あのあと、爆乳人妻ナースについて…じゃなくてギルドマスターとかこのギルドの人についてシルヴァーナが勝手に調べていた。
ギルドマスターとソフィアさんとセラフィナさんイザベラ教官は元々同じパーティで冒険者をしていたらしい。
優秀な冒険者であったが、ギルドマスターが怪我を理由に冒険者を引退。ファスターでギルドマスターに就任、それを追いかけて3人が着いてきたらしい。その後、ギルドマスターは最初にイザベラさんとできちゃった結婚し直ぐに離婚、ソフィアさんと結婚し子供を2人もうけるも離婚、現在はセラフィナさんと結婚し子供が1人いる。その他にも婚外子が沢山いるそうで……
「クズ男ね。」モチモチ
「しかも、コヤツ。三又どころじゃなかったそうじゃ。」モチモチ
「うわぁ。」
知りたくなかったぁ。知り合いの生々しい部分。
「ギルドマスターも筆記試験が苦手で万年Dランク止まりだったらしい。噂だとギルドマスターになるために試験官を買収したとか口説き落としたとかそんな話になってるみたいね。ちなみに、ギルドマスターが抱いた女をリストアップしてみたけど見る?」
「いや、別に興味ないです。」
「えー面白いのにー」モチモチ
(なんか知ってたら殺されそうな情報を共有しないでくれよ。)
流石サキュバス。
この手の話は大好物らしくホクホク顔である。
「で、そんな話は今はどうでもいいんですよ。本日の議題はこのリストの召喚獣でどれをキャプチャーしに行くかってところなんですよ。」
「あー。それねー。」モチモチ
「ドラゴン、メデューサ、セイレーン。どれもとても強そうなんだけど。捕まえられんの?」
「ワシを捕まえられたのじゃから。できるじゃろ。」モチモチ
「問題は多種多様な魔法を扱える魔術はその分頭もいいから。見つけるのも大変よ。」モチモチ
「ってことは普通に見つかって売られるやつってバ」
「『マナドレイン』」モチモチ
「あばばばばば」
ごめんて
「特にドラゴンなんて一番の難関よ。頭のいいドラゴンは自分のテリトリーに隠れてるか人に化けて街に入り込んでるんだから」
「へー。人に化けるのか……お前ら見破れるのか?」
「無理よ。カツたちにも無理。奴らは自然のマナを操って人そのものに情報を書き換えてるの。魔法で作り出す幻と違ってそのものの情報なのよ。見分けも嗅ぎ分けもつかないわ」モチモチ
「単純な強さも本気の我より強いぞ。」モチモチ
思い返してみるとソラリスは幻惑スライムを一瞬で『蒸発』させていた。火力だけならかなり上位の魔術になる。
ただ、この間は森林地帯や洞窟内では本気の炎は俺たちが危なくて使えないだけ。ソラリスが優しくてよかったよ本当に。
「じゃー。メデューサかセイレーンかー。」
「こやつらは見つけるのは簡単じゃな!出れば大事件だから直ぐに依頼ボードに貼られるぞ………あった!」モチモチ
ソラリスが持ってきたのは『セイレーン』の目撃情報と駆除の依頼だった。それより気になった事がある。
「お前飛べたのか?」モチモチ
「ああ、ずっと遺跡に居て忘れてたんじゃが。我。飛べた。」モチモチ
「そりゃスフィンクスは飛べるでしょ?」モチモチ
「知らんかったー」
今度からカフェでわざわざ持ち上げて子供用の座らせるのはやめよう。自分で座れ。
「それで、この依頼受ける?結構難易度高いし遠いけど」モチモチ
目標:セイレーンの対処
場所:アクアリス
報酬:300000G
「アクアリスって都市なんだっけ?」
「そうね、貿易港のある大都市よ。」モチモチ
「港ってことは海か……。行ってみるかー。」
依頼書を持ってソフィアさんに伝えに行くと。
「アクアリスに行くんですねー。丁度いいや。コレを向こうのギルドに持っていってもらえますか?」
「なんですかコレ?」
「内緒です。向こうには話は通しておきますので、アクアリスのギルドの受付に渡してください。」
「わかりました」
渡されたトランクケースを持って席に戻る。
「ナニコレ?」モチモチ
「向こうのギルドに持ってってーだって。中身は内緒だって。」
「へー。」モチモチ
「うむ。密命じゃな。」モチモチ
「よーし、大都市『アクアリス』にいくぞー!」
次の日、ダイスケはアクアリス行きの汽車に乗っていた。
依頼書によると、件のセイレーンは最近、沿岸の貨物船の船員たちを次々と海に引きずり込み、姿を消していた。目撃情報は曖昧だが、満月の夜に歌声が聞こえるという。
「こっわ」
「憲兵たちも手を焼いているそうよ。」モチモチ
「ほかの冒険者たちは何やってんだ?」
「問題はそこね。報酬も悪くないし依頼主も貨物船のオーナー企業よ。変なうわさが立ってるわけでもない。そりゃ難易度高い依頼だけど何で残ってるんだろ?」モチモチ
「貿易港って事は貿易船がたくさんあるんじゃろ?そんな港で魔獣と一緒に冒険者が好き勝手暴れたらどうなるか考えたらわかるじゃろ。」モチモチ
「「あー。」」
下手に積荷を壊したら300000Gじゃ安いくらいの賠償になる。
「セイレーンってデカいのか?」
「おそらくこの規模の被害出すのは元の我と同じぐらいはありそうじゃな。」モチモチ
「へー。デケえな。そんなんが暴れたら大事故が起きるわ。」
「だからなのね………コレ結構大変よ。」モチモチ
「いざとなったらルークに借りよう。」
そんな話をしていると。
「相席いいかしら?」
「えっと、召喚獣いるけど大丈夫?」
「ええ構わないわ」
大きな鞄を持った身なりの整った美しい女性が客室に入ってきた。
「ありがとう。どの席も埋まってて困ってたのよ。」
「へー。旅行ですか?」
「いいえ、仕事の帰りよ。出張だったのよ。この子たちは?貴方の魔獣?」
「はい。召喚獣です。」
「ってことは召喚士さんなのね。」
「そうです。」
「へー。そうなの………いやダメよ。今、完全に仕事モードに入りそうになったわ……」
「大丈夫ですか?」
「実は私、魔法石扱ってる会社で働いてるの。今もその商談の帰りなのよ。」
仕事以外で仕事の話するのは確かに嫌だろう。
「私、ローチェ。貴方は?」
「ダイスケって言います。コッチがシルヴァーナでコッチがソラリスっていいます。」
「へー、かわいーー。」
「サキュバスのシルヴァーナです。」モチモチ
「スフィンクスのソラリスなのじゃ。」モチモチ
「特にこの娘、実家のペットを思い出すわー」
そう言ってソラリスを抱き上げる。
「へー。そうなんですねー。」
「そうそう。名前も同じソラリスって言ってね。だれかが太陽の神様から付けた名前なの。懐かしいー。」
働くお姉さんの心の癒しになるなら別にいいか。
そんなことをしているうちに港の大都市『アクアリス』へ到着する。
「これ、私が働いている会社なの。もしよかったらうちのブランドの魔法石を使った杖も試してみてね」
「はい。」
「またどこかでー!」
手を振るローチェさんと別れる。
もらった名刺の企業、貨物船のオーナーじゃん。
「はー、緊張したぁ……」モチモチ
「どっと疲れたのじゃ」モチモチ
「え?確かに俺も緊張するほど美人だったけど。話しやすくていい人そうじゃん」
「普通、知らない魔獣連れてる召喚士に近づかないわよ!」モチモチ
「しかもあの女。スフィンクスの我を見て『懐かしいー』って言ってたのじゃぞ!おそらく元冒険者か何かじゃろ。」モチモチ
「そういえば、思考は読めなかったの?」モチモチ
「無理じゃ、おそらくつけていたネックレスに魔除けが施されてあるんじゃろ。」モチモチ
「ともかく!あの女はかなりのやり手よ!気をつけなさい!」モチモチ
この世界に来てよく出会う見掛けによらないバケモンみたいな人たちを思い返してみる。
「あー……、今度会った時は失礼の無いように気をつけよう。」
ソフィア達の愛ある指導は彼に処世術を学ばせていた。
それから、ギルドに向かいそんな愛ある指導をしてくれたソフィアさんの依頼を終わらせることにした。
「すみませーん。ファームから来ました~」
「はーい。あ、ダイスケさんですねー。お話は伺ってますよー」
「コレ届け物です。」
「はい。中身を確認するので少しかけてお待ち下さい。」
アクアリスのギルド受付がトランクケースを開けると大量の札束が詰まっており、それを慣れた手つきで数え始める。
「はぁ!?現ナマ!?」
「あ、中を見てないんですね。偉いです。これ、ファスターのギルドマスターからうちのアクアリスに住む不倫相手への賠償金や子供の養育費なんですよー。」
「そりゃ依頼出せないし、中身も教えられんわ…」
「はい、満額受け取り確認しました。こちら報酬になります。」
報酬:5000Gを受け取った。
「今日からここ『アクアリス・ギルド』を拠点にお仕事なさってください。お部屋は2階の一番奥です。明日、先日被害に遭われた船の船長さんと依頼人である貨物船のオーナー企業の方が来られるので本日はお休みください。」
鍵をもらい当分お世話になる部屋に到着する。
「あー。なんか、俺も一気に疲れたわー」
「まさか現金輸送させられるとは思わなかったわね」モチモチ
「トラブル起きなくてよかったのじゃ」モチモチ
時間はもう夕方。
これから調査に行くのは難しいだろう。
「明日は船長さんとか来るんだし今日はゆっくりする…」
アクアリス・ギルドの宿でのんびりして過ごした。
「おはようございます!」
「おはようございます。ダイスケさん。そろそろ船長さんとオーナーさんが来るはずです。」
「わかりました。」
ギルドの受付嬢に応接室へと通されたのでシルヴァーナとソラリスと共に来客を待つ。
「船長さんと貨物船のオーナーの方がいらっしゃいました。」
「召喚士のダイスケです。よろしくお願いします。」
「『マリタイム・エメラルド号』船長のエリックです。」
「オーナーで『マリタイム社』のガストンです。お噂はかねがね聞かせてもらっていますよ。そちらの子たちは?」
「自分の召喚獣でして……いろいろ便利なんです。」
ソラリスにスケッチブックとクレヨンを握らせてを膝の上に乗せていて、シルヴァーナにはアドバイスのために肩につかまっていてもらっている。
「それではセイレーンの目撃情報をお聞かせ願いますか?」
「ああ、それなら………」
テリック船長の話によるとセイレーンは決まって夕暮れの薄暮時に現れるらしいという事前情報があったため早めに船の明かりをつけて構えていたところ、セイレーンの歌声が聞こえて船員が数人悲鳴を上げて海に落ちたという。
その音を聞きつけて海に向かって『マリタイム社製雷撃弾』を撃ち込んだところセイレーンは去っていったのだという。
「私共の船には『マリタイム社』の対魔獣用品があったから助かったものの、特に漁船の被害がひどくて現在禁漁になってしまいました。それで、アクアリスの船を扱う者の代表として依頼させていただきました。」
「わかりました。………ソラリス描けたか?」
「できたぞ。おそらくこんな奴じゃろ。」
ソラリスが描いたのは虹色の鱗を持つ美しいセイレーンの姿だった。…………クレヨンでどう描いたんだ?
「おお、まさしくこんな姿だった。」
「わかったのじゃ。虹色の鱗を持つのはエルダー・セイレーンなのじゃ。」
「ちょっと待って、じゃあ。なんで、エンチャント付きの弾丸だったとはいえ市販されてる鉄砲の弾程度で逃げるのよ。」
「それは………」
「今回使われた『マリタイム社製雷撃弾』はテスト段階のものでして市販されてないんですよ。今回、クエストには我が社の社員も同行させてもらって製品のテストもしていただきたいのですが。よろしいでしょうか?」
目標:マリタイム社製品のテスト
場所:アクアリス
報酬:100000G
「少し会議させてください」
顔を突き合わせて会議する。
「どうしようか?」
「絶対にろくなことにならなそうだけど?」
「でも、断ると下手なところでちょっかい出されそうなのじゃ。」
「じゃあいっそのことOK出して脅して使えなくさせたほうが良いかもね」
「OK。でーす」
「そうですか。それではうちの社員と共に私の船で沖に出てください。船の運転は彼女ができるので。」
「わかりました。」
なんかきな臭いがガストンのもう一つの依頼も受けることにした。
運転手付きで船も借りれるしラッキーだ。
しかも、女性らしい。
ウキウキしながら船着き場に行くとビキニ姿の女性がサングラスをして銃の手入れをしていた。
「どうも、あなたが冒険者さんですか……ってダイスケさんじゃないですか。」
サングラスを外すとローチェさんだった。
「え?ローチェさんがテストするんですか?」
「聞いて下さいよ!上司に騙せれまして……はぁ……貴重な休みが……なにが、『会社の船を借りれるぞ』ですよ……」
マリタイム社、別の意味でろくでもなさそうな気がしてきた……
でも、美人のビキニ姿が見れたので神企業です。
「おい、企業の人間脅せよ」
「無理無理!絶対に無理…!」モチモチ
「仕方ないのじゃ。」モチモチ
この借りた船は会社の持ち物で主に社員たちの福利厚生で使われるものらしい。
「テストするのはこの弾丸ですか?」
「はい。開発部門の新製品らしいです。」
「へー。これで魔法が打てるんだー」
弾丸は魔法石を削り出して作られていて中に呪文が入っている……らしい。
「どうして、こんな小型化されているのに俺は魔法が覚えられないんだ……」
「あんたの脳味噌はコレ以下ってことよ。」モチモチ
ちくせう、何も言い返せねぇ。
「沖に出る前に食事とお手洗いだけ済ませましょう。」
上着を羽織ったローチェさんと共に港にあるお店でパエリアを食べる。他にも同じような客も多いようだ。
セイレーンのうわさは出ているが昼間は出ないのでただの観光地って感じである。
「美味しいですね〜」
「うめぇ。」
「あんまり食べ過ぎると船の上で大変なことになるわよ。」モチモチ
「たしかに……、おかわりはやめておこう……」モチモチ
「……それにしても、酷いですよね!休めるって聞いてたのに他部署の仕事を振られたんですよ!セクハラもパワハラも多いし!もう!今度こそ辞めてやるんだからぁ!」
「お酒飲んでないのよね?」モチモチ
「ただのジンジャーエールなのじゃ」モチモチ
「ローチェさん。面白い人だな……」
なんやかんや、身支度を済ませて出航する。
「この銃って俺が撃ってもいいんですか?」
「大丈夫ですよ。でも誤射と反動に気をつけてくださいね。」
「わかりました。」
やったぜ。
「魔弾銃撃ったことあんの?」モチモチ
「ない、初めて。」
「魔力を込めて引き金を引くと打ち込めるわ。魔法じゃないから打てるはずよ。」モチモチ
「へー。」
これちゃんと取説あるやん。ラッキー。
安全装置とかはなく。結構強めに魔力を込めて引き金を引く必要があるらしい。しかも、水中でも打てる優れもの。ただし、魔弾の効果によっては危険なので注意なんだそう。そりゃそうだ。
「まあ、これだけわかりゃいいや。」
「そうね。どうせテストだし。」モチモチ
「どうするー?沖に着いたけど。釣りでもするー?」
「「「するー」」」
あまりにもやることがないので釣りをして時間を潰す。
「オー!きたきた!」
「ダイスケさんすごいです!大物ですよ!」
「網持ってきたわよ!」モチモチ
ローチェさん。本当にいい人だ。少しブラック企業に擦れてるけど……美人だし。ワンチャンあるんじゃね?
そんなことを少し考え始めた頃、日が落ち始め仕事の時間が来てしまう。
「そろそろ時間ですね。」
「そうっすね。」
杖を構えその時を待つ。
日が完全に水平線の向こう側に落ちてすぐ、歌声が聞こえ始める。
『らーららーらー♪』
「聞こえましたね」
「そうっすね。」
『らーららーらー♪』
「くそっ、どこからっ……っうわっ。」
「「ダイスケ!?」」モチモチ
突然飛ばされてきた水流に押し流されて海に落ちる。
「ごボボっ」(クソがもう!)
『らーららーらー♪』
巨大な虹色の鱗のセイレーン。
エルダー・セイレーンが待ち構えていた。
ダイスケに続いてローチェさんも落ちてくる。
(ファッキンマーメイド。ローチェさんはやらせねえぞ。)
ダイスケは躊躇なく魔弾銃の引き金を引くと。
打ち出された弾丸はエルダー・セイレーンの身体に命中し放電される。
「あばばばばばばばばばばっ」
(やっべぇ、やっちまった。)
ローチェさんや自分も巻き込んだ放電はセイレーンを失神させた。が直ぐに戻ってしまうだろう。
(『サモン』)
クロを召喚して船に上がろうとするがローチェさんがいたところを確認するとすでに彼女の姿はなかった。
(え………ローチェさんは?)
セイレーンの姿もない。
他の海洋生物もスタン状態であるため他の魔獣に襲われたはずもない。
仕方なくクロに捕まり船に上がる。
「ダイスケ!?大丈夫?ローチェさんは?」
「わかんない!!突然いなくなったんだ!!」
「嘘でしょ!?」
「我、他の魔獣の気配なんて感じてないぞ!」
「くそっ、もう一度さがし……」
ズドンッ
巨大な水柱と共に真っ二つにされたセイレーンが船に打ち上げられる。
そして、エルダー・セイレーンよりも強大な存在感に三人とも喋れなくなる。
エルダー・セイレーンを真っ二つに切り裂き船の上に打ち上げた本人。
『クリスタル・ドラゴン』
宝石の鱗を持つ美しい姿を持ち様々な魔法を扱う龍。
何故ここに居るのか分からないが。
ここに居る全員が察した。
(((下手しなくても死ぬ。)))
「ダメじゃないですか!ダイスケさん!雷撃弾を水に落ちたときに撃ったら!」
「え?」
「まったく。今回は無事でしたけど危険なんですからね!」
「あの……ローチェさん?」
「ええ、そうですよ?」
「あー!ローチェってあのローチェじゃったのか?」
「え?知り合い?……………あー!実家のソラリス!」
「えっどういうこと?俺にも詳しく!」
つまり、ローチェさんはクリスタル・ドラゴンで大昔の子スフィンクスの頃、とあるドラゴン族の家で飼われていたソラリスはローチェさんに会っていたそう。
「えー……あー………ええええぇ………」
ぐったりとうなだれるダイスケ。
「美人とワンチャンあると思ったのにぃ!!」
「なんでダイスケさんは泣いているのでしょう?」
「あのバカは気にしないでいいわ。それよりも何で人に交じって仕事なんてしてるのよ。」
「実は私、宝石が好きでして……マリタイム社で宝石商の仕事をしているうちにだんだん他の仕事を任されるようになって…………なんか、苛立ってきた。会社なんて辞めてやるんだからぁ!!」………ズドーン
クリスタル・ドラゴンの光線により停泊中の『マリタイム・エメラルド号』が沈没した。
「ふうっ。スッキリした。」
「…………」
「…………」モチモチ
「…………」モチモチ
「帰って、ドラゴンが出て、あなたが撃退したことにしましょう。」
「うわびっくりした!」
人の姿になっていたローチェさんに後ろから話しかけられて飛び跳ねる。
「そんなに驚くほどですか?ソラリスも強いじゃないですか。なんで助けてくれなかったんですか?」
「我だって人が居なければ海を蒸発させてセイレーンを焼き殺してたわ」
「そっか。報告書もいいや。もうやめるし。帰りましょう」
その後、ダイスケは放心状態のまま港に着き、報告した。
港は大騒ぎになっていたが元凶のローチェさんは「死ぬほど怖かった!」と大泣きし辞表を提出していた。女って怖い。
そして、俺はいつの間にか『セイレーン殺しのドラゴンを撃退したアクアリスの英雄』として領主から勲章を貰い受けてしまった。
そして今、アクアリスに居づらくなったので帰りの汽車の中にいる。
「釈然としねえ」
「びっくりね。」モチモチ
「我、もう少し大変だと思ったのじゃ」モチモチ
「私はあんな魚に何を苦戦してるだろうって思ってましたけどね。」モチモチ
ローチェさんが仲間入りしている。
仕事を辞めても魔法石が集まりそうな冒険者の召喚獣になることにしたらしい。それで現在、今一番有名になりつつある俺のところに来たんだそう。
俺のスキルの影響で巨大なドラゴンの姿ではなく。龍人のマスコットのような姿で客室に他の2人ともに対面席にチョコンと座っている。
「それで、その姿で本当にいいんですか?」
「全っ然大丈夫。社会人の仕事なんてもうこりごりよ!」モチモチ
「さいですか……」
マリタイム社はマリタイム・エメラルド号の沈没の打撃による経済的な打撃はかなり大変そうだが、ドラゴンを撃退した俺を招待したということでそれで何とかブランドの価値を上げている。
実際はブラック企業体質が産んだマッチポンプなのだが……
「さて、貴方達のメインの収入って何かしら?大型モンスターの討伐?それとも要人警護とか?」モチモチ
「主な収入は、ファスターの街で起きてる魔獣被害の鎮圧と異変の調査」
「へー。思ったより雑務ですね」モチモチ
雑務とは何か?しっかりした仕事だが?
「自分まだCランクなので……」
「え?」モチモチ
「ダイスケ筆記試験が苦手すぎてずっと落ちてるのよ。実力は多分Aランクに近いけど……」
「そうですか………」モチモチ
引かないでよ。
「クリスタルドラゴンが仲間になってよかったわね。もう、魔法には困らないわよ」モチモチ
「魔法に困ってたんですか?」モチモチ
「実はおはずかしながら魔法全然覚えられなくて……」
「………」モチモチ
無言で頭抱えないでよ。悲しいじゃん。
「わ、私が来たからには魔法で不自由させませんよ。」モチモチ
「よっ、魔法担当大臣!」モチモチ
「最強生物!」モチモチ
「クリスタルドラゴン最強!クリスタルドラゴン最強!」
「私をもっと敬いなさい」モチモチ
席に立ち上がり胸を張るローチェ
「というわけで、まず、ギルドに出す報告書を書いてもらっていい?」
「いいですよー」モチモチ
多分、こうやって仕事を断れないんだろうなぁ。
ダイスケは上機嫌でスラスラと報告書を作成するローチェをみて思ったのだった。