転生した俺がツンデレショタおにいさまとイチャつきながら最強の魔法使いになるってほんとですか!?~Nothing changed~   作:かに3

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 この世界にもハロウィンがある。宗教とかどうなってるんだろうとは思うけど、俺はまだ子供なので考えるのはやめておいた。そんなことより仮装だ!

 今までは保育所のイベントで、みんなで集団ゴーストになって歌って踊っておやつを貰っていたけど、今年から街に繰り出せる!

 

 必死にミシンをかけてくれるママの邪魔にならない位置でうろちょろしながら買ってもらった布を広げたり畳んだりしてウキウキした。紫色の生地に、金色の月と星が描いてる素敵な布! これで魔法使いのマントと帽子を作ってもらうんだ!

 

「これ、本当は服用の布じゃないのよ? ハンカチやスカーフとか……ま、いいわ。裏布を厚くして……」

「ママ、がんばって! お兄様とお揃いにしてね!」

「ママがんばるわよー」

 

 お仕事もあるのにお手数おかけいたします! でも、俺はまだチビだけどお兄様はもうすぐ10歳だし。さすがに年齢2桁になったら弟とお揃いの仮装はしてくれないかな? って思ったから、どうしても一緒がいいってわがまま言っちゃった。

 針を使うから離れていてねと言われて、仕方なく自分の部屋に向かう。ちょっと寒い。気付けば日が落ちかけてるから、そろそろ暖炉に火を入れておこう。

 

「……えいっ」

 

 ぱちぱち と、指先から火花が散った。

 

 そう! ついに! 俺は魔法を出せるようになったのだ!

と言っても、強めの静電気のような火花だ。でも、魔法ってまずは才能が必要って本に書いてたし、最初の一歩としてはけっこういい感じじゃないかな!?

 はじめて火花を出した時には火傷するかと思って怖かったけど、俺が出した火は俺には影響しないらしい。キラキラと散る赤い光はただ綺麗なだけで、おまけに火種にもなって便利だ。

 

 前にトムくんから見せてもらった本。あれは2歳児が読むには難し過ぎて、全部は分からなかったけど、魔法はイマジネーションが大事って書いていた。この小さな火花を、もっと素敵なものに出来ないかな。もっと大きくして花火にしたり、動物の形にして動かしたり!

 

 手のひらの中で線香花火のような炎を弾けさせる。こういうのって、反復練習が大事ってのが定番だもんな。

経験値貯めて、レベル上げするんだ。

 

 ずっとやっていたら何だか疲れて頭が痛くなってきたけど、その分炎がおっきくなってきた気がする!

 

「アンジェー! 出来たわよー!」

「やったあ!」

 

 階下から聞こえた声に飛び出していくと、ちょうど勉強を終えたお兄様も隣の部屋から出ようとしているところだった。

 

「お兄様! ハロウィンの衣装が出来たって! 魔法使いだよ!」

「アンジェはいつも魔法士を魔法使いと呼ぶね。なにかこだわりがあるのか?」

「魔法士と魔法使いは別物だよー!」

「難しいことを言う子だ」

 

 お兄様の腕を引っ張って一緒に連れていくと、前よりもずっと近くなった距離で笑い声が聞こえる。すくすく成長したから、もうお兄様は俺をおんぶできない。

 まあ見ていてくださいよ。俺が10歳になって、お兄様が14歳になるあたり。それくらいには、俺がお兄様をおんぶしてそこら辺を駆け回ってご覧にいれますよ。だって俺って、パパ似だから! きっと180センチは行く!

 

 ママのところへいくと、カメラを持ってまちかまえていたパパに仮装写真を撮られまくった。俺がファンサービスに徹していると、パパにはちょっと冷たいけど俺には甘いお兄様が、俺に合わせてカメラに笑顔を向けてくれる。

 

「ロロ~! 笑って~!」

「さっき笑いました」

「お兄様、笑ってえ!」

「ん? こうかな」

 

 最高のスマイルありがとうございます! 俺がママのスマホで撮ったお兄様は、どれを見ても優しい顔をしている。お兄様もパパのことは好きなんだけど、ちょっとだけしつこいところがあるから面倒がられちゃってるんだよな。俺が間に入って、潤滑剤になりましょう!

 

「あーーー楽しみい! いっぱいお菓子もらおうねえ! トリックって言われたら、玄関に生卵ぶつけまくろうねえ!」

「こら、生卵は2つまでだよ。あとは水鉄砲にしておきなさい」

「えー? もっとぶつけたい!」

「兄さんの分も使っていいから」

「やあだー、お兄様も俺と一緒に投げるの!」

 

「なんでこの子達イタズラの方を楽しみにしてるのかしら」

「堂々と悪さが出来るのは最高だからね……」

 

 

 

 

××××××

 

 

 

 ハロウィン当日。

 

 素敵な帽子とマント! だいすきなお兄様と楽しいハロウィン!

 花の街にたくさんの小さなモンスターがあらわれて、無慈悲におやつを奪い取り断るものにはイタズラという制裁!

友達や顔見知りも、みんな仮装してるから誰が誰だか分からない!

 

「楽しいねえ、お兄様。楽しいねえ」もう持ちきれなくなったおやつを、魔法使いのマントで包んで背負う。家から持ってきた生卵はもうひとつも残っていない。水鉄砲の中身も空っぽ!

 

 もうおうちに帰ろうねという段階で、俺は「は!」と声を出して止まった。大切なことをし忘れている!

 

 

「お兄様! トリックオアトリート!」

 

「なんて強欲な魔法使いだ。んふふ、じゃあ……トリックを頂こうかな」

 

「んふふー!」

 

 両手を合わせる。そのまま意識を集中させて、今まで何度も練習した成果を披露した。

 

「えいっ!」

 

 薄暗い世界を照らすような、赤い火花。それがパチパチと5秒ほど瞬いて消えた。やったー! 持続時間ちょっと伸びた!!

 

「これは、魔法?」

「うん!」

「凄い……! アンジェは魔法が使えるようになったのか! すごく綺麗だ、熱かったりはしない?」

「熱くないよ! ね、綺麗でしょ。お兄様に見せたくて練習してたんだ!」

「素晴らしい! ありがとう、兄さんを喜ばせてくれようとしたんだね。優しい子だ。嬉しいよ」

「んふふー!」

 

 いつもクールなお兄様が、眼をキラキラさせて俺の出す火花を褒めてくれる。嬉しくなって何度も繰り返したら、だんだん出てこなくなってしまった。魔力切れかな。ちょっと疲れた。

 

「ああ、ごめん。無理させたね。兄さんが背負ってあげよう、乗りなさい」

「だいじょぶ、はしゃぎすぎて疲れちゃった。おうち帰って、おやつの山分けしよ!」

「それは明日でもいいだろう?」

「やあだ、今日やりたいの!」

「ほら、足元がふらついてる。疲れているんだよ、帰ったら寝よう」

「やだあ」

 

 だって俺の方がお兄様の好きな味のキャンディ多かったもん。交換したい~~って甘えてぐずると「じゃあ一休みして、起きていたらやろうね」と言われた。それ俺寝ちゃうやつだよ、もう!

 

「お兄様、俺が魔法使えるの、2人だけの秘密ね」

「お父様とお母様には言わないと」

「あのねえ、俺の火でおっきな花火作って、それでびっくりさせたいの。サプライズしよ」

「このいたずらっ子め」

 

 はしゃぎすぎて本当に眠くなってしまった。足元をふわふわさせながら、家に帰る。真っ白な満月。今日は本当に良い、ハロウィンナイトだ。

 

 

 

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