楽園の端〜君と僕のデジタル戦争〜   作:洒落双樹

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僕はこんなことを考えていたのだろうか。
記憶が曖昧だ。
でも、確かにこんなふうに記録してある。


未来の生活

強い光に思わず目をつむり、目を開いてみると知らない光景が広がっていた。

ここは地球であって地球でない、俺はそんなことを直感で理解する。

まず、匂いが違う。田舎の自然を感じさせる緑色の匂いはない。

かといって、都会で感じるような、くすんだ灰色の空気でもなかった。

ここにあるのは、まっさらなものだった。

たとえるならそう、冬の初めに感じるような透明感と春の訪れを感じさせる温もり。

これらを混ぜたような空気を感じる。

次に脳が処理したのは視覚情報だった。

白を基調とした建物が目の前に見える。

外観から想像すると、駅だろうか。

人の多さを考えてもそうに違いない。

あたりを見回しながらそう考えていると、とある違和感に気づいた。

 

音が少ない

 

そうだ。これだけ人がいるのに、人の音が極端に少ないのだ。

声や足音がないに等しい。

自転車や車の音も聞こえない。

 

そのことにえもいわれぬ恐怖を感じていると、建物の奥からこちらに1人の女性が歩いてくるのが見えた。

歳は20歳前後くらいだろう。

髪を後ろにくくっているところや服装から快活な印象を受ける。

彼女は何か書類を確認した後、俺のいる方向にまっすぐ向かってきた。

 

「あなたが、過去から来た人であってる?」

 

「多分。ここに来る前、老人と話してた。」

 

「私のおじいちゃんね。『実験に手伝って』とか言われたのかしら。」

 

うん、と返して頷く。

彼女は「よかった」と言って柔らかく笑った。

 

「自己紹介をしましょうか。私は相川恵(アイカワメグミ)。あなたを案内するよう、祖父に言われているわ。気軽に下の名前で呼んでね。」

 

「よろしく、恵。俺は...」

 

こちらも自己紹介をしようとしたとき、メグミが「ストップ」と言って遮った。

 

「過去から来た人は、そのことを隠さなきゃいけないの。その時代に生きていない人間がいると不都合が起きるから。」

 

「なるほど。」

 

未来改変、あるいは過去改変につながってしまうのだろう。

 

「ということで、あなたの身分証はこっちで準備したわ。はい、これ。」

 

そう言って何枚かの書類と免許証ほどの大きさのカードを渡された。

カードを裏返してみると、左上にIDと書いているのがわかる。

本当にID(身分証明書)なんだろう。

そこには自分ではない、知らない男の顔が映っていた。

 

「これ、間違ってない?」

 

「どうして?」

 

「だって、知らない顔だ。こんな人知らないよ。」

 

「あら、これは間違いなくあなたよ。」

 

そう言って手鏡を渡してきた。

疑問に頭を支配されながらそれを見ると、疑問は混乱にすべて変換された。

 

しらない、男がいる。

 

いや、知らない男ではない。10秒前に見た。

身分証明書の男が鏡に映し出されていた。

 

「こっちに来る前に、念のために顔も変えさせてもらったのよ。」

 

恵の声が遠くに聞こえる。

 

顔を、変えた?

 

理解が追い付かない。

 

意識の電源を落とそうとする脳を必死に食い止め、目の前の女性を見る。

彼女は心配そうにこちらを見ていた。

 

「あー、安心して。もとの時代に戻ったら顔も戻せるから。」

 

「そう、なんだ。」

 

その言葉に安心を覚えた。

それならすぐ戻れそうだ。

もう一度IDカードに目を戻す。

 

「小幡蒼介...」

 

「ええ、オバタソウスケ。それがあなたのここでの名前よ。名前呼ばれたときに、反応できるようにしておきなさいね。」

 

俺は一抹の不安を抱えながらもこくりと頷いた。

恵はそれに満足したような表情を返し、手を差し出してきた。

 

「じゃあ、改めてよろしく、ソウスケ。」

 

「ああ、よろしく。」

 

頭の隅で一抹の不安を感じながら、俺は差し出された手を取ったのだ。

 

 

ここで立ち話もなんだから、と彼女にカフェに連れてこられた。

店に入り、奥の方に案内される

席に着くと、恵にタブレットを渡された。

そこにはメニューが表示されていた。

 

「奢りよ。好きなものを頼みなさい。」

 

ありがたい、と思いながらメニューを見る。

幸い、何もわからないということはなかった。

空腹感も覚えていなかったので、とりあえずアイスコーヒーを選択した。

 

「あら、それだけでいいの?」

 

「おなか、すいてないから。」

 

「あらそう、じゃあ私も少しにしましょうかね。」

 

そう言って恵はタブレットを操作した後、テーブルの端に戻した。

一つ息をついた後、彼女は自身のバッグの中からインカム型の端末を渡してきた。

 

 

「とりあえず、これを渡しておくわ。」

 

「これは?」

 

「AR機能付きのアイテムよ。あなたの時代で言う...そう、スマートフォン。あれに該当するハードウェアよ。」

 

なるほど、と返答し、右耳に装着してみる。

電源を入れると目の前の空間に映像が流れだした。

触れようと手を伸ばすが、その手は空を切る。

拡張現実というのは本当なのだろう。

 

ふよふよと浮かぶ丸いアイコンを眺めながら尋ねた。

 

「これ、どうやって操作すればいいの?」

 

「考えれば操作できるわよ。」

 

「いやだから、どうやって操作すればいいのよ。」

 

「言ったでしょ。"考える"って。このデバイスは脳波で操作するの。」

 

「なるほど...」

 

そうは言われても、いまいち感覚がつかめない。

アイコンの一つに意識を集中してみたが、特に反応もなかった。

ううむ、とうなっていると、恵はそれを察したのだろう、詳しいやり方を教えてくれた。

 

「まず、腕をイメージしてみて。自分の肩から伸びている、仮想の腕を。」

 

なぜそんなことをするのかわからないが、とにかくやってみることにした。

自分の右肩から、仮想世界に触れるための腕をイメージする。

こんなことで何になるのだ、と思いかけたその時、俺の腕が二重に見えることに気づいた。

 

反射的に腕を上げた。

そこで、奇妙な光景を目にすることになった。

 

右腕が一本、上がっていなかったのだ。

半透明で、所々にノイズが走っている腕が膝の上に乗っている。

 

「あはは、最初は驚くよね。」

 

「この腕は...?」

 

「あなたがイメージした腕よ。ソレを使ってデバイスを操作するの。」

 

「なるほど...?」

 

それから少し話を聞いたところ、このデバイスは脳波を読み取って動くもののようだ。

誤作動を防ぐため、特定の思考以外は読み取らないようになっているらしい。

特定の思考、というのは今目の前でフラフラと動いている腕のことだろう。

この腕だけは拡張空間の中で自由に動いている。

目の前で半透明の腕が動いているのが面白く、いろいろな動作をさせていると、恵が話しかけてきた。

 

「どう?結構面白いガジェットでしょ?青いアイコンがメッセージアプリよ。私の連絡先は入れてあるから、何かあったら連絡してね。」

 

実際に青いアイコンに触れてみると、スマートフォンのメッセージアプリのような画面が展開した。

フレンドの欄には確かに「相川恵」の名前が確認できる。

文字の入力方法を聞いたところ、同じく仮想の腕を使って入力するそうだ。

始めは慣れないけど慣れたら早く入力できるよ、と彼女は言っていた。

 

「そういえば、この機械の名前は何?」

 

「あ、言ってなかったっけ。アーギュメントグラスっていうの、これ。意味は拡張現実と眼鏡を組み合わせたものなんだって。」

 

「おお、分かりやすい。」

 

「長いからAGって言ったり、機種名で言ったりするかな。」

 

スマートフォンをスマホやアイフォンと言ったりするようなものなのだろうか。

 

「そうなんだ。このAGはなんて機種なの?」

 

「これはネーソイってやつだね。一番人気の機種の一番新しいやつ!」

 

そうなんだ、と返した時、外の高層ビルに一つの映像が映った。

武装した人間が数人映っている。

ここに来る前に見た映像にそっくりだと感じ、ぼんやりとそれを眺める。

恵はそれに気づいたようで、説明してくれた。

 

「あれ、気になる?」

 

「うん、ここに来る前、見せられた気がする。」

 

「おじいちゃんに見せられたのかな。あれ、いま世界中で人気なんだよ。」

 

「そうなんだ。あれ何?ゲームの大会か何か?」

 

「ううん、半分正解かな。あれね、戦争だよ。」

 

その言葉に、思わず脳が思考を停止した。

戦争、戦争だって?

 

「でも、現実世界のものじゃない。」

 

「現実じゃない...」

 

「そう、今、戦争は仮想空間で行われるようになっているの。ジョーヤクで決まってるんだって。」

 

「現実世界で戦争行為はないってこと?」

 

「そう、現実世界では戦争が起きていない。でも、話し合いじゃ解決できないこともあるでしょ?そういう時、仮想世界"エリュシオン"で宣戦布告、勝った方の意見を優先するってことになったんだって。」

 

仮想世界で戦争...頭が混乱してきた。

何とか頭を整理するために俺はいくつか質問をすることにした。

 

「ごめん、いくつか質問しても?」

 

「いいよ、何でも聞いて。」

 

「ありがとう、まず、エリュシオンっていうのは?」

 

「仮想空間の名前だね。地球を模した大規模なバーチャル空間。この世界の主な娯楽はここに集中してるかな。」

 

「娯楽って、具体的に何が?」

 

「ショッピングモールとか、遊園地とか?現実世界にあるものは大体そろってるよ。」

 

「エリュシオンにはどうやって行くの?」

 

「専用のポッドがあるんだ。家に設置したり、ネカフェみたいな場所で貸し出してたりする。」

 

「なるほど。それで、エリュシオンでどうやって戦争を?」

 

「専用のエリアがいくつかあるみたい。森とか海とか。」

 

「なるほど...」

 

ようやく頭が整理されてきた。

 

現実世界をそのまま模倣したバーチャル世界、エリュシオン

そこではあらゆる娯楽を楽しむことができる

そしてそこでは、戦争が行われている

現実世界ではもう戦争はおきていないらしい

 

それは...

「平和ってことなのかな。」

 

ぽつりとつぶやく。

 

「現実の戦争で殉職する人はいなくなったよ。ただ、平和かどうかといわれるとな。」

 

続けて彼女が言う。

 

「結局、争いはなくなってないもんなぁ。」

 

彼女は複雑な表情でそう言った。

恵との間に気まずい空気が流れる。

どうにかして、この空気を脱しなければ。

そう思い、どうしようかと考えていると恵がパン、と手を叩いた。

 

「よし、難しい話はここで終わり!ねぇソウスケ、エリュシオンに行ってみない?」

 

「行ってみたい...けど」

 

少し不安がある。

 

「その顔はちょっと不安に思ってる顔だね?大丈夫だよ。安全装置もあるし、いざとなったらすぐに帰ってこれるんだから。」

 

そういうと彼女は仮想空間に行くポッドの安全性能について教えてくれた。

ポッド内では常に使用者の状態を確認し、平常時から大きく逸脱した状態になった際、つまり、心拍数が極端に多く、あるいは少なくなるなどの異常事態が起きた場合に強制的に仮想空間から弾き飛ばされるそうだ。

また、この情報は仮想空間内でも確認することができ、平常時と異なる数値が確認できた場合はアラートもなるらしい。

 

「そこまでしっかりしてるなら行ってみたいな。」

 

「オッケ!じゃあ行こうか。」

 

「え、どこに?」

 

「私の家!おじいちゃんの伝手でポッドがあるの。」

 

そう言って俺たちはカフェを出た。

改めて街を見る。

両側2車線ある道路には今とあまり形が変わらない。

しかし、そこを走っている車は圧倒的にシンプルな形状をしている。

最低限の機能、最低限の塗装のみを施し、量産しているのだ、と感じた。

 

そんな道路をベージュのレンガで舗装された歩道が挟み込んでいる。

そこを歩いている人はみな、AGをつけているのだろう。

前を向いているのに意識がどこか別の場所に向けられているように感じる。

 

歩道の横にそびえる建物はどれも最上階が見えないほど高い。

恐ろしいまでに規則的なそれらはまるで地上にあるものを見下ろしているようだ。

 

これらのことを総合して、都会をとにかく効率よく作った、という印象を受けた。

まるで、先に街をつくり、後から人を住まわせたようだ。

そんなことを考えながら、恵のあとをついていく。

見知らぬ土地で、知らない時代に、知らない女性のあとをついていく。

そんな光景があまりにも想像できなかったものだから、いつの間にか元の時代に戻る、なんて考えが消えてしまった。

 

恵の家は町の中心部から少し離れた場所にある大きな建物だった。

看板には相川研究所と書いてある。

 

「おじいちゃん、実は仮想空間についての研究者なの。家を研究所に改造しちゃって。もちろん、ちゃんと生活スペースあるから安心して。」

 

はぁ、とあいまいに返事をして建物の中に入る。

中は本当に研究所のようだ。

壁には何かの予定表や研究内容をまとめたポスターなどが貼ってある。

蛍光灯の光を鈍く反射させているリノリウムの廊下を歩き、とある部屋の前にたどり着いた。

 

「ついたよ。さ、入って入って。」

 

恵にそう促され、引き戸に手をかけ、扉を開ける。

中に入ってみると、アンティークな内装が俺を迎え入れた。

外見と同じ、近未来的な内装だと考えていたので思わず面食らう。

部屋の中にはいくつかの機械の四肢と老人、そして場違いにすら思えるカプセルが確認できる。

老人は椅子に座り、機械の脚をいじっているようだ。

俺が入り口で立ち止まっていると、老人はこちらに気が付いたようだ。

気のよさそうな笑みを浮かべ、こちらに話しかけてきた。

 

「おや、いらっしゃい。君は...」

 

「オバタソウスケ君よ。おじいちゃんが呼んだんじゃない。」

 

「ああ、そうだった。ソウスケ君、よく来てくれたね。」

 

「ほとんど無理やり連れてこられたようなものですけどね。」

 

「はは、そう言うな。報酬は弾むぞ。」

 

確かに、あの金額は魅力的だった。

何もなかった自分が何者かになれるのではないかと錯覚するほどに。

 

「そういえば、まだ自己紹介をしていなかったね。私は相川浩(あいかわひろし)。恵の祖父で、君をこの時代に呼んだ本人だ。」

 

「こんにちは。俺はえーと...オバタソウスケです。」

 

「うん、よろしくね。ソウスケ君。早速だが、君に頼みたいことについて話すとしよう。」

 

そう言うと相川浩は立ち上がり、こちらへ歩いてきた。

 

「君には仮想世界、エリュシオンで行われている戦争、戦興業の後始末を頼みたいのだ。」

 

「戦興業?」

 

聞きなれない単語に思わず聞き返す。

 

「エリュシオンで戦争が行われている、というのは知っているかな。」

 

「それは、はい。恵から聞きました。」

 

「それはなにより。そして、その戦争が興行、いわゆるエンターテインメントとして扱われているのだ。」

 

「それは...」

 

嫌悪感が体の中から自然にわいてくる。

自分の記憶は戦争とは悲惨なものだと常に主張している。

敵味方問わず大量に死人が発生し、その中で復讐の連鎖が発生する。

戦場に希望はなく、上層部は利権のために戦争を長引かせようとする。

自分の戦争に対するイメージを思い起こし、思わず眉間に皺が寄る。

 

「ああ、君の考えはよく分かるよ。戦争をエンタメにするなんて、ということだろう。」

 

その通りだ。なぜこんなことになっているのか、と相手の方を睨む。

 

「ううん、そんな目で見ないでくれ。確かに、過去の戦争ではマイナスの面が多かった。だが、今は違うんだ。」

 

彼は、俺にもわかるように、と言葉を選びながら説明を始めた。

 

「今の時代では現実での戦争行為が固く禁止されているのだ。攻撃する意思を持った瞬間に条約違反になるほどに。」

 

相川浩は続ける。

 

「そうなったのにはエリュシオンの功績が非常に大きいんだ。現実世界をそのままコピーしたかのような仮想世界、そこでどんなことをしても現実世界に影響はない。」

 

部屋の中を歩き回りながらこめかみに人差し指を当てる。

きっと彼の癖なのだろう。

 

「エリュシオンができてから5年程、とある国同士の小さなもめごとがエリュシオン内で行われた。それをたまたま近くに来ていた人が目撃してしまったのだ。彼らは撮影デバイスでそれを録画し、インターネットの海に放流したのだ。」

 

そう言うと、彼の背後にあったホログラムのモニターが光を発した。

それは動画サイトに投稿された動画であり、再生回数は2億を超えていた。

 

「これを見たまえ。見事に国同士の争いは有名になった。始めこそ否定的な声が多かったものの、各国が派手な武装を作るたびにその声は小さくなっていった。」

 

「今は、どんな状況なんですか。」

 

何とか言葉をひねり出す。

このままだと、目の前にいる男にすべてを飲み込まれそうで、一種の防御反応だったのかもしれない。

 

「今は、世界中のほとんどの人がエンタメの1つととらえているよ。eスポーツのように楽しむのが一般的になっているね。」

 

「eスポーツのように、とは?」

 

「グッズつくったり支援したりかな?推し活ってやつ。」

 

恵がホログラフィックの画像を表示し、こちらに向けてくれた。

そこには5人組の集団とそれを模したぬいぐるみが表示されている。

ぬいぐるみの下に金額が表示されていることから購入ページだと推測できる。

 

「人気なのは分かりました。でも、後始末というのは?」

 

「ああ、戦闘行動が終了した後、武装の破片や破壊された環境の修復が必要なんだ。ほとんどはエリュシオンを管理してくれているAIがやっているのだが、どうしても細かいところの修復が難しくてね。そこだけ人の役割なんだ。」

 

やることは分かった。だが...

 

「内容のわりに報酬が過剰な気がします。本当に俺がやるのはそれだけですか?」

 

「ああ、問題ない。とある研究も兼ねているんだ。」

 

「研究?」

 

「ああ、いわゆるタイムマシンというやつでね。過去の人間を呼び出す研究をしているんだ。」

 

そう言った彼の目はとても悲しそうで、何かを思い出しているかのようだ。

 

「報酬については分かりました。」

 

「それはよかった。じゃあ、引き受けてくれるかい?やってくれるのであれば衣食住は提供しよう。」

 

選択肢がないじゃないか。突然知らない場所に連れてこられて、協力しなければ衣食住を与えないなんて。

だが、少なくとも恵は悪い人ではなさそうだ。最悪の事態にはならないだろう。

俺は渋々その仕事を引き受けることにした。

 

「ありがとう、助かるよ。」

 

人のよさそうな、それでいて底が見えない表情を浮かべ、相川浩はそう言うのだった。

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