多くの女性と婚約を結んだ日の夜、俺は都市壁の上で酒盛りをしている。
「月見酒ってのは良いものだな」ゴクッ
そう、蒼い月を眺めながら俺は極東の商人から仕入れた清酒を呷っては焼き魚と燻製にした鹿肉を食べていた。
「おや、こんな所で酒盛りしている者がいるとはな」
「アルテミス様・・・」
現れたのは神ヘスティアと同じ三大処女神に数えられる女神アルテミス。
「聞いたぞ、ケンマ貴方は多くの女性と婚約したそうだな」
「貴方からすれば不潔だというのでしょうけれど、俺は俺を想ってくれる女性を大切にするので」
「ヘラに誓って?」
「あんなイカレ
そう聞いてくるアルテミス様に俺はこう返答した。
「そうか、
その言葉を聞いたアルテミス様が笑みを溢した。
「何かおかしな事でも?」
「あぁ、それはそうだろ。だって、こういった事はヘラの方が向いている」
「いやぁ、俺としては過去の出来事からヘラだけはお断りですね」
俺は【フレイヤ・ファミリア】に入って以降のゼウスとヘラから受けた理不尽を思い出す。
「なら、ケンマ一つ良いだろうか?」
「なんです?」
「私と踊ってくれないか?」
「はい?」
突然の踊りの誘いに俺は目を丸くする。
「ヘスティアから自慢げに子供と踊ったことを話されてな。どれほどのものか味わってみたくてね」
「それ、ご自神の眷族と踊るからでは?」
「なに、ものは試しだ」
そう言いながらアルテミス様が俺に手を差し出してくる。
「私と踊ってくれ、ケンマ」
「喜んで」
そうして、俺はアルテミス様と踊ることになったのだが・・・。
まぁ、社交界で踊るような踊りは身に付けていないため演武のような感じにはなってしまったがアルテミス様が楽しそうだったので良しとした。
「楽しかった」
「それは良かったです」
踊り終えるとアルテミス様は笑顔でそう言った。
「感謝するよ、ありがとう
「はい?」
その次の言葉で俺の思考は止まりかける。
オリオン、その言葉が意味するものは「射貫く者」。
そして・・・、その言葉は本来ベル・クラネルが受け取る異名である。
「アルテミス様、それはどういう事ですか?」
「文字通りの意味さ、君は私の心を射抜いたということだ」
そう、俺は原作が始まる前に【アルテミス・ファミリア】と共に
その結果、ベル・クラネルの代わりに
奪ってしまった、そんなことは承知の上だった。
だが、まさかオリオンという立ち位置までそうなってしまうとは思ってもみなかった。
だが、それから逃げるわけにも行かない。
そうなってしまったのであれば男として責任を取らなくてはいけない。
そう腹を括った後、俺はこう言った。
「俺がオリオンとして・・・、アルテミス様は何を望みますか?」
「君と添い遂げたい」
「解ったよ、
そう言って俺はアルテミスを抱きしめるのだった。
「暖かいな、好きな者に抱きしめられるとこうも温かい気持ちになるのかオリオン」
「あぁ、そうだな」
こうして、俺はアルテミスとも結ばれるのだった。
ちなみにこの後、この事はフレイヤとヘルメスの手によってオラリオ中に知られることになり神々を騒然とさせ、男神達が阿鼻叫喚の悲鳴を上げると同時に【フレイヤ・ファミリア】はダンジョンで盛大に