「エリートオペレーターとしての権限を停止させていただきます」
「先日の報告では何処か上の空でしたよね、ちゃんと休んでいますか?」
「ち、ちゃんと休暇は取ってます…」
「MiseryさんやLogosさんからもあなたに関する打ち上げが来ています。『休んでいる所を見た事が無い。このままでは本当に壊れてしまうのではないか』と相談を受けています」
「イヤ…きっと見間違いだと思います…外勤中も隊員は休んでいる所を見ている筈ですし…」
「あなたに関しては目視での情報は重要になりません。大体、ワイさんは何を焦っているのですか?ヴィクトリアの一件も落ち着いて今はワイさんが目下対処すべき事態は無いと思われますが…」
「…いえ、気にするべきことが無いという訳ではないのです。ですがヴィクトリアでの問題にワイさんが関わる事は出自の問題を鑑みて許可することはできません、ただでさえあんなことをして色んな人を困らせてしまったのにこれ以上悩みの種を増やす事はしたくありませんから」
「…」
「でもアーミヤさんだってまともに休んでないじゃないですか!魔王の力を以前より使えるようになったと言っても負担は相当にあるんじゃないですか!?」
「それは…最近は力の使い方をよく知る必要があると思って…それに今は心強い助っ人がいますから、ワイさんが思っている程の負担は掛かっていません」
「うん?少し待ってください………ワイさん、今ここに居るのは本当にあなたですか?」
「ソ、そうですけど…」
「たった今Raidianさんから通信が来ました。ワイさんが通信回線の拡大に協力してくれるそうですね、現地で。Raidianさんは今外勤任務で本艦から離れていると思うのですが」
「………」
「強い困惑、焦り、緊張。目の前に居るからこそ手に取るように分かりますよ、もう一度聞きます。今ここに居るのは本当に、本当にワイさんですか?」
「……………」
「………」
「…向こうに居るのが分身です、なのでここに居るのが本体デス…」
「はぁ………アーツの使用を今すぐ停止してください。Raidianさんには私の方から伝えておきますから」
「あまりこういったことは言いたくないのですが、今のワイさんは目に余ります。ワーカーホリック度合いはドクターにも引けを取っていませんよ」
「え、えへへ…」
「褒めてません。良いですね、明日から二週間は休暇にします。その間は絶対に、絶対にオペレーターとしての業務を行ってはいけませんからね」
「ひゃい…」
◆◆◆
「………」
「あれっ、ワイじゃん!」
がっくりと肩を落としていると力強く肩を組まれる。視線を向ければそこに居るのは黒猫…いやフェリーンだった。
「Blazeさん…アーミヤさんから業務停止食らっちゃいましたぁ…」
「ブッ!アッハハ!やっぱりそうなったんだね!」
「やっぱりって……そんなにでしたか?」
「いや最近のワイヤバかったからね!?休んでるところなんて見た事無かったし、さっきエンジニア部に居たってのに食堂
「ひぃ、ふぅ、みぃ……まぁ最近は最低一体は出してますね、何時でも対応できるように」
「………だから休まされるんだよ、そのアーツ負担ヤバイでしょ?」
「いえ…以前は論文書くために50体くらい同時に動かしたことありますし。流石にその後三日位ダウンしてましたが」
「絶対やめてねそんな事、ワイが倒れたなんて事あったら許さないから」
「ていうか私以外にも怒る人沢山いるよ」
ギッとこちらに向けられる目は本気そのものだった。はて、そこまで心配されているのだろうか私は?
『品出し終わったー?じゃあこっちの箱数えといてー』
了解です。
『動きの精度が下がったな、流石に疲れてきたんじゃないか?』
いえいえそんな事無いですよ。
『ワイさん』
はい、どうかしまし──。
「げぇっ」
「どうしたのいきなり?」
「すみませんBlazeさん今ちょっとまずいって言うか分身出してるのアーミヤさんに見られたっていうか─」
「分身?」
「あっ墓穴掘った」
無言で身体を抱えられる。小さい体躯はしていないのだがそれでも軽々と持ち上げられる、これ相当怒ってない?あと力つよっ。
「あの「怒って無いよ」スミマセン…」
「よし。アーミヤちゃんも来た事だし、しっかり”休んで”来てね」
「ひっ──」
艦内にワイの情けない悲鳴が響く。そしてワイは交代制の監視付きでしっかりと休みを取る事となりました。ちゃんちゃん。
ワイのコードネームは決まっています。
私が百合スキーなのでワイちゃんです。