抜けてる召喚士とモチモチ召喚獣   作:ルルーラ・ランドー

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5話

こうして俺はソロ冒険者に戻った。

女子風呂覗きが断罪されたから?

ノンノン。

馬鹿すぎて愛想がつかされた?

ノンノン。

何か大きなやらかしをしたから?

ノンノン。

 

エレナが御懐妊したからである。

もちろん父親は俺ではない、ルークである。

 

俺は投石により気絶していたため詳しくは知らないが、ルークはその後本番まで持っていったらしい。

一般人からは『殺人をコネで揉み消している殺人貴族』などと揶揄されるほど剣術にしか興味なく、社交界で女性に名前より先に持っている剣のブランドと腕前を聞く男、ルーク・ ド・ モントローズを『父親』にしたダイスケはモントローズ家とドーンガード家から莫大な謝礼金ともにアーティファクトが贈られた。

 

そして、この話は公表され『丸い魔獣を連れた召喚士はあのルーク・ド・モントローズを落としたキューピット』という話になり一部の悩める御婦人達御令嬢達から相談を受けるようになった。なお、それら全てシルヴァーナとソラリスにぶん投げている。

 

「先日はありがとうございました。こちらお使いください」

「わざわざありがとうございます。」

 

その結果、お金は取ってないが謝礼としてお菓子や食事券を渡されることになる。

 

「にしししし今日も良い感じね」

「大漁じゃな!」

「今日のおやつはこのお食事券が使えるカフェに決定」

「パンケーキが食べてみたいのじゃ!」

「はいはい。」

 

まあ、少し有名人になってしまったがコイツラの維持費(機嫌取り)の補填になると思うと悪くない。

 

「パンケーキ美味しいのじゃ!冒険者の丸焼きより断然美味しいのじゃ」

「んー!ホイップクリーム乗っててサイコー!せいs………美味しいわー!」

「ハハハハハッお前ら…」

 

現在、遠征付きの重めのクエストに行くのは休んでBランクの筆記試験のための勉強中である…………進捗駄目です。

Bランクの筆記試験は専門の勉強が必要であるが何度か受ければ受かるほどのレベルであるらしい。

 

俺は昨日のテストで4回目である…………不合格だったけどね。

 

ソフィアさんも点数を見て毎回苦笑いで済ませてくれている。

(いやさぁ、もうさぁ!シルヴァーナとソラリスがいればよくねぇ!?)

 

2人のサポートが入ってからは一度も提出物で失敗したことはなく、定期的に受けている簡単なギルドの仕事も問題ない。

おかげでソフィアさんが優しい。

 

「Bランクに上がればギルドの最低依頼料が上がるんじゃから頑張るのじゃ」

「はい……」

 

ソラリスはナチュラルに思考を読んでくる。

やろうと思えばの深層心理まで閲覧できるらしく、それが評判の良い恋愛相談のカラクリとなっている。

 

「俺は冒険者なんだけどねぇ」

 

今日も甘いコーヒーを飲みながら召喚士用の『魔獣取引リスト』を眺める。

ギルドと魔獣を扱う商会が合同で出版しているもので相場やなんで需要があるのかとか魔獣の色々情報が載っていてギルドに所属する召喚士ならばタダで手に入るため重宝している。

 

特に、

 

「サキュバスいいなぁ〜。ミノタウロスとかも……」

 

愛玩用魔獣のページは必見である。

タダで手に入るそういう雑誌と言っても過言ではない。

 

「サキュバスならここにいるでしょ?」

「そんな雑魚より我のほうが強いのじゃ」

 

そうだね。でもね、君等で興奮したらちょっとまずいのよ。

 

「はぁ……俺のスキルがなければなぁ……」

「ダイスケのスキルは良いのじゃ!我はパンケーキが食べれてるのじゃ」

 

巨大なスフィンクスの体では街に入ることはできないので人里で料理を食べれることはなかっただろう。

 

「思ったよりこの体良いのよ。サキュバスって嫌う人は本当に嫌うから………子供扱いされるけど。」

 

二人ともこういうところに来たときは子供用の椅子を使って食事をする。他の店では飴をもらったり、玩具をもらったり……そんな扱いである。ある程度好意を持って接するだけでその人からも微量な精力を摂取できるらしく最近はセクシー()な衣装から少し可愛げのある衣装になっている。コレはサキュバスの能力らしい。

このように戦闘用の魔獣が整ったためリーさんをヴァレリア先生に渡した。リーさんを研究してスキルの詳細を調べてもらっている。

 

「そうだ!テストの間違ったところを確認しましょうよ。」

「そうじゃな。我も気になるのじゃ」

「どれどれ……」

 

問1

 

Q.冒険者Aが特定魔獣の死体を無許可で侵入したダンジョンから無許可で持ち帰り知人に売却したことが発覚した。Aが行った行動の間違いと罰則を述べよ。

 

ダイスケの回答

誤った行動『ギルドに発覚したこと』

罰則『刑死』

 

模範解答

誤った行動『無許可ダンジョン侵入』『特定保護魔獣の不正狩猟・回収』『闇売却』

 

罰則『過去6ヶ月分のクエスト報酬の没収』『ランクダウン及び活動の制限』『罰金の支払い』

 

「主はバカじゃな。」

「うーん、難しっ」

「いい加減覚えなさいよ……そろそろ回答用紙をソフィアに届けられることになるわよ」

 

『ねぇ?なにこれ?』ゴゴゴゴッ

最近機嫌が良いが般若の顔になるソフィアさんが容易に想像できる。

 

「想像しただけで寒気がしてきた。」

「じゃあ、まともに頑張りなさいよ。」

「ダイスケくーん。あ、いった!」

ビクッ「ソフィアさん。なんでしょう?」

「探しましたよ……どうしたんですか?まあいいや。緊急でご依頼が来てますよ。」

「はい。」

「では、依頼内容なのですが……」

 

目標:行方不明者の捜索

場所:霧の森

報酬:200000G

 

「これって最近噂になってる事件よね。」

(そうなんだ。知らなかった)

「そうなのか?」

(よかった、ソラリスも知らなかった。)

「ここ数日で霧の森の近くの町やそこを通った馬車から人が消えた事件が頻発してるの。国の憲兵たちも調査してるんだけどなかなか見つけられなくてギルドにも国から正式に依頼が来たのよ。」

「へー。」

「召喚士には魔獣の力やその視点からの調査をしてほしいの。ヴァレリアさんにも依頼が届いているはずよ。一緒に解決してほしいの。」

「分かりました。」

「それで、このテストの解答用紙なんですが……」

「あっ……」

 

次の日、『霧の森』付近の村『ミステージホロウ』に旅立つ。

 

「先生、おはようございます。」

「なんで出発前から怪我してんだ?」

「ダイスケの昇級テストの解答をソフィアに見られたのよ」

「ここまで怒らせる解答って……まあいい、『ミステージホロウ』はここから馬車で1時間だ。いろいろ聞かせてくれ。」

「分かりました。」

 

灼熱の砂漠の遺跡の冒険の話とその後の話をする。

 

「あーはっはっはっはっ!そりゃあ、あの超絶偏屈人斬り王子を父親にしたんだ!両家からはさぞ感謝されただろう。」

「すっげー値段の杖と指輪もらいました。」

「ああ、『幻獣の囁き杖』と『幻獣の遺産石の指輪』か。それはいい物を貰ったな。Sランクアーティファクトだよ。私もしている。」

「あと、遺跡でソラリスをキャプチャーしました。」

「我、捕まりました。」

「ほう。フレイム・スフィンクスはこうなるのか……。」

 

50cmほどのモチモチの丸い身体はちゃんと上半身裸で下半身は獣なのだがちゃんと胸は炎で隠れている。

 

「力は据え置きなのか?」

「はい。おかげで最近はシルヴァーナとソラリスがいれば戦闘は問題なく行えます。」

 

俺より頭がいい奴が増えて助かる。

実際は魔力の管理が大変で戦闘中はマジックポーションをガブ飲みして家計を微妙に圧迫している。

 

「サキュバスとスフィンクス。噂に聞いて両方とも性格的に維持が難しい魔獣なのだが。お前はうまくやれてそうで良かったよ。」

「我は偉いスフィンクスじゃからな!行儀よくすることも可能ななのじゃ!」

(身体に応じて知能も低下してないか?)

「今では日常的にシルヴァーナとソラリスを出して行動できるようになりました。」

「それなら、もう実力はAランク相当だな。筆記の方は……」

「勿論ダメなのよ」

 

一人になってから2人には完全に依存しきっている。

時に召喚士が契約した魔獣に催眠をかけられて主導権を奪われる事があるのだが、彼の場合は催眠なしで2人の言いなりになりつつある。

 

「ダイスケ、背中がかゆいのじゃ」

「今かいてやる」コスコス

「ダイスケ、お腹すいた『マナドレイン』」ガブッ

 

シルヴァーナも『マナドレイン』をダイスケが痙攣しない程度に吸い上げるように調整できるようになっていた。

 

「今度、新たに魔獣をキャプチャーしに行こうと誘おうと思っていたんだが、これ以上はお前の身が持たなそうだな」

「あははは………はぁ。そうですね。」

「しかし戦力は足りてそうでよかった。」

「そうっすね。リーさんは元気ですか?」

「ああ、今は私の家で手伝いをしてもらっているよ。サイズが小さいから家の中で活動できるのが重宝してね。」

「……え?今家にいるんですか?召喚獣って召喚者からそんなに離れられないですよね」

「ああ、特殊なアーティファクトを使って家まで魔力を供給してるんだ。」

「へー、便利だなぁ。」

 

そんな話をしてるうちに『ミステージホロウ』に着いた。

数軒の民家と酒場が一軒だけある小さな村で住人はほとんど自給自足で暮らしており、行商人がたまに来るぐらいの僻地の集落だ。

 

「宿はそこの空き家だ。荷物を置いたら酒場で村長の話を聞くぞ。」

「分かりました。」

 

荷物を置いて酒場に出向くとエルフの男性が出迎えてくれた。

 

「どうも、よく来ていただけました。私がミステージホロウの村長です。」

(おー、エルフだー。)

「Aランク冒険者の召喚士のヴァレリアだ。こっちは弟子のダイスケ。今はCランクだが実力はAランク相当だ。」

「どうも〜」

「着いて早々に依頼の事なんだが。最近、森に入った若者たちが戻らない。夜になると霧の中から囁きが聞こえてくるんだ。『おいで、おいで』と……。君たちのような召喚士なら、『精霊の耳』で本当の声を聞き分けられるだろう。」

(できねぇ〜『精霊の耳』〜)

 

『精霊の耳』は召喚士が使えるスキルで喋れない魔獣の声を聞き取ることができるスキルである。

 

「ええ勿論。我々に任せてください。」

「そうか、腕利きと聞いている。いち早く解決してくれ」

「わかりました。」

 

宿の空き家に戻り森に入る準備をする。

 

「先生って女性らしい言葉使えたんすね」

「ああ、気を使うのは面倒だがそれができないともっと面倒なことになるんだ。お前も言葉には気をつけたほうがいい。」

「それで、俺『精霊の耳』使えないんですけど」

 

装備の準備をしていたヴァレリアの手が一瞬止まる。

 

「……そうか。」

「大丈夫よ、ヴァレリア。私たちが何とかするから」

「我もいるぞ!」

「そうだな。」

 

止まった手をまたすぐ動かしだす。

本当にすんません…

準備が整ったら直ぐに捜索に出る。

 

「『サモン』」

 

自分はクロとカツとモッチを出す。

ヴァレリアさんは『精霊の耳』を使う。

 

森に近づくと霧が出てきた。

 

「ダイスケ、はぐれないようにクロに乗ろう」

「はい。」

 

視界は5メートル程しかない森を進む。

いざと言う時に頼りになるのは先生の召喚獣だ、

自分は足に徹する。

 

『おいで……おいで……』

「………おお!本当に聞こえてきた!」

「ぷぎっ?」

「もっち………」

「わふ?」

 

自分の召喚獣は機能していないようだ。

 

「あー、はいはい。わかった。」

 

ヴァレリアが杖を振ると霧の中からスライムが現れる。

 

「ダイスケ、倒せ」

「はい!『サモン』ソラリス」

「我の力を見よ!」

 

ソラリスは炎を吐くが直ぐに逃げて消えてしまった。

 

「あ!逃げたっ!」

「待つのじゃ!」

「無理に追わなくていい。」

「え?でも!?」

「『幻惑スライム』だな。スライムの派生で幻惑で小動物をだまして捕食する。通常なら人間に効くほどの幻惑は出さないはずだがこの森の濃い霧も相まって人が釣れてしまって味をしめたのだな。この規模で被害を出しているなら奴らの住む巣窟があるはずだ。それを探そう。クロ、匂いを覚えたな?」

「わふっ」モフモフ

「え?うわあああああああ!!」

 

クロが勢いよく走り出すと道なき道を通る。

 

「ちょっと、ぶつかるぶつかる!!」

「ハハハハハッ!大丈夫だ!全部幻、クロは全部見えてるようだぞ!カツ。君も渡せた行方不明者の匂いを辿ってるな?」

「ぷぎっ」モチモチ

「そうかそうか。やはり行方不明者達は巣窟に集められてるそうだぞ!」

「わかってても!慣れないって!って崖?溝っ?落ちるううううううう!!!」

 

崖の溝だっと思ったところにそれはなくクロは進み続ける。

 

「クロとまれ」

「わふっ」モフモフ

「……………っ!」

「いい加減離せ」

「あっ、すみません。」

 

お恥ずかしながら後ろから先生に抱きついていた。

 

「あそこに人影が見える。」

「じゃあ助けないと!」

「ああ、本当にいればな……」

「なんか怖いこと言わないでくださいよ……」

「幻の話だバカモノ。」

「たすけてぇ……」

「なんか聞こえるんですけど?」

「…………被害者だ。」

 

人影に近づいてみるとボロボロの冒険者がいた。

 

「彼女を保護するぞ。」

「はい!」

「大丈夫か?」

「クイーンスライムが………」

 

先生が治療をしている間に行方不明者リストを確認する。

 

「名前は?」

「ミラです……」

「行方不明者リストにありました。冒険者です。」

「クイーン個体がいるのか………」

「グルルルルッ」モフモフ

 

クロが警戒する。

 

「悪いが手を離せない。邪魔者の排除を頼む。」

「はい。『サモン』シルヴァーナ、ソラリス」

「やっと私の出番ね」

「今度こそやるのじゃ!」

「ワンっ!!!」

 

クロが大きく吠えると霧が少し晴れて先ほどよりも大きなスライムが現れた。

中型の幻惑スライムである。

 

「ぎーー!!」

「くるわよ!」

 

シルヴァーナの鋭い爪による切り裂き攻撃とクロの噛みつき、ソラリスの炎を掻い潜り、巨大なスライムがダイスケに迫る。

 

(いやぁ。自分も攻撃魔法の練習しておいてよかったぁー)

 

「なぬ!?」

「ダイスケ!避けて!」

「マジ…………ボンバー!!!」

 

杖の先に魔力を溜めてそれを飛びかかるスライムへハンマーのように打ちつける。そして……

 

ボンッ!!

 

爆発ともにスライムが弾け飛び、そして俺も吹っ飛び木に叩きつけられる。マジックボンバーは意図的に魔法を失敗させて暴発させる技である。発動の触媒となる杖の先でを起こすので自分も吹っ飛ぶが威力はある。『幻獣の囁き杖』が頑丈だからできる技である。

 

「「ダイスケ!?」」

「へへっ、やったぜ。」

「怪我人を増やすなバカモノ!」

「大丈夫です。ポーションで回復するんで。」

 

ポーションを飲んでフラフラと立ち上がる。

 

「ふぃー。楽勝」

「フラフラじゃない時に言いなさいよ」

「それは相打ちというのじゃ」

「それで、ミラさんは治ったのか?」

「いや、怪我がひどくてな。もう少しかかる。だから、ここから先はお前一人で頼む。」

「……わかりました。」

「コレを持っていけ」

 

投げ渡されたのはペンダントである。

 

「『星のコンパス』だ。夜限定だが私の場所を示してくれる。私はここに拠点を作って治療を続けるから行方不明者をここにつれてきてくれ。」

「わかりました。スライムは倒さなくていいんですか?」

「無理はするな。もし本当にクイーン個体がいるならAランクが複数人で戦う案件だ。その巣の中に入るのはかなり危険。最悪、救出はあきらめて逃げろ。いいな。」

「わかりました。」

 

ここから先は一人だ。

意を決してクロにまたがる。

背後にはヴァレリア先生が召喚した巨大な魔獣達が彼女たちを取り囲む。

これならば安全地帯が作れるだろう。

クロが案内した場所はそこまで大きくない洞窟だった。

 

今回呼ばれたのが俺でよかった。

俺以外の召喚士ならばまともに戦えない洞窟である。

魔獣は強くなるほど大きくなる傾向があるためこのような洞窟では身動きが取れなくなる、下手すれば召喚者が押しつぶされるだろう。

 

「クロ、ここまでありがとう。」

「わふっ」モフモフ

 

クロも戦うには身動きが取りにくい大きさだ。

ここから先はカツとモッチの出番である。

最大限警戒するためにカツ、モッチ、シルヴァーナ、ソラリス。

四体の召喚獣を出して慎重に進む。

日頃おしゃべりな2人も今ばかりは静かに俺の両肩にしがみついている。なんで?俺が身動き取れないんだけど?

 

「………モッチ」モチモチ

「……ぷぎっ?」モチモチ

「モッチ」モチモチ

「モッチが『分かれ道だ』って」

 

一本道にしか見えない道であるがこいつらが言うならあるんだろう。信じて壁に直進すると道が現れる。

 

「………見つけた。」

 

洞窟の中で行方不明者達が倒れていた。

 

「ストップ。まずは本物か一人一人の確認が先よ。」

「……………ブギ!」

 

カツとモッチが確認していく。

その間にクロを召喚し背中に不明者を乗せていく。

 

「よし、これで最後……全員とは行かなかったか……」

 

行方不明者リストには3人でほど足りない。おそらくもうすでに……

 

『おいで……おいで……』

 

周りの空気が変わる

 

「………ダイスケ、お出ましよ。」

 

殺気を感じてゆっくりと振り返る。

視線の先には巨大な幻惑スライムとそれの小さいやつが多数。

 

「ソラリス、本気の炎は俺たち蒸し殺されるから外に出るまで無しで……」

「なんじゃと!?」

『おいで……おいで……』

「よーし…………やってやろうじゃねえか!クロ!先走れ!」

「わふっ!」モフモフ

 

スライムたちの攻撃を躱しつつ敵を連れて洞窟の外に走る

 

(よし、光が見え…………)

「ダイスケ!もう無理かも!?」

「追いつかれるぞ!」

「くっそっ、おい!2人としっかり捕まってろよ!」

 

ダイスケがくるりと回って後ろを向いて出口に向けて大きく飛ぶとやることを察した2人はダイスケを引っ張る。

 

「ガチ・マジ・ボンバー!!」

 

ボンッ

 

爆発の勢いで一気にふっとばされる。

洞窟の崩落させることはなかったがその衝撃が逃げなかった分威力が我々に還元される。つまり、それだけのダメージを近くにいたやつ全員が受けるのである。

 

「………あーそとかー」

 

気がつくと外にいた。一瞬気を失ったがクロが先生のもとに向けて走る足音が聞こえる。召喚獣が戻る前に意識を取り戻せたようだ。

 

(リストの人、全員を助けることはできなかったけど……あれだけ助けられればいいか……)

 

「重いのじゃ!」

「重い!退きなさい!」

「ぐへぇ」

 

2人に押されて転がり仰向けで靄のかかった空を眺める。

 

「生きてるわよね?」

「なんとか……でも体動かねー。多分何本か骨やったー」

 

穴から巨大なスライム、『幻惑クイーンスライム』とその眷属たちが現れる。見るからに機嫌が悪い。

 

(毎度毎度、上手く行かないもんだな)

「やっば、逃げるわよ。」

 

シルヴァーナに掴まれて飛んで逃げる。

追いかけるスライムたちをソラリスが炎で蒸発させる。

その頭上を大きな影が通り過ぎていった。

 

「な、なんじゃ!?」

「でっか。」

「おそらく先生の召喚獣だ。」

 

そう言っているうちにヴァレリア先生の作った簡易拠点にたどり着く。

 

「ダイスケ、よく生きて戻った。帰ってきた者達は全員無事だ。クイーンもよく外に出してくれた。あとはモルトが何とかする。」

 

ヴァレリアの最大戦力、ケルベロスのモルトが戦っているらしい。

 

「今度こそ死ぬかと思った。」

「少しは戦闘魔法を覚えなさい……」

 

そんな話をしている間に先生が回復魔法をかけてくれる。

 

「それか、もっと便利な魔法やスキルを使える召喚獣を捕まえるんだな。」

「確かに私たちってピーキーというか……私ができるのってバフと物理攻撃だし、ソラリスの攻撃はほぼ炎だし、代わりに魔法が使える召喚獣を捕まえるのは良いかもね」

「あー。回復できる召喚獣ほしいかもー。」

 

このままヴァレリア先生が用意していた担架の上でクエストをクリアし、そのままファスターに帰ることとなった。

 

報酬:100000を受け取った。

 

「ここに、私がお前用に選んだ召喚獣のリストを置いていく。どれも強力できっとお前の力になるだろう。元気になったらキャプチャーしに行くといい」

「はい……ガンバリマス……」

「今日はゆっくり休むといい」

 

そう言ってヴァレリア先生は出ていった。

ここはギルドの病室。

初めて来た気がする。

 

「はーい♪往診でーす♪」

(デッ……え?)

「体温チェックしま〜す。」

 

なんかすっげぇ爆乳のナースが病室に入ってきた。

隣の病床から往診するようなのだが、

 

「体動かなくてよ〜体温検査頼むよ〜」

 

明らかに嘘な事を言う隣のけが人。

 

「はーい。じっとしていてくださいねぇ」

 

体を密着させて体温計をセットするナース。

至福の表情をするけが人。

 

「はーい。体温高いですねぇ。」

「セラフィナさん……お、おれ!」

「体温下げるお魔法をかけますね〜」

 

彼女が胸から取り出した杖を振った瞬間凍りつくけが人。

 

(…………え?)

「はーい♪次の方〜。」

「セラフィナさん。ちょっとベッドの下に物落としちまってよ〜」

(いやいや、今の見て引かないのか………やっぱり冒険者は攻めるなぁ。)

 

別の病床の冒険者がニヤケながらセラフィナにベッドの下に落としたものを取らせようとして尻に触ろうとする。

 

「あら〜それは大変ですね〜。」

 

次の瞬間、軽々と冒険者ごとベッドを持ち上げて物を取りその場に降ろす。

 

「はい〜。取れましたよ〜」

「あ、ありがとうございます。」

「体温は測れましたか♪」

「はい。」

 

あ、ヤベェ人だ。

 

「セラフィナ。届け物ですよ。」

「あらソフィアさん。ありがとうございます。」

「あんまり病人で遊ばないほうがいいんじゃない?」

「大丈夫よ〜。私の回復魔法の威力は知ってるでしょ?」

「だからって………まあ。そこのゴミ達が許すならいいけどさ………病床限られてるんだからサービスし過ぎないでよ。」

「わかってるって〜。『病人』と『怪我人』にはやらないから〜」

「はいはい……。ダイスケくん。セラフィナはギルドマスターの奥さんで元々冒険者だったの。変な気起こさないようにね。」

「はい……早く怪我治して出ていきます……」

 

このあと、まったくいきた心地のしない往診を受けて。

何らかの魔法で一気に回復してギルドを追い出された。

 

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