長い列を並び、検問を終えて『カルドン砦』に入ることができた。
「さーて。さっさとギルドの駐車場に停めてみんなには休んでもらおうか。」
「ワンッ」モフモフ
「お前ら本当にお疲れ様だったな。」
キャラバンを停め、召喚を解除する。
「問題を起こさないように気をつけてくださいね。」モチモチ
「私たち、戦闘以外は助けられないから」モチモチ
「いざという時は我を出すといい。獣人なりなんなりと言い訳が立つわ」モチモチ
「ありがとうみんな頑張ってみるよ。」
「コレ、ソフィアさんへの手紙とここのギルドの方へのメモです。渡せばわかると思いますのでよろしくお願いします。」 モチモチ
「おっけー。ありがとう。」
「みんな。心配しすぎですってぇ。」モチモチ
皆の召喚を解除しもっちりした天使を頭に乗せてカルドン砦の冒険者ギルドに入る。
「すみません。宿を借りれませんか?」
「はーい。宿ですねー」
「あと、要望をメモにまとめてきたんで……」
ギルドカードと共にメモと手紙を渡す。
「頭に乗せてるのは何ですか?」
「コイツは自分のの召喚獣の天使です。」
エステラがニッコリしながら後光をだす。
すっごぃ。なにそれ。やるやん。
「嘘でしょ……本当に来た。」
「え?」
「いえ、こっちの話です。メモの件は承りました。」
「よろしくお願いします。」
「それでなんですけど、貴方をご指名されている依頼が来ていまして。」
受付嬢が依頼書を取り出した。
「この依頼なんですけど、依頼人が丁度あちらにいらっしゃいますので直接伺ってください。」
受付嬢が手で指し示す先に目を布で覆ったシスターが綺麗な姿勢で座っていた。デッカ。何それ。姿勢正してるのに胸が机に乗ってるじゃん。
「げっ、アウレリア」モチモチ
「あら、エステラさん。思ったより早かったですね。」
「知り合いですか?」
「………天使のエステラさんとは初めてお会いします。」
「アウレリア・オラクルソン。アストラリア教で『最凶』の『星読み』よ。私よりだいぶ先に巡礼の旅に出ていたはず。そっか私、途中からキャラバンに乗ってたから追いついたのか。」モチモチ
数日間寄り道をしたが、徒歩で巡礼の旅をしている彼女より圧倒的に早い。
「実は。『ヴォイドランの裂け目』を一緒に旅してくれるお供には『頭に天使を載せた冒険者』と言う星の導きを頂きましたので待っていたのです。私は盲目ですので『ヴォイドランの裂け目』のような危険な場所を歩くのは難しいと思ったのです。」
「へー。そうっすか………ん?」
「普通、人間はこの砦に歩いてたどり着かないですねぇ。」モチモチ
「だよね。よかった。」
「ここまで肩凝りが大変でしたがなんとかこれました。途中、心優しい山賊さんや『影の追放者』に食料などを分けていただいたり、馬車に同乗させていただいたりしましたけど。」
「ちょっと、話し合いさせてもらっていいですか?」
「どうぞ」
『イクイップ』『サモン』
馬車の中にウチの賢者たちを召喚してテレパシー念話を試みる。
『緊急。このエステラの上位互換のような盲目爆乳シスターの扱いについて。』
『アウレリア様は冒険者で言うところのAランク相当の強さと言われている星読みです。占星術の腕は然ることながら、槍の腕前が一流。祈りの光で生成された槍による一撃はドラゴンをも破壊すると言われています。恐ろしい。』
『なにそれ怖い』
『去年、『必見!アストラリア教美人星読み特集』っていうアウレリアのグラビア写真が載ってる雑誌が裏市場で相場の数百倍から取引されてるわ。それに発売されてからオーロラムにある星の大聖堂の覗き目的の不法侵入が20倍になったわ。下手すりゃ死刑なのに……』
(こっちの男も馬鹿なんだな。よかった。みんなの助言がなかったら二つ返事で返事してやってたわ。)
『彼女の見出しは『国宝級の暴力、天から授けられし果実』だって』
『なんか含みのある見出しだな……で、どうするべきだと思う?』
『私は関わりたくないです。対外的には良い部分しか知られてませんが教会内では黒い噂しか聞きません。』
『それ断った時のほうが怖くない?』
『アウレリア様ほどの方の依頼を断った事がファンに殺される可能性があります。』
『え゛ッ。そんなになの?』
『はい。過去に地方の巡察に行った際に彼女の祈りを邪魔した男がファンに暴行にされた事件があります。ほかにも、彼女が『検問に停められて少し到着に時間がかかってしまった』と話した後、ファンが検問所を襲撃しました。』
(関わりたくねぇ……そりゃ『影の追放者』なんてものも生まれますわ……)
『お話は済みましたか?』
『いやもうちょっと待っ………』
「え?」
「お話は済みましたか?」
気のせいか……?
「どうでしょう?貴方が『ヴォイドランの裂け目』を進むことは存じ上げております。少しキャラバンに同乗させていただけるだけで良いのですが……」
「あっ、はい。大丈夫です。」
「よかったです。」
「湖の教会にもいきますか?」
「はい。もしかして乗せていっていただけるのでしょうか?」
「明日、『ヴォイドランの裂け目』に行く前でよければいいですよ。」
「いやぁ。良かったです。少々『ヴォイドランの裂け目』を歩いていくのは少々面倒だったので……エステラさん。お手伝い願えますか?」
「………はい。アウレリア様」モチモチ
すごく嫌さそうな顔をするエステラは彼女の元に行くと懐に潜り込み。『国宝級の暴力』を持ち上げる。
「はあ……楽になりました。少し彼女をお借りしますね」
そう言って彼女はギルドの部屋に帰っていった。
巨大な脂肪の塊に潰されそうなエステラは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
悪いなエステラ。お前の犠牲を無駄にはしないぞ。
ダイスケはエステラを生贄に自由を得た。
「さて、どうしたもんかな……」
一度キャラバンに戻り。
ソラリスに厚手の服を着せて彼女を連れて行く。
「我は身体につく布が嫌いじゃ」モチモチ
「服ぐらい耐えてくれよ。外で飯食わせてやるから。」
「まあ、それなら我慢できなくもないのじゃ」モチモチ
「お前は炎の精霊『フレイム・エレメンタル』だ。」
「分かっておる。心配するな。」モチモチ
まあ、ソラリスなら心配ないだろう。
彼女を連れて『ヴォイドランの裂け目』を通り過ぎるための食糧や消耗品を買い揃えていく。
「この『ギアフォージ産の避雷針』と『ギアフォージ製のイヤーカフ』なのじゃが……」モチモチ
「そっか。輸入品も買えるのか。」
「この突き当たりを右じゃな。」モチモチ
「サンキュー」
言われたとおりに歩き。
「この列に並ぶのじゃ」モチモチ
「おう。」
「二本で180Gでーす」
「はい。うまそー。」
俺は串焼肉を買っていた。
「美味しいのじゃ。」モチモチ
「ああ、うめぇー……じゃなくて。避雷針は?」
「避雷針はさっきの道を左なのじゃ」モチモチ
「おっけー。食べ終わったら行くか」
今度こそ避雷針を購入しに行く。
「ここなのじゃ。」
「おい、ここは子連れで遊びに来るところじゃないぞ。」
「あー。すみません。俺は召喚士でコイツは炎の精霊なんです。精霊が導いたならきっといい商品があるだろうって。」
「あん?精霊だぁ?んなことはどうでもいい。うちの商品を汚すなよ。」
「できるよね。」
「はーいなのじゃー。」モチモチ
とりあえず食べていた肉の串を捨て、手を洗ってから店に入る。
そこはギアフォージの軍用品のアウトレットであった。
未使用品や展示品などの製品が売られている。
「すげーなにこれ。」
「あまり触るでないぞ」モチモチ
「そうっすね……店長さん軍用の品を他国に売っていいんですか?」
「ああ。ここに売ってんのはウチの国じゃもう何世代も前のものだよ。アンチ兵器も既に研究済みだ。問題ない。」
「じゃあ、避雷針とかイヤーカフとか売ってますか?」
「へぇ……避雷針と耳栓欲しいってことはお前さんが『ヴォイドランの裂け目』に入る冒険者かい?本当に来たよ。しかも子連れってのも本当だ。」
「どういうことですか?」
「お代は要らないぜ。聖女様から受け取ってる。コレを持っていきな。」
渡されたのはこの店で一番高額な軍用規格の『避雷針』とイヤーカフタイプの『耳栓』だった。
それを前にしてダイスケは背中に嫌な汗をかく。
「あ、ありがとうございます。」
「おうよ。」
(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ)
『アウレリアは凄い星読みじゃな。』
『洒落になってねえ。占星術のレベルじゃねえぞ。』
『うふふふ、そうですかぁ?』
「くそっ、何故、我のテレパシーに入ってこれるのじゃ!?」モチモチ
「怖い怖い怖い怖い」
『そこから、2つ目の交差点を左に曲がったところにある店で焼き菓子を受け取ってきてください』
「何なのじゃぁ!!?」モチモチ
「い、行きます!わかりました!」
2人は早歩きでお店に向かう。
「おやまあ本当に来た。ハイこれ。頼まれていたカップケーキだよ。」
「ありがとうございます。」
「顔色悪いけど大丈夫かい?」
「長旅で少し疲れてるだけで大丈夫ですよ。」
「そうかい。確かファスターから今日来た旅人って言ってたねぇ。長旅ご苦労さまだねぇ。」
「ありがとうございます。」
ケーキを受け取りまっすぐギルドの宿に帰る。
トントンッ
「お届けに来ました」
「はーい。入ってください。」
「はい。失礼します。」
扉を開けて部屋に入ると。
アウレリアがソファーに深く座りエステラに肩のマッサージをさせていた。
(エステラすっげー顔で俺を睨むじゃん。)
彼は既に彼女を見捨てたことを忘れている。
「人数分ケーキは買ってありますから。皆さんで一緒に食べましょう。私はお茶を用意いたしますのでダイスケさんはケーキを出しておいてください。」
「わかりました」
ケーキは6つあり、用意された机には子供用の椅子が四脚と大人用が二脚用意してある。
この場の人数に合わない。
「あの……「お二人も召喚してください」………はい。」
『サモン』
「…………」モチモチ
「うげぇ。」モチモチ
怖い目つきで何を考えているかわからないローチェと不本意そうなシルヴァーナを椅子に直接召喚して収める。
「2人とも覚悟を決めるのじゃ」モチモチ
「だから嫌なのよ」モチモチ
すでに並べられていた皿にカップケーキを並べるとすぐに紅茶が出てきた。
「ダイスケさん。ご依頼を受けていただきありがとうございます、」
「いやぁ。どうせ行く道ですからぁ。」(怖いよこの人ぉ。)
「うふふふふふふ、そんなに怖がらないでください。」
「!?」(マジでなんなんだよ……)
「マジでなんなんだよって。ただの『星の導き』ですよ。」
「!?」
「うふふふふふふ。」
全員の動きが止まる。
彼女は思考が完全に読めるらしい。
「大丈夫ですよダイスケさん。貴方が会ったときから私の身体が気になってるのは知っています。でもそれは好都合。もう一つわたくしのお願いを聞いていただけたくて……」
全員分の紅茶を淹れ終わった後に彼女も椅子に座る。
「な、なんでしょうか……」
「私と………結婚していただきたくて……」
「はぁ?」
「この巡礼のあと私は神の伴侶となるとして教皇と事実上の結婚させられるのですが。わたくし。あの人嫌いなんです。だから、嘘でもいいので駆け落ちしたことにしたいんです。」
「ああ、あのハゲデブってやっぱり人気ないんだ。」モチモチ
「どういうこと?」
「ゴドリック・ルクスは元商人で教皇選挙の時に工作を行っていたと噂されています。ほかにも去年刊行された件の雑誌も発起人は彼だそうです。私もあまりいい印象は有りません。」モチモチ
「それで、なんで俺なんです?」
「『星の導き』ですね。」
意味わからんが。
「私を召喚獣として従えてるからですかね。」モチモチ
「たしかに、神アストラリアの『天使』を従えている『召喚士』は神の生まれ変わりとして申し分ないとも言えるかもしれません。」モチモチ
「どうでしょう?」
「ちょっと考えさせてください。」
「今答えを決める必要はございません。『星の導き』によって定められているのですがら……」
『星の導き』ってなんだよ、占いとかそんなレベルじゃないよ。
「気になることがあるんですけど。俺を頼る必要があるんですか?アウレリア様ほどの方だったら俺じゃなくても同じようなことができるはずじゃないですか。なんなら教皇を消してしまえばいい。それなのに信者でもない冒険者を頼る必要があるんですか?」
「ふふふっ、そんなこと気にするんですね。」
「そうっすね。もっと………ルークみたいな冒険者やってる貴族のほうがいいんじゃないんですか?あとは、何処かの企業の経営者とか。もっとお金を持ってる人のほうがやれることも多いですよね。」
にこやかに聞いていたアウレリアの顔が少しずつ硬くなる。
「それで私は自由になれますか?」
うぉ、おっも、重いのはそのデケェ脂肪の塊だけにしてくれよ。
「気持ちは分かった。俺もしがらみが嫌で旅に出たんだ。いいぜその狂言乗ってやるよ。」
「ありがとうございます。」
一晩明けて次の日の朝。
『カルドン砦』を出てアウレリアを連れて『ティラス湖』のほとりにある教会に向かった。
そこには多くの信者とシスターや神父が集まっており、彼女の修行を見送りに来ていた。
「頑張ってくださいね!」
「どうかご無事で。」
すっごい人気だね。シスターの中には感極まって泣いちゃってる人もいるよ。
そして、それなりに知名度はあるものの信者でもないCランク冒険者の馬車に信者のアイドルとも言える『星読み』が同乗することへのアンチは多く。
「死ねー異教徒!!」
「神罰よ、くだれ!!」
「くたばれ詐欺野郎!!」
と、ありがたいお言葉がたくさん届いている。
おうおう、声援ありがとうな!
エステラが盾で弾いているが跳んでくる石に矢、ナイフや呪いのアーティファクトまで。
良いコントロールだ。
お前らも冒険者にならないか?
気になるならついてこいよ『ヴォイドランの裂け目』。
こっちだって命かけてんだよ。
アストラリア教の教皇が依頼したルーンフィールド騎士団のキャラバンが我々を入り口まで護衛してくれた。
見知った顔ばかりで助かったぜ。
「我々が護衛できるのはここまでです。」
「ありがとうございます。アリアによろしくお伝え下さい。」
「いやいや、オーロラム国立魔法学校に在籍なされています。私が戻るより貴方のほうが早く着くでしょう。」
「そうですね。頑張ります。」
「お気をつけて!!」
騎士団の方々に敬礼で見送られる。
ルミナリス王国屈指の危険地帯。
『ヴォイドランの裂け目』へ我々は突入したのだった。
1日目午前。
出発してすぐに我々の目的を馬車の中で共有する。
「この馬車はどのルートで走る予定なんでしょうか。」
「まず『ヴォイドランの裂け目』というか『ヴォイドラン渓谷』の中で一番危険な場所。渓谷の中心『龍の里』に我々は向かいます。」モチモチ
「へ?」
アウレリアが初めて意表を突かれたような顔になる。
「もしかしたら『星の導き』では読めなかったんでしょう。『龍の里』には神の目を掻い潜ることができるドラゴンも存在しますから……」モチモチ
「それは………素晴らしい体験ができそうですね♪やはり私の目に狂いはなかったのです。」
「ローチェの実家に帰るんだっけ。大丈夫?俺たち燃やされない?」
「そもそもドラゴンは自分から人間を狙いません。だからこの落雷地帯を抜けて『龍の里』に入った時点で目的を持った来客だと思われるし、攻撃を一度受けても強靭な鱗で受けれるので、気にもとめられません。たまに来る変人扱いってところでしょう。」モチモチ
「人間は食べても一人でポテトフライ一本分だけなのじゃ。」モチモチ
ああ、人間はオヤツにしてはコスパ悪いし、攻撃されても一度は確定で耐えられるから最初から攻撃する労力をかける必要がないってところか。ヤバいねドラゴン。
「一番安全なルートが真ん中の『龍の里』を通るルートだったとは……過去の巡礼の旅をした方の話には聞いてましたが本当だったのですね。」
「道中特に落雷が厳しい場所ですけどそれを何とかできれば足場も安定していて他の魔獣にも合いにくいルートになります。」モチモチ
「じゃあ道中注意しないといけないのは落石や落雷の自然か。」
「いえ、おそらく我々が一番気をつけるべきは『ドラゴンの咆哮』です。」モチモチ
ゴォォオオオオオオオオオ
轟音とともに馬車が揺れる。
「遠いならこのレベルなんですけど近くでコレやられたらまずいです。」モチモチ
「そうだな。」
「す、すごい!これが自然の脅威。ドラゴンってすごいのね♪」
「一応、今のが来客が来たという合図なのでこれからはもう大丈夫だと思うのですが。気に留めといてください。」モチモチ
現在、馬車が走るのはむかし公国になる前のギアフォージがルミナリスへ進行した際に作ったとされる戦車用の道路である。
この道路は『龍の里』の近くまで作られ。
そして、旧ギアフォージ軍は里に住むドラゴン達を見て全軍が撤退したそうな。
「もう少しで最初の休憩地点、旧ギアフォージ軍の第一前線基地跡があるはずです。そこで休憩にしましょう」モチモチ
何も問題なく第一前線基地にたどり着きキャラバンを停める。
そこは渓谷の崖の道から洞窟に入ったところにあった。
ウルフパッカー達に労いの言葉をかけてから召喚を解除し、
道に出て空を見上げると。
バサッという音ともに巨大な影がダイスケを覆う。
「ローチェよ、久しぶりだな」
ドラゴンが目の前の崖の縁に留まる。
やっべぇ。動けねぇ……
吐息まで感じられる距離にドラゴンが居るのである。
炎でも吐かれたら一瞬で炭になる距離である。
「ヴァルカン叔父様。お久しぶりです。」モチモチ
「まさかソラリスを連れて帰るだけでなく『冒険者』と『星読み』を連れてくるとはな。」
「また賭けでもしてたんですか?」モチモチ
「ああ、そんなところだ。」
「お父様は何にかけてましたか?」モチモチ
「次に来るのは『星読み』。だけだな。ちなみに俺は『冒険者』だったんだ。まあ、勝敗は決める必要もないだろう。俺から里の者達に伝えておくよ」
そう言って巨大なドラゴンは飛び立っていった。
その瞬間緊張の糸がほどけたダイスケはその場で膝から崩れ落ちる。
「生ドラゴンやっば。」
「そろそろ来ると思うので耳を閉じてくださいね」モチモチ
慌てて耳栓をつける。
ゴオオオオオオオオオオ
ヴァルカンの咆哮により体が震える。
「聞こえますか?」モチモチ
「聞こえる聞こえる。助かったわ。アウレリアさんは大丈夫かな?」
キャラバンの中のアウレリアさん。
ソファに寝転んで、頬を赤らめていた。
「大丈夫ですか?」
「耳栓をあらかじめ付けていたのですが、ドラゴンは『星の導き』では読むことができず………その……生まれて初めてビックリしました。頭がくらくらします。」
「とりあえず。耳がやられてなくて良かった。」
「素晴らしい。ここに来てから新鮮なことがたくさん起きます。これが『驚き』!胸の高鳴りが止まりません!」
部屋にいる君等。
珍しいものを見る目で部屋から見下ろしてるけど君等のほうが世間的に珍しいものだ。
休憩の後、キャラバンは『ヴォイドランの裂け目』を進んでいく。
避雷針のおかけでウルフパッカー達も恐れずに進んでいく。
アウレリアさんの人生初体験の旅は始まったばかりだ。