ホグワーツ魔法魔術学校特別体育教師“伏黒甚爾” 作:物体Zさん
数日後、俺とジジイは京都某所にある五条家にやってきていた。山の麓に広がる白一色の景色、瓦屋根にも松の枝にも分厚い雪が乗り、踏み締めるたびに足元でぎゅ、と湿った音が鳴る。今年は例年より雪が多いらしい。吐く息が瞬時に白く凍り、鼻の奥が痛むほどの冷気が肺を刺す。かなり豪雪だ。今年は嫌な年越しになりそうだな、と自然に舌打ちが漏れた。
「ちょっと寒いのぉ」
ジジイが肩をすくめ、白い息を吐きながら言った。長い髭の先に霜が付いている。
「魔法使えば寒さなんて感じないだろ」
「そんな便利な魔法があればいいのぉ」
そう言いながらも杖を抜き、軽く振る。次の瞬間、ローブの周囲の空気が揺らぎ、淡い湯気がふわりと立った。雪が触れる前に溶け、足元の氷もわずかに水滴へと変わる。
「何でもできちまうんだな。魔法は」
「だからいつまでも成長できん、とも言える」
「そうだな」
俺は門を見上げた。黒塗りの重厚な門扉、雪を被ってなお威圧感を放つ柱、塀の向こうから漂う澄んだ気配。禪院家にも引けを取らない。いや、外面の整い方だけならこちらの方が上かもしれない。
御三家。その中では比較的マシだと聞く。加茂は知らんが、禪院よりは息がしやすいだろうなと勝手に想像する。だが所詮は血筋に縛られた家だ。綺麗な雪の下に何が埋まっているかは分からない。
五条悟。六眼と無下限の抱き合わせ。産まれたその瞬間に呪術界の均衡を揺らした存在。数百年前、六眼無下限の五条当主と十種影法術の禪院当主が御前試合で相討ちになったという話は嫌というほど聞かされた。あれ以来、両家は犬猿の仲だ。
「フシグロ君、気配が濃いのぉ」
ジジイが低く呟く。俺も感じていた。門の内側から、薄いが確かな圧が流れてくる。雪の冷気とは別の、澄み切った刃物みたいな気配だ。
「産まれて数年でこれかよ」
思わず口の端が上がる。楽しみだ。殺すつもりはない。ただ見るだけだ。だが見れば分かる。強さは匂いで分かる。
「じゃ、いくか」
門に手をかける。冷たい鉄の感触が掌に刺さる。直毘人には話を通したが、五条側に連絡が行っているかは怪しい。だから余計な挨拶はしない。見つからずに見る。それが一番面倒がない。
門を押すと、重い音を立ててゆっくり開いた。中庭は一面の雪。踏み荒らされていない白が広がり、その中央に細い足跡が一本、奥へと続いている。子供の足跡だ。
「ほぉ……」
ジジイが感嘆する。俺は無言で足跡を追った。雪を踏む音がやけに響く。耳が研ぎ澄まされ、心臓の鼓動まで聞こえる気がする。
そして、庭の奥。
白い景色の中に、ぽつんと立つ小さな影。
白髪。雪と見分けがつかないほど淡い色。だが、その周囲だけ空気が歪んでいる。見えない何かが常に回転しているような、触れれば弾かれる圧。
子供がこちらを向いた。
青い瞳が、真っ直ぐに俺を射抜く。
数秒、視線が絡む。冷気が止まったように感じた。
「……へぇ」
思わず声が漏れる。呪力の総量じゃない。質だ。澄みすぎている。濁りが一切ない。生まれつき完成しているみたいな目。
子供は笑わない。ただ、こちらを見ている。
「面白いのぉ」
ジジイが小さく笑う。
俺は子供から視線を外さずに言った。
「なるほどな……こりゃ確かに、世界が変わるわけだ」
六眼。それが俺とジジイを真正面から射抜いていた。雪の白と同じ色をした髪、その下で淡く光る青い瞳。あの目は反則だ。五条家にのみ現れる特異体質。呪力出力の最適化、消費の極限的効率化、術式構造の視認。理屈としては知っていたが、実際に向けられると皮膚の上を冷たい刃で撫でられているような感覚になる。
俺には呪力がない。だから呪力感知はできないはずだ。気配も徹底して殺している。雪を踏む音すら最小限に抑え、呼吸も浅くしていた。ジジイも同じだ。魔力を抑え、ただの老人に見えるよう振る舞っていた。なのに——あのガキは、俺たちが門を潜った時点で気付いていた。
「あんたたちだれ?オレを殺しにきたのか?」
雪がしんしんと降る中、五条悟が薄く笑いもせずそう言った。幼い声だが、揺れはない。足元の雪は踏み荒らされていないのに、その周囲だけ空間が微妙に歪んでいる。無下限が常時展開されているのが分かる。無意識でだ。常在の結界。生まれつきの防壁。
(ロンぐらいなら簡単に倒せそうだな)
不意にホグワーツの赤毛の顔が浮かぶ。年相応の焦りや油断がない分、目の前のガキの方が厄介だ。
「ホッホッホ、君が五条悟君だね?わしはホグワーツ校長アルバス・ダンブルドア」
ジジイが穏やかに名乗る。雪がローブに積もり、杖の先に霜が付く。それでも魔力は一切漏れていない。
「ホグワーツ?ホグワーツって確か外国の魔法学校だろ。なんでここに?」
語尾が少しだけ上がる。好奇心が勝っている。恐怖はない。俺たちを敵か味方か計っている最中だ。
「見物だ」
俺は短く言った。
「見物?」
「六眼と無下限の抱き合わせがどんなもんか、直接見に来ただけだ」
雪が頬に当たる。冷たいはずなのに、妙に熱を帯びて感じる。ガキは一歩も動かない。ただ視線だけを動かし、俺とジジイを交互に観察する。その目の奥で呪力の流れが解析されているのが、何となく分かる。
「オレの無下限、見えてる?」
唐突な問い。試している。
「見えねぇよ。俺には呪力がねぇ」
正直に答える。嘘を吐く必要はない。
「……へぇ」
青い瞳がわずかに細まる。無下限に触れた雪が途中で止まり、空中で静止している。その境界線が薄く光る。常時展開。しかも制御が粗くない。幼児の域を超えている。
「お前、俺たちが来たの分かってたな」
「うん。門の外にいた時から」
即答。自慢でも誇示でもない。ただ事実を述べる口調。
「なんで分かった?」
「……わかるんだよ。空気の流れが変わる。見えないはずのものが、見える」
六眼。視る力。呪力の濃淡だけじゃない。情報量が違う。
ジジイが小さく笑う。
「素晴らしいのぉ。まだ幼いのにその精度か」
「ジジイ、刺激すんな」
ガキの周囲の空間が一瞬だけ重くなった。警戒が強まった証拠だ。
「オレを殺しにきたんじゃないなら、なんで見にきた?」
核心を突く。ガキにしては言葉が真っ直ぐだ。
「強い奴は見ときたい。それだけだ」
嘘じゃない。本当にそれだけだ。
数秒、沈黙。雪の落ちる音がやけに大きく聞こえる。
そして——
五条悟が、ほんの少しだけ口角を上げた。
「へぇ。面白いな、あんた」
その瞬間、空気が軽くなった。無下限の圧が僅かに緩む。
俺はガキを見据えたまま、静かに笑った。
「こりゃ……育つな」
「うむ、そうじゃの……11歳になったら是非ホグワーツに——」
「いやそれは絶対にダメだろ」
思わず即座に突っ込んだ。雪の庭に声が乾いた音で響く。日本の呪術界、それも御三家のど真ん中にいるガキだ。しかも六眼と無下限の抱き合わせ、賞金首として既に億単位の値段が付いている怪物だ。そんなのがホグワーツに通い始めたらどうなるか、想像するだけで頭が痛い。
マクゴナガルの顔が浮かぶ。真面目で堅物なあの副校長が、突然現れた六眼のガキに振り回される姿が容易に想像できた。間違いなくメンタルが先に壊れる。
「日本の呪術界のガキ、それも御三家の億超えの賞金首のガキがホグワーツに通いなんかしたら、マクゴナガルがメンタル崩壊してあの世に行っちまうよ」
「ほぉ、それは申し訳ないのぉ」
ジジイが愉快そうに笑う。絶対分かって言ってやがる。
雪がまた強く降り始めた。白い粒がゆっくりと落ちてくる。その中で、青い瞳がこちらを見ていた。
「ねぇ、おじさん」
「あ?おじ?」
「おじさんって天与呪縛?」
俺は一瞬だけ目を細めた。雪が頬に触れる感触だけが妙に鮮明になる。
「そんなのも分かるのか、てめぇの眼は」
「呪力が一切無い人間なんて存在しないからね。そんなの天与呪縛しかありえない」
即答だった。迷いがない。六眼が見ているのは表面じゃない。流れ、密度、構造。存在そのものの在り方を視ている。
「そうか」
短く返す。別に隠すつもりもない。
悟は俺の全身をじっと見ていた。呪力のない身体、筋肉の収縮、重心の置き方、雪の踏み方。全部観察している。
ジジイが楽しそうに顎髭を撫でる。
「フシグロ君、一戦交えてみたらどうじゃ?」
「は?なんでこんなガキと……」
言いかけたところで、悟が一歩前に出た。雪を踏む音が軽い。無下限の境界で雪が弾かれ、周囲だけ小さな空白ができる。
「いいよ、やろうよ」
青い目が真っ直ぐ俺を見ている。怖がっているわけでも、興奮しているわけでもない。ただ純粋な興味。
俺は頭を掻いた。冷たい雪が指の間で溶ける。
「……ガキの遊びに付き合う趣味はねぇんだが」
「遊びじゃないよ」
悟の声は静かだった。
「本物を見てみたいんだ」
雪が強くなる。視界の端でジジイが一歩下がった。観客の位置だ。
俺はゆっくり息を吐いた。肺の奥の空気が白くなる。
「チッ……いいだろう」
足を半歩引き、雪を踏み固める。重心を落とすと、庭の空気が一瞬だけ張り詰めた。呪力はない。だが筋肉と骨が連動し、地面の反力が足裏に伝わる。
悟の周囲で無下限が微かに唸る。空間の密度が歪み、落ちてくる雪が途中で止まる。
ガキは笑っていない。だが目だけが輝いていた。
「じゃあ……始めようか」
ガキが一気に踏み込んだ。いや、踏み込みなんてもんじゃねぇ。視界の端で白い雪が弾けたと思った瞬間、目の前に青い瞳があった。距離を詰める速度が異常だ。普通の身体能力じゃ説明がつかない。瞬間移動に近い。
だが俺の眼はそれを捉えていた。
ガキが動く瞬間、呪力が一気に噴き出した。空気の流れが変わる。周囲の雪がわずかに舞い上がり、目に見えない圧が庭の空間を押し広げる。術式が動いた。感覚で分かる。
無下限呪術。
術者の周囲に呪力で「無限」を具現化させる術式。距離という概念を歪め、近づこうとする物体を際限なく減速させる。接触という結果に至る前に、無限に分割された距離の層に飲み込まれる。要するに、当たらない。当たらないようにするんじゃない。当たる前に世界の方が止まる。
正味、理不尽極まりない術式だ。
ガキの拳が俺の顔面に迫る。拳自体は子供のものだが、呪力で押し出された速度が尋常じゃない。普通の術師なら視認もできないだろう。
だが俺は半身を僅かに捻った。肩を引き、重心をずらす。拳が頬の横をかすめ、空気を裂く音が耳元で鳴った。
悟の目がほんの少しだけ見開く。
その隙を逃さない。避けた勢いをそのまま回転に乗せ、腕を振り上げる。肘から先を一気に振り下ろす拳骨。子供の喧嘩みたいな動きだが、俺の体重と筋力が乗れば鉄塊と同じだ。
だが——
拳が途中で止まった。
いや、止まってはいない。進んでいる。だが、届かない。距離が縮まらない。拳と悟の頭の間に、透明な層が何枚も挟まっている感覚。
見えない壁。
いや、壁じゃない。距離そのものが引き延ばされている。
拳があと数センチのところで止まり、雪がその境界でゆっくりと浮かび上がる。
「へぇ……これが無限ね」
思わず口から出た。理屈は知っていたが、実際に殴ろうとして止められると妙な気分だ。殴れる距離にいるのに、殴れない。
悟は一歩下がり、俺を見上げる。青い瞳が雪の光を反射している。
「おじさんスゴいね、オレについていけるんだ」
素直な感想だ。煽りじゃない。本当に驚いている顔。
「大人をナメんなガキ」
言いながら、俺は腕を引いた。境界に触れていた拳が軽く痺れている。呪力は感じないが、空間の歪みが皮膚を押しているのが分かる。
悟がまた踏み込んだ。今度は真正面。拳じゃない。手刀。速度はさっきより速い。呪力の流れが一瞬で加速する。
俺は身体を落とし、足を滑らせるように横へ逃がす。雪が舞い上がる。手刀が肩の横を通り、空気が裂けた。
距離を取りながら悟の足運びを見る。ガキの癖に無駄がない。重心の移動が綺麗すぎる。術式に身体が引っ張られているのか、それとも元々の感覚か。
ジジイが遠くで笑っていた。
「ホッホッホ、良い動きじゃのぉ」
うるせぇ。
悟が止まる。俺との距離、三歩。
無下限の境界で雪がゆっくりと溶ける。
青い瞳がまた細くなる。
「ねぇおじさん」
「なんだ」
「オレに触れる方法、考えてる?」
俺は笑った。
「当たり前だろ」
まず
ジジイの魔法でも同じだろう。炎でも雷でも、隕石でも竜巻でも、結局は「接触」に辿り着けなければ意味がない。あらゆる天変地異ですら、この術式の前ではただの風景になる。正味、術式としては反則に近い。
だが——俺には呪具がある。
腹の奥、空洞の中で蠢く感覚がある。芋虫の形をした呪霊。そいつの胃袋の中に、俺の切り札が眠っている。
天逆鉾。
術式を強制終了させる特級呪具。触れた瞬間、どんな術式でも例外なく消し飛ばす。呪術の理屈そのものを否定する刃だ。あの無下限だろうが関係ない。刃が触れた瞬間、術式は止まり、ただの肉体がそこに残る。
つまり——当たる。
だが今ここでそれを使うかと言われれば、答えは簡単だ。
使わない。
理由は単純だ。切り札は見せるもんじゃない。
目の前のガキは六眼を持っている。術式の流れを読み、呪力の挙動を解析する目だ。天逆鉾を抜いた瞬間、その異常な性質を見抜かれる可能性は高い。そうなれば、次に戦う時には確実に対策を考えてくる。
未来の敵に手札を見せるほど、俺は甘くない。
もし将来、このガキが俺と戦うことになった時。策を知られているというのは、それだけでハンデになる。
雪がまた強くなる。視界の端で、悟が俺を見ていた。
青い瞳が僅かに細くなる。観察している。俺の呼吸、足の置き方、重心の移動。全部だ。
「どうしたの?」
悟が首を傾げる。
「さっきから殴ろうとしてない」
よく見てやがる。
「考えてんだよ」
「なにを?」
「どうやってガキを泣かせるか」
悟が笑った。ほんの少しだけ口角が上がる。
「できるかな」
「できるさ」
俺は雪を踏み締め、一歩だけ距離を詰めた。無下限の境界に近づくと、空気の密度が変わるのが分かる。皮膚の上を流れる圧。雪が途中で止まり、ゆっくりと浮かぶ。
悟は動かない。ただ見ている。
試しているんだろう。俺がどこまでやれるか。
俺は拳を軽く振った。無下限の境界に触れる直前で止まる。触れていないのに、皮膚が押し返される感覚がある。
理屈は分かった。
距離を止める術式。
つまり、触れる前に止まる。
「なるほどな」
呟くと、悟が眉を上げた。
「なにが?」
「お前の術式、完全じゃねぇ」
悟の目がわずかに細くなる。
「どういう意味?」
俺は笑った。
「ガキだからだよ」
そして次の瞬間、足を踏み込んだ。
殴るためじゃない。
俺の音もない踏み込みにガキは反応できない。無拍子の踏み込みだ。肩も揺らさず、足裏の圧だけで雪を蹴り飛ばす。側から見れば瞬間移動に見えるだろう。だがさっきのガキの動きとは違う。呪力で押し出された速度じゃない。筋肉と骨と重心が生む、純粋な膂力の速さだ。
雪の粒が宙に浮いたままになる。踏み込んだ瞬間、庭の空気がわずかに割れる感触がある。
「ッ!」
悟の瞳が一瞬だけ揺れた。六眼が追いつく前に身体が反応したんだろう。腕を前に出し、咄嗟に防御の姿勢を取る。だがその動きは半端だ。条件反射の防御だ。
無下限を展開していることを、ほんの一瞬だけ忘れてやがる。
ガキだな。
俺はそのまま悟の目の前で止まった。拳は振らない。殴ればまた無限に止められるだけだ。
だから殴らない。
足を上げる。
そして地面へ叩きつけた。
「は?」
悟の間抜けな声が漏れる。
踏み込みじゃない。叩きつけだ。踵から地面に衝撃を流し込む。筋肉の収縮、骨格の連動、体重の全てを一点に落とす。雪の下にある土が一瞬で圧縮され、次の瞬間、反発する。
ドンッ——という鈍い音が庭に響いた。
地面が盛り上がる。雪と土が弾け、悟の足元の地面が膨れ上がる。無下限は「接触」を止める術式だ。だが地面は悟に向かって近づいているわけじゃない。悟の足元そのものが持ち上がっている。
身体ごと打ち上げられる。
悟の体が一瞬宙に浮いた。
「うわっ!」
完全に想定外の声。空中に投げ出された身体は、無下限の支配下にない。空気を掴もうとするように腕が揺れる。
俺はその瞬間を逃さない。
膝を曲げ、地面を蹴る。雪が爆ぜる。今度は俺が跳ぶ番だ。重力を押し返す力で身体が持ち上がる。
悟の身体はまだ上昇の途中。視線が俺を追う。
「マジかよ……!」
六眼が俺の軌道を捉えた瞬間、悟の周囲の空間が歪む。無下限を再度強めた。空中でも展開できるのか。大したもんだ。
俺は拳を振らない。
代わりに、掌を開いた。
空中で悟の肩のすぐ横を掠めるように手を振る。触れてはいない。触れる前に距離が止まる。
だがそれでいい。
掌が空気を叩く。
「ッ——」
空気が爆ぜた。圧縮された空気が横に弾け、悟の身体がその衝撃で回転する。直接触れていない。だが衝撃波は無下限の境界の外で発生する。
悟の体が横に流れる。
雪が舞う。
俺は先に地面へ着地した。膝を柔らかく使って衝撃を逃がす。
数拍遅れて、悟も着地する。足が雪に埋まり、体勢を崩しかけるがすぐに立て直す。
青い瞳が大きく見開かれていた。
驚いている。
そして——笑った。
「すげぇ……!」
心底楽しそうな顔だ。
「地面使うとか考えもしなかった」
俺は肩を回しながら言う。
「術式に頼りすぎだガキ」
悟は雪を払いながら俺を見た。
六眼が、今度はさっきよりも真剣に俺を観察している。
そして、ぽつりと呟いた。
「……おじさん、強いね」
書き始めから五条悟は出そうかとずっと考えていました。やっと書けましたw