3人での旅。まさか天使と一緒に魔王軍の幹部二人が一緒にいるとは思ってない沿道の人たちは普通に歓待してくれている。
途中の村によるとだいたいのところ俺は崇拝される。村中のお年の方集まって来れられて俺を包囲してお祈りを始める。ありがたやありがたやとか言われるんだけど、多分俺に祈っても何もないよ……ほんとやめてよ……。
「皆さんに神の御加護がありますように。困ったことがあったら何でも言ってくださいね」
と俺が空気を呼んだ言えばみんな涙を流しながら恐る恐る無理難題を突き付けてくる。たいてい強力な魔物をどうにかしてほしいとか、盗賊をどうにかしてほしいとか武力が必要なことを言ってくる。俺を見ろ、こんなにか弱そうなのになんでそんなひどいことを頼めるんだ?
「わかりました」
大体俺はそう答える。俺は俺が憎い。空気を読んで常に修羅の道を選択し続ける性質なのが最近わかってきた。わかりとうはなかった……。
『セイクリッド・シンフォニア!』
変身して戦うしかなかった。勝っても負けても服がはじけ飛ぶ、そんな旅だった……
だからそのたびに新しい服を手に入れる。
スカートもあればズボンスタイルもある。街や村でそれぞれの手に入る衣装が違う。おしゃれは結構楽しかった……。
盗賊だけじゃなくてカニの化物と戦った。巨大なカニとしか言いようのない大きな相手で甲羅には変身した俺の力でも傷をつけられない。
「な、なんでこのぼぉくがおとりに」
泣き顔で逃げるラムを巨大なカニが追いかけていく。必死に逃げるけどちょきんちょきんって手のはさみをがちがちするカニ怖い。
「わ、わああ!」
走って逃げて、ラムは崖から身を投げ出した。カニも一緒に落ちていくけど、ラムの体は俺が空から飛んでつかむ。
「お、重い」
「お、おおお重い!? ぼくが!? ころすぞ! 聖天使!」
ぱたぱた羽を動かしてなんとか飛ぶ間にカニは下に落ちていった。倒した後村人たちと一緒にゆがいて食べた。ファルブラウが一番食べてた。変身ではじけ飛んだ服の代わりに民族衣装っぽい赤を基調とした衣装をもらった。チェック柄のスカートでくるくる回ったらみんなが笑ってた。
ある村では病気が流行っていた。
近くにある森からの瘴気がそれを出していると聞いて俺たちはそこに向かった。流石に困った人たちというよりも命の危機にある人たちを助けないわけにはいかなかった。ラムは不服そうだった……。
「ここは友達を助けると思って……」
「…とも………まあ、どうせ僕の目的はお前にとりあえずついていってどこかで魔王様のもとに帰ることが目的だし、別に急いでいないから手伝うかどうかは別としてついていくくらいなら別にいいんだけど」
なんか長々言ったけど結局手伝ってくれることになった。
森の奥では悪い魔法使いが瘴気を垂れ流していることが分かった。ファルブラウがまずタコ殴りにした。ラムが「やれやれ!」とせかしていたけど、女の子の力じゃ倒せなかった。
魔法使いはローブに身を包んですごい悪役っぽい。ファルブラウに不意打ちで殴られて鼻血を出している。
「くくく、私の研究により…邪神が復活…やめ、やめろ、石を投げるな」
ファルブラウがそこら辺の石を手当たり次第に投げていく。最終的に魔法使いは泣いていた。とりあえず俺が手当てをしてあげると両手を握ってきた。
「天使様……」
ぼこぼこの顔で俺をみてる男の顔は……いや何も言わない。とりあえず村の人たちに引き渡して数年の畑作業をすることになったらしい。瘴気が収まれば村も元気になった。元凶の男を労働で許してくれたことに俺自身ありがとうって言ってみたりした。
次の町では買い物をした。
そろそろいろんな物資が足らなくなっていた。市場でラムとファルブラウと一緒に見て回るといつの間にかアクセサリーを探す話になっていた。結構大きな街だからいろんな行商がいる。
「我、強そう」
指全部に指輪をつけているファルブラウがなんか言っていた。確かにそれで殴ったら強そう。
「わー、かわいいよぉ」
ラムは貝殻のネックレスをぬいぐるみにつけている。すごい屈託なく笑っている。俺はそれを見てなんとなくよかった気もする。
俺は、
「天使様……これをつけてください」
「これをどうぞ」
「髪飾りを」
「これもどうぞ」
大勢の行商が集まってきて俺を着飾らせた。体中にじゃらじゃらいろんなものを巻き付けて頭にかんざしをつけているとファルブラウとラムが俺を指さして笑ってくる。す、すきでこんなになったんじゃないやい!
それ以外にもいろいろなことがあった。温泉でラムにぶっ叩かれたりとか、ファルブラウと夕飯をかけてかくれんぼしてまじで1日中見つからないで時間をロスしたりした。また、3人でスライムに負けたり……。
毎日歩く。
山道もあり、平坦な街道を歩く日もあり。雨もあり、天気な日もあり。
いい日は立ち止まって空を見てみる。
青い空がどこまでも広がっている。その向こうに歩いていかないといけない。結構長い旅路だけど……こういったらどうなのかな。大変なんだけど、結構楽しい。
ただある丘を越えたときににファルブラウがその向こうを指さした。
「あの向こうの町に 『黒のアドレイド』がいる」
丘から見下ろすそこには円形の城壁を持つ街だった。人間の町だよな……ここに魔王の幹部がいるのか……? 空を見ればハトが飛んでいる。