フレイヤ・ファミリアの苦労人転生者   作:鬼塚虎吉

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アストレア・レコード
悪意の序章


暗黒期、三大冒険者依頼(クエスト)最後の一体である隻眼の黒竜にゼウスとヘラが敗れてから始まった「悪」の台頭。

 

邪神の眷族闇派閥(イヴィルス)と冒険者達との抗争が激しく起こっていた。

 

これは暗黒期にて苦労人が駆け抜けた話。

 

「また闇派閥(イヴィルス)共が暴れやがった」

 

「またか」

 

「日に何度現れれば気が済む」

 

「蛆のように湧きやがって」

 

そう言っているのは【炎金の四戦士(ブリンガル)】ガリバー兄弟。

 

「全くだ、こちらも妖魔共の相手が至極面倒だ」

 

「狂った輪廻を背負いし妖魔達、気持ち悪いよ〜〜〜〜〜っ!!」

 

「急に素に戻るな、馬鹿め」

 

次に声を発するのは【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】ヘディン・セルランドと【黒妖の魔剣(ダインスレイヴ)】ヘグニ・ラグナール。

 

この二人は闇派閥(イヴィルス)【アレクト・ファミリア】の幹部【妖魔】ディース姉妹の相手をしていた。

 

「チッ」

 

いかにも不機嫌そうに苛立って舌打ちをするのは【女神の戦車(ヴァナ・フレイア)】アレン・フローメル。

 

「⋯⋯⋯⋯」

 

そして、最後が厳しい面を更に五割増で厳しくしているのが【猛者(おうじゃ)】オッタル。

 

「おい、オッタルあの野郎はどうした?」

 

「⋯ケンマは女神の護衛に就いている」

 

アレンの問いかけにオッタルが答える。

 

「しかし、最近の闇派閥(イヴィルス)共の動きが妙だ」

 

「どういうことだ、ヘディン」

 

ヘディンの言葉にアルフリッグが問いかける。

 

「奴らはこれまでにも襲撃を繰り返してきた。しかし、なにやら時間を調節している気がしてならん」

 

「調節だと?」

 

「何を調節するというのだ」

 

「何かの作戦か?」

 

「それとも何かを引き入れるために時間稼ぎ⋯」

 

幹部会は平行線をたどり、お開きとなった。

 

 

 

「この状況、良くないわね」

 

「あぁ、俺達にとっても、群衆にとっても⋯」

 

フレイヤの言葉に反応する俺は都市を見下ろしながらそう言った。

 

「ケンマ、貴方は敵が何を考えているかわかるかしら?」

 

「さぁな。だが、嫌な予感はビシビシ伝わってくるぜ」

 

「そう⋯」

 

俺とフレイヤの会話は底で途絶えるのだった。

 

 

翌日、俺は見聞色の覇気で闇派閥(イヴィルス)の把握をしようと都市を歩いていた。

 

というか、俺は原作・外伝知識で闇派閥(イヴィルス)人造迷宮(クノッソス)にいることは知っているが⋯誰にも話せない。

 

話した所で俺が内通者と誤解される確率が高いからだ。

 

「チッ、ままならねぇな」

 

そう言いながら歩いていると、見聞色の覇気に炊き出しを行っている光景を捉える。

 

その中には【アストレア・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】のガレスがいた。

 

「おう、ガレス」

 

「ケンマか、お主も護衛にやってきたのか?」

 

「俺は闇派閥(イヴィルス)がいつ現れても良いように巡回だな」

 

「そうか、全く熱き戦いを求めてやってきたと言うのにこうも策略・謀略渦巻いていてはな⋯」

 

「全くだ、それに加えて豚がブーブーうるせぇしな。ダンジョンと闇派閥(イヴィルス)両方対処しろなんて言ってきやがって⋯。一回死に目に合わせてやろうか」

 

「止めておけ、虚しいだけだろ」

 

「それもそうか⋯ッ、ガレス!!」

 

「来よったか!!」

 

俺は瓦礫を拾ってある方向に投げる、そこにはある女がいた。

 

しかし、その女は瓦礫を避けてこう言ってくる。

 

「アブねぇじゃねぇかよぉ」

 

「そのまま頭頭カチ割れて死ねばよかったのに⋯」

 

殺帝(アラクニア)】ヴァレッタ・グレーデ、それがその女の名前だ。

 

殺人こそ己の至上としている生粋の猟奇殺人鬼(シリアルキラー)

 

【ステイタス】はLv.5、闇派閥(イヴィルス)幹部にして参謀の役目を持っている。

 

「お前はもう死ねよ、イカレ女」

 

「はっ、Lv.4のてめぇが何を⋯」

 

「断風」

 

「⋯⋯⋯っ!?」

 

ヴァレッタの言葉を遮るように喰らえば両断されるほどの速く鋭い居合の一撃は腹をかすめる程度に終わってしまう。

 

「あっぶねぇな⋯本当にLv.4かよてめぇは!!」

 

「数字だけを見ているようじゃ俺には勝てねぇぞ、小物」

 

「あ?」

 

俺の言葉はヴァレッタの琴線に触れたが⋯、そのヴァレッタに重い一撃が襲う。

 

「〜〜〜〜〜〜っ、てめぇかよドワーフ!!」

 

「数字で遊ぶのが好きなら儂が相手になろう」

 

しかし、ヴァレッタは興が冷めたと言って雑兵を生贄にして撤退していった。

 

「あのイカレ女、絶対に殺す」

 

「落ち着け、殺気をしまえ。他の者が怯えておるぞ」

 

ガレスの言葉に俺は深呼吸をして気を落ち着ける。

 

「悪いが、此処は頼めるか?」

 

「おう、お主は巡回を頼むぞ」

 

「あぁ」

 

これは暗黒期における日常、しかしこの日常はより一層の悪意に飲まれていくことを俺以外は知らない。

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