り込みがされてるんじゃって宥めてくれてたのか。気遣いが沁みる。

 

 危うく冒険者生活が始まる前に、とんでもない爆弾が残るところだった。クインには今の俺のことは二重人格くらいにしか説明してないからな。余計なトラブルの素は御免だ。

 

 

「なるほど、それで俺が卒倒しかけてると思ったのか。大丈夫、ちょっとびっくりしただけだよ」

「そうですか、過剰に反応してしまってすみません。【恩恵(ギフト)】を所持してるだけなら特に問題はありません。寧ろ現状に甘えず前に進もうとするカーツさんにピッタリだと思います」

「とはいえ、だ。あんまり吹聴するもんじゃねえな。嘘か本当か、昔の異教や異端者が【転生】持ちを使って"人造天使"なる怪物を作ってた、なんて与太話もあるからな」

 

 

 何それ怖い・・・・・・ま、まあそんな物騒な話は横に置いておこう。これ以上深掘りしてもアレだし、話題をさっさと変えてしまうか。

 

 

「他に目ぼしいものは・・・・・・この能力欄に書いてる星は、現時点での評価って訳じゃないよな?」

「おう、ソイツはまあ"成長する見込み"って考えてくれりゃ良い。お前さんだと、体力と操魔───魔力を効率良く使う技能に才能あるぜってことだ」

「確かに言われてみれば、カーツさんの魔力操作はとても丁寧で綺麗だと思います。光属性魔法を連続で使用しても立ちくらみ程度で済んでましたし・・・・・・」

 

 ほうほう、同じ魔法を使っても少ない消費で済む訳か。それに【消費魔力軽減】とか見たまんまな【恩恵(ギフト)】もあるし、俺ってかなりエコな魔法使いだったのか?

 

 ───いやそれよりも、だ。もしかして魔法の使い過ぎって立ちくらみじゃ済まないくらい危険なことなのか?命の危険とか一度も感じたことないけど。

 

 

「・・・・・・ちょっと待ってください。もしかして()()()()もカーツさんの体力ありきだったのでは?」

「なんだよ、【反転魔法(ネガ・スペル)】以外にまだやべぇ魔法があんのかよ?」

「えっと・・・・・・魔法による回復ではなく、体力を譲渡することで結果的に回復を促す魔法ですかね?」

「おう、それで合ってるぞ多分───何その顔??」

 

 

 目線で許可を求められたから頷いて先を促すと、副支部長が宇宙猫みたいな顔になった。自分ごとでなければ笑ってられるんだが、そんなに変な魔法か?

 

 

「お前さんなぁ、ちょっとは考えてみろ。幾ら生命エネルギーったって、他人のモンをそのまま使える訳ないだろ。拒絶反応だってあんだろうし」

「そりゃそうだけど・・・・・・でも現に問題なく使えてるしなぁ」

「変換効率なんざ良くて1/10以下だろ。普通なら体力どころか寿命を犠牲にして何とかって話じゃねぇか?」

「ひぇっ」

 

 

 思わず変な声が出た。それに慌てたクインがペタペタと頭に触れて熱を測ろうとしたり、首筋に触って脈を測ろうとしてきた。落ち着け。

 

 

「おいおい落ち着けって。本当にヤバけりゃ今すぐ治療院に叩き込んどるわい」

「あ、す、すみません!」

「気にすんな、寧ろそんなに心配してもらえると不謹慎だけど少し嬉しい」

 

 

 この世界に来る前の家族以来だろうな。こんな風に親身になって気にかけてもらえるのも。ホント良い仲間に恵まれたもんだ。

 

 

「まあええわい、大っぴらに使わんなら問題ないだろ。生命エネルギーそのものを使う魔法なら他にもあるしな」

「───えっと、何の話してたんだっけ?」

「お前さんに合う技能についてだろうが!しゃっきりせんか全く・・・・・・」

 

 

 そう言ってブツブツと独り言を漏らして考え込む副支部長。邪魔するのもなんだし、折角だから俺の方でも情報整理だけはしておこう。

 

 総括すると俺の長所は体力と魔力操作の伸び代がピカイチで、死ぬ気で努力すれば人間離れした能力にまで成長出来ると。何だこれ、可能性の塊じゃないか!流石はこれまで俺を助けてくれたカーツ少年のボディ!!

 

 ───ごほん、ついテンションがぶち上がってしまった。それと光属性魔法・・・・・・は今更言うこともないな。強いて言えばかなり効率良く魔法が使えて、しかもクインから見ても高評価だってことか。

 

 

「───そうなると、ああ良いモンがあるな。【硬気丹術】なんてどうだ?」

「どうだ?って言われても・・・・・・クイン、説明プリーズ」

「ぷ、ぷりーず・・・・・・?えっと、たしか光属性魔法によって発生する、治癒の為のエネルギーを肉体活性として扱う技術だったかと。【補助魔法】のように飛躍的に身体能力を高めつつ、いざという時は即座に光属性魔法に派生出来るとか」

 

 

 なんというか、クインが優秀過ぎて凄い。まるでウィキ◯ディアだな。お陰でとても助かってます。

 

 それはさておき、【硬気丹術】か・・・・・・何か発勁とか気功術とか出てきそうなワードだな。イメージとしては頭を丸めたムキムキマッチョが浮かんでくるけど。

 

 

「ですが、その技術は修道教会が独占していた筈では?」

「おお、よく知ってんな!だが正確に言やアレは教会から派生した【天門僧衆】のお家芸だ。そっちにはちょいとツテがある。時間は掛かると思うがどっかで紹介してやるよ」

「ありがとうございます!」

 

 

 名前の響きから察するに本当にモンク僧みたいな感じっぽいな。筋肉ムキムキ剃髪マンにはなりたくないが、近接戦が出来るってのは魅力的だ。

 

 今のところ前衛が誰も居ないし、クインの実力を活かすなら俺が前に出た方が良い。あと回復役とはいえ、守られっぱなしは性に合わん。

 

 

「決まりだな!そんじゃカーツには当面ギルドの治療院で働きながら勉強してもらう予定だ。それで良いか?」

「ああ、よろしく頼む。推薦してくれたエッジ団長の顔に泥を塗らないよう頑張るさ」

「おう、荒くれ者の仁義ってのは教えなくても分かってるみてぇだな。結構結構!しかしまさか、あのカタブツが誰かを推薦するなんてなぁ・・・・・・」

 

 

 これからの方針と当座の仕事は決まった訳だ。色々予定通りとは行かないが、元ゆとり世代なりに頑張ってみますか!

 

 

「───あ、そうだ。一個聞き忘れてた。この下の方の、『⬛︎魔法』って何だ?」

「ああ、それな・・・・・・実は読み取れんかったんだ。開花がまだまだ先の素質はそうなることが多いんでな」

 

 

 あ、なんだそんなことか。てっきり載せられない魔法でも出たのかと思ったよ。はっはっは───いや本当に、そんなお約束とかオチは要らねぇからな?

 

 

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