抜けてる召喚士とモチモチ召喚獣   作:ルルーラ・ランドー

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12話

アウレリアという少女の半生を語ろう。

 

彼女はアストラリア教会が運営する孤児院で育った。

親の顔も名前も知らないが生まれながらにして目に『星刻』が刻まれていた。

そのため彼女は常に他のシスターが近くに付き従い特別扱いで育てられた。

 

彼女が『星読み』として『星刻』の力が覚醒し始めた頃。

彼女の類稀な『星読み』により、あるシスターの未来を見てしまったたのである。

 

『ゴドリックに自分の様子を語りながら夜伽をしてお金を受け取っていた未来』

 

そのシスター自分より2つ年上であり世話係の中では姉のように慕っていた。一番信頼していた彼女が自分を裏切っていたことを知り。他のシスター達の未来も見てしまうが、その全てが同じ。

彼女たちは金で身も心もゴドリック教皇に飼われていた。

 

そして、知ってしまったのだ。

『自分はゴドリック教皇にその権力の増強のために彼と結婚させられる』と。

 

そこから彼女は槍の修行を始めた。

いざという時、自分の身を守るために。

アウレリアがアストラリアと同じ槍使いになることにゴドリックは大変喜んでおり 、星刻のおかげか腕前もどんどん上達し『アストラリアの聖槍』も承ることができた。

 

そして、少女は大人に成長し結婚させられる年。

時間稼ぎのため、婚前の『巡礼の旅』を提案した。

 

『星読み 』が行う女神の加護をもらうための『巡礼の旅』は女神の加護である『星刻』が刻まれた彼女はする必要もないのだが。

やったほうが説得力が増すということでなんとか許可をもらえた。

 

そして、旅に出た彼女はオーロラムを出発し。アクアリスから歩いて運河街道を登り長い時間をかけて『カルドン砦』までたどり着いた。

道中、未来視できる彼女に危険なことが起きることもなく。ただただ歩いただけであったが、誰にも監視されることのない旅の道中は彼女にとって産まれた始めての『自由』だった。

 

そんな旅の中でみた『星読み』の未来視のなかである青年が出てきた

召喚獣を頭に乗せる彼は死ぬ未来は何度も見るのだが何故か次の未来にも登場していた。

そんな彼の旅路が自分と重なる。

私はつい彼と旅をするためにギルドに依頼を出してしまった。

 

彼女にとって未来視を変えることができる彼は自分の運命を変えられる英雄になるに違いないと思っていた。

 

未来視通り彼が来ると共に『龍の里』に赴きドラゴンの未来を未来視できないことを体感するなど初めてづくしの旅を行った。

そして、自分が『生贄』となり『アストラリア』を復活させられる事が出来ることも知った。

 

そして今。

 

ルミナリスの首都、オーロラムの『アストラリア大聖堂』でアウレリアは豪華な、シスターの着る服にしては下品なウエディングドレスに身を包みながらその時を待っていた。

 

「あの冒険者はすでにオーロラムを出られました。」

「そうですか……」

 

『必ずなんとかする』

 

そう言っていた彼であったが何度未来を見ても彼が助けに来る未来が見えない。このときほど彼の未来が不確定であることを恨めしく思ったことはない。本当にこの未来が来てしまうのか?

その不安感で彼女の心はいっぱいになってしまていた。

 

思い出すと。

彼は私に話しかけてきたほとんどの殿方たちと大差ない。

着替えを覗こうとしたりと私を性的に見る目というものも持っていたし、召喚獣と肉を取り合う利己的に振る舞うこともあった。

ある意味そういう卑しさというものもゴドリックと大差ないかもしれない。

 

それでも彼ならば自分の人生を変えてくれるかもしれない。

『必ずなんとかする』という言葉が彼女の中でぐるぐると回る。

 

シスターたちに呼び出されて共に式場となる大講堂へと向かう。

足取りが重い。

もし、彼が教皇に仇する大犯罪者になることを恐れて逃げてしまっていたら?

そう考えると足がすくむ。

 

「アウレリア様?大丈夫ですか?」

「………はい、大丈夫です。少しこのドレスが重くて。」

 

付き添いのシスターに話しかけられて歩みを再開する。

講堂の扉が開かれると国王、貴族達主賓の方々と信者たちが拍手で出迎えてくれる。

 

皆の祝福を受けながら道をゆっくりと進む。

教皇の元へと辿り着こうとしたとき。

 

ガッシャーン

 

国宝である『アストラリア大聖堂』のステンドグラスを割ってナニカが入ってきた。

 

逆光に照らされ、天使の輪を持ち白い翼を広げる何か。

 

「て、天使だ!!」

「天使が舞い降りたぞ!!」

 

誰かの声で会場の皆が口々に天使だという。

 

(ダイスケ…?)

『黙って合わせるのじゃ』

『え?ソラリスさん?』

 

巨大なドレスのスカートの中に何か動いている。

重いと思っていた足取り。

ちゃんと重かったのだ。

 

天使?が手をかざすと自分(のスカート)が光り輝き体が浮き上がる。

 

「アストラリアの使いがアウレリア様を迎えに来たんだ!」

「うおおおおお!アウレリア様を天使が迎えに来たんだ!!」

「ええい!騎士たち!花嫁を助けるのだ!」

 

ゴドリックが指示を出すが、騎士たちは動けない。

 

こうして、天使?のところまで持ち上げられたアウレリアは天使に抱きかかえられて破壊された窓から天高く舞い上がっていった。

 

これが後にアストラリア経典にて『天使降臨』として後世に語り継がれることとなるのだった。

 


 

オーロラム南部を走る改造商業用大型キャラバンにて

 

「いやー。なんとかなったぁ!」

「まさか、こんなに上手くいくとは思わなかったわ」モチモチ

 

ダイスケ達はお尋ね者にもなりたくないけど助けたいということでかなり大胆な作戦を実行していたのだ。

 

『教皇よりもっとビッグネームなら問題ないよね』作戦である。

 

そのために彼はこの挙式に参列する知り合い達(ルークやお悩み解決してきたご婦人等)にサクラを頼んでいたのだ。ただし、お願いしたのは『天使が舞い降りたら天使だと言ってくれ』ということだけ。あとは熱心な信者たちが勝手に解釈してくれる。

 

あとは、アウレリアを持ち上げるために誰か一人を衣装の中に忍び込ませておいて、会場に潜入していたシルヴァーナの合図で天使に扮した俺(白い深めのローブ。エステラの天使の輪、ローチェの翼、ヴァルピオンの炎の後光)が超常的な力でアウレリアを持ち上げてる風に見せて連れ去るのである。

 

こうしてしまえば彼女が何処かに消えても誰も怪しまない。

国王が証人になるからだ。

 

皆完璧にこなしてくれた。

ありがとう。

 

「よかったぁ、本当に来てくれたんだぁ……」

 

涙を流す彼女は先ほどまで着ていたドレスを脱ぎ捨て自分が着ていたローブに身を積んでいる。

あの重いドレスは途中で捨ててきた。

 

「なんとかするって言ったじゃん。」

「貴方の未来は見えないからぁ……」

 

なんていうんだろうね。

俺今すっげーRPGゲームの主人公してる感あるよね。

 

そんな余韻に浸っているとき。

 

世界から色が消え、音が消え、時が止まる。

 

(え?なに?)

 

「貸したものは返してもらわないとね……」

 

ナニカが制止した世界で泣いているアウレリアに触れる。

そうするとアウレリアの目元から血が流れる。

 

「そうだ。名前も戻さないとね」

 

アウレリアの文字の綴から幾つか消されていく。

 

「君の本来の名前だよ」

 

(やめろぉ!うごけ!うごけよぉ!!)

 

「おっと、君は私の止まった世界で意識を保っていられるんだね。まあいい。それとコレは私のお気に入りのステンドグラスを割ったお返しだ。」

 

ナニカが出した『アストラリアの聖槍』で胴を貫かれる。

 

(いってぇぇぇぇええええ!!ちっくしょぉおおおお)

 

「そんなに怒らないでくれよ。私もあの教皇は好きじゃないし、私から借りっぱなしだと彼女も生きづらいだろう。では彼女の新たなる人生を祝して。」

『アウラに星の導きがあらんことを』

 

時が流れ出すと。

キャラバン内で鮮血が飛び散る。

 

「ダイスケ!?アウレリア!?どうしたの?ねぇ2人とも!?大丈夫!?」モチモチ

「止血するのじゃ」モチモチ

「回復魔法をかけます」モチモチ

 

嗚呼、ファッキンクソ女神。

 

そこで一度俺の意識は飛んだ。

 


 

気がつくと俺はキャラバン内で寝ていた。

走行は止まっており、気絶してしまったため召喚獣達は誰もいなくなっていた。良かった事故らなくて。

 

「大丈夫ですか?」

「アウラさん。そっちこそ大丈夫ですか?」

「その、実はぼやけてるんですけど。目が見えるんですよ。」

「え?」

「未来視できなくなったんですけど。自分で世界が見えるようになったんです。」

 

すごいじゃん、やるじゃん女神。アストラリア様サイコー!

どうやら女神様は本当に貸していた星刻を回収しに来ただけらしい。 ステンドグラスの件はほんまごめん。

 

「何があったんでしょう?」

「信じてもらえないかもしれないけど。アストラリアの女神が現れて星刻を回収して、あと名前も変えていったんだ。ついでにお気に入りのステンドグラス割った腹いせされたけど。」

「そうだったんですね。」

 

アウレリア改めアウラは女神公認で自由の身になったのだ。

 

「そうだ、せっかくだから私がご飯作りますね。」

 

そう言って立ち上がるとアウラは二歩歩いたところで足を捻ってそのまますっ転んだ。

 

「イタタタっ……あれぇ?」

「大丈夫ですか?」

「これぐらいな『ヒール』で治せるんで。大丈夫です……では、今度こそっ。」

 

また数歩で足を自分の足に引っ掛けて床に顔を強打し鼻血が出る。

 

「いたぁい……」

「大丈夫ですか?」

「いたぁあぁい!」

 

星刻による身体能力強化と未来視のおかげで怪我なく生きてきた彼女にとって初めての痛みに思考がショートしてしまい。泣きじゃくる。HPは1%も減っていないのに。

 

目が悪いとかそういうレベルじゃない。

ダイスケの脳裏に嫌な考えがよぎる。

 

(アウラさん。星刻なしだと相当運動音痴なんじゃないか?)

 

『サモン』

 

大急ぎでみんなを召喚する。

 

「な、何があったの!?」モチモチ

「アウラさん。相当ヤバい。」

 

ダイスケはアストラリアとのことを話す。

彼が『最強の星読み』の実力を知らないまま『最強の星読み』は死んだのだった。

このあと、ヴァルピオンの作った料理を食べて旅を続ける。

 

現在の旅の目的地はオーロラムから南東に進んだところにあるリゾート地

『セレニティ』

ビーチなどの観光地もある開放的な街である。

 

冒険は十分した。

一回休みたい。

 

道中、フローシェイという花畑が有名な街に立ち寄る。

今日の宿泊地である。

 

「わぁ!世界ってこんなに色鮮やかなんですね!」

 

元々目元を隠していた『星読み』の衣装ばかりを着ていたアウレリアが眼鏡をかけて一般人の服を着ていたら彼女だとわかる人はいない。そのままギルドに行って新たに彼女のギルドカードを作る。

 

「ではアウラさん。適性検査をしますね。」

「はい!」

 

適性検査の結果。

彼女は魔法系の後衛職となった。

得意魔法は光と自然。

いわゆる『白魔道士』に近いのだろう。

ひとまず『聖職者』とかじゃなくてよかった。

 

「見てください!この魔法使いの衣装!動きやすいですよ。」

「ボディラインが出る衣装はやめておいたほうがいい。」

 

俺の気が散る。

 

「えー!いいじゃないですか。」

「こっちの方が防御力も高いし怪我しにくいよ。」

「それはちょっと……」

「私はコレがいいと思うんだけど……」モチモチ

 

シルヴァーナが選んだのはさらに過激な装備である。

 

「流石にそこまでは露出するのはダメですよ…」

「私はコレがおすすめです。」モチモチ

 

ローチェが持ってきたのは魔法石がたっぷり付いているものである。

 

「ちょっと、派手すぎじゃない?」モチモチ

「そうですか?」モチモチ

 

結局、合うサイズがコレしかないという理由で胸元がパッカリと開いた物が選ばれた。サイズもギリっギリである。

多分彼女が3歩歩いたらすっ転んでポロリしてしまうだろう。

 

「あ、あの…、この服。すっごく不安なんですけど……」

「中に1枚中に着ましょう。」モチモチ

 

こうして、新米冒険者の『魔法使い』アウラが誕生した。

 

装備を選んだあと、フローシェイのギルドの宿に泊まり。

一晩明けた朝。

 

「クエストに出ましょう。自分は見てるので頑張って一人でやってきてください。」

「はい!」

 

流石にGランクでは参加できるクエストに制限がかけられてしまう。そのために彼女には早めにDまで上がってもらいたい。

ただそれだけは口が裂けても言えない。なぜなら俺は半年以上かかってるからである。

 

ただ、心配なのでソラリスを用いてクエストの様子をモニタリングをすることにした。

もちろん彼女も分かっている。

 

『はじめてのくえすと』の始まりである。

アウラは使える魔法の多さからDランクへの飛び級用の依頼を受けることができたのでそれをしてもらう。

 

まずは街を出るところから。

星読みの力で未来視して生きていたが彼女に道を覚えたり地図を読んだりする力は皆無だ。

しかし、巡礼の旅で鍛え上げられた足腰で街中を休みなく歩き回り、なんとか街を出ることができたようだ……目的の方向とは反対側に……

 

『助けるか?』

「いや、テレパシーで逆ってだけ伝えて。」

『了解じゃ』

 

テレパシーを聞いた彼女は顔を赤くしながら街に戻りまっすぐと反対側の出口に向かった。

これで一安心……とも言ってられない眼鏡のおかげで町中で転ぶことはなかったが足場の悪い外ではどうだろうか?

 

今歩いている道が馬車も平原の道ではあるが、一本横に入れば獣道である。彼女は地図をみていて足元を見ていない。

 

『運動音痴』『方向音痴』『獣道』という3連コンボで彼女は確実に転ぶたろう。

 

地図を観ながら目的地に続く獣道を発見したようだ。

彼女地図を広げたまま獣道に突入し、足元に合った倒木につまずいて転倒。パンツを道行く人たちにさらすことになる。

 

あっちゃー。

 

『助けるか?』

「もう少し様子見ようか。」

 

アウラは顔を真っ赤にしながら起き上がりゆっくりと歩みを進めていく。

地図を広げるのではなく、小さく折りたたんで片手に持つことにしたようだ。

 

「すごいじゃん……………まだ地図持ってる…」

「地図をなくす冒険者はダイスケだけよ」モチモチ

「マジ?」

 

足場の悪い道をのそのそと歩くアウラはふらつきながらも獣道を進んでいく。

 

そして、討伐依頼のあった魔獣を見つけた。

 

『フラワーローパー』

 

花がトレードマークの触手の生物だ。

 

「これダイスケさんが選んだんですか?」モチモチ

「いや。俺は選んでないよ」

 

選んだのはシルヴァーナである。

召喚獣サキュバスの主食は召喚士の性欲である。

そんな彼女にクエストを選ばせればこうもなろう。

 

(計画通り……)ニヤリ

 

フラワーローパーを見つけたアウラは杖を使って魔法を唱える。

 

『セイントチェーンバインド』

 

光りで作られた鎖によってフラワーローパーが縛られる。

 

「くっそ!なんで触手生物の亀甲縛りを見せられなきゃいけないんだよ!というか教えたの誰だよ!?」

「私よ!ナイスアウラ!」モチモチ

「だろうね!」

 

亀甲縛りされたフラワーローパーにアウラはゆっくりと近づいていき。

 

『セイントブレード』

 

光で作られた刃を杖の先端に作り。

逆手に持ってフラワーローパーに突き刺す。

何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、

 

「………あれ?なんか様子おかしくない?」

 

彼らは忘れていたのだ。

彼女が『最凶』とも言われていたことを…

 

別のフラワーローパーが執拗に死体に攻撃するアウラを拘束しようと腕に巻き付くがその触手を掴み。

 

グシャッ

 

握りつぶした。

運動神経は失われてしまったが、単純な『力』が失われたわけではない。

力なく垂れ下がる触手を引っ張りフラワーローパー本体を体に近づけ。

 

『ニードルシード』

 

フラワーローパーの中に急成長する植物の種を植え付け内側から針が飛び出す。

 

「殺し方えっぐ。」

 

動かなくなったフラワーローパー達に興味が失せたのかその場に投げ捨て討伐依頼のあった3匹目を探し始め、血に汚れたアウラはまたのそのそと歩きだす。

しかし、森の道は足場が悪くまた転んでしまう。

そこをフラワーローパーは見逃さなかった。

ついにアウラはフラワーローパーに拘束されてしまった。

 

「うおおおおおお!きたああああああああ!」

「よぉぉおおし!」モチモチ

 

ダイスケとシルヴァーナは抱き合いながら喜ぶのだが。

 

ブチブチブチブチッ

 

「「ひぃいいいいいいいいい」」モチモチ

 

2人は抱き合いながら恐怖する。

触手はすぐに引きちぎられ、逃げようとしたフラワーローパーは光の刃に貫かれて動かなくなった。

彼女はクエストがクリアされていることを確認し帰路につく。

来た獣道から通り道に出るまでに3回追加で転倒してボロボロの姿になりながらギルドまで帰ってきた。

 

「お疲れ様です。アウラさん。」

「大変でした。」

「そのようですね。でもおめでとうございます!Dランク昇格です。」

 

報告してDランクに昇級することができた。

受付嬢もアウラがボロボロな理由が転んだからだとは思ってないだろう。

 

「お疲れ様でございます。アウラさん。」

「お荷物お持ち致します。アウラさん。」モチモチ

「あのー。お二人は何かあったんですか?」

「馬鹿2人は気にしないでください。」モチモチ

「どうでしょう?冒険者としては新人だったため戦闘に自信はなかったのですが……」

「とどめを刺したのに攻撃しすぎですね。そのせいで一度攻撃を許しています。他にもその目に慣らしたほうがいいです。転倒も相手に隙を作ってました。」モチモチ

「そうですか……私もまだまだですね」

 

それから昼食を済ませるとセレニティへ旅を再開する。

ルミナリス屈指の南国リゾート地はすぐそこである。

 

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