中層、最初の死線(ファーストライン)と呼ばれている階層域であり
上層とはモンスターの強さや遭遇率が格段に上がり、更に出現するモンスターも徒党を組み襲ってくるタイプや、魔法に近い遠距離攻撃を繰り出してくるタイプも出現し、ベルと因縁深いモンスター、『ミノタウロス』が出現する階層でもある。
基本はLv.1のみのパーティでは攻略不可能で譬えLv.2でも単独での探索は自殺行為であり、単独の探索にはLv.3以上のステイタスが必要になる。十三から十七階層は上層と同じ洞窟タイプのダンジョンだが、十九から二十四階層は森林タイプのダンジョンとなる。
「ここが中層、上層と似た感じなんですね」
「見た目は、な」
ベルの暢気な発言に俺は軽く流していると…。
「構えろ、来るぞ」
その言葉に反応して臨戦態勢に入るベル達に襲い掛かってくるのは黒い犬のようなモンスター・ヘルハウンドと手斧を持った白兎のモンスター・アルミラージ。
ちなみにだが、アルミラージでベルいじりをしたのは楽しかった。
そうして、モンスターの襲撃が途絶えずベル達の疲労は既に限界に達していた。
「終わりが見えない…」
「ふざけろ、まだ来るってのかよ⁉」
「もう、いい加減にしてほしいくらいです!!」
三者三様の感想を言いながらもモンスターを倒していくが、徐々に押し負け始める。
「ベル、変われ」
その一言と共に俺が両手剣を抜いて武装色の覇気を纏わせて前に出る。
「断風」
剣を振るったその瞬間、モンスター達は魔石と怪物素材と化し離れた位置にいたモンスターも流桜によって魔石と怪物素材に変わる。
「凄い」
「これが【フレイヤ・ファミリア】の第一級冒険者…」
「ヤバ過ぎですぅ…」
ベル達に迫っていたモンスターの大群は一太刀で消滅するのだった。
「さて、次が来るまでに魔石と怪物素材の回収!!」
「は、はい!!」
そうして、全員で回収作業を終えて中層体験は終了して地上へと戻る途中、上層の十階層で今回の感想を聞くことにした。
「ベル、今回の中層探索でどう感じた?」
「はい、今の僕達じゃ中層では通用しないことが分かりました」
「だな、ベルはともかく俺もまだまだ力不足だ」
「リリも同じです、もっと素早くベル様たちの支援をしなくては…」
俺の投げた質問に三人は実際に味わって経験したことで自身の足りない部分を知ることが出来ただけでも良しとするが…。
「ヴェルフ、お前はその大刀の扱いが未熟だ。振ることなんぞド素人でも出来る」
「じゃあ、どう扱えばいいっていうんだよ」
「毎日大刀を振れ、それと浅い階層で良いから実戦で身体に大刀の扱い方を叩き込め。俺は両手剣の扱いをそうやって覚えた」
「んな無茶な…」
「椿は手合わせした冒険者の癖なんかを見抜いてその冒険者に合った武器を作るぞ」
「!! 上等だ!!」
少し卑怯だが、椿の名前を使ってヴェルフを焚き付ける。
「リリルカ、お前は戦場をある程度俯瞰してみることが出来ていたな」
「えっ、はい、サポーターですから戦闘では役に立つことが出来ないので」
「ならば、お前がこのパーティの
「そ、それは無茶ですよ!!」
「ベルもヴェルフも戦闘にかかりきりで周囲にまで手が回らん。ならば、随所随所で援護に入っていたお前の方が指示出し役をしろ。お前が二人を
「えぇ~~~~っ」
「ベル、お前は…」
「はい!!」
「今のままでいい、迷わず進め。揺れるな、お前が揺れればこのパーティは総崩れになる。今回の中層体験でお前達は一部ではあるが中層という未知を経験した。ならば未知を既知へと変えていけ」
「は、はい!!」
一通り言いたいことを言ったのでダンジョンの入り口まで着いたので俺はこう切り出した。
「じゃあ、俺はこれから深層に行ってくるからここでお別れだ」
「は、はい、今日はありがとうございました!!」
三人が俺に頭を下げるのを見てこう言った。
「強くなれよ」
そう言って俺は深層に向かうのだった。