インフェクター   作:あーさんです。

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本格的に始動します。


依頼その1.清掃屋

あの出来事からどのくらい経ったのだろう。何も無いようなディストピアを今日も彷徨う。不安な気持ちを抑えながら今日は何もないように祈る。しかし、そのような祈りはすぐに絶える。

 

 

不良『オイ、テメェ…金出せよ!』 

 

 

知里戸『……ひっ…』

 

 

今不良に絡まれている彼の名は知里戸 律(ちりとりつ)気弱な少年だ。強靭なメンタルも無いし、力もない。そんな彼が不良に絡まれてしまった。咄嗟に逃げようとするものの足が絡まる。

 

 

不良2『オレらと遭遇して逃げられたヤツは居ねぇ…大人しくしといた方が……身のためだろうなァ!!』

 

 

知里戸『うっ……ん?』

 

 

殴られると思い彼は身構えたが、痛みがいつまで経ってもやってこない。恐る恐る顔を上げると、さっき殴ろうとしていた不良の顔面を見知らぬ巨漢が殴っている。

 

 

不良2『ボグギュァァァ!!!』

 

 

知里戸『え?……え?…』

 

 

不良『て、、テメェ…何しやがる!!』

 

 

知里戸は困惑するしかなかった。自分を殴ろうとしていた不良が見知らぬ巨漢に殴り飛ばされていたのだ。その直後、別の不良が見知らぬ巨漢に今度は飛びかかってきた。

 

 

???『邪魔だァ!』

 

 

不良『オグゥァァァ!!』

 

 

この短い間に二人の不良を殴り飛ばした巨漢は、汗一つ流すこと無く、ただ周りを見渡していた。まるで、残りの獲物がいないか確認するように。

 

 

知里戸『あ、あなたは……』

 

 

一通り見渡した後、転んでいた知里戸の方を向く。さっきまで人を殴り飛ばしていたとは思えないような表情で、話し掛ける。

 

 

???『怪我は無いか……?』

 

 

知里戸『大丈夫です。あ、ありがとうございます……所で、貴方は…?』

 

 

知里戸の質問に対し、男は少し考えるような素振りを見せるが、すぐにこう答える。

 

 

???『掃毒 庄司(そうどく しょうじ)。清掃屋をやっている感染者だ…』

 

 

知里戸『感染者……?感染者って、あの…?』

 

 

知里戸はさらに困惑した。敵対しているはずの感染者が助けてくれたのだ。普段はこんなことはない。非感染者だとわかればすぐに殺しに掛かってくるはずなのだ。

 

 

掃毒『そんなに感染者ってのが可笑しいのか?』

 

 

知里戸『え、あ。その……』

 

 

言われてみればそうだ。感染者が非感染者を助けることの何が可笑しいと言うのだろうか。知里戸は思わず唖然としてしまっているが、掃毒は続けてこう言う。

 

 

掃毒『俺はそんな古くさいヤツは嫌いだ…俺たち清掃屋は誰の依頼だって快く受ける。それが感染者でも、非感染者でもな。』

 

 

知里戸『……そ、そうですか…』

 

 

掃毒の雰囲気に圧倒されてしまう。知里戸は震えた。今までこのような人間に出会ったことがあるだろうか、いいや、無い。知里戸は決意した。清掃屋に入る。この人こそ着いていくべき人間だと"確信"した。

 

 

知里戸『す、すみません…わ、私も…"清掃屋"に…入ってみても…良いですか?』

 

 

掃毒『清掃屋に入りたい?、喜んで。よろしくな。』

 

 

あっさりOKしてくれた。普通こう言うのって長い時間をかけて決めるものじゃないの?、と思った知里戸だったが、まぁ別に良いかと思う。

 

 

掃毒『じゃあ、俺の事務所に行くか。少し遠いが、勘弁してくれ。車もねぇんだ。』

 

 

知里戸『は、はぁ…そうですか。』

 

 

その時、少し遠くからブロロロ…と言う低い音が幾つか聞こえてきた。幸いにもここは開けていたので何が近付いてくるのかがすぐにわかった。

 

 

掃毒『…追っ手か…アイツらやられる前に救難信号でも発してたんだろうな…しかも人数は軽く10人は越えてるな…』

 

 

知里戸『どうしましょう!ここだと隠れられる場所が一切ありませんよ!!しかもバイクに乗ってますよ!!』

 

 

掃毒『悪ぃが事務所はこの先なんだ…突っ切るぞ』

 

 

知里戸『いやいやいや!どうやって突っ切るんですかこんなところ!』

 

 

流石にこの量を捌ききるのは無理だと知里戸は思ったが侮ってはならない。掃除庄司と言う感染者を……いや【人間】を。

 

 

掃毒『先に行っとく。…ッ!』

 

 

知里戸『はっっっや!!!』

 

 

掃毒は、地面に軽くクレーターが出来る位の強さで地面を蹴り、瞬く間に追っ手のもとへと駆け抜けて行った。そこからがとても早かった。バイクに乗ってる人を蹴り落としたかと思えば、バイクを持ち上げ振り回し始めたのだ。

 

 

掃毒『邪魔だ邪魔だァ!』

 

 

追っ手1『ゴフゥゥッ!』

 

 

追っ手2『グギュァァッ!!』

 

 

追っ手3『ゴハァァッ!』

 

 

みるみる追っ手が吹き飛ばされていくのを、知里戸はただ見つめるしか出来なかった。その間も追っ手はどんどん吹き飛ばされて行く。

 

 

掃毒『終いじゃァ!!』

 

 

掃毒が残りの3、4人にバイクを投げると、ドガァァン!という音と共にバイクが爆発し、真っ赤に燃えている。その時知里戸は思った。バイク乗れば良いじゃん、と。

 

 

掃毒『終わったぞ…そういや名前は?』

 

 

知里戸『知里戸 律です。』

 

 

掃毒『……じゃあ、これからりっちゃんって呼んでも良いか?』

 

 

知里戸『え?、まぁ良いですけど…』

 

 

少し変なネーミングセンスだなぁと思いながらも事務所へと向けて歩みを進める。かなり遠くにポツンと建物が見えるが、いくら進んでもたどり着く気配がない。

 

 

知里戸『ゼェ…ゼェ……ちょっと遠くないですか?…はぁ…はぁ…』

 

 

掃毒『もう少しすれば迎えが来る…お、来た。』

 

 

遠くから人影が見える。それは瞬く間に知里戸達の所に辿り着いた。

 

 

知里戸『やっと…迎え……が…』

 

 

???『おおっと…お疲れかな?』

 

 

掃毒『サンキュー。ふうちゃん、助かった』

 

 

蜂起『その呼び方やめなって言ってるじゃん…はぁ。で、この子は?』

 

 

彼女は蜂起 風子(ほうき ふうこ)。掃毒の右腕的存在だ。彼女は軽々と知里戸を担ぎ、掃毒に事情を聞く。

 

 

掃毒『清掃屋の新入りさ、結構色々あったらしい。事情は知らねぇが…歓迎してやってくれ』

 

 

蜂起『あんたってばいっつもそうだ…まぁ別にアタシも止めたりはしないけどさぁ…』

 

 

その時蜂起に担がれていた知里戸は疲れからか深い眠りに付き、とある夢を見ていた…

 

 

???『律、貴方だけは生き残るのよ…』

 

 

知里戸『ね……さ…』

 

 

次回へ続く!!!




ありがとうございました。
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