もしも、老デウスがオルステッドと戦っていたら   作:あえch

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壊れた欲は、凶器となる。


老デウスVSオルステッド その2

─オルステッド視点─

 

ガン!!!

 

甲高い金属音。

それを受けて、俺は顔をしかめる。

 

「……不思議だな」

 

「……」

 

ガン!ガン!!!

 

俺の神刀は、奴のカジャクトに止められる。

俺は、それが不思議でならなかった。

 

確かに、奴は強い。

奴の予見眼は、俺の知っている予見眼とはまるで別物。

これほど予見眼と向き合い、最強へのピースへと昇華させた男を、俺は多大なループの中で何人たりとも見たことはない。

 

別格と呼ぶに相応しい偉業。

 

それに加えて剣技は、剣神、水神、北神の全てを凌駕し、土魔術は魔神すらも置き去りにする生成速度と効率。

 

強い、強い人族。

しかし、それでも、俺は不思議だった。

何故、奴が俺と打ち合えるのか、不思議だった。

 

「魔術も剣術も俺と同じ神級。しかし、貴様と俺では、天と地の差があるはずだ」

 

ガン!!!

 

火花が散る。

奴の鎧にこびり付いた血が、奴の言葉を加速させる。

 

「ふふ、なんだ、なんだよ。俺は魔龍王の劣化。そう言いたいのか」

 

理解した目の前の人族。

次のループのために、疑問は解決する。

俺の目標。達成させてやると、答えてやると開かれる奴の口。しかし、その言葉は、意味を為さない。

 

「撃ち合える理由、それは執念……いいや、欲だ。お前を、オルステッドを殺してやるっていう欲だ。それが、それだけが、俺の全てだ」

 

まるで、会話にならない。

誰にでも明らかな、奴の壊れた思考。

 

「恩返し。そんな、最高で幸せの欲だ」

 

「……そうか。ならば、その欲ごと叩き斬るしかないな」

 

終わる会話。

俺は神刀を握り締め、目の前の異変を睨みつける。

 

 

─────────────────────────

 

 

─ルーデウス視点─

 

面白い。最高だ。気持ちいい。

脳から何かが溶け出す。

俺は、今、ヒトガミに恩返し出来ている。

 

ぶつかり合う火花。

龍聖闘気。そんなものは感じない。

最強の自負。そんなものは、要らない。

 

「ははっ。はははっ!!!」

 

笑う。笑う。

俺は、今、笑えてる。

 

「最高だ、最高だなぁ!!!」

 

俺の抜けそうな白髪が揺れる。

そんな俺に、奴が言葉を放つ。

 

「人族が神級……それほどの努力と引き換えに、壊れたか」

 

奴の言葉。

俺には、意味が分からなかった。

奴は、神級を会得する努力なら知ってるとかほざきやがった。

俺の脳は、理解を示さなかった。

 

いや、良い。そんなことは、どうでもいい。

俺が目を見開いたのは、続く奴の言葉。

 

「俺が、終わらせてやる」

 

貴様を終わらせてやると。

初めて、ヒトガミ関係なく動かされているかもしれないと。

奴が、俺に向かって呟く。

 

楽しい、楽しい俺の時間。

壊れた俺に向かって、奴が指先を向ける。

 

『乱魔』

 

俺の欲が、終わりを告げる瞬間だった。

 

 

─────────────────────────

 

 

「ふっ、ふふっ。俺の欲が、この程度で終わると思ったのか?」

 

俺は笑う。

その理由は、単純。

 

「俺の泥沼に対して乱魔。お前の、最高傑作」

 

魔術を防ぐ乱魔(ディスタブマジック)

しかし、その最高傑作は、俺には無意味。

 

「乱魔。お前の傑作も、考慮すれば簡単に崩せるぜ」

 

ニヤリと笑う。

しかし、俺の笑みは、終わりを告げる。

 

「だろうな」

 

奴の言葉。

刹那、何かが俺の違和感をくすぐる。

 

「……は?」

 

目を見開いた。俺は、目を見開かざるをえなかった。

何故なら、奴の動きは、最強の神刀は、俺の目から消えたんだから。

 

ブン!!!

 

奴の神刀が、俺の魔導鎧の頬を掠る。

 

「なんで、こうなる?」

 

「崩しは一瞬でいい。それは、思考でも同じことだ」

 

「思考でも、同じ?」

 

俺は、再度目を見開いた。

思考への崩し。動きじゃない、思考への介入。

 

……そうか、俺は『考慮』したんじゃない。考慮させられたんだ。

 

魔術に考慮を含ませる一瞬の隙。

 

それを、奴は狙っていた。

 

「これほどの速度。思考を止めることは、死ぬことに等しいぞ」

 

奴の最高効率の泥沼崩し。

泥沼を放とうとする俺に放たれるのは、奴の魔術。

 

「ディスタブマジック」

 

止まる思考。

また、俺の頬を奴の神刀が掠る。

 

ブン!!!

 

「また、勘で避けたか。だが、次は無い」

 

オルステッドの言葉。

俺は、ぼーっとする。

何も考えず、しかし、全ての五感を研ぎ澄ませる。

 

………

 

……

 

…ふふっ。なんだ、なんだよ。まだ、楽しいじゃねぇか。

 

睨み付ける最強。

勝ちを見つめる最強。

 

負ける、俺。

 

……いいや、違う。

まだ、俺の欲は終わらせねぇ。

俺の恩返しは、家族の想いは、終わらせねぇ。

 

刹那、俺も奴と同様左指を向けた。

それに合わせて、奴も俺に指を向ける。

下に向ける泥沼か、はたまたヤケクソの至近距離ストーンキャノンか。

誰もが、そう考える。オルステッドだって、そう考える。

 

だから、これだ。

 

なぁ、そうだろ?みんな。

これが、俺の想いだろ?

 

俺が指先を向けた先。そこは『上空』

 

ボトン。

 

刹那、オルステッドが目を見開いた。

鳴ったのは、醜く鈍い音。

色は茶色。降ってきたのは、泥。

 

「これが、貴様の選択か」

 

そう、乱魔を考慮し、俺が放ったのは『泥雨』

上空から放つ、雨と土の混合魔術。

 

「お前の白い服が茶色くなる……白を汚すのは、ヒトガミに失礼だったかな」

 

ボトボトと落ちる泥。

言葉と共に落ちる泥に、オルステッドが顔をしかめる。

 

「分からんな。こんなの、振り解いてしまえば……「沼は、変わる」

 

俺の言葉に、オルステッドが目を見開く。

さぁ、今度はお前の番だ。

 

「泥が身体に降りかかってくる。それが纏わりついて、身体から離れなくなるとどうなるんだろうなぁ」

 

「……」

 

不快な泥。

それは、まるで執念の様に纏わりつく。

オルステッドの身体を、奴の闘気を。

 

(重い。俺の身体に触れた瞬間、岩という固体へと変化した。泥の水を凍らせたのか?いや、それにしては、熱い……)

 

「さぁ、オルステッド。第二ラウンドだ」

 

オルステッドの身体が重くなる。

執念は、欲になる。

 

「……魔龍王ラプラスの劣化などではない。貴様は、俺にとって最大の凶器だ」

 

鈍る動き。

オルステッドが、剣を振るう。

 

ガン!!!

 

「だが、俺は、まだ貴様という凶器に傷すら付けられていないぞ」

 

交差する魔剣。

龍聖闘気は、衰えることを知らない。

 

 

 

 

 

 

老デウスVSオルステッドについて。

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