へへへ。
やっちまった。
やっちまったよおおおおおおおおおお!
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!
「ちょっと開けなよ。セナ! クローゼットに閉じこもるって何してんのさ」
外からどんどんと叩く音がする。ラムの声だ。ラムの声……いやぁあ!! 俺の黒歴史が話しかけてくるぅ。昨日のすさまじいハイテンションの末に何やったのか俺の頭にこびりついて離れない。
あれから部屋に帰ったと同時に体の奥底から恥ずかしいって気持ちが湧き上がってきた。なんであんなにテンションが高かったんだ。じ、自分からき、き……あの唇を使った行為をするなんて!
……俺、今日からクローゼットに住むわ。
闇……闇こそ安心を与えてくれる。聖天使とか言われるけど今なら堕天使にだってなれる。ダークエンジェル・セナ、ふふ、ふふふふ。ふふ。
「くふふふ」
「ちょ、ちょっと何笑ってるんだよ。怖いんだけど!」
ラムの声が外から聞こえる。クローゼットを中から抑えて俺の静寂を崩させはしない。ていうかラムの顔を見たら赤面してしまう自信がある。
どかーん!!!
クローゼットをぶち破って何かが俺の横をかすめた。ひ、ひぃ、外から入ってきた光でそれがトンカチの先っぽだとわかった。ひ、ひー。もう少しでとんでもないことになってたよ!?
「外したか」
穴の向こうに赤い目がある。きらきらとした赤い目がぎょろりと俺を見ている。穴に顔をつけているんだろう、表情が分からない。めちゃくちゃ怖い。
ふぁ、ファルブラウの目が俺を見ている。こわ……こわっ! こいつ、クローゼットの扉をぶち壊すついでに俺を狙ってきた!? ファルブラウの目がぎょろりと動く。
「もう少し右か」
怖いんだよ!! 出ますよ!! 出ます!!
「出るから攻撃しないでぇ!」
そう言ってクローゼットから飛び出す俺。
目の前にラム!
「きゃっ」
「わっ」
思わず抱き合う。ラムの顔が赤くなる。俺の顔が赤くなるのも感覚でわかる。
「わああ!」
「ぶへええ」
ラムのびんたを食らう!
☆☆
「いつのまにか朝になっていたのかぁ」
ふぁああ、全然眠れなかった。今から決闘があるかもしれないのに本当に大丈夫なんだろうか。
とりあえず朝飯を食べるために食堂に来た。それにしてもこんな学生もどきな俺が学園を歩き回っているののはいいんだろうか、あと流石に目立つからラムとファルブラウにも部屋に用意されていた服に着替えてもらった。
ファルブラウはシャツの胸元のボタンを開けて上着を着ている。リボンはつけてない。食堂の席に座ってなんかすごい長い……フランスパンみたいなのを口いれている。何してんだ。
あとラムは紺のブレザーを着て、胸元のリボンをしっかり止めている。パンとシチューを食べていて、横の席には人形が座っている。普通にかわいい。俺はそう思うと、昨日のことを思い出して切腹したくなる。
俺も同じような格好。昨日と同じ。朝の食堂が学生が多い。俺の居た高校の食堂とは違って朝ごはんもみんないるんだ。……というか結構見られている気もする。
「あれ……天使様じゃない?」
「それにあの子たち……」
「なんか角生えてない? あの人」
うーん。目立っているなぁ。まあ、そりゃあそうだよな。
「硬いなこいつ」
ファルブラウはパンに苦戦している。こいつ、干し肉の時もこんなことしてたな……。もう少しよく噛めばいいのに。
「とりあえずラム、ファルブラウ、ご飯を食べたらアドレイドを探そう。戦いになる前に説得できないかな」
「僕は無理だと思うなぁ」
「そんな……」
ラムが俺を見る。片目でちらりと。
「まあ、やるだけは手伝ってやるけど」
「ラム……」
「硬い……」
まだやってんのかファルブラウ。ラムがいいこと言ったんだから聞いててよ!
「み、見つけましたよ!」
ん? 声がした。聞き覚えのある声だ。俺が振り返るとそこにはかわいらしい女の子がいた。桃色の髪とグリーンの瞳。彼女はわなわなと震えながら俺を指さしている。確かこの子はアイリス。勇者の末裔……だっけ。
「破廉恥天使!」
は、はれんちてんし!!? 何言ってんのこの子!
「わ、私は破廉恥じゃないよ!?」
「い、いきなり廊下で壁をどんってして迫ってきたり! わ、私の初めてのキスを……言い逃れできると思っているですか!?」
「……そ、それは」
ちがうんですよぉ! でも、自信をもっていえないのが。悲しい。
「ご、ごかいですよ」
目を逸らして俺は何とか反撃する。アイリスはさらに追撃してくる。
「誤解でしたで済めば騎士団はいりません! き、昨日図書館で大暴れしたことも併せてあなたにはお仕置きが必要なようです!」
俺は大暴れしてない。そこにいるフランスパンみたいなのかじっているファルブラウが暴れたんだ!
「ち、ちがう」
「問答無用です。貴方に決闘を申し入れます!」
「決闘って……私は」
「乙女の貞操を奪った罪……」
「なんか誤解されそうなのやめて!?」
俺はアイリスに近づいて口をいったん閉じてもらおうと手を伸ばす。胸に手が当たる。アイリスの顔が真っ赤になる。俺は真っ青になる。
「何ナチュラルにセクハラしているんですか!??」
「ちちちちちがうの。ごめんなさいぃ」
アイリスは胸を抑えて下がる。食堂のみんなが俺たちを見ている。
「は、破廉恥天使……。いいですか、私は昨日すさまじい力を出しました。あれはきっとあなたのおかげなんですよね……。魔王と戦うためにあなたの力が必要なのはわかります……でも!! エッチなのはだめだってことを教えてあげます!」
アイリスが俺を指さす。
「改めて勇者の末裔であるアイリス・ナージ・ヴァルトがあなたに決闘を申し入れます! 私が勝てば……なんでもいうことを聞いてもらいます!」
なんでも……。なんでもはしたくないです!