最強VS最強
「俺は、最強だ」
頭をガリガリと掻いて、白髪をポロポロと落とす。
「俺は最強なんだ。だから、オルステッド。最強は、お前じゃねぇ」
血生臭い魔導鎧。
それを着て、俺は小さく、小さく呟く。
「さぁ、始めようぜ」
俺の言葉と同時、襲い掛かるのは圧倒的な圧『龍聖闘気』
それを受けて、俺は笑う。
「俺がお前を超える物語……」
「……」
「ヒトガミに送る、最後にして最高の恩返しをな」
人族最強VS世界最強。
この称号と覚悟は、戦うには十分過ぎる理由と資格であった。
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「死神、北神、剣神。七大列強が続々とやられていた」
俺に向かって、龍神が呟く。
「返り血に染まる血生臭い鎧……そうか、殺したのは貴様か」
「まぁ、全員殺したわけじゃねぇけどな。まぁ、合ってるよ。殺したのは俺だ。何か悪いか?」
「……いや、何もない。そうか。二つの国を潰し、七大列強下位を全て殺した者。まるでラプラス。イカれた所業だな」
言葉を交わす俺たち。
どうやら、全て見透かされているようだ。
(とはいえ、俺も分かってんだよ)
奴が水神流の構えを取る。
奴がさりげなく待ちの体制に入っているのを、俺は見逃さない。
「……」
「……」
構えだけで分かる。レイダ・リィアよりも百倍強い水神流。
闘気は練り上げられ、格上なことは容易に想像出来る。
強くなったからこそ、ヒトガミのおかげで辿り着けた神の領域。
ここが、こここそが、剣神が分からねぇといった最上級の領域。
でも、まぁ、思ったほどじゃない。
「オルステッド。まずは、挨拶しておくよ」
右手を向ける。
そこから魔力を込め、発射するのに要した時間は0.01秒。
ズガガガガガ!
刹那、オルステッドが目を見開いた。
水神流の構えを取っていたオルステッドが動き始める。
爆音と共に龍神に降り注ぐのは、恐ろしいほどの岩の雨。
ガン!
「……0.1秒に100、いや、150か」
ガン!ガン!
神級クラスの技。ストーンキャノン。
それが、雨よりも速い速度で襲いかかる。
「一発一発。その全てが神級の威力。なるほど。これだけで殺せるな」
ガン!ガン!ガン!
甲高い金属音。
同時、オルステッドが俺に放つ言葉。
絶望の、短い言葉。
「俺以外であれば、だがな」
刹那、オルステッドが前に動き出した。
ストーンキャノンを強引に捌き、俺へと歩みを進めてくる。
一歩、二歩、三歩。
ゆっくりと近付く歩みは、俺の岩を捌き切る爆音よりも恐ろしい。
ザッ。
止まる歩み。
近付いた距離は、この言葉が証明する。
「ルーデウス・グレイラット。貴様のストーンキャノンでは、俺は殺せんぞ」
神刀を握り締め、オルステッドが俺の眼前で歩みを止める。
先ほどの圧が、今度は俺の目の前で爆発する。
輝くのは神刀。距離は、数メートルにも満たぬ接近戦。
距離を詰められた俺。
目に映るのは、俺を睨み付けるオルステッドの姿。
睨まれる俺。闘気を、殺気をぶつけられる俺。
そんな圧を受けた俺が取る行動は、一つ。
「はっ。普通なら、ビビるんだろうな」
俺が握るのは、王竜剣カジャクト。
込めた想いは『復讐』
「でもな、悪いな、オルステッド。生憎、俺は……」
誰にも聞こえないほど小さな声。
向ける相手は『龍神』
「ぶっ壊れちまってんだよ」
さぁて、見えるぜ。お前の顔が。
この距離なら、しっかりとな。
神刀を振りかぶるオルステッド。
俺は、ストーンキャノンを撃っていた右腕を地面へと向ける。
オルステッドの足元へと、最速で。
「泥沼」
刹那、オルステッドが目を見開いた。
奴はその速度に驚き、一瞬身体に力が込もる。
しかし、奴もまた最強。
剣を振るために踏み込んだ右足を瞬時にずらし、俺の泥沼を避ける。
「恐ろしいほどの生成速度。なるほどな。土魔術、その一点であれば、俺すらも超えるか」
「……」
「だが、甘いな」
まるで落雷。
光を超えるような速度で、オルステッドが剣を振るう。
不発に終わった泥沼……いいや、違う。当たらなかったのは、決して不発などではない。
「これだけ崩して50通りか……まぁ、上出来だな」
ボヤける予見眼。
未来を見据える眼は、オルステッドの動きすらも補足する。
ガン!!!
鳴ったのは、甲高い金属音。
カジャクトと神刀が、光る銀線と共にぶつかり合う。
「……これを、防ぐか」
予見眼は、決して万能ではない。
速い動き、それこそオルステッドの動きならば、500は遥かに超えるボヤけた未来が見える。
しかし、泥沼を避けさせる。この動きだけで、この500は簡単に減らせる。
「防ぐ?笑わせんな。ストーンキャノン。そんなもん、挨拶代わりって言っただろうが」
「……俺に水神流を強制させ、光の太刀を撃たせぬための技というわけか」
「正解だよ。じゃあ、それが分かってんなら、これも分かってんだろうなぁ?」
ここからだ。
ストーンキャノンで牽制し、泥沼で動きを制限し、予見眼で補足して、予測と勘で受ける。
カジャクトの能力上昇で、お前と撃ち合う。
さぁて、始めようぜ。
俺の気持ちは、何も変わらねぇ。
「お前の目の前に居るのは、最強を殺す人間」
ぶつかり合うカジャクトと神刀。
映るのは、俺の白髪と殺気。
「たった一人の、ヒトガミの友人だってなぁ!」
ロキシー、シルフィ、パウロ、ノルン。
そして、エリス。
今、コイツの生首を送ってやる。
龍神の血で、宴をさせてやる。
「……確かに、貴様は強い」
最上級の俺の欲『龍神殺し』
しかし、それを以てしても、最強は強い。
「だが、それだけだ」
ヒトガミの恩返し。
命を賭けた俺は、奴を前に目を見開く。
「強いだけ。それでは、俺には勝てん」
神刀を握る接近戦。
無傷の男のボルテージが、上がろうとしていた。
老デウスVSオルステッドについて。
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