フレイヤ・ファミリアの苦労人転生者   作:鬼塚虎吉

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深層

オラリオに帰還した後、俺はその足で管理機関(ギルド)へ行き器の昇華(ランクアップ)の報告をする。

 

その後は本拠(ホーム)に帰って俺がいない間にたまった書類整理をこなしていた。

 

「あれ、おかしくない?」

 

「何がですか?」

 

「ちょっとフレイヤの護衛でオラリオの外に出ただけでこの書類の山はおかしくない⁉」

 

俺のさす指の先には十以上の書類の山が聳え立っていた、それに対して紅茶のお代わりを持ってきてくれたヘイズが…。

 

「それはですね、書類整理ばかりしている貴方がフレイヤ様の護衛として選ばれたことに嫉妬した強靭なる勇士達(エインヘリャル)が嫉妬の影響で問題を起こしまくったからですね」

 

「よし、あいつらぶっ殺してくる」

 

「ちなみにですが、私も少なからず嫉妬していることをお忘れなく…」

 

「………」

 

過重労働を強いられているヘイズの言葉にだけ申し訳なく思う俺だった。

 

朝の原野に出ると、洗礼を行う勇士達からの殺気溢れる視線を浴びせられる。

 

「ケンマ、貴様随分と調子に乗っているようだな…。貴様如きがフレイヤ様の護衛に就くなど…!!」

 

憤懣に満ちた声と顔でそう言ってくるのは半小人族(ハーフ・パルゥム)のヴァン。

 

「いや、呼び出されて伴侶(オーズ)を探しに行きたいと言われたからな」

 

「それでも、フレイヤ様の事を思えば…」

 

「知るか、あいつが自由気ままなのは今に始まった事じゃねぇだろ。前回抑え込んで脱走されてお前らの鬼気迫る様子に【ロキ・ファミリア】を刺激して全面抗争になりかけただろうが!!」

 

「あれは勘違いした【ロキ・ファミリア】が悪い!!」

 

「どっちもどっちだ、馬鹿共」

 

そう言いながら俺は両手剣を抜いた。

 

「まぁ、そんなことは些事だ。今、俺が言いたいことはテメェらの醜い嫉妬で仕事増やすんじゃねぇええええええええええええええええええええええええ!!」

 

その叫びと共に【フレイヤ・ファミリア】本日の洗礼は終了した。

 

 

なんとか俺はあの書類の山を片付けて装備を整え摩天楼施設(バベル)へと赴いた。

 

「あら、貴方がここに来るなんて珍しいわね」

 

「まぁな、フレイヤ今日から一週間暇を貰うぞ」

 

「それはどうして?」

 

「ステイタスを上げに深層に行ってくる」

 

「解ったわ、行ってらっしゃい」

 

「あぁ。あと、今日から本拠(ホーム)でヘイズ達満たす煤者達(アンドフリームニル)の望みを叶えてやってくれ」

 

「どうしたの、急に?」

 

「まぁ、礼と詫びだ」

 

俺はそう言ってダンジョンへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

深層、ここは真の死線(トゥルー・デッドライン)と定められる迷宮の最大危険領域でギルドの定めている適正基準はLv.4。

 

油断をしていれば第一級冒険者(Lv.5以上)でもあっという間に飲まれる危険地帯であり、あのアイズですら初めて足を踏み入れた時は怖いと心から感じたという。単独の攻略など絶対に不可能であり、単独で潜る事の出来るのは都市最強の冒険者オッタルだけだとされている。

 

『ギルド』によって一部の実力あるファミリアのみに情報公開が許されており、オラリオでも五指に入るであろう【イシュタル・ファミリア】ですらその全ての情報は明かされなかったという。下層以上に情報が規制されているその理由は、世界が違い過ぎて冒険者の心が折れかねないためである。火山タイプや荒野タイプ、上層以来の迷宮構造タイプのダンジョンなど、その種類は多種多様。

 

しかし、そんなことはどうでもいい。

 

俺はその深層の三十七階層の中を躊躇なく進んでいき見聞色の覇気で感知し、見敵瞬殺を実行する。

 

そして、俺はある場所に辿り着く。

 

その場所の名は闘技場(コロシアム)、そこではモンスター同士の殺し合いが行われておりその中には強化種も存在している。

 

故に、経験値(エクセリア)を稼ぐには丁度良い場所なのだ。

 

しかし、その性質上冒険者が一度足を踏み入れたならばその冒険者を殺すまで止めどない大津波と化す。

 

まず俺は闘技場(コロシアム)に入る前に両手剣を抜き武装色の覇気と雷のチャクラを纏わせ、一息を吐く。

 

「さぁ、行こう」

 

その言葉と共に俺は死地へと飛び込むのだった。

 

『オォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

侵入者を感知した瞬間、殺し合いをしていたモンスター共は俺に牙を剥く。

 

「断風」

 

その言葉と共に放たれた居合の一閃は襲い掛かってくるモンスターの大群を両断し、魔石と怪物素材(ドロップアイテム)に変えると夜の炎による空間移動でそれらを背嚢へと移動させる。

 

両手剣を縦横無尽に振るいモンスターを次々に魔石に変えていく。

 

疲労を感じてきた頃に、夜の炎で空間移動しある場所に転移する。

 

その場所というのは…。

 

「よぉ、ケンマっち!!」

 

「久しぶりだな、リド」

 

異端児(ゼノス)達の隠れ里である。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、地上では…。

 

「あの、フレイヤ様私をお呼びになられたのはどんなご用件でしょうか…?」

 

本拠(ホーム)に帰還した主神に呼び出されたヘイズは戸惑いながら質問する。

 

「ケンマがね、何時も頑張ってくれている貴女達満たす煤者達(アンドフリームニル)の子達を労って欲しいって言っていたの」

 

「…⁉」

 

フレイヤの言葉にヘイズは目を見開く。

 

まさか、あの時の言葉がこんな形で返ってくるとは思ってもみなかった。

 

「{ケンマさん、感謝します!!}」

 

ヘイズ以下満たす煤者達(アンドフリームニル)人員(メンバー)は至福の時間を過ごすのだった。

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